騎士団長の幼なじみ

入海月子

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愛される喜び②

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(あぁ、なんて幸せ)

 彼の硬い胸に顔を預けて、しみじみと無上の喜びに浸った。
 ラディアンは私の手を取り、指輪をつけてくれる。
 毎年贈られてきたのはすべて青い宝石のついたジュエリーだった。
 ペンダント、ブレスレット、髪留めなど、ありとあらゆるものがあったのに、指輪だけなかった。
 それが私に気がない証拠だと思っていた。
 でも、私が成人した時のプレゼントにするために取っておいただけだったらしい。

(もうっ、早く言ってくれたらよかったのに!)

 そう思うものの、ずっと私を想い続けてくれたラディアンが愛おしい。
 自分の指に光る指輪を見て、ラディアンの瞳と同じ色でうれしくなった。
 もう私はラディアンのものだと。
 見上げると、彼も万感の思いを瞳に宿して、私を見ていた。
 私たちは見つめ合い、引き寄せられるように唇を合わせた。
 
 
 その後、ラディアンはメイドを呼んで、私の身だしなみを整えさせてくれた。
 馴染みのメイドは、まあまあと目を丸くしたあと、微笑んで、私たちを祝福してくれた。

「まずはシェルム伯爵に挨拶に行く」

 まだ動けない私をラディアンはお姫様抱っこして、シェルム家へと運んだ。
 うちでは朝になり、私の部屋がもぬけの殻だったので、大騒ぎになっていた。

「シェルム伯爵、マールとの結婚をお許しください」

 そう言って頭を下げたラディアンをお父様はあきれたように見た。
 私を抱っこしてラディアンがやってきた段階で薄々わかっていたようだが、その気があるならもっと早く言えと顔をしかめた。

「もう遅い。マールにはダンリケ侯爵から縁談が来ているんだぞ?」
「そちらは私がなんとかします。だから、どうか許可を!」
「お父様、お願いします! 私はラディアンと結婚したいです! そうでないなら、私は修道院に入ります」
「マール、だめだ!」
「だって……。ねぇ、お父様、お願い!」
「シェルム伯爵、どうかお願いします!」

 必死で訴える私たちを交互に見て、お父様は溜め息をついた。

「侯爵の問題が片づくのなら、私はなにも言わない」
「ありがとうございます!」
「ありがとうございます、お父様」

 私たちは手を取り合って喜んだ。
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