乙女ゲームの悪役ボスに生まれ変わったけど、ヒロイン可愛すぎてつらい。

ファネシス

文字の大きさ
25 / 60
第1章

20

しおりを挟む
「恋人でもない人にこんな事されたくありません!」

なんとか逃れようと拒絶の言葉を口にする。だが、キリトは意にも介さず、私の額に唇を寄せ口付ける。

「こんな事ってどんな事かな。」

「ふざけないでください!」

そのまま唇が右頬を伝って唇のすぐ横にチュッと音を立てて口をつける。

「君が俺の気持ちを冗談なんていうから。」

確かに冗談と決めつけてなかった事にしようとしたのは、気持ちを踏みにじるようで悪かったかもしれないが。

「いきなり、そんな事を言われても本気になんてできません。」

「そうだね。そうかもしれないね。」

私の言葉に同意をするが、適当に合わせているだけに聞こえる。
キリトの唇は更に下に降りていき首筋をなぞる。くすぐったくて離れようとするが、体を押さえ込まれる。

「君は、いつも何処か無関心で冷めてるよね。」

そう言いながら私のカッターシャツのボタンを上から順に外していく。

「な、何やって!?」

慌てて手で抑えようとするが、手を掴まれる。おそらく奴の魔法だろう。そのまま手が頭上で縛られ固定される。

「でも、時折寂しそうな目をしてる時がある。」

第三ボタンまで開けられ胸元が開き素肌が露わになる。
露わになった肌の鎖骨をなぞるように口付けられる。

「…やっ」

思わず変な高い声が出てしまった。
きっと今私の顔は真っ赤だろう。
可愛い声だねといってキリトは鎖骨に更に強く唇を吸い付けた。

「……特にフォオナちゃんを見ている時の君は表情をコロコロ変える。」

「フィオナは私の大切な宝物だもの……。」

「そうみたいだね。君を観察していて分かったよ。君はフィオナちゃんに害をなそうとしているわけではないって。」

強く吸い付けた鎖骨を今度は優しく舌で舐める。ゾワッと背中が震える。

「ふっ……んん」

自分の声と思えない高い声が出て羞恥が増す。
キリトは満足そうな顔をして言葉を続けた。

「君がフィオナちゃんに害をなそうとしていないとわかっても、君の事をよく観察してた。」

やっぱりストーカー変質者じゃないか。

「無関心で冷めているように見えて、意外にも羞恥や驚きで表情を変えるのがかわいくてね。でも、時折見せる寂しげな表情が気になって。」

キリトが私の胸、心臓がある部分に口付ける。

「君はこの胸に何を悩んで何を隠しているの?」

ふとキリトの顔を見ると心配そうに自分を覗き込んでいた。その瞳は怪しげな輝きはなく本当に私を心配しているようだった。

「別にあなたに関係ないじゃない。」

でも素直じゃない私はそんな強がりを言って拒絶した。

「うーん、そっかぁ。言ってくれないか。当然だよね。」

予想済みだったのか少し棒読み加減でニコニコと言うキリト。

「うんうん、仕方ないね。じゃ、言ってくれるまで続きをしようか。」

「へ?」

彼はそう言って私のスカートの間に手を入れ太ももの内側をさすった。

「きゃあ!」

「どうする? 言わないとどんどん奥に触れるよ?」

「この変態! 鬼畜!」

彼の手が足を伝って上へと上がっていく。焦らすようにジワジワと。

「や、やめて。」

「俺は最後までしても良いけどね?」

クスクスと悪戯っぽく笑いながら手を進めていくキリト。

「や、やだ。最後までって何よ!」

「言って欲しいの?」

「言わなくていい!」

手がだんだんと際どい場所へ近付く。
こ、これ以上は無理だ。

