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第1部
22話 パンセ
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優しくも悲しい記憶の余韻が引いていき、私は意識を取り戻しました。
うたた寝をしていたようです。追憶の薬茶の副作用でしょう。
目の前には、新しく用意された美味しそうなお菓子とサンドイッチ、その向こうには難しい顔をしたシェルシェ様がいます。
シェルシェ様は顎に手を当てて首を傾げます。紫色の髪が揺れました。
その色が、誰かに似ていると初めて思いました。
「紫の髪と瞳、パンセという名前……。薬の女神……。やっぱりそうか。……あ、気づかれましたか」
「ルルティーナ様、お疲れ様でした。お食事をご用意いたしましたので、どうぞお召し上がり下さい」
「僕も食べる!難しい話は後にしましょう!」
シェルシェ様とシアンは表情を和らげて、食事を勧めて下さいました。
シアンが薬茶の直後だからと白湯を淹れてくれます。シェルシェ様には紅茶です。
「シアン、ありがとう。頂くわ」
「ありがとう。シアンさんのお茶美味しいから、僕好きだな」
私は、野菜たっぷりのサンドイッチでお腹を満たします。シェルシェ様はというと、ローストビーフのサンドイッチと卵のサンドイッチを、物凄い勢いで食べています。
シアンが目をすがめます。
「お野菜も食べないとカルメ様に叱られますよ」
「それ人参入りじゃん。食べると嫌な気分になるからやだ。今日だけ見逃して!」
シェルシェ様はプイッと、顔を逸らして拒否します。まだ十三歳の男の子だからでしょうか?シアンに対しては、いつも弟のように甘えるのでした。
サンドイッチを食べ終わり菓子に手を伸ばそうかという頃、シアンは紅茶を淹れてくれました。
「ありがとう。お菓子は紅茶で頂きたいと思っていたから嬉しいわ」
「よろしゅうございました。シェルシェ様もお茶のおかわりはいかがですか?」
「欲しいです!」
シアンは本当に、気遣い上手で頼もしい侍女です。シェルシェ様が甘えるのもわかります。
ほっこりしながら、シェルシェ様とケーキを食べます。
「ルルティーナ様、このケーキもとっても美味しいですね!」
「うふふ。そうですね……あら?でもこれは人参のケーキですよ。食べて大丈夫なのですか?」
「え?」
「はあ……。シェルシェ様は、結局はただの食わず嫌いなんですよ。これを機に、もっと野菜をお召しあがり下さいまし」
たわいもない雑談の後、シェルシェ様は真面目な顔に戻りました。
「ルルティーナ様。お話をお聞きして様々な事がわかりました。カルメ局長……僕の父方の祖母の推察が当たっていると思います」
カルメ様がシェルシェ様のお祖母様だという事は知っていますが、わざわざ「父方の」と言うところが引っ掛かります。
視線で先を促すと、シェルシェ様は居住まいを正しました。
「ルルティーナ様の師匠、ポーション職人パンセは恐らく僕の母方の祖母です」
「えっ?!ほ、本当ですか?」
「はい。恐らくは……。僕のこの紫色の髪、独特の色合いで珍しいでしょう?母の家系特有の色なんですよ」
確かにその通りです。
「それと【薬の女神】への祈りです。実は、【薬の女神】はほとんど信仰されていないんですよ」
「えぇっ!?そうなのですか!?」
「はい。我が国では様々な神々が信仰されていますが、全ての薬を司る【薬の女神】が広く信仰されていたのは何百年も前です。今では南部のごく一部でしか信仰されていません。
これは、治癒魔法を司る【癒しの女神】の信仰が強まると同時に同一視されたせいです」
シアンを見ると彼女も頷きます。
「私も【薬の女神】の名を聞いたのは、ルルティーナ様にお仕えしてからです」
