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Ⅲ 王都フルムル
17 兄妹薬草工房で働く5
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「知り合いから野牛のお肉分けて貰ったんで食べて下さい」
「わーい肉だ、肉だ、肉だ、肉だ、肉だ」
ミノタウロスの肉を近所のお宅にお裾分けしたら、そこの子供達が大騒ぎしている。
こんなに喜ばれれば、ミノタウロスも成仏できるだろう。
ーーーーー
赤竜城王執務室
「宰相、儂の面子がまる潰れだぞ、何をぐずぐずしておった」
「申し訳ございません。S級冒険者の手配が手間取っておりまして。やっと五名の手配の目処がついたところでございましたのに」
「本当にS級が八名も必要だったのか、報告だと一方的に虐殺された様で争った後も無かったそうじゃ。ミノタウロスは本当に強かったのか、冒険者ギルドの見積もりが過剰だったのではないか」
「いえ、決してそのような事は、ギルド長は信用できる男です。学問所に文献を調べさせましたが、やはりS級冒険者が八名以上でパーティーを組まねば無理との回答で御座いました」
「ならば何故二人で倒せる、十五と十三の餓鬼だぞ」
「それはやはりメテオの使い手は別格かと」
「不味いぞ、西部諸公がミランダの倅の所へ挨拶しに行ったそうじゃ。西部がミランダに靡いたら貴族院での勝ち目が無くなるぞ。南軍の奴ら、骨を王都に運び込む算段だと言うではないか。阻止出来んのか」
「安全宣言の為と西部諸公から依頼されての事で御座いますから、阻止に及べば西部諸公の反感を招くと思われます」
「ネルトネッテ伯は何をやっておる。自分の娘と息子だろ」
「急ぎ湖畔の町の探索に向かわせました。これで王都の外に居ることがはっきりいたしました。王都に潜伏されるより探し易いかと思います。朗報を待ちましょう」
ーーーーー
黒竜城公爵執務室
「父さんなんで僕がパレードに参加しなきゃならないんだよ」
「仕方ないじゃろ、成り行きじゃ。こうなったら儂も腹を括る、お前も大人しく覚悟しろ」
「嫌だよ、僕は父さんが引退するまで自由に学問して良いって約束だっただろ。僕はまだ研究したいことが山程有るんだよ。僕は王じゃなくて魔学者なんだよ」
「儂だって画家になりたかったのを諦めたんだ、贅沢を言うな。第一お前が王にならんと南部諸公の収まりが付かん」
「父さん、他に方法は無いの」
「無い、来週にでも貴族院で王権委譲を建議するぞ」
「父さん、それって失敗したら反逆罪にならないの」
「大丈夫じゃ、西部諸公の賛同を集めれば勝てる。そのためにもミノタウロスのパレードでお前がアピールする必要があるんじゃ。命懸けで先導役を努めて来い」
「やっぱり反逆罪になるんじゃないか、僕は門前で公開斬首なんて嫌だよ」
「大丈夫じゃ、メテオ使いがこちらの手中にあると疑っている間は無茶はしてこん」
ーーーーー
「肉のおじさん、何でミノタウロスなのに角が無いの」
「それはね、討伐した欲の深いハンターの人が解体して取っちゃったからよ」
なんだ、なんだ、俺が悪者のように聞こえるぞ。
今日は、近所の子供達を連れてパレードを見に来ている。
なぜ俺達が狩ったミノタウロスの骨を山車に乗せてパレードをしているのか解らないが、大勢の人たちが沿道を埋めている。
骨の前にはミハエルが甲冑姿で座っている、盗む奴もいないと思うが、骨の警護役でも頼まれたのだろうか。
沿道の人達がコインを骨に投げ付けており、山車にコインが積もっている、何かの募金活動なのだろうか。
「魔獣の骨にコインをぶつけると経験値になるらしいよ」
「そうか、ならお前等やってみるか」
「わーい」
子供達に銅貨を配ってやると、全員が張り切って投げ始めた。
「兄ちゃん、私も」
「マリアは駄目だぞ、骨が壊れる」
「ぶー」
マリアの耳に口を寄せて、マジックボックスを渡す。
”角をこっそり山車に投げ入れてくれ”
”うん、解った”
マリアがマジックボックスの中に手を突っ込んで何か細工している、はて?