「フィ、フィオナは」

私は少し上ずった声で言う。

「フィオナちゃんは?」

「私の双子の妹なの!」

「!」

彼の手が止まった。

「……彼女は一人娘なはずだけど。」

「あなたは知らないと思うわ。私は塔で軟禁状態だったもの。」

キリトは私の事を知らない。
記憶を思い出してから分かったが、私は幼い頃キリトを見かけたことがある。塔から。フィオナと二人で庭で遊んでいるのを見た。

「貴方とフィオナが小さい頃、庭で遊んでいたの知ってる。」

「そういえば、絶対に近づかないようにと言われた塔があったね。そうか、君はあそこにいたのか。」

納得したようにキリトが頷く。いつの間にか腕の拘束も解かれていた。
私は彼から勢いよく距離をとり乱された服を直した。

「そうよ。これで良いでしょ。ちゃんと話したわ。」

私は彼に向かって冷たく言い放つ。
最悪だ。こんな事をされて、重大な秘密を変態男に話してしまった。

「まだ、何か秘密がありそうだけどね?」

「少しくらい秘密が残っている方が良いわ。」

キリトは今の所それで満足したらしくこれ以上詰め寄る事はなかった。

「じゃあ、俺からはこれからの話をしようかな。君もここから出たいでしょう?」

私は少し複雑だった。
ここから出たいという気持ちはある。だが、フィオナに拒絶されたらどうしよう。いや、その前に私はゲームの中でラスボスなのだ。ルートがよくわからない事になっているので、どうなるか予測がつかないがフィオナを傷つけてしまう事には変わりない。それなら、ここで閉じこもっていた方が良いのでは考えてしまう自分がいるのも事実だった。

そんな私の心中を勘付いたのか

「ここから出たくないの?  俺はそれでも良いよ。」

キリトが意外な事を言った。
彼だって私の見張りでずっとこんな場所にいたくはないだろうに。

「俺は君が好きだからね。君がここに閉じこもってる方が都合が良い。」

「何でよ?」

「ここに君がいるならば、他の男に取られる心配もない。……ここにいて俺だけを見て、俺しかいないのなら。君は俺を好きにならざるを得ないよね?」

ゾクッ

背筋が震えた。
そうだ、彼はヤンデレキャラ。自分にとって大切なものしか興味がないんだ。
ゲームでフィオナに執着したキリトがシェリアを殺害する画面が思い出された。
彼はなぜか私に興味を抱いている。本来ならフィオナの立ち位置に私がいる。
い、いやだ。こんな怖い人と死ぬまで一緒なんて私には無理だ。

「いえ、頑張ってこの場所から出ようと努力をしようと思います。」

私は即座にそう宣言した。
キリトは残念だなあと言っていたが、何処まで本気なのかわからなくて対応に困る。

こうして、キリトとの生活が始まったのである。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

社畜OLが学園系乙女ゲームの世界に転生したらモブでした。

星名柚花
恋愛
野々原悠理は高校進学に伴って一人暮らしを始めた。 引越し先のアパートで出会ったのは、見覚えのある男子高校生。 見覚えがあるといっても、それは液晶画面越しの話。 つまり彼は二次元の世界の住人であるはずだった。 ここが前世で遊んでいた学園系乙女ゲームの世界だと知り、愕然とする悠理。 しかし、ヒロインが転入してくるまであと一年ある。 その間、悠理はヒロインの代理を務めようと奮闘するけれど、乙女ゲームの世界はなかなかモブに厳しいようで…? 果たして悠理は無事攻略キャラたちと仲良くなれるのか!? ※たまにシリアスですが、基本は明るいラブコメです。

