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11 第十一話
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「……アルバート、その魔族は一体何者だ?」
ギルドマスターは当然の疑問を投げかけて来た。魔族を連れているとなればそりゃ誰だって尋ねるよな。
こうなったのも全てこの自由人過ぎる魔族の影響だ。
あの後こいつは俺を部下にすると言って来た。しかし当然そんな提案を受け入れられるはずはない。
そうしたらコイツ、何て言ったと思う? 「部下が駄目なら余を貴様に従えさせろ」って言ったんだ。
魔族ってそんな簡単に他者の下に付いて良い物なのか……?
しかも逃げようとしてもどこまでも付いてくるしな。結果、今こうして付きまとわれている。
「ほう、貴様アルバートと言うのか」
「名前を知ったところで何にもならんだろ。良いからさっさとどっか行ってくれよ」
「魔族と対等に会話をするとは……」
「対等なんてものでは無い。アルバートは余を打ち負かす可能性のある逸材であるぞ」
打ち負かす可能性って……そんな相手になんで付きまとっているんだコイツは……。
「しかしここまでしても考えが変わらんとは……いや良いことを思いついたぞ」
「おい、何をしでかすつもりだ……?」
「貴様が余を従えぬと言うのなら、この街を滅ぼしてやろう」
コイツがそう言った途端、ギルドマスターの雰囲気が変わった。
「妙な事をしてみろ。ただでは済まんぞ」
「大きく出たでは無いか。この余に勝つつもりでいるのか?」
二人は共に殺気を出し、威圧し合っている。いつ手が出るかわからない状況だ。
このままだと遅かれ早かれ戦いが始まるかもしれない。いや確実に始まるだろう。
そうなったらこの街は間違いなく火の海となる。避難なんて到底間に合わない。死傷者が大量に出ることになるだろう。
……それは困る。
「待ってくれ。俺がアンタの主になれば良いんだな?」
「やっとその気になったか」
俺だって得体のしれない魔族を従えるのは怖い。
だがこのまま放って置いたらきっと後悔することになる。
それに……コイツからは悪意は感じなかった。良くも悪くもただ単に目的を果たすことだけを考えての行動をしている。
だから殺すに殺せなかった。……変な話だよな。魔族に情が湧くなんて。
「ならば契約術式だ。貴様を主として認めよう」
「な、何だこれ……?」
「手をかざし、心の中で了承するのだ」
契約術式と言うのがどういったものなのかはわからないが、とにかく言われた通りにするしかなさそうだ。
手をかざすと頭の中に文章が浮かび上がって来た。恐らく契約内容だろう。
一通り読み終わり、言われた通りに了承と念じる。すると目の前の魔法陣が強く光り始め、少ししてから消失した。
「これで契約は完了だ。共に研鑽を積んでいこうでは無いか」
「はぁ……どうしてこんなことに」
俺の命令に全面的に従うという内容があったから、コイツが暴れて街を襲うと言ったことは無いだろう。
ひとまずの危機は去ったと考えて良いだろう。俺の平穏とともに……だが。
と、契約したからもう名前がわかるんだったな。
ディアス……それがこの魔族の名前か。
「まさか魔族と契約までしてしまうとはな。大した者だなアルバートは」
「はは……ほぼ強制と言うか何と言うか……」
ギルドマスターは素直に感心しているようだが、正直ここまで来ると異常過ぎてもうついて行けない。
とにかく今日はもう疲れた。さっさと帰って寝よう。
幸い部屋も多いし、ディアスの部屋についても気にする必要は無いか。
とまあそんな訳で家でひと眠りしたのだが……。
「ほう、起きたか」
目覚めるとディアスが何故か俺のベッドに入り込んでいた。
「な、何のつもりだ……? まさか寝首を掻くつもりじゃ……」
「余はそのような卑怯なことはしない。と言うより、契約術式によってそう言った行為は禁じられている」
「そう……なのか? ならどうして俺のベッドに中に入っているんだ……」
「そんなの決まっている。夜伽だ」
なるほど、どうやらコイツは頭がおかしいらしい。
ギルドマスターは当然の疑問を投げかけて来た。魔族を連れているとなればそりゃ誰だって尋ねるよな。
こうなったのも全てこの自由人過ぎる魔族の影響だ。
あの後こいつは俺を部下にすると言って来た。しかし当然そんな提案を受け入れられるはずはない。
そうしたらコイツ、何て言ったと思う? 「部下が駄目なら余を貴様に従えさせろ」って言ったんだ。
魔族ってそんな簡単に他者の下に付いて良い物なのか……?
