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連載2

忘れられた神々13

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 本当、この兄妹はそっくりだーーそう思ったら、自然と言葉が口からこぼれ落ちた。

「ーー私、シャルル王子のことが、好きです」

「えーーちょ、お兄様! 無言で剣を抜くのやめてください! 目が、目が、怖いです!」

「あ……もちろん、異性としてという意味ではなく、人として」

 シャルル王子だけじゃない。
 私はミーシャ王女のことも、マナエさんのことも好きだ。
 国と天秤をかけた時、簡単に切り捨てられるとはわかっていても、ライオネル陛下のことだって好ましく思っている。

「だけど、100パーセント信じきるのは無理なんです。家族以外の誰かを100パーセント信じるには、アシュリナの過去は重すぎて」

 もし、私がただのディアナだったら。
 家族以外の人間とあまり交流がなかっただけで、特別他人に害されたことはない、ただの平凡な少女だったら。
 きっと今ごろシャルル王子のことを、心から信じられたかもしれない。
 でも私は、かつてアシュリナだったから。信じていた国民に裏切られ、魔女として焼き殺された王女の記憶があるから。
 私はシャルル王子に、完全に心を開くことはできない。

「でも信じたいのです。貴方のことを、信じたいと思うのです。ーーこれは貴方の献身に対する、十分な返答になってますか」

 シャルル王子は少しだけ黙り込んだ後、片手に松明を抱えたまま、その場に膝をついた。
 心からの献身を主に捧げる騎士のように。

「もちろんです。ーー貴女の心からの言葉が聞けて、私はうれしい。貴女が私を信じようと思ってくださるだけで、私は報われるのです」

「シャルル王子……」

「どうかこれからも、何なりと利用なさってください。私は私の立場を全て活用して、貴女に応えます」

 シャルル王子の言葉に、ずっと気になっていた疑問が頭によぎる。
 そのうち機会を見つけて予言者に尋ねようと思っていた疑問だったが、予言者が信用できない以上シャルル王子に頼るべきなのかもしれない。
 彼ならば、ルシトリア王家しか読むことのできない貴重な文献も、調べることができるのだから。

「……【災厄の魔女】について調べるついでに、一つ調べて欲しいことがあるのです」

 脳裏に浮かぶのは、アシュリナが見たアルバートの死の記憶。
 あの時アシュリナは猿ぐつわをされ、聖女の力が使えないような専用の手錠をされていた。

 ーーけれど、聖女の力を封じる手錠なんて、一体どうやって用意したのだろう。

 ルシトリアと違って、セーヌヴェットは聖女に対する知見は浅く、歴史を振り返ってもとてもそんな特殊な手錠を開発することができる力があったとら思えないのに。

「聖女の力を封じる術について、一体どの国がどれくらい把握しているのか……聖女の力を制御する手錠を開発した者が過去に存在したのか、調べて欲しいのです」

 

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