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精霊のレリーフ3

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「そっかー。わかんないかー」

『わかんないけどー。しばらく起きないかもー』

「えっ?! しばらく起きないの? どうして?」

『えっとー。弱ってるかもなのー』

「弱ってるって……! え、精霊が?!」

 精霊が起きるまでどうやって過ごそうかと思っていたティナは、続くアウルムの言葉に驚いた。

『うんとねー。小さいのー』

「んん?」

『匂いはするけど、なんだか小さいのー』

 ティナはアウルムの言葉の意味を考えた。アウルムのこの言葉はとても重要だと思う。

「それって、気配とか存在感が小さいとか……もしかして生命力が少ないってことかな?」

『うーん、わかんないー。でもたぶんそうかもー?』

 アウルムはまだ子供で、何より魔物なのだ。人間と同じように説明出来なくても仕方がないだろう。

「じゃあ、精霊さんの様子を見に、一度部屋に戻ってみようか」

 ティナは食堂から借りている部屋へと戻った。
 アウルムは精霊のレリーフの匂いを嗅いで様子を調べている。ティナもレリーフを見るものの何も感じることが出来ず、残念に思う。

「アウルムから見てどう? まだ眠ってる?」

『寝てるよー。ぐっすりだよー』

 日が高いこの時間に寝ているのなら精霊が起きるのはやはり夜だろう、と思ったティナは、今のうちに精霊や月下草について調べてみようと思い立つ。

「ぐっすり眠っているなら大丈夫かな。その間に町へ行こうと思うんだけど、アウルムもお散歩がてら一緒に行く?」

『おさんぽー? おさんぽいくー!』

 アウルムの目が期待に満ち溢れ、ぴょこぴょこ跳ねて喜んでいる。
 ティナはアウルムをよしよしと撫でると、一階に降りて主人に声を掛けた。

「すみません、ちょっと外出して来ますね。あ、この辺りに本屋さんはありますか?」

「おう、本屋に行くのか。……ちょっと待ってろ」

 主人はそう言うと本屋までの地図を書き、ティナに渡してくれた。

「この店がオススメだぜ。この町で一番大きい本屋だ」

「わぁ! 有難うございます! 行ってみます!」

 ティナはアウルムと一緒に宿を出た。
 そして意外と綺麗な文字で書かれた地図に従って町の中を見物しながら歩いていると、しばらくして目的地である本屋へと辿り着く。

「アウルム、この本屋さんに行きたいんだけど良い? もしかすると外で待ってて貰うことになるかもしれないけれど……」

『いいよー。ここでまってるよー』

 アウルムはそう言うと、店の扉近くの邪魔にならない場所で丸まった。どうやら待っている間眠っているらしい。

「なるべく早く戻ってくるからね」

 ティナはアウルムにそう言うと、本屋の扉を開けて中に入った。

 宿の主人が言っていた通り、本屋は広く大量の本が所狭しと並んでいた。
 ジャンルごとに分けられている本を眺めながら、ティナはゆっくりと店内を歩く。

「あ! これ……!」

 ティナは店の端っこに精霊関係の本が数冊並んでいるのを発見した。
 それはクロンクヴィスト王国が精霊信仰になった経緯や、建国神話などが書かれた本だ。

 それらの本を持ったティナは早速買って帰ることにする。
 五冊ほど買うのでかなりの重量になるが、魔法鞄を守っているティナに躊躇いはない。

 そうしてティナは待ってくれていたアウルムにお礼を兼ね、露天で肉を買うと町を散策しながら宿に戻ったのだった。
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