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Ⅲ 王都フルムル
15 兄妹薬草工房で働く3
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ミハエル達が通り過ぎた後も行列はまだまだ続いた、皆、結構貴族事情に詳しいようで、知識の少ない俺達に解説してくれた。
「今回のパレードは少し何時もと違うんだよ、何か左右が逆なんだよな。ほら、不死鳥の旗印を持った騎士隊がいるだろ、あれはヤシカノル公爵の青騎士隊だから何時もは俺達から見て右側を固めてる筈なんだよ」
俺達はパレードの左側に陣取っている、その正面を青味がかった鎧を纏い、赤地に金糸で不死鳥を刺繍した軍団が勇壮に進んで行く。
「さっきの黒竜騎士団と赤竜騎士団から逆になってるんじゃないか、なんか趣向でも変えたのかな」
「それじゃ、南軍は向こう側を通るの。折角白薔薇隊を目の前で見れると思ってこっちに陣取ったのに」
何の話か良く解らなかったが、解説してくれる人がいた。
白薔薇隊とは南部に領地を持つマミーノ公爵が作った女性騎士を集めた騎士隊で、白い鎧を纏っていることから白薔薇隊と呼ばれている。
髪を短く切ったりりしい女性が多く、なぜか若い女性に絶大な人気があるそうなのだ、通りの反対側で黄色い悲鳴が上がっている。
「それって、北軍がこちら側を通るって言う事かい」
「うん、そうなるな」
不味い、物凄く不味い。
「兄ちゃん」
察知範囲が俺の倍あるマリアは、気配で気が付いた様だ。
人が大勢いる中では、雑音が多くて気配認識が混線するので、察知範囲が普段の四分の一程度になってしまう。
もう見え始めている。
「俺達ちょっとトイレに行って来る」
そう、父さん達、ネルトネッテ伯爵の隊が近付いて来たのだ。
買い物をする振りをして、裏通りの店の中に逃げ込んだ。
「長いトイレだったな」
「いや、混んでてさー、危なかったよ」
「聖女様何処に居たか解った?」
「今年から参加してる筈なんだけどなー、神官服着た人が一杯いて判らなかったなー」
「背中に光輪を背負ってるのか思ったけど居なかったねー」
背中に光輪なんか背負ってません、背負ってたらとっくに火炙りにされてます。
行列の最後尾が行き過ぎると、荷物を畳んで大勢の人達と一緒に行列の後を追いかける。
沿道の建物から見下ろす人達に手を振って、パレードの一員になった気分を味わえた。
夕刻、パレードが王城に入るまで後を追い掛けて、満足して、大勢の人達と一緒に家路についた。
ーーーーー
「若、警備担当兵に当って見ましたがそれらしい人物を見掛けた者はおりませんでした」
「そーか、ご苦労様でした。人が多かったからね。聖女様なんだから光輪でも背負ってくれてれば判り易いのになー」
ーーーーー
翌日から再びヒール粉作りの作業を始める。
こつが段々と解り始め、不要な力を抜いて、効率良く作業が出来るようになった。
一日にこなせる量も増えて行き、週末に受け取る報酬も冬場の積雪期に備えた蓄えが余裕で出来る程度には増えていった。
そう、後三月程で王都に雪が降り始め、四ヶ月間の長い積雪期に入るのだ。
その間農作業は一切できない、ポーション工房は稼働しているが、俺達も含め、屋外での作業に従事している者は仕事が無くなるのだ。
そのまま長期の休みに入る者、特技を生かして薬効成分の有る山野草の採取の旅に出る者、街の中で仕事を見付ける者、南部へ出稼ぎに向かう者、温泉地への出稼ぎに向かう者、聞いた限り人それぞれに過ごし方が違う様だった。
王族も温泉地の支城へと旅立ってしまい、王都は火が消えた様になるそうだ。
まだ三ヶ月も先なので、俺達はまだ身の振り方を決めていない。
日々ヒール草が山程運び込まれるし、慣れ始めたとは言え、まだ余裕が有る状態ではない。
毎日粉砕の作業を繰り返していた所為か、加工術のスキルに粉砕が加わった。
