動物園の飼育員さん、神様の手違いで死んだので、代わりに最強の魔物たちを育てることになりました~会話できるので、子育ては楽勝です〜

旅する書斎(☆ほしい)

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俺は森の中を歩き回りながら、安全な食べ物を探していた。
【万物言語理解】のスキルは、こういう時に本当に役立つ。
あのスキルを、選んで正解だった。

「すみません、この辺りで動物の赤ちゃんが食べられるような。」
「柔らかい木の実は、ありませんか?」

俺が近くの大きな木に話しかけると、すぐに返事が返ってきた。
さっきの木とは、また違う声だ。

『ああ、それならもう少し先に行くといい。』
『甘くて栄養のある実をつける木が、あるはずだ。』
『我々の、大切な仲間だよ。』

「本当ですか! ありがとうございます。」

お礼を言って、木が教えてくれた方へ急いで進む。
なんて便利なスキルなんだろう。
これなら遭難する心配も、なさそうだ。
森全体が、俺の味方みたいだ。

しばらく歩くと、赤い実をたくさんつけた木が見えてきた。
きっと、あれに違いない。
太陽の光を浴びて、実がきらきら輝いている。
俺は木に近づき、再び話しかけた。

「この実を少し、分けてもらえませんか?」
「お腹を空かせた、小さな子たちがいるんです。」

『おお、そうか。それは大変だ。』
『好きなだけ、持っていくといい。』
『ちょうど今が、一番の食べ頃だからな。』

木は快く、実を分けてくれた。
俺は近くにあった大きめの葉っぱをちぎり、簡易的な器を作った。
そこに、赤い実をたくさん摘んでいく。
甘酸っぱい、いい香りがする。
これで当面の食料は、確保できそうだ。
俺は赤ちゃんたちが待つ場所へと、急いで戻った。

「お待たせ! ご飯を持ってきたぞ。」

俺が戻ると、三匹は嬉しそうに駆け寄ってきた。
俺の帰りを、ずっと待っていたようだ。

『わーい! ごはんだ!』
『はやくたべたい!』
『いいにおいがする!』

三匹の期待に満ちた声が、聞こえる。
俺は葉っぱの器を地面に置き、実を一つずつ彼らの口元へ運んでやった。
まずは、トカゲの赤ちゃんからだ。
彼女は、ぱくりと実に食いついた。

『んー! おいしい! あまい!』

嬉しそうな声が、頭の中に響く。
よかった。口に合ったようだ。
次に子犬、そしてスライムにも与える。
スライムはどうやって食べるのかと思ったが、体を実にくっつけて、ゆっくりと吸収していく。
実が、だんだん小さくなっていく。
なるほど、そうやって食事をするのか。
これは、新しい発見だ。

『もっと! もっとほしい!』
『これすき! いっぱいたべる!』
『おかわり! おかわり!』

三匹はあっという間に実を食べ終え、もっとくれとねだってきた。
よほど、お腹が空いていたのだろう。
俺は微笑ましく思いながら、彼らがお腹いっぱいになるまで実を与え続けた。
木の実は、まだたくさんある。

お腹が満たされると、三匹は急に眠くなってきたようだ。
まぶたが、とろんとしている。
しかし、ここは森の真ん中だ。
夜になったら冷えるだろうし、危険な動物がいるかもしれない。
安全な寝床を、確保する必要があるな。

「よし、次は君たちの家を探しに行こうか。」

俺が言うと、三匹は不思議そうな顔をした。
まだ、眠そうに目をこすっている。

『いえ?』
『ねるところ?』
『あったかいところが、いいな。』

「ああ、雨や風をしのげる、安全な場所だ。」
「みんなで、一緒についておいで。」

俺は三匹を促し、再び森の探索を始めた。
今度は、近くの大きな岩に聞いてみることにした。
苔むした、立派な岩だ。

「この辺に、ちょうどいい洞窟とかないかな?」

『うむ……そうだな。』
『わしの裏手側に、小さな洞窟があるぞ。』
『昔はクマが住んでいたが、今は空いているはずだ。』

岩は、重々しい声で教えてくれた。
ナイスな情報だ。
俺は岩の裏へと、回り込む。
すると、ちょうど大人一人が入れるくらいの大きさの洞窟の入り口があった。
中を覗くと、それなりの広さがあるようだ。
ここなら、俺とこの子たちが暮らすには十分だろう。

「よし、今日からここが俺たちの家だ。」

俺は三匹を、洞窟の中に連れて入った。
中は少しひんやりとしているが、外よりは断然暖かい。
風も、入ってこない。
俺は枯れ葉や乾いたコケをたくさん集めてきて、ふかふかのベッドを作ってやった。
即席の、寝床だ。

『わー、ふかふかだ!』
『きもちいいー!』
『ここでねるの? やったー!』

三匹は大喜びでベッドに飛び込み、ごろごろと転がり回っている。
その姿は、まるで無邪気な子供のようだ。
見ているだけで、心が和む。

「気に入ってくれたみたいで、よかった。」
「さて、まだ名前がなかったな。」
「俺が、付けてやってもいいか?」

『なまえ?』
『ほしい! かっこいいのがいい!』
『かわいいのが、いいなー。』

三匹はそれぞれ、好き勝手なことを言っている。
かっこよくて、可愛い名前か。
それは、少し難しいな。

俺はまず、赤いウロコのトカゲを見つめた。
宝石のルビーみたいに、きらきらして綺麗だ。

「君は『ルビ』だ。どうかな?」

『るび! わたしのなまえ! 気に入った!』

ルビは嬉しそうに、小さな尻尾を振った。
次に、ぷるぷるのスライム。
ずっと、ぷるぷると震えている。

「君はずっとぷるぷるしてるから、『ぷるん』だな。」

『ぷるん! かわいい! ありがとー!』

ぷるんは喜びを表現するように、俺の頭の上でぴょんぴょんと跳ねた。
どうやら、俺の頭の上がお気に入りらしい。
ひんやりして気持ちいいから、まあいいか。
最後に、白い子犬だ。
まだ、とても小さい。

「君は……小さいから『コロ』。なんてどうだ?」

『ころ! うん、いい!』
『ユウがつけてくれた、なまえ!』

コロは嬉しそうに、俺の足にすり寄ってきた。
本当に、懐っこいやつだ。

こうして、ルビ、ぷるん、コロという新しい家族ができた。
俺は洞窟の入り口で火を焚きながら、三匹が眠るのを見守っていた。
彼らの寝息を聞いていると、不思議と心が落ち着く。
飼育員だった頃を、ふと思い出すな。
あの頃も、こうして動物たちの寝顔を見ているのが好きだった。

「くしゅん!」

突然、ルビが小さなくしゃみをした。
すると、彼女の口からぽっと小さな火の玉が飛び出した。
火の玉は近くの壁に当たり、すぐに消えた。

「おわっ、びっくりした。どうした、ルビ?」
「もしかして、風邪でもひいたか?」

俺は慌ててルビのそばに行き、彼女の体を優しく撫でてやる。
熱は、ないようだが。

『ん……? なんか、むずむずした……』

ルビは眠そうに目をこすりながら、そう言った。
爬虫類は、体温調節が苦手な種類が多い。
この子も、まだ赤ちゃんだからうまくできないのかもしれない。
いきなり火を噴くなんて、ちょっと驚いたけど。
まあ、異世界の動物だし、そういうこともあるのだろう。
これからは、もっと体調管理に気をつけてやらないとな。
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