”シュッ、シュッ”
マリアが手を動かした、さすがにレベル10の投石だ、直近にいる俺ですら、一メートル半近い角をマジックボックスから出して投げている筈なのだが、手をひらひらと振った様にしか見えない。
「おじさん、ミノタウロスまだ生きてるのかな、角が生えたよ」
ーーーーー
ミランダ家公子ミハエル
背後で短時間に強い土術が行使された気配がした、場所はミノタウロスの頭蓋骨、角が生えていた部分当たりだ。
魔学者たる僕は、僕自身は大した魔術使いではないものの、魔術を感じたり、視る事に関しては人よりも優れている。
振り返るとミノタウロスの頭蓋骨に角が戻されている、角の根本に強い土術の気配が残っており、たぶん土術を使って角を頭蓋骨に接着したのだろう。
何故王都に舞い戻っているのか解らないが、絶対に彼奴等の仕業だろう。
群衆に交じって角を投げ入れたのだと思う。
群衆がざわめき始めた、ミノタウロスが復活すると思ったのだろう。
腰を浮かせて逃げ出す準備をしている者が大勢いる。
山車の後ろに並んで行進している赤竜騎士団や黒竜騎士団ですら、超常現象と思い動揺しているのだから当然かもしれない。
危ない、骨が生き返るなんて馬鹿な事は無いのだが、群衆がパニックになりそうだ。
剣を抜いて頭上に振り上げて左右に振る、上手く演出と思ってくれると良いのだが。
僕の平然とした態度に、まず騎士団が平静を取り戻した。
群衆の間からぱらぱらと拍手が起こり、やがて喝采に変わった。
迷惑な連中だ、なんで僕はこんな事をしなきゃならないんだろうか、これじゃ僕は道化だ。
ーーーーー
まさかマリアがミノタウロスの頭に角をくっ着けるとは思っていなかった、ミノタウロスの骨が動き出すと思ったのだろう、周囲の人達の驚き様は半端じゃなかった。
ミハエルが気転を利かせて民衆を落ち着けたから良かったものの、危うく民衆がパニックになる所だった。
ミハエルにに迷惑を掛けた様だ、後で謝りに行こう。
「肉串食うか、奢ってやるぞ」
「わー、おじさん太っ腹、食うよ、食うよ」
近所の子供を十人程引き連れて歩いていると、小学校の先生になった気分だ。
ーーーーー
赤竜城王執務室
「宰相聞いたか」
「はい、赤竜騎士団長から報告を受けました。突如ミノタウロスに角が生えたそうです」
「空間術か、メテオ使い以外の魔術師も奴は手中に収めているのか」
「メテオ使いの連れ合いが空間術を使う可能性も御座います。探索しても発見できなかった理由はこれかもしれません」
「我が家同様奴の家も忍術使いを養っておるのは知っておったが、空間術の使い手も手中に納めたか。カゲスエ、居るか」
「はっ、ここに」
「カゲスエ、空間術は防げるか」
「空間を開くには時間を要しますので、通常ならば空間の揺れを察知して防ぎます。ですが聞き及んだところでは、なんの予兆も無しに、瞬時に、しかも正確な場所に角が現れております、余程の手練れかと」
「仕方が無い、エスピを送り込んで既成事実を作らせるか」
「王、姫はまだ十歳ですぞ」
「大丈夫じゃ、エスピもあやつを幼い頃から好いておる、他国の幼い姫を掠って来る奴じゃ、エスピにも靡くじゃろ」
ーーーーー
ミランダ家闇部隊隊長ヤマダ
王都の出入り口の監視任務が突然解除され、部隊を引き連れて黒竜城に戻った。
これで少し皆にも休息を取らせることができる、流石に仮眠だけの昼夜の監視任務は厳しかった。
久々にゆったりした気分で城の正門に向かうと、探し求めても見つからなかった監視対象の相手が門番と揉めていた。
「どうした」
「はっ、これはヤマダ隊長どの。この庶民がミハエル様に合わせろなどと馬鹿な事を申すので追い返すところです」
「わー、ちょうど良かった。ヤマダさんお久しぶり」
その脳天気な声を聞いて思わず殴り倒しそうになった、こいつら何処に消えてたんだ。
