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学園にも校則がある
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「うっ、うぅ~・・・」
いつも毅然とした態度で振る舞う私の、子どものように泣く姿に会場に居る人々は動揺している様だった。
私だってこんな風に泣きたくなかった。今まで完璧な淑女と言われていたのが台無しだよっ!
公衆の面前で婚約破棄を叩きつけられて貴族令嬢として瑕疵がついた上に、ギャン泣きするとかもう終わってる。
もう、修道女になるしかない?そんな気持ちになって壇上に目を向ければ、お父様が流石にオロオロとした表情をしているわ。
そうよ、こうなったのもお父様がもっと早くに声を上げてたら強制的に私たちは別室へと移動出来たかもしれないのにっ。
当分、口なんか聞いてやらないからね!
キッとお父様を涙目で睨めば、思っている事が伝わったのか?顔色が悪くなった。
「ア、アルさま、新しい法律が出来た時にこの学園にも新しい校則が出来ました。罰則も設けられているんです。本当に何も知らないのですか?」
必死に涙を止めてもう一度、目の前のアルに向き直った。昔は愛称呼びだった癖で『アル様』と呼んでしまう。二人の間に距離が出来てから『アルフリート様』と呼ぶようになったんだよねぇ。
「校則?廊下を走らない、とかのあれか?」
一応、泣いている私にハンカチを渡そうと思ったのか、アルのその手にはハンカチがある。でもアリスさんがヒシと腕にしがみついていたから断念したみたい。
でも、その様子だと校則と聞いてもピンと来ていないみたい。まぁ、そんな事だろうとは思っていたけど。
私も入学前に入学のしおりを持ってアルに読むように確認したけれど、この時にはもう私の事を邪険にし始めていたからなぁ。
けれど教育係や王妃様たちは何も言わなかったのかしら?陛下はきっと自らの汚点に触れる事になるから誰かに丸投げしたのだと思うけど。
「そういうのも含まれますが、もっと大事な校則があるのです。22年前の騒動によって出来た法律を受けて、この学園にも校則が新しく出来たのです。ご存じ無かったのですね。」
「し、知るも何も校則など破らなければ良いだけの事だろう!」
知らなかった事を隠したいのか、そう言ったアルにきっと会場中の皆が ー アル様たちと王妃様以外で ー 思った事だろう。
だから今、校則を破っているじゃん!!
と。
「・・・・アル様、校則はこの卒業パーティーが始まる直前に破られましたわよ?」
「「はぁっ!?」」
私の言葉に驚く大声を出してアルとギル。後ろの2人はそれを思い出したようでガクガクと震え始めている。
アリスさんだけが話についていけないのか、キョトンとして大声を出した2人を見上げている。そうか、この言葉の意味が理解出来ないのか。
うん、下位貴族とは言え、入学前には男爵家で学園の校則について説明も受けていなかったのかな?今までの様子から学園の基本的な事から知らず、授業さえ受けていたようにも見えなかったけれど。
「新しく加わった校則が出来てからこの学園でも22年前の騒動の様な事は起きていなかったんですよ。
残念ながら今日、校則違反が起こってしまいましたけど。」
えぇ、私という犠牲者付きで。
「校則違反て、まさか、婚約破棄の事なのか?」
まだ釈然としない顔付きでアルが不用意に言ったけど、今のもカウントされたみたいよ?
「勿論です。元々、22年前もこの場で起こった事ですからね。学園としてもその後の対応の不手際を反省もし、法律の制定を受けて同じ事が起きない様に、と厳しい校則と罰則が出来たのです。
校則第9条、学園に入学した生徒は学園内で、如何なる理由があろうと保護者の承諾無しに一方的な婚約破棄を言い渡してはならない。
第11条、生徒は学園で行われる学園行事に於いて、公衆の面前で婚約破棄を宣言してはならない。」
校則を言っただけだから私の言葉はカウントされないよね、先生?
そっと学年主任の先生に視線を移せば、気持ちが伝わったのかにこやかに頷いてくれた。
「はぁ~!?そんな校則、初めて聞いたぞ!」
アルが素っ頓狂な声で言うけど、入学のしおりにも生徒手帳にも赤字で書かれているからね?どの家庭でも入学前に家族から教えられている内容だと思うよ。
この2つの校則は同じ内容のようだけれど、実は罰則に違いがあるんだよねぇ。アル、それに婚約破棄に関する校則はまだ他にもあるんだよ。
いつも毅然とした態度で振る舞う私の、子どものように泣く姿に会場に居る人々は動揺している様だった。
私だってこんな風に泣きたくなかった。今まで完璧な淑女と言われていたのが台無しだよっ!
公衆の面前で婚約破棄を叩きつけられて貴族令嬢として瑕疵がついた上に、ギャン泣きするとかもう終わってる。
もう、修道女になるしかない?そんな気持ちになって壇上に目を向ければ、お父様が流石にオロオロとした表情をしているわ。
そうよ、こうなったのもお父様がもっと早くに声を上げてたら強制的に私たちは別室へと移動出来たかもしれないのにっ。
当分、口なんか聞いてやらないからね!
キッとお父様を涙目で睨めば、思っている事が伝わったのか?顔色が悪くなった。
「ア、アルさま、新しい法律が出来た時にこの学園にも新しい校則が出来ました。罰則も設けられているんです。本当に何も知らないのですか?」
必死に涙を止めてもう一度、目の前のアルに向き直った。昔は愛称呼びだった癖で『アル様』と呼んでしまう。二人の間に距離が出来てから『アルフリート様』と呼ぶようになったんだよねぇ。
「校則?廊下を走らない、とかのあれか?」
一応、泣いている私にハンカチを渡そうと思ったのか、アルのその手にはハンカチがある。でもアリスさんがヒシと腕にしがみついていたから断念したみたい。
でも、その様子だと校則と聞いてもピンと来ていないみたい。まぁ、そんな事だろうとは思っていたけど。
私も入学前に入学のしおりを持ってアルに読むように確認したけれど、この時にはもう私の事を邪険にし始めていたからなぁ。
けれど教育係や王妃様たちは何も言わなかったのかしら?陛下はきっと自らの汚点に触れる事になるから誰かに丸投げしたのだと思うけど。
「そういうのも含まれますが、もっと大事な校則があるのです。22年前の騒動によって出来た法律を受けて、この学園にも校則が新しく出来たのです。ご存じ無かったのですね。」
「し、知るも何も校則など破らなければ良いだけの事だろう!」
知らなかった事を隠したいのか、そう言ったアルにきっと会場中の皆が ー アル様たちと王妃様以外で ー 思った事だろう。
だから今、校則を破っているじゃん!!
と。
「・・・・アル様、校則はこの卒業パーティーが始まる直前に破られましたわよ?」
「「はぁっ!?」」
私の言葉に驚く大声を出してアルとギル。後ろの2人はそれを思い出したようでガクガクと震え始めている。
アリスさんだけが話についていけないのか、キョトンとして大声を出した2人を見上げている。そうか、この言葉の意味が理解出来ないのか。
うん、下位貴族とは言え、入学前には男爵家で学園の校則について説明も受けていなかったのかな?今までの様子から学園の基本的な事から知らず、授業さえ受けていたようにも見えなかったけれど。
「新しく加わった校則が出来てからこの学園でも22年前の騒動の様な事は起きていなかったんですよ。
残念ながら今日、校則違反が起こってしまいましたけど。」
えぇ、私という犠牲者付きで。
「校則違反て、まさか、婚約破棄の事なのか?」
まだ釈然としない顔付きでアルが不用意に言ったけど、今のもカウントされたみたいよ?
「勿論です。元々、22年前もこの場で起こった事ですからね。学園としてもその後の対応の不手際を反省もし、法律の制定を受けて同じ事が起きない様に、と厳しい校則と罰則が出来たのです。
校則第9条、学園に入学した生徒は学園内で、如何なる理由があろうと保護者の承諾無しに一方的な婚約破棄を言い渡してはならない。
第11条、生徒は学園で行われる学園行事に於いて、公衆の面前で婚約破棄を宣言してはならない。」
校則を言っただけだから私の言葉はカウントされないよね、先生?
そっと学年主任の先生に視線を移せば、気持ちが伝わったのかにこやかに頷いてくれた。
「はぁ~!?そんな校則、初めて聞いたぞ!」
アルが素っ頓狂な声で言うけど、入学のしおりにも生徒手帳にも赤字で書かれているからね?どの家庭でも入学前に家族から教えられている内容だと思うよ。
この2つの校則は同じ内容のようだけれど、実は罰則に違いがあるんだよねぇ。アル、それに婚約破棄に関する校則はまだ他にもあるんだよ。
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