「知らなかったわ。……では、シェルシェ様のお母様とパンセ様は、南部のご出身なのでしょうか?」
「はい。母方の祖母パンセについて、僕が知っている事をお話しますね」
パンセ様はヴェールラント王国南部辺境の、代々続く薬師の家系で生まれ育ったそうです。
生薬だけでなくポーションも作成できたパンセ様は【どんな薬でも作れる天才】【薬の女神の加護を受けた薬の聖女】と、評判だったそうです。
「事実、パンセは跡取りでもないのに【一族の秘薬】すら伝授されていたそうです」
パンセ様は、幼馴染の男性と結婚して薬師として独立し、シェルシェ様のお母様をご出産されました。そこまでは幸せな人生を歩んでいたようですが……。
「今から25年ほど前のことです。土地の豪商が、パンセをお抱え薬師にしようとしました。パンセが【一族の秘薬】を伝授されていると知った為です」
豪商の狙いに気づいたパンセ様は拒絶しました。ですが豪商は諦めず、脅迫するためにパンセ様の旦那様を冤罪で訴えます。
旦那様は投獄されてしまいました。もちろんパンセ様たち家族、友人知人は助けようとしたのですが……。
「祖父は逃げ出そうとして、冤罪だと知らなかった兵士によって殺されてしまいました」
「っ!なんて酷いことを!」
「全くです。パンセは怒り狂い……己の手で復讐を果たしました。全ての元凶である豪商を毒殺したのです。
そして僕の母と共に王都まで逃げ、知り合いの貴族に匿ってもらったそうです」
パンセ様親子は、屋敷の一室で貴族から頼まれた仕事をしつつ、穏やかに暮らしていたそうです。
しかし三年後、シェルシェ様のお母様だけ屋敷から出されました。
「混乱する母に貴族の使用人は説明しました。
『パンセ様は、新しい上級ポーションのレシピ開発に貢献されました。その報酬に、貴女様に新しい人生を用意することを望まれたのです』と。
母は別離を悲しみましたが、祖父はともかくパンセは歴とした殺人犯です。その娘だと知られれば、罪人に厳しいこの国では生きてはいけません」
こうしてシェルシェ様のお母様は、北部で最も栄えている都市で生きることになったそうです。
「母はこのことを、父、カルメ、僕ら子供にだけ話しました。貴族の名は言いませんでしたが、きっと今でも覚えているはずです。カルメ局長は、母を連れてくるか話を聞きだしているはずです。
特級ポーションの謎について、さらに詳しいことがわかりますよ」
◆◆◆◆◆
数日後、カルメ様は一人の女性を連れて帰りました。ふわふわした紫色の髪と、濃い紫色の瞳の女性です。
「お初にお目にかかります。私はビオラと申します。義母カルメから話を聞き、どうしてもルルティーナ様とお話がしたくて……ルルティーナ様!?」
緊張しているのか、少し眉を顰めているビオラ様。そのお顔を見て、私は笑いながら泣いてしまいました。
「ごめんなさい。ビオラ様が師匠にそっくりで、懐かしくて……」
「母に……そうですか、そう……うぅっ……!」
ビオラ様も泣いてしまいました。私たちは気が済むまで泣いて、笑い合いました。
ビオラ様の笑顔は、たった一度だけ見た師匠の笑顔とそっくりで。
私はやはり、また泣いてしまったのでした。
◆◆◆◆◆
ビオラ様は、一カ月ほど辺境騎士団に滞在することになりました。
ビオラ様もまた薬師兼ポーション職人なので、即戦力として活躍されています。また、多忙なカルメ様たちにかわり、私に医術と薬学を教えて頂くことになりました。
滞在の理由ですが。
「ルルティーナ様と、もっと母の思い出話をできればと……」
「ありがとうございます。私もです。どうか私のことはルルティーナとお呼びください。敬語も結構です。
ビオラ様はパンセ師匠のご息女であり、私の医術と薬学の師匠なのですから」
