34 / 60
第2章
7
しおりを挟む
「うっ……気持ち悪い……。」
予想はしていたが、フィオナの魔力で私の体調は少し悪くなった。だが、学園長の時より随分マシだ。
「大丈夫、シェリア!?」
フィオナが血相を変えて私に駆け寄る。私を心配してくれるのか。本当に優しい子だな。
「体調が悪いなら、もっと早くに言うべきだろう。」
スウォンが私の様子を見て正論を言う。だが、口調は優しく一応、心配してくれたようだ。
「大丈夫。すぐに回復するから。……これも含めてお話をします。」
支えてくれるフィオナに礼を言って、みