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 荷造りを全て終えると、私達は早速馬車に乗った。貴族が乗る馬車は椅子がフカフカでお尻が痛くならないからいい。

 初日は二つの馬車を乗り継いで、とある田舎の村の宿へとたどり着いた。村は見るからに貧しく、村唯一の宿も例外ではなかった。本物の貴族なら泊まることを躊躇するかもしれない。でも、貧民街で暮らしていた私には全く問題がなかった。

 私達が貴族であると知った途端、宿の女主人は狼狽えて宿泊を拒否した。理由を聞けば、貴族をもてなすほどのサービスができないと言い張る。一晩眠るだけの部屋を貸してもらうだけでいいからと言えばついには空いている部屋がないと言い出した。あからさまな嘘にため息が出る。女主人は私達をどうしても泊めたくないらしい。
 本物の貴族は意地悪で我儘だ。もしかしたら、昔、この宿に泊まった貴族がとんでもないことをやらかしたのかもしれない。

 ーー困ったわ。

 突然、エルドノア様が棚に向かって指をさした。そこには髪の長い木彫りの女性の像があった。今まで黙って私達のやり取りを見ていたのに。急にどうしたのだろう。

「あれ、ナーシャでしょ」
 エルドノア様が言った途端に女主人の顔が青ざめた。
「一晩泊めてくれるなら黙っておいてあげる」
 女主人はコクコクと頷き、慌てて私達を部屋に案内した。

「こちらが、うちで一番いい部屋です。とはいっても貴族の方にはご不便があると思いますが、ご容赦下さい」
「ありがとう。慈悲深きナーシャは君の行いをいつでも見守ってくれているはずだ。だから心配しないで」
 エルドノア様がそう言って微笑めば女主人は動揺しながらも礼を言い、その場を後にした。

「ナーシャって何です?」
 部屋に入ってすぐ尋ねた。
「苛烈で慈悲深い麗しの火の女神だよ。お前たちの言うところの"邪神"さ」
 あっさりと答えられて驚いた。いつも肝心なことは何一つ教えてくれないのに。
「そのナーシャという神も、この世界に顕在しているのですか」
 エルドノア様は首を横に振った。
「この村に彼女の信徒は大勢いるみたいだけど。まだ彼女を召喚するに到っていないみたいだ。きっと、願いが足りないんだと思う」

 "大勢の信徒" 
 "願いが足りない"

 エルドノア様の言葉が頭の中で反芻する。
「聞きたいことは山程あるって顔だね。でも簡単に教えてしまうのはつまらないな」
 エルドノア様はにこりと笑った。何かよからぬことを考えているに違いない。
「そんなしかめっ面しないで? 私は遊び足りないんだ」
 そう言ってエルドノア様は私をベッドに押し倒した。
「かわいい私の信徒、話の続きはベッドの中でしようね」
「だめっ」

 行為の最中に知性を保てるはずがないからそんなの無理に決まっている。私は抵抗を試みたけれどあっさりと口づけをされてしまった。甘い痺れとともに次第に頭がぼんやりとしていく。


 
 エルドノア様は私の口の中を味わうように舌で舐める。くちゅくちゅと嫌らしい音を立てているのは絶対にわざとだ。その音が私をより一層おかしくさせることを彼はよく知っているから。
「ふあっ」
「今日は全然舌を絡めようとしてくれない。さみしいよ」
「そんなことしたら、何も、かんがえられなくなっちゃう、から」
「かわいい。どこまで抵抗できるかな?」
 エルドノア様は再び口づけをした。
「んっ、うぅ」

 ーーキスに応えてはいけない。我慢しなきゃ。

 頭ではそう思っていたけどいつの間にかエルドノア様の口の中を味わっていた。
「あっ、はぁっ、んんっ」
 エルドノア様の背中にしがみついて口づけを堪能する。あっという間に胸の先は立ち上がり、下からは蜜が溢れ出した。
「いい子だ」
 エルドノア様は上機嫌に笑うと服の上から優しく胸を揉んだ。
「やっ」
「ふふっ、かわいい胸を見せて?」
 彼に胸元のボタンを外されて下着をずり上げられる。露出された胸を今度は力強く揉まれた。