ーーーーー
黒竜城公爵執務室
「ミハエル、二人は帰ったか」
「うん、ミノタウロスのパレードの邪魔をしたと思って謝りに来たらしいよ」
「何処に隠れておった」
「探されていた意識は無かったな、薬草工房でヒール粉を作ってるらしいよ」
「ヒール粉?メテオ使いがか」
「うん、泊まらせようと思ったら、明日も仕事が有るからって帰って行ったよ」
「解らん奴らじゃな、魔力はどうじゃった」
「部屋の中に作った記録結界を後から確認したんだけど、魔力は五百以上は有りそうだよ」
「なんじゃそれは、人とは思えんな」
「それもそうなんだけど、回復力がたぶん凄いよ。魔気の吸収が尋常じゃないんだ」
「どんな風にじゃ」
「僕らは普通、身体の中をゼムスが通り抜ける時に含まれる魔気を少しだけ身体に貯めて魔力を回復するだろ。だから能力者でも一日に二十回復させるのが精々だよね」
「ああ、儂なんか五が精々じゃ」
「だけどあの二人は身体を通る魔気を全部吸収してるんだ。身体を通り抜けたゼムスに魔気が全然残らないんだ」
「なんじゃ、魔石無しでも魔術が使い放題か」
「うん、たぶん」
「メテオも使い放題か」
「うん、たぶん」
「そりゃ恐ろしいな、魔術兵百万にたぶん匹敵するぞ」
ーーーーー
ミランダ家公子ミハエル
今日は恐ろしく疲れたので、早く寝ようと寝室に入ったのだが、子供が二人ベットの上で喧嘩をしていた。
「ミハエルは私の旦那様よ手を出さないで頂戴」
「なにをおっしゃてるの、ミハエルは幼い頃から私の許嫁よ」
アリューシャを部屋から追い出すのはこのところの毎夜の習慣なのだが、今日はエスピまで居る。
一人でも大変なのに今夜はふたりだ、もう追い出す気力も起きなかった、僕はそのまま騒いでいる二人をベットに抑えつけて、意識を手放した。
おやすみなさい。
「わーい肉だ、肉だ、肉だ、肉だ、肉だ」
ミノタウロスの肉を近所のお宅にお裾分けしたら、そこの子供達が大騒ぎしている。
こんなに喜ばれれば、ミノタウロスも成仏できるだろう。
ーーーーー
赤竜城王執務室
「宰相、儂の面子がまる潰れだぞ、何をぐずぐずしておった」
「申し訳ございません。S級冒険者の手配が手間取っておりまして。やっと五名の手配の目処がついたところでございましたのに」
「本当にS級が八名も必要だったのか、報告だと一方的に虐殺された様で争った後も無かったそうじゃ。ミノタウロスは本当に強かったのか、冒険者ギルドの見積もりが過剰だったのではないか」
「いえ、決してそのような事は、ギルド長は信用できる男です。学問所に文献を調べさせましたが、やはりS級冒険者が八名以上でパーティーを組まねば無理との回答で御座いました」
「ならば何故二人で倒せる、十五と十三の餓鬼だぞ」
「それはやはりメテオの使い手は別格かと」
「不味いぞ、西部諸公がミランダの倅の所へ挨拶しに行ったそうじゃ。西部がミランダに靡いたら貴族院での勝ち目が無くなるぞ。南軍の奴ら、骨を王都に運び込む算段だと言うではないか。阻止出来んのか」
「安全宣言の為と西部諸公から依頼されての事で御座いますから、阻止に及べば西部諸公の反感を招くと思われます」
「ネルトネッテ伯は何をやっておる。自分の娘と息子だろ」
「急ぎ湖畔の町の探索に向かわせました。これで王都の外に居ることがはっきりいたしました。王都に潜伏されるより探し易いかと思います。朗報を待ちましょう」
ーーーーー
黒竜城公爵執務室
「父さんなんで僕がパレードに参加しなきゃならないんだよ」
「仕方ないじゃろ、成り行きじゃ。こうなったら儂も腹を括る、お前も大人しく覚悟しろ」
「嫌だよ、僕は父さんが引退するまで自由に学問して良いって約束だっただろ。僕はまだ研究したいことが山程有るんだよ。僕は王じゃなくて魔学者なんだよ」
