兄妹○○は死罪です・・・妹と一緒にサンドワームに喰われました

切粉立方体

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Ⅳ マーシャル国

1 兄妹マーシャル国へと急ぐ

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取り敢えずミハエルのベットから毛布を数枚剥ぎ取ってマジックボックスに突っ込む。
公爵家専用の船着き場に甲羅の舟を浮かべ、中に木材二本を縦に固定して支えを作る、その二本の木材の間に、先頭からマリア、アリューシャ、ミハエルの順に座り、そして最後尾に俺が座った。
全員振り落とされない様に身体を縄で木材に固定し、身体に毛布を巻いている。

「門には連絡してあるからそのまま抜けてくれ」
「判った、飛ばすから木材を確り抱えてくれ」

ーーーーー
マーシャル国第一王女アリューシャ

信じられない体験でした、ミハエルの家の船着き場で小さなボートを見た時は、こんなボートをゆっくり漕いで行くなんて信じられなかったのですが、木材の間に座らされ、縄で固定された時に何か違う事に気が付きました。

ジョージさんが魔力を発するとボートが細い真っ直ぐに伸びる氷の溝の上に乗りました、そして船の後ろからお湯が沸いた様な音がして、ボートが物凄い勢いで後ろから押され始めたのです。

ボートの底が氷を削る音とボートが風を切る音だけが聞こえて、運河の壁が物凄い速さで後ろに消えて行くます、
ボートは殆ど揺れませんし、ボートの前から押し寄せて来る風は頭の上をすべて抜けて行って、身体の回りには暖かい空気が漂っているだけです。

ジョージさんが何種類もの術を同時に使っているのが気配で判ります、物凄い事だと思うのですが、後ろを振り向いたら鼻歌混りでこなしていました、ミハエルの顔を見たら苦笑が返って来ました。

ボートが門を抜けました、ちらりと見た守備兵の驚愕した表情が可笑しくて笑ってしまいました。
お父様が危機に瀕していらっしゃるのに、私は気分が高揚してる様な感じで何か変です。
湖に出てから周りの光景もゆっくり動き始めめましたが、それでも光景はどんどん変化していきます。

岸が近付いているのにボートが速度を落としません、”ぶつかる”と思って目を閉じたのですが衝撃は来ませんでした、恐る恐る目を開けたらびっくりです、なんとボートが陸の上を物凄い勢いで走っていました。
マリアさんが魔術を使っている気配がします、前を見るとマリアさんが土術で溝の入った、高さ一ノト程の土の手摺を物凄い速さで作っていました。
ボートはこの手摺の上を走っていたんです、刻まれた溝の中にジョージさんが氷を作っている気配がします。
さすがに夫婦です、息がぴったりです。

更に驚いたことに、ボートはそのまま速度を落とさずに森に突入しました、木が物凄い勢いで後ろに過ぎて行くので目が回りそうです。
木にぶつからないか心配だったのですが杞憂でした、マリアさんが空中に手を伸ばし私に何か渡しました。

「後ろに送って」

見ると梨でした、冬越糖梨と呼ばれる甘味の強い珍しい果実です。

「はい」

またマリアさんが梨を送って来ます、慌ててミハエルに梨を回しました。

「後ろに送って」

マリアさんはこの物凄い勢いで通り過ぎる光景のなかでも木に生っている梨が見える様です、なんか凄い。

山に入り道が急坂になり始めました、ボートの速度少し落ちて来たようです。

「マリア、頼む」
「ほーい」

ボートの後ろで土術と火術の気配がして再びボートが加速しました。
周囲は完全に冬の光景です、でもボートの中は、ジョージさんの魔術のおかげで暖炉の側の様に暖かです。

アカクルカ荒野の木柵を左に見て、トルトノスの街を右に見て、ボートはノーラ街道脇を走って国境の警備所に辿り着きました。
警備所全体がざわめいています、警備兵が右往左往しています、当然だと思います、ボートが急坂を登って来たのですから。

「ミランダ家のミハエルだ、マーシャル国王女アリューシャ様を王都シャルノールに送り届けるところだ、通してくれ」
「ミハエル様、今マーシャル国には竜が」
「だから急いでおる」
「するとこの方達が」
「そうだ」
「おーい、開門だ。急げ」

「間に合った様だ、すまんが頼めるか」
「ああ、かまわん」

シャルノールまでは、後は下り道です、ボートは人気の無いノーラ街道をそれはそれは凄い勢いで下って行きました。

「お父様、お母様」
「すまんな、アリューシャ。行き違いじゃったか。直に竜が」
「知っています、今日お手紙を拝見しました。ミハエルが竜退治の人を連れて来てくれました」
「今日じゃと、ヒューロスからは急いでも半月は掛かるはずじゃぞ」
「本当ございます王、今朝ヒューロスを発って今到着いたしました。この二人が地竜を討伐した者達です」
「誠か、ミハエル。我が国は助かるのか」
「はい、急いで将軍達を集めて下さい」

ーーーーー
竜の飛来予想時刻は明日夕刻、ぎりぎりだったようだ。
憔悴しきった将軍達と打ち合わせを終え、俺達は夕飯を御馳走になった後、豪華かな客間に案内された。
今日はさすがに疲れた、俺達の中のジョージとマリアによーく念じてから、俺達は眠りに付いた。

「兄さんどうする」
「今日はさすがに不味いだろ、我慢しようよ」
「そうよねー、我慢しましょうか。でも折角貰った渡航許可証使いたかったなー」
「仕方が無いよ、急いでたんだから。今日は渡航許可証を眺めながら寝ようか」
「うん、でも嬉しいなー、魔法王国は目の前だよね」
「ああ、そのためにも二人には明日活躍して貰わないとな」
「うん、たっぷり寝かせてあげようか」
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