「そうですか……。では、ルルティーナさんとお呼びするわ。私のことも好きに呼んでね」
「では、ビオラ師匠とお呼びします」
ビオラ師匠は優しく微笑まれ、私は新しい師を得たのでした。
うたた寝をしていたようです。追憶の薬茶の副作用でしょう。
目の前には、新しく用意された美味しそうなお菓子とサンドイッチ、その向こうには難しい顔をしたシェルシェ様がいます。
シェルシェ様は顎に手を当てて首を傾げます。紫色の髪が揺れました。
その色が、誰かに似ていると初めて思いました。
「紫の髪と瞳、パンセという名前……。薬の女神……。やっぱりそうか。……あ、気づかれましたか」
「ルルティーナ様、お疲れ様でした。お食事をご用意いたしましたので、どうぞお召し上がり下さい」
「僕も食べる!難しい話は後にしましょう!」
シェルシェ様とシアンは表情を和らげて、食事を勧めて下さいました。
シアンが薬茶の直後だからと白湯を淹れてくれます。シェルシェ様には紅茶です。
「シアン、ありがとう。頂くわ」
「ありがとう。シアンさんのお茶美味しいから、僕好きだな」
私は、野菜たっぷりのサンドイッチでお腹を満たします。シェルシェ様はというと、ローストビーフのサンドイッチと卵のサンドイッチを、物凄い勢いで食べています。
シアンが目をすがめます。
「お野菜も食べないとカルメ様に叱られますよ」
「それ人参入りじゃん。食べると嫌な気分になるからやだ。今日だけ見逃して!」
シェルシェ様はプイッと、顔を逸らして拒否します。まだ十三歳の男の子だからでしょうか?シアンに対しては、いつも弟のように甘えるのでした。
サンドイッチを食べ終わり菓子に手を伸ばそうかという頃、シアンは紅茶を淹れてくれました。
「ありがとう。お菓子は紅茶で頂きたいと思っていたから嬉しいわ」
「よろしゅうございました。シェルシェ様もお茶のおかわりはいかがですか?」
「欲しいです!」
シアンは本当に、気遣い上手で頼もしい侍女です。シェルシェ様が甘えるのもわかります。
ほっこりしながら、シェルシェ様とケーキを食べます。
「ルルティーナ様、このケーキもとっても美味しいですね!」
「うふふ。そうですね……あら?でもこれは人参のケーキですよ。食べて大丈夫なのですか?」
「え?」
「はあ……。シェルシェ様は、結局はただの食わず嫌いなんですよ。これを機に、もっと野菜をお召しあがり下さいまし」
たわいもない雑談の後、シェルシェ様は真面目な顔に戻りました。
「ルルティーナ様。お話をお聞きして様々な事がわかりました。カルメ局長……僕の父方の祖母の推察が当たっていると思います」
カルメ様がシェルシェ様のお祖母様だという事は知っていますが、わざわざ「父方の」と言うところが引っ掛かります。
視線で先を促すと、シェルシェ様は居住まいを正しました。
「ルルティーナ様の師匠、ポーション職人パンセは恐らく僕の母方の祖母です」
「えっ?!ほ、本当ですか?」
「はい。恐らくは……。僕のこの紫色の髪、独特の色合いで珍しいでしょう?母の家系特有の色なんですよ」
確かにその通りです。
「それと【薬の女神】への祈りです。実は、【薬の女神】はほとんど信仰されていないんですよ」
「えぇっ!?そうなのですか!?」
「はい。我が国では様々な神々が信仰されていますが、全ての薬を司る【薬の女神】が広く信仰されていたのは何百年も前です。今では南部のごく一部でしか信仰されていません。
これは、治癒魔法を司る【癒しの女神】の信仰が強まると同時に同一視されたせいです」
シアンを見ると彼女も頷きます。
「私も【薬の女神】の名を聞いたのは、ルルティーナ様にお仕えしてからです」
「知らなかったわ。……では、シェルシェ様のお母様とパンセ様は、南部のご出身なのでしょうか?」
「はい。母方の祖母パンセについて、僕が知っている事をお話しますね」