ポイントを割り振ってスキルをアクティブにしたいのだが、残っているボーナスポイントが僅か三ポイントしかない、万が一の場合を考えたら、ポイントを使うことを躊躇してしまう。
だが、折角生活の拠点が出来たのだから、木工のスキルもアクティブにして新しい家具を作りたい、主な家具が座卓一個というのも、少々寂しい物がある。
「マリア、今度の休みは経験値増やしに行くか」
後経験値十五ポイントでレベルアップできる。
「兄ちゃん、メテオ使っていい」
「湖の中は禁止、沼地でも禁止だぞ。また津波でも起こしたら大騒ぎになるからな」
「解った、陸地でやる」
一月振りの休日、俺達は真夜中に目覚めて起き上がった。
身支度を整えて裏の崖に向かう、まあ持ち物はマジックボックスだけなので、恰好は普段と余り変わりが無い。
崖の高さは千メートル以上有りそうだが、俺達は一気に駆け上がる。
俺は水術と熱術で氷の足場を作り、靴裏に氷の銃弾を貼りつけて、その銃弾の生み出す推進力を利用して駆け上がる。
マリアは土術で崖に足場を作り、小さな土の筒をタコの吸盤のように靴裏に貼り付ける。
筒の中に火術で爆発を起こし、その力を利用して崖を駆け上がる。
バランスを取るのが難しかったが、転ぶことも無く、一気に崖を駆け上がった。
下りは、同じ方法で落下速度を調整するだけなので楽だった。
あっという間に湖面に辿り着いた。
落ちながら甲羅の舟を取出し、舟の中に着地する。
俺が湖面に氷のレールを作り、マリアが船尾に土の筒を作り舟を走らせる。
ジェットエンジンを積んだ氷上を走る橇の様な物だ、あっと言う間に西岸奥の湿地に面する魔物の住む森に着いた。
強い魔獣の気配が有ったので、マリアが”なんちゃってメテオ”で攻撃する。
結構強い魔獣で、八発目までは避けられが、九発目が直撃し、十五発目までの七弾の直撃を喰らってお亡くなりになった。
回収に向かったら、身の丈十メートルは有りそうなミノタウロスだった、経験値が一気に二百増え、俺達はレベルアップした。
解体してマジックボックスに収納する、今日はすき焼きでも作ろうか。
思っていたよりも時間が掛からなかった、これなら夜明け前に部屋へ戻れそうだ。
「今回のパレードは少し何時もと違うんだよ、何か左右が逆なんだよな。ほら、不死鳥の旗印を持った騎士隊がいるだろ、あれはヤシカノル公爵の青騎士隊だから何時もは俺達から見て右側を固めてる筈なんだよ」
俺達はパレードの左側に陣取っている、その正面を青味がかった鎧を纏い、赤地に金糸で不死鳥を刺繍した軍団が勇壮に進んで行く。
「さっきの黒竜騎士団と赤竜騎士団から逆になってるんじゃないか、なんか趣向でも変えたのかな」
「それじゃ、南軍は向こう側を通るの。折角白薔薇隊を目の前で見れると思ってこっちに陣取ったのに」
何の話か良く解らなかったが、解説してくれる人がいた。
白薔薇隊とは南部に領地を持つマミーノ公爵が作った女性騎士を集めた騎士隊で、白い鎧を纏っていることから白薔薇隊と呼ばれている。
髪を短く切ったりりしい女性が多く、なぜか若い女性に絶大な人気があるそうなのだ、通りの反対側で黄色い悲鳴が上がっている。
「それって、北軍がこちら側を通るって言う事かい」
「うん、そうなるな」
不味い、物凄く不味い。
「兄ちゃん」
察知範囲が俺の倍あるマリアは、気配で気が付いた様だ。
人が大勢いる中では、雑音が多くて気配認識が混線するので、察知範囲が普段の四分の一程度になってしまう。
もう見え始めている。
「俺達ちょっとトイレに行って来る」
そう、父さん達、ネルトネッテ伯爵の隊が近付いて来たのだ。
買い物をする振りをして、裏通りの店の中に逃げ込んだ。
「長いトイレだったな」
「いや、混んでてさー、危なかったよ」
「聖女様何処に居たか解った?」
「今年から参加してる筈なんだけどなー、神官服着た人が一杯いて判らなかったなー」
「背中に光輪を背負ってるのか思ったけど居なかったねー」