「儂だって画家になりたかったのを諦めたんだ、贅沢を言うな。第一お前が王にならんと南部諸公の収まりが付かん」
「父さん、他に方法は無いの」
「無い、来週にでも貴族院で王権委譲を建議するぞ」
「父さん、それって失敗したら反逆罪にならないの」
「大丈夫じゃ、西部諸公の賛同を集めれば勝てる。そのためにもミノタウロスのパレードでお前がアピールする必要があるんじゃ。命懸けで先導役を努めて来い」
「やっぱり反逆罪になるんじゃないか、僕は門前で公開斬首なんて嫌だよ」
「大丈夫じゃ、メテオ使いがこちらの手中にあると疑っている間は無茶はしてこん」
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「肉のおじさん、何でミノタウロスなのに角が無いの」
「それはね、討伐した欲の深いハンターの人が解体して取っちゃったからよ」
なんだ、なんだ、俺が悪者のように聞こえるぞ。
今日は、近所の子供達を連れてパレードを見に来ている。
なぜ俺達が狩ったミノタウロスの骨を山車に乗せてパレードをしているのか解らないが、大勢の人たちが沿道を埋めている。
骨の前にはミハエルが甲冑姿で座っている、盗む奴もいないと思うが、骨の警護役でも頼まれたのだろうか。
沿道の人達がコインを骨に投げ付けており、山車にコインが積もっている、何かの募金活動なのだろうか。
「魔獣の骨にコインをぶつけると経験値になるらしいよ」
「そうか、ならお前等やってみるか」
「わーい」
子供達に銅貨を配ってやると、全員が張り切って投げ始めた。
「兄ちゃん、私も」
「マリアは駄目だぞ、骨が壊れる」
「ぶー」
マリアの耳に口を寄せて、マジックボックスを渡す。
”角をこっそり山車に投げ入れてくれ”
”うん、解った”
マリアがマジックボックスの中に手を突っ込んで何か細工している、はて?
”シュッ、シュッ”
マリアが手を動かした、さすがにレベル10の投石だ、直近にいる俺ですら、一メートル半近い角をマジックボックスから出して投げている筈なのだが、手をひらひらと振った様にしか見えない。
「おじさん、ミノタウロスまだ生きてるのかな、角が生えたよ」
ーーーーー
ミランダ家公子ミハエル
背後で短時間に強い土術が行使された気配がした、場所はミノタウロスの頭蓋骨、角が生えていた部分当たりだ。
魔学者たる僕は、僕自身は大した魔術使いではないものの、魔術を感じたり、視る事に関しては人よりも優れている。
振り返るとミノタウロスの頭蓋骨に角が戻されている、角の根本に強い土術の気配が残っており、たぶん土術を使って角を頭蓋骨に接着したのだろう。
何故王都に舞い戻っているのか解らないが、絶対に彼奴等の仕業だろう。
群衆に交じって角を投げ入れたのだと思う。
群衆がざわめき始めた、ミノタウロスが復活すると思ったのだろう。
腰を浮かせて逃げ出す準備をしている者が大勢いる。
山車の後ろに並んで行進している赤竜騎士団や黒竜騎士団ですら、超常現象と思い動揺しているのだから当然かもしれない。
危ない、骨が生き返るなんて馬鹿な事は無いのだが、群衆がパニックになりそうだ。
剣を抜いて頭上に振り上げて左右に振る、上手く演出と思ってくれると良いのだが。
僕の平然とした態度に、まず騎士団が平静を取り戻した。
群衆の間からぱらぱらと拍手が起こり、やがて喝采に変わった。
迷惑な連中だ、なんで僕はこんな事をしなきゃならないんだろうか、これじゃ僕は道化だ。
ーーーーー
まさかマリアがミノタウロスの頭に角をくっ着けるとは思っていなかった、ミノタウロスの骨が動き出すと思ったのだろう、周囲の人達の驚き様は半端じゃなかった。
ミハエルが気転を利かせて民衆を落ち着けたから良かったものの、危うく民衆がパニックになる所だった。
ミハエルにに迷惑を掛けた様だ、後で謝りに行こう。