パンセ様はヴェールラント王国南部辺境の、代々続く薬師の家系で生まれ育ったそうです。
生薬だけでなくポーションも作成できたパンセ様は【どんな薬でも作れる天才】【薬の女神の加護を受けた薬の聖女】と、評判だったそうです。
「事実、パンセは跡取りでもないのに【一族の秘薬】すら伝授されていたそうです」
パンセ様は、幼馴染の男性と結婚して薬師として独立し、シェルシェ様のお母様をご出産されました。そこまでは幸せな人生を歩んでいたようですが……。
「今から25年ほど前のことです。土地の豪商が、パンセをお抱え薬師にしようとしました。パンセが【一族の秘薬】を伝授されていると知った為です」
豪商の狙いに気づいたパンセ様は拒絶しました。ですが豪商は諦めず、脅迫するためにパンセ様の旦那様を冤罪で訴えます。
旦那様は投獄されてしまいました。もちろんパンセ様たち家族、友人知人は助けようとしたのですが……。
「祖父は逃げ出そうとして、冤罪だと知らなかった兵士によって殺されてしまいました」
「っ!なんて酷いことを!」
「全くです。パンセは怒り狂い……己の手で復讐を果たしました。全ての元凶である豪商を毒殺したのです。
そして僕の母と共に王都まで逃げ、知り合いの貴族に匿ってもらったそうです」
パンセ様親子は、屋敷の一室で貴族から頼まれた仕事をしつつ、穏やかに暮らしていたそうです。
しかし三年後、シェルシェ様のお母様だけ屋敷から出されました。
「混乱する母に貴族の使用人は説明しました。
『パンセ様は、新しい上級ポーションのレシピ開発に貢献されました。その報酬に、貴女様に新しい人生を用意することを望まれたのです』と。
母は別離を悲しみましたが、祖父はともかくパンセは歴とした殺人犯です。その娘だと知られれば、罪人に厳しいこの国では生きてはいけません」
こうしてシェルシェ様のお母様は、北部で最も栄えている都市で生きることになったそうです。
「母はこのことを、父、カルメ、僕ら子供にだけ話しました。貴族の名は言いませんでしたが、きっと今でも覚えているはずです。カルメ局長は、母を連れてくるか話を聞きだしているはずです。
特級ポーションの謎について、さらに詳しいことがわかりますよ」
◆◆◆◆◆
数日後、カルメ様は一人の女性を連れて帰りました。ふわふわした紫色の髪と、濃い紫色の瞳の女性です。
「お初にお目にかかります。私はビオラと申します。義母カルメから話を聞き、どうしてもルルティーナ様とお話がしたくて……ルルティーナ様!?」
緊張しているのか、少し眉を顰めているビオラ様。そのお顔を見て、私は笑いながら泣いてしまいました。
「ごめんなさい。ビオラ様が師匠にそっくりで、懐かしくて……」
「母に……そうですか、そう……うぅっ……!」
ビオラ様も泣いてしまいました。私たちは気が済むまで泣いて、笑い合いました。
ビオラ様の笑顔は、たった一度だけ見た師匠の笑顔とそっくりで。
私はやはり、また泣いてしまったのでした。
◆◆◆◆◆
ビオラ様は、一カ月ほど辺境騎士団に滞在することになりました。
ビオラ様もまた薬師兼ポーション職人なので、即戦力として活躍されています。また、多忙なカルメ様たちにかわり、私に医術と薬学を教えて頂くことになりました。
滞在の理由ですが。
「ルルティーナ様と、もっと母の思い出話をできればと……」
「ありがとうございます。私もです。どうか私のことはルルティーナとお呼びください。敬語も結構です。
ビオラ様はパンセ師匠のご息女であり、私の医術と薬学の師匠なのですから」
「そうですか……。では、ルルティーナさんとお呼びするわ。私のことも好きに呼んでね」
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