背中に光輪なんか背負ってません、背負ってたらとっくに火炙りにされてます。
行列の最後尾が行き過ぎると、荷物を畳んで大勢の人達と一緒に行列の後を追いかける。
沿道の建物から見下ろす人達に手を振って、パレードの一員になった気分を味わえた。
夕刻、パレードが王城に入るまで後を追い掛けて、満足して、大勢の人達と一緒に家路についた。
ーーーーー
「若、警備担当兵に当って見ましたがそれらしい人物を見掛けた者はおりませんでした」
「そーか、ご苦労様でした。人が多かったからね。聖女様なんだから光輪でも背負ってくれてれば判り易いのになー」
ーーーーー
翌日から再びヒール粉作りの作業を始める。
こつが段々と解り始め、不要な力を抜いて、効率良く作業が出来るようになった。
一日にこなせる量も増えて行き、週末に受け取る報酬も冬場の積雪期に備えた蓄えが余裕で出来る程度には増えていった。
そう、後三月程で王都に雪が降り始め、四ヶ月間の長い積雪期に入るのだ。
その間農作業は一切できない、ポーション工房は稼働しているが、俺達も含め、屋外での作業に従事している者は仕事が無くなるのだ。
そのまま長期の休みに入る者、特技を生かして薬効成分の有る山野草の採取の旅に出る者、街の中で仕事を見付ける者、南部へ出稼ぎに向かう者、温泉地への出稼ぎに向かう者、聞いた限り人それぞれに過ごし方が違う様だった。
王族も温泉地の支城へと旅立ってしまい、王都は火が消えた様になるそうだ。
まだ三ヶ月も先なので、俺達はまだ身の振り方を決めていない。
日々ヒール草が山程運び込まれるし、慣れ始めたとは言え、まだ余裕が有る状態ではない。
毎日粉砕の作業を繰り返していた所為か、加工術のスキルに粉砕が加わった。
ポイントを割り振ってスキルをアクティブにしたいのだが、残っているボーナスポイントが僅か三ポイントしかない、万が一の場合を考えたら、ポイントを使うことを躊躇してしまう。
だが、折角生活の拠点が出来たのだから、木工のスキルもアクティブにして新しい家具を作りたい、主な家具が座卓一個というのも、少々寂しい物がある。
「マリア、今度の休みは経験値増やしに行くか」
後経験値十五ポイントでレベルアップできる。
「兄ちゃん、メテオ使っていい」
「湖の中は禁止、沼地でも禁止だぞ。また津波でも起こしたら大騒ぎになるからな」
「解った、陸地でやる」
一月振りの休日、俺達は真夜中に目覚めて起き上がった。
身支度を整えて裏の崖に向かう、まあ持ち物はマジックボックスだけなので、恰好は普段と余り変わりが無い。
崖の高さは千メートル以上有りそうだが、俺達は一気に駆け上がる。
俺は水術と熱術で氷の足場を作り、靴裏に氷の銃弾を貼りつけて、その銃弾の生み出す推進力を利用して駆け上がる。
マリアは土術で崖に足場を作り、小さな土の筒をタコの吸盤のように靴裏に貼り付ける。
筒の中に火術で爆発を起こし、その力を利用して崖を駆け上がる。
バランスを取るのが難しかったが、転ぶことも無く、一気に崖を駆け上がった。
下りは、同じ方法で落下速度を調整するだけなので楽だった。
あっという間に湖面に辿り着いた。
落ちながら甲羅の舟を取出し、舟の中に着地する。
俺が湖面に氷のレールを作り、マリアが船尾に土の筒を作り舟を走らせる。
ジェットエンジンを積んだ氷上を走る橇の様な物だ、あっと言う間に西岸奥の湿地に面する魔物の住む森に着いた。
強い魔獣の気配が有ったので、マリアが”なんちゃってメテオ”で攻撃する。
結構強い魔獣で、八発目までは避けられが、九発目が直撃し、十五発目までの七弾の直撃を喰らってお亡くなりになった。
回収に向かったら、身の丈十メートルは有りそうなミノタウロスだった、経験値が一気に二百増え、俺達はレベルアップした。
解体してマジックボックスに収納する、今日はすき焼きでも作ろうか。
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