「肉串食うか、奢ってやるぞ」
「わー、おじさん太っ腹、食うよ、食うよ」
近所の子供を十人程引き連れて歩いていると、小学校の先生になった気分だ。
ーーーーー
赤竜城王執務室
「宰相聞いたか」
「はい、赤竜騎士団長から報告を受けました。突如ミノタウロスに角が生えたそうです」
「空間術か、メテオ使い以外の魔術師も奴は手中に収めているのか」
「メテオ使いの連れ合いが空間術を使う可能性も御座います。探索しても発見できなかった理由はこれかもしれません」
「我が家同様奴の家も忍術使いを養っておるのは知っておったが、空間術の使い手も手中に納めたか。カゲスエ、居るか」
「はっ、ここに」
「カゲスエ、空間術は防げるか」
「空間を開くには時間を要しますので、通常ならば空間の揺れを察知して防ぎます。ですが聞き及んだところでは、なんの予兆も無しに、瞬時に、しかも正確な場所に角が現れております、余程の手練れかと」
「仕方が無い、エスピを送り込んで既成事実を作らせるか」
「王、姫はまだ十歳ですぞ」
「大丈夫じゃ、エスピもあやつを幼い頃から好いておる、他国の幼い姫を掠って来る奴じゃ、エスピにも靡くじゃろ」
ーーーーー
ミランダ家闇部隊隊長ヤマダ
王都の出入り口の監視任務が突然解除され、部隊を引き連れて黒竜城に戻った。
これで少し皆にも休息を取らせることができる、流石に仮眠だけの昼夜の監視任務は厳しかった。
久々にゆったりした気分で城の正門に向かうと、探し求めても見つからなかった監視対象の相手が門番と揉めていた。
「どうした」
「はっ、これはヤマダ隊長どの。この庶民がミハエル様に合わせろなどと馬鹿な事を申すので追い返すところです」
「わー、ちょうど良かった。ヤマダさんお久しぶり」
その脳天気な声を聞いて思わず殴り倒しそうになった、こいつら何処に消えてたんだ。
ーーーーー
黒竜城公爵執務室
「ミハエル、二人は帰ったか」
「うん、ミノタウロスのパレードの邪魔をしたと思って謝りに来たらしいよ」
「何処に隠れておった」
「探されていた意識は無かったな、薬草工房でヒール粉を作ってるらしいよ」
「ヒール粉?メテオ使いがか」
「うん、泊まらせようと思ったら、明日も仕事が有るからって帰って行ったよ」
「解らん奴らじゃな、魔力はどうじゃった」
「部屋の中に作った記録結界を後から確認したんだけど、魔力は五百以上は有りそうだよ」
「なんじゃそれは、人とは思えんな」
「それもそうなんだけど、回復力がたぶん凄いよ。魔気の吸収が尋常じゃないんだ」
「どんな風にじゃ」
「僕らは普通、身体の中をゼムスが通り抜ける時に含まれる魔気を少しだけ身体に貯めて魔力を回復するだろ。だから能力者でも一日に二十回復させるのが精々だよね」
「ああ、儂なんか五が精々じゃ」
「だけどあの二人は身体を通る魔気を全部吸収してるんだ。身体を通り抜けたゼムスに魔気が全然残らないんだ」
「なんじゃ、魔石無しでも魔術が使い放題か」
「うん、たぶん」
「メテオも使い放題か」
「うん、たぶん」
「そりゃ恐ろしいな、魔術兵百万にたぶん匹敵するぞ」
ーーーーー
ミランダ家公子ミハエル
今日は恐ろしく疲れたので、早く寝ようと寝室に入ったのだが、子供が二人ベットの上で喧嘩をしていた。
「ミハエルは私の旦那様よ手を出さないで頂戴」
「なにをおっしゃてるの、ミハエルは幼い頃から私の許嫁よ」
アリューシャを部屋から追い出すのはこのところの毎夜の習慣なのだが、今日はエスピまで居る。
一人でも大変なのに今夜はふたりだ、もう追い出す気力も起きなかった、僕はそのまま騒いでいる二人をベットに抑えつけて、意識を手放した。
おやすみなさい。
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