「ひゃっ」
「この間、たくさん生気を分けてあげたから理性が飛びにくいだろう?」
 乳首をつんと弾かれたら身体がびくりと震えた。それを見てエルドノア様はくすくすと笑った。
「ああ、でも、感度は変わらないんだね」
 ツンツンと両乳首をいじられる。
「あっ、あっ、やめっ」
「いいよ。やめようか」
 そう言って本当にやめてしまった。

「どうしたの? 不満気な顔をして。やめて欲しかったんでしょ?」
「そうです、けど」
 中途半端にいじられた胸の疼きが収まらずモヤモヤする。

 ーー触って欲しい。

 私は唇を噛みしめてそう口にするのを我慢した。もし快楽に流されて言ってしまったら、今日は邪神に関する話をしてもらえないだろう。そうなったらもう二度と邪神の話は二度と聞けないかもしれない。

「我慢してるお前の顔もなかなかそそるね」
 エルドノア様は私の耳にキスをした。そしてそのまま耳元で優しく囁く。

「自分で触って慰めなよ」

 優しい口調ではあったけれど、それは確かに"命令"だった。
 私の手は胸元に伸びていく。手は乳房を優しくマッサージするかのように動いていく。そして、時折指先で胸の先をつま弾いた。
 エルドノア様は添い寝をしてその様子を見ていた。
「うっ、うぅっ」
「随分可愛らしい慰め方だ」
 私の頭を撫でながらエルドノア様は微笑んだ。

 下の口は随分前からうずうずしていた。触りたいけど、自慰しているところをエルドノア様に見られるのは嫌だった。私は足をぴっちりと閉じて我慢する。
 そんな私をエルドノア様は笑った。

「今さら恥ずかしがるのも面白いね」
 彼の手が太ももに伸びる。優しく撫でられてゾクゾクした。
「前なんか、私のものを咥えながら自分で下を掻き乱していたじゃないか」
「うそっ」
「ああ、やっぱり記憶が飛んでたんだね。あの時のお前はすごくお腹が減っていたから」
 そう言いながらエルドノア様は上体を起こした。
「あの時の再現でもしてみる?」
「やっ、やだ」
 私はエルドノア様に背を向けた。
「そんなに嫌なの?」
「恥ずかしいからっ、嫌に、決まってます!」
 ふふっと笑う声が聞こえた。
「理性が残ったお前もかわいいね」
 背中を舐められて身体がびくりと跳ねた。
「かわいい人。もう手は好きにしていいよ」
 その言葉でやっと手が止まった。

「ほら。こっち向いて」
 寝返りをうって私はエルドノア様の方を向いた。いつの間にか彼は再び横になっていた。
 エルドノア様と目が合った。碧色の瞳はフィアロン公爵が持っていた宝石によく似ている。あの石の名前は何だったかしら?

「サファイアだよ」
 私の心を読んだエルドノア様が答えた。そうだ。そんな名前の宝石だった。
「そういうお前の瞳は琥珀みたいだ」
「コハク?」
「そういう宝石があるんだよ」
 エルドノア様は私の唇にキスを落とした。触れるだけの優しいキスなんて珍しい。

「ねえ、愛しい私の信徒。やっぱり話は後にしよう」
 そっと顔を撫でられる。
「本当に、後で話をしてくれますか」
「うん。話すよ」
 屈託のない笑顔で言われた。でも、正直にいって信用できない。彼は気まぐれなところがあるから。
「私を疑っているんだね。お前は本当に信仰心の薄い子だ」
 エルドノア様は上体を起こすと私のスカートをたくし上げ、下着を脱がせた。足を広げさせられて、その間にズボンを少しだけ緩めたエルドノア様が座った。

「今はお前とじっくり交わりたくなったから。余計な話はしたくないんだ」
 エルドノア様のものが私の秘所に押し当てられた。
「だから、お前もちゃんと集中してね」
 押し付けた彼のものを擦り付けられる。ぐちゅぐちゅと鳴る音が恥ずかしい。
「ひっ、んっ」
 豆を擦られて声が漏れた。
「中とクリトリス、どっちが好き?」
 意地悪く質問してくるのが憎らしい。私は口を固く閉じて無視をした。
「恥ずかしがり屋さんだ」
 彼は笑って私の口にキスを落とした。

