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聖女の日々24

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「……ありがとう。兄様」

 ……改めて、家族が私のことを愛してくれていることを、実感する。
 私を愛しているからこそ、彼らは線引きをする。
 それが誰かを悲しませる結果に繋がったとしても、それでも割り切り、切り捨てる。

 私を愛してくれる彼らを、私も同じくらい愛しているのに。同じ想いを、返したいのに。

 ……私はこんなにも、臆病で弱い。

「……兄様。他に私に内緒にしていることはない? 何かあったら、私を傷つけるとか心配しないで、何でも教えて」

「……ディアナ」

「私達の間に隠し事はなしって言ったのは、兄様でしょう?」

 私が聖女で、兄様が私の騎士なら。
 兄様の考えていることを、全部教えて欲しいと思う。
 それが例え、私を傷つけるかもしれないことだとしても。私は知りたい。ーー否、知らなければならない。

 そうでなければ、弱くて臆病な私がユーリアを打ち倒すことなんて、できるはずがないのだから。

「……そんなこと言うけどな。ディアナ。お前だって、まだ隠していることがあるだろ」

 ばつが悪そうに目を逸らしながら告げられた言葉に、どきりと心臓が跳ねた。

「……私は別に、隠し事なんて……」

「嘘をつくなよ。お前と何年いると思っているんだ。お前の嘘はすぐ分かる。最近ディアナが元気がないのは、救えなかった患者のこと以外にも原因があるんだろ。……恐らくは、俺に関することで」

「っ……」

 ……まさか、そこまで気づかれていたなんて。

「王の思惑に気づいていながら、敢えてお前に告げなかったことは謝るよ。……だけど、他に俺が何かしたか? 無意識のうちに、ディアナを傷つけたりしていたのか?」

「ち、違うよ! 兄様は、何も悪くないんだよ。……全部全部私のわがままだから」

 兄様は、何も悪くなんかない。
 ただ、私が……。

「ただ、私が………さみしくて、怖いだけなんだよ」

「…………」

「兄様を……騎士団に取られたような気がして」
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