しかも逃げようとしてもどこまでも付いてくるしな。結果、今こうして付きまとわれている。
「ほう、貴様アルバートと言うのか」
「名前を知ったところで何にもならんだろ。良いからさっさとどっか行ってくれよ」
「魔族と対等に会話をするとは……」
「対等なんてものでは無い。アルバートは余を打ち負かす可能性のある逸材であるぞ」
打ち負かす可能性って……そんな相手になんで付きまとっているんだコイツは……。
「しかしここまでしても考えが変わらんとは……いや良いことを思いついたぞ」
「おい、何をしでかすつもりだ……?」
「貴様が余を従えぬと言うのなら、この街を滅ぼしてやろう」
コイツがそう言った途端、ギルドマスターの雰囲気が変わった。
「妙な事をしてみろ。ただでは済まんぞ」
「大きく出たでは無いか。この余に勝つつもりでいるのか?」
二人は共に殺気を出し、威圧し合っている。いつ手が出るかわからない状況だ。
このままだと遅かれ早かれ戦いが始まるかもしれない。いや確実に始まるだろう。
そうなったらこの街は間違いなく火の海となる。避難なんて到底間に合わない。死傷者が大量に出ることになるだろう。
……それは困る。
「待ってくれ。俺がアンタの主になれば良いんだな?」
「やっとその気になったか」
俺だって得体のしれない魔族を従えるのは怖い。
だがこのまま放って置いたらきっと後悔することになる。
それに……コイツからは悪意は感じなかった。良くも悪くもただ単に目的を果たすことだけを考えての行動をしている。
だから殺すに殺せなかった。……変な話だよな。魔族に情が湧くなんて。
「ならば契約術式だ。貴様を主として認めよう」
「な、何だこれ……?」
「手をかざし、心の中で了承するのだ」
契約術式と言うのがどういったものなのかはわからないが、とにかく言われた通りにするしかなさそうだ。
手をかざすと頭の中に文章が浮かび上がって来た。恐らく契約内容だろう。
一通り読み終わり、言われた通りに了承と念じる。すると目の前の魔法陣が強く光り始め、少ししてから消失した。
「これで契約は完了だ。共に研鑽を積んでいこうでは無いか」
「はぁ……どうしてこんなことに」
俺の命令に全面的に従うという内容があったから、コイツが暴れて街を襲うと言ったことは無いだろう。
ひとまずの危機は去ったと考えて良いだろう。俺の平穏とともに……だが。
と、契約したからもう名前がわかるんだったな。
ディアス……それがこの魔族の名前か。
「まさか魔族と契約までしてしまうとはな。大した者だなアルバートは」
「はは……ほぼ強制と言うか何と言うか……」
ギルドマスターは素直に感心しているようだが、正直ここまで来ると異常過ぎてもうついて行けない。
とにかく今日はもう疲れた。さっさと帰って寝よう。
幸い部屋も多いし、ディアスの部屋についても気にする必要は無いか。
とまあそんな訳で家でひと眠りしたのだが……。
「ほう、起きたか」
目覚めるとディアスが何故か俺のベッドに入り込んでいた。
「な、何のつもりだ……? まさか寝首を掻くつもりじゃ……」
「余はそのような卑怯なことはしない。と言うより、契約術式によってそう言った行為は禁じられている」
「そう……なのか? ならどうして俺のベッドに中に入っているんだ……」
「そんなの決まっている。夜伽だ」
なるほど、どうやらコイツは頭がおかしいらしい。
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