 割れ目を擦り付けていた彼のものが離れていく。それを見れば、下の口から溢れ出た蜜で濡れそぼっていた。
 卑猥なそれの先を下の口にあてがいぐりぐりと押される。
「んっ、ふっ」
 痛くはないけど、ものの大きさの圧迫感がすごい。けれど、私のそこはエルドノア様のものを簡単に受け入れた。
 ゆっくり、少しずつ動かれて、お腹の中が気持ちよくなっていく。それと同時に頭がクラクラしてきた。甘い痺れが波のように押し寄せてくる。

 ーーこの気持ちよさに、私は逆らえない。

「あっ、もっと」
 エルドノア様は笑った。
 動きが少しずつ速くなっていく。
「んっ、いい」
 口づけをされる。私は口を開いてエルドノア様の舌を受け入れた。

「淫靡なお前も好きだよ」
 エルドノア様は私の足首を持ち上げて彼の肩のあたりで固定した。
「もっと深いところを突いてあげるから、かわいい声を聞かせて?」
 ねだるように甘い声で言われた。それに答える間もなく、彼は激しく腰を動かし始めた。

「んっ、あっ、ああっ」
 奥を突かれる度に強い刺激がお腹の中に伝わっていく。
「あ"っ、やだっ、深いっ、やっ」
 気持ち良すぎて嫌だった。この快楽から逃れようと一生懸命嫌だと言っても、エルドノア様は許してくれない。足をしっかりと掴まれているから身をよじることすらできない。

「あんあっ、やだやだ、ん"ぅ、やめっ、ひゃっ」
 子宮に押し当てるように腰を突き出される。
「あぅ」
 そのまま太いものをぐりぐりとお腹の奥に押し当てられる。チリチリと込み上げてくる甘い痛みが気持ちよかった。

 高い位置で固定されていた足が下ろされる。
 エルドノア様は彼のものを引き抜こうとした。だから私は彼の腰に足を搦めた。
「っ!」
「抜いちゃ、だめっ」
 エルドノア様は私の上体を抱き寄せた。繋がったまま、彼に向き合う形で座らされる。 
 私はエルドノア様にしがみついた。白い首すじ
が綺麗だったから、舌を這わせて吸い付いた。

「ティア?」

 初めてだった。人前じゃなくて、二人きりでいる時に名前を呼ばれるのは。

 ーー本当に、初めてだった?

 首から唇を離すと赤い痣になっていた。
「ティア、お前は本当に悪い子だ」
 そう言いながらもエルドノア様は嬉しそうに笑った。

「どうして名前で呼ぶの?」
「呼んだらいけないのかい?」
「ううん。ただ、気になった、だけ」

 私は腰を動かした。自分でいいところを探して動く。ズコズコと激しく一心不乱に腰を前後させる。彼のものを堪能できて嬉しい。

「んっ、あっ、あん、エルドノアさまっ」
「なに?」
「大好き」

 ーー私、何言ってるんだろう。

 エルドノア様のものがぴくりと反応した。それにあわせるように下の口がきゅっと締め付ける。

 ーーそうだ。エルドノア様を気持ちよくさせなきゃ。気持ちよくして、たくさん体液をもらうんだ。

「あはは、淫乱」
 エルドノア様に押し倒されて再び組み敷かれる。

 ーー早く、ちょうだい?

「大丈夫。ちゃんと欲しいものをあげるから、ね?」
 私は腕と脚を彼の身体に纏わりつかせた。エルドノア様の逞しい身体に密着する。
「んっ、あん」
 こんな体勢なのにエルドノア様はいいところを突いてくれる。
「あっ、あっ、ああ、ふぁっ、あん」
「ティア」
「あん、ひゃっ、あん」
「ずっと、一緒にいようね」
「あぅ、あん、はぃっ、はぁっ」
 腰の動きがより早くなっていく。気持ちよくて気が狂いそうだ。
「あん、イクっ、ひゃう、あんっ」

 お腹の痺れが最高潮に達したと同時にエルドノア様の動きが止まった。お腹の中が熱いもので満たされていく。
 密着したエルドノア様の胸から早い鼓動が伝わってきた。

 ーーもっと彼の鼓動を感じていたい。もう少し、このままで・・・・・・。

 私は彼の背中をぎゅっと抱きしめた。
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