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 私に近付こうとしている兵士達を見た警備係のトニーは目にも留まらぬ速さで、兵士達を木剣で叩き伏せる。

 「トニー負けるな!こうなったら、兵士達全員を打ち伏せて!」

 「兵士達何をしておる!たかが1人に!囲んでしまえ!」

 聖女サラとアルフォンス公爵がともに声援を送る!

 以前た占いでは、[忠烈なるおとこ]のトニーの剣術は、滅多にいない◎である。そこら辺の兵士では太刀打ち出来る筈もなかった。

 あっという間に20人はいるかという兵士達を叩き伏せていた。

 手下の軍隊が全て倒され、意気消沈した公爵は、その場にヘタリ落ちている。

 しかしこれは問題になろう。

 聖スベリア会が権限を持つ公爵に刃向かってしまった構図だ。

 従業員の多くも応接室に集まっている。

 「みんなごめんなさい。私のせいでこんな事になってしまったわ……公爵の横暴な振る舞いが原因とはいえ、ちょっとまずい事になるかもしれない……」

 「サラ様、申し訳ございません。全て私のせいでございます。ここは私1人が罪をお受け致します。」

 「いいえ、トニーあなたは抵抗もせずに、よく我慢してくれていたわ。私に危害が及びそうになったから、助けてくれたんでしょ?分かっているわ!ああ……その殴られた傷を治さなくちゃ……」

 『母なる女神よ!傷ついた者を癒したまえ!』

 私はトニーを治療した。

 「おおー、これが聖女様の力ですか?一瞬で痛みがなくなりました!」

 「さぁみんなこれからどうしますか?」

 放心状態で床に座り込んでいるアルフォンス公爵を見ながら、私は聖スベリア会の従業員達に問い掛けた。

 「私の知っているこのは、心底執念深いわ。この仕打ちに対して、絶対逆恨みをしてくると思う。私の両親は人質にされる事は間違いないと思います。あなた達も申し訳ないが、同じ目に合うかもしれません……」

 「サラ様はどうするおつもりですか?」

 メイド頭のヨゼフが質問してきた。

 「もうこの国には居られないかもしれないわね……」

 「それはなりません。聖女様の存在は国の宝です。聖スベリア会は、聖女様を国家の宝として守る組織の筈でした。が……聖スベリア会の後ろ盾となる国家がこんな事では……会の権限を持つ国務大臣が、公爵に権限を譲ってしまうなんて……」

 「しかし聖スベリア会があの公爵に牛耳られるならば、街の方々を救う事は難しくなるかもしれません。従業員の皆さんの安全まで脅かされる危険もあります。」

 「公爵より身分が高いといえば、国王陛下しかございません。国王陛下に陳情を致しましょう。」

 国王陛下に陳情するという、メイドのアリスの意見に皆口々に賛成の意を表した。
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