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アリスティア、王都に帰る
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急務は王族が遠慮して食べなければいけないと思ってしまうほどの食糧事情の改善だ。
木魔法だと人によっては植物の成長促進もできるという。
魔法は具体的に思い描けさえすれば割と自由度が高い、とも聞いていたから、交配とかサクサク行けるんじゃないだろうか…
というわけで、魔法省で木魔法の使い手を貸してもらえるよう依頼したところ、私の作業については引き続きジェスがあてがわれた。
魔法省には、魔法に長けたものが勤務しているが、魔法使いたちの中でも新しい魔法を開発し、使い方などを研究・指導するものとして魔導士がいるらしい。
また、独自の魔法を極め、他の追随を許さないほどの使い手については敬意を込めて魔術師と呼ぶようだ。
ジェスは魔導士で、エメラルドグリーンの腕輪が示す通り、水魔法だけではなく木魔法にも強い。
だからこその視察のお供だったようだ。
まずは庭園で今回のルーディア視察と帰りの旅路でもらいまくってきた野菜たちと種や苗をジェスに成長させてもらい、種を取り出そうと思う。
とりあえず主食となる米が優先だろう。
成長も種もみ採取も魔法で一発だった。
魔法すごい。
初めて魔法を見たが、腕輪がキラキラと光り、対象の植物も同じようにキラキラとした何かに包まれる。
精霊がラメっぽい魔力でも出しているんだろうか。
女神様からちゃんと敬うと魔法の上達度が上がると聞いていたので、とりあえず拝んでおく。
ありがたやありがたや。
これ、女神様に頼んだら10歳になる前に魔法使えるようになったりしないだろうか?
そのほうがイメージを人に伝える手間がなくなるので効率よくできそうなんだけど…
今度頼んでみよう。
で、ジェスの成果。
一時間ほどで、結構な数の稲を成長させ、種もみを取り出すことができたほか、複数種類の植物を育てることができた。
ここで本題だ。
「ねえジェス。品種改良ってみんなどうやってやっているのかしら?」
「魔法で収穫量を増やすことが多いですね。」
「それって1代限りなんじゃないの?」
「ええ。だから木魔法の使い手は貴重なのです。」
「交配ってしないのかしら。」
「…交配、ですか?」
やっぱり。王様の話を聞いてそんな気がしていたのだ。
今までは「より実を多くつけさせるための魔法」ばかり行使していたし、それが農業支援にあたる魔法使いや魔導士たちの常識だったらしい。
ジェスに植物の交配による品種改良の概念を伝えると、唖然としていた。
「そうすると、これとこれをかけ合わせれば…」
彼が手に取ったのは2粒の種もみ。
え、見ただけでわかるの?
「それ、他と何か違うの?」
「ええ、これは最近稲に流行っている疫病に強い性質をもつ種で、こちらはたくさんの実りがある種です。木魔法に習熟していると、植物の性質はなんとなく伝わってくるのです。」
なんというチート。
これを育てて交配、というのを繰り返せば、どんどん良い種ができるんじゃないだろうか。
「それ、わかるんだったら良い種ばかり育てることができるんじゃないの?」
素朴な疑問。強いものばかり育てればいいんじゃないかと思うんですが…
「なんとなく良い種か悪い種か感じる、という程度であれば在野の魔法使いでもできるかもしれません。各村でもそのぐらいであればやっているでしょう。植物の声が詳細に聞こえる、というものは一握りです。私もおそらくそうだろう、という程度ですので…。そこからかけ合わせる、という発想に至っているものがいるかどうか…しかし、この考え方は画期的です。すぐに魔法省に伝達して全国に伝えさせましょう。」
「そう、それならよかった。お願いね。」
よし、これで疫病に強いたわわに実る米、多分ゲット。
木魔法だと人によっては植物の成長促進もできるという。
魔法は具体的に思い描けさえすれば割と自由度が高い、とも聞いていたから、交配とかサクサク行けるんじゃないだろうか…
というわけで、魔法省で木魔法の使い手を貸してもらえるよう依頼したところ、私の作業については引き続きジェスがあてがわれた。
魔法省には、魔法に長けたものが勤務しているが、魔法使いたちの中でも新しい魔法を開発し、使い方などを研究・指導するものとして魔導士がいるらしい。
また、独自の魔法を極め、他の追随を許さないほどの使い手については敬意を込めて魔術師と呼ぶようだ。
ジェスは魔導士で、エメラルドグリーンの腕輪が示す通り、水魔法だけではなく木魔法にも強い。
だからこその視察のお供だったようだ。
まずは庭園で今回のルーディア視察と帰りの旅路でもらいまくってきた野菜たちと種や苗をジェスに成長させてもらい、種を取り出そうと思う。
とりあえず主食となる米が優先だろう。
成長も種もみ採取も魔法で一発だった。
魔法すごい。
初めて魔法を見たが、腕輪がキラキラと光り、対象の植物も同じようにキラキラとした何かに包まれる。
精霊がラメっぽい魔力でも出しているんだろうか。
女神様からちゃんと敬うと魔法の上達度が上がると聞いていたので、とりあえず拝んでおく。
ありがたやありがたや。
これ、女神様に頼んだら10歳になる前に魔法使えるようになったりしないだろうか?
そのほうがイメージを人に伝える手間がなくなるので効率よくできそうなんだけど…
今度頼んでみよう。
で、ジェスの成果。
一時間ほどで、結構な数の稲を成長させ、種もみを取り出すことができたほか、複数種類の植物を育てることができた。
ここで本題だ。
「ねえジェス。品種改良ってみんなどうやってやっているのかしら?」
「魔法で収穫量を増やすことが多いですね。」
「それって1代限りなんじゃないの?」
「ええ。だから木魔法の使い手は貴重なのです。」
「交配ってしないのかしら。」
「…交配、ですか?」
やっぱり。王様の話を聞いてそんな気がしていたのだ。
今までは「より実を多くつけさせるための魔法」ばかり行使していたし、それが農業支援にあたる魔法使いや魔導士たちの常識だったらしい。
ジェスに植物の交配による品種改良の概念を伝えると、唖然としていた。
「そうすると、これとこれをかけ合わせれば…」
彼が手に取ったのは2粒の種もみ。
え、見ただけでわかるの?
「それ、他と何か違うの?」
「ええ、これは最近稲に流行っている疫病に強い性質をもつ種で、こちらはたくさんの実りがある種です。木魔法に習熟していると、植物の性質はなんとなく伝わってくるのです。」
なんというチート。
これを育てて交配、というのを繰り返せば、どんどん良い種ができるんじゃないだろうか。
「それ、わかるんだったら良い種ばかり育てることができるんじゃないの?」
素朴な疑問。強いものばかり育てればいいんじゃないかと思うんですが…
「なんとなく良い種か悪い種か感じる、という程度であれば在野の魔法使いでもできるかもしれません。各村でもそのぐらいであればやっているでしょう。植物の声が詳細に聞こえる、というものは一握りです。私もおそらくそうだろう、という程度ですので…。そこからかけ合わせる、という発想に至っているものがいるかどうか…しかし、この考え方は画期的です。すぐに魔法省に伝達して全国に伝えさせましょう。」
「そう、それならよかった。お願いね。」
よし、これで疫病に強いたわわに実る米、多分ゲット。
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