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彼女が出来た

姉貴がウゼえ

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「あ、祐実センパイ!お久しぶりです」

「慶子元気にしてた?まさか、慶子が貴久と一緒に居るなんてねぇ」

アネキと波多野は中学の時、バレー部の先輩と後輩という関係だ。

「いや今日は偶然に駅で会って…ちょっも色々あって、二人してここで降りて。祐実センパイこそ、何やってたんですか?」

「アタシは高校がこの近くだから、帰りにここに寄ったのよ。貴久、何でアンタまでここにいるのよ?」

あっ、そうか!

アネキはこの駅で降りて学校に通ってたんだ。

「バイト行こうとしたら、久しぶりに波多野と会って、まぁ…ここで降りてブラブラしてるだけだよ。アネキこそ何やってんだよ?」

どうも外で身内に会うのは気恥しい。

「何って、特に用は無いけど。貴久、お腹空いたからお昼食べない?慶子もいいでしょ?コイツが奢るから」

「まだバイトの給料入ってねえよ!」

「いいじゃないの、女子高生二人に囲まれてんだから、ご飯ぐらいご馳走しなさいよ」

何で、テメーの昼飯までこっちが出さなきゃなんないんだよ!

「小野っち無理しなくていいよ!
アタシ、自分の分は払うから」

「大丈夫だよ。それで、何処で食うんだよ?」

「この上の階にハンバーガーショップあるから、そこで食べよう」

「祐実センパイ、アタシ自分のは払いますから…」

「いいの、いいの!コイツこう見えてお金あるから、ご馳走になろう!さぁ行こう!」

姉は波多野の手を引っ張り、上の階に上がった。
ホント、遠慮の無ぇ姉だ…

「早くしないと、座る場所無くなっちゃうよ!ここお昼になると混むから」

階段を上り、ハンバーガーショップに着くと、姉は席を三人分確保した。

「貴久、アタシ席確保するから、チーズバーガーとポテトとコーラ頼んでおいて」

「図々しいヤツだな!ウチじゃほとんど、オレと話なんてしねーのに」

「えっ、祐実センパイと話したりしないの?」

「しねーよ。っていうか、オレあんまりウチに居ないから」

ウチにいても、ギャーギャーとうるせえだけだ。

ある意味、オフクロよりうるさい。

「ふーん…あ、小野っちアタシ自分の分は出すから、ホントにいいよ」

「あー、いいよ。ここは払うから大丈夫」

「いいよぉ~、小野っちに悪いよ!」

「じゃ、今度は波多野が払ってよ。それならいいじゃん」

物の弾みで今度って言ったけど、次も会える機会あるのか?

自分で言っておきながら、次会うかどうかも解らないのに…

「じゃあ、今度アタシが払うね」

その笑顔は、次も会えるという事でよろしいのだろうか。

「何にする?オレはダブルチーズバーガーとポテトとジンジャエールに決めた」

「じゃあ、アタシはフィレオフィッシュとサラダとアイスティで」

カウンターで注文する。


「お待たせしました」

僕は姉と自分のセットのトレイを両手に持ち席へ。

「あー、来た!これ大好物なんだよね!あれ、慶子サラダでいいの?遠慮しないでもっと頼めばよかったのに」

遠慮のないヤツだ!こんな女に、彼氏なんて出来ないだろうな。

「いや、アタシ油っぽいの控えてるから…」

「えーっ、慶子太ってないじゃん?別に痩せなくてもいいよ、ねぇ貴久?」

「弁当もサラダ中心にしてるらしいよ」

「へーっ、無理しなくてもいいのに~」

「とにかく食おう!オレも腹減った」

「じゃあ小野っち、いただきます」

食べ終わると、色々な話をした。

内容はバレー部の事で、蚊帳の外の僕は、二人の会話を黙って聞いていた。

「祐実センパイ練習の時、恐くてまともに話すこと出来なかったって、皆言ってましたよ~」

「えぇ?そうだったの?アタシ、キャプテンやってたから、どうしても厳しく言っちゃうからねぇ。泣いてた子とかいたよね?」

「ホント、練習ハードでしたもん。アタシも何度辞めようって思ったか」

そんな話を聞きながら、ぼんやりと窓の外を眺めていた。

「で、貴久とはよく会ってるの?」

「そんな頻繁には会ってないよ。今日も駅でたまたま会って、ここに来たんだから」

「実は…」

波多野が、朝の満員電車の出来事を話した。

「そうだったの?まぁこんな弟だけど、仲よくやってね」

「はい、わかりました」

「何偉そうに言ってんだか…」

「うるさいわね!アンタなんか、女に相手にされないんだから!慶子、これからも貴久の事よろしくね」

「祐実センパイは彼氏とかいないんですか?」

「アタシ、今それどころじゃないんだよね。夏休みも学校に行って勉強しないと、皆に遅れちゃうのよ。貴久なんか、全く受験勉強しなかったからF高校落ちたんだけどね、キャハハハハ」

ったく、よくもまぁベラベラと…ウルセーヤツだ!

波多野だって、F高校落ちたんだぞ!


波多野を見ると、少し顔がひきつってるような…

こりゃ、話を変えよう!

「だから彼氏が出来ねえんだろが!人の事より、自分の事を心配しろよ」

「うっさいわね!今のアタシはそれどころじゃないの!アンタみたいに、バイトしてる時間すらないんだから、進学校ってのは!」

ここでブラブラしてる時間あるクセに、よく言うよ!

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