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

貧乏貴族の俺が貴族学園随一の麗しき公爵令嬢と偽装婚約したら、なぜか溺愛してくるようになった。

ななよ廻る
恋愛
貴族のみに門戸を開かれた王国きっての学園は、貧乏貴族の俺にとって居心地のいい場所ではなかった。 令息令嬢の社交場。 顔と身分のいい結婚相手を見つけるための場所というのが暗黙の了解とされており、勉強をしに来た俺は肩身が狭い。 それでも通い続けているのは、端的に言えば金のためだ。 王国一の学園卒業という箔を付けて、よりよい仕事に就く。 家族を支えるため、強いては妹に望まない結婚をさせないため、俺には嫌でも学園に通う理由があった。 ただ、どれだけ強い決意があっても、時には1人になりたくなる。 静かな場所を求めて広大な学園の敷地を歩いていたら、薔薇の庭園に辿り着く。 そこで銀髪碧眼の美しい令嬢と出会い、予想もしなかった提案をされる。 「それなら、私と“偽装婚約”をしないかい?」 互いの利益のため偽装婚約を受け入れたが、彼女が学園唯一の公爵令嬢であるユーリアナ・アルローズと知ったのは後になってからだ。 しかも、ユーリアナは偽装婚約という関係を思いの外楽しみ始めて―― 「ふふ、君は私の旦那様なのだから、もっと甘えてもいいんだよ?」 偽装婚約、だよな……? ※この作品は『カクヨム』『小説家になろう』『アルファポリス』に掲載しております※ ※ななよ廻る文庫(個人電子書籍出版)にて第1巻発売中!※

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

転生先のご飯がディストピア飯だった件〜逆ハーレムはいらないから美味しいご飯ください

木野葛
恋愛
食事のあまりの不味さに前世を思い出した私。 水洗トイレにシステムキッチン。テレビもラジオもスマホある日本。異世界転生じゃなかったわ。 と、思っていたらなんか可笑しいぞ? なんか視線の先には、男性ばかり。 そう、ここは男女比8:2の滅び間近な世界だったのです。 人口減少によって様々なことが効率化された世界。その一環による食事の効率化。 料理とは非効率的な家事であり、非効率的な栄養摂取方法になっていた…。 お、美味しいご飯が食べたい…! え、そんなことより、恋でもして子ども産め? うるせぇ!そんなことより美味しいご飯だ!!!

悪役令嬢に転生したけど、知らぬ間にバッドエンド回避してました

神村結美
恋愛
クローデット・アルトー公爵令嬢は、お菓子が大好きで、他の令嬢達のように宝石やドレスに興味はない。 5歳の第一王子の婚約者選定のお茶会に参加した時も目的は王子ではなく、お菓子だった。そんな彼女は肌荒れや体型から人々に醜いと思われていた。 お茶会後に、第一王子の婚約者が侯爵令嬢が決まり、クローデットは幼馴染のエルネスト・ジュリオ公爵子息との婚約が決まる。 その後、クローデットは体調を崩して寝込み、目覚めた時には前世の記憶を思い出し、前世でハマった乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生している事に気づく。 でも、クローデットは第一王子の婚約者ではない。 すでにゲームの設定とは違う状況である。それならゲームの事は気にしなくても大丈夫……? 悪役令嬢が気付かない内にバッドエンドを回避していたお話しです。 ※溺れるような描写がありますので、苦手な方はご注意ください。 ※少し設定が緩いところがあるかもしれません。

転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました

空飛ぶひよこ
恋愛
実家の養鶏場を手伝いながら育ち、後継ぎになることを夢見ていていた梨花。 結局、できちゃった婚を果たした元ヤンの兄(改心済)が後を継ぐことになり、進路に迷っていた矢先、運悪く事故死してしまう。 転生した先は、ゲームのようなファンタジーな世界。 しかし、実家は養鶏場ならぬ、養コカトリス場だった……! 「やった! 今度こそ跡継ぎ……え? 姉さんが婿を取って、跡を継ぐ?」 農家の後継不足が心配される昨今。何故私の周りばかり、後継に恵まれているのか……。 「勤労意欲溢れる素敵なお嬢さん。そんな貴女に御朗報です。新規国営牧場のオーナーになってみませんか? ーー条件は、ただ一つ。牧場でドラゴンの卵も一緒に育てることです」 ーーそして謎の牧場経営型乙女ゲームが始まった。(解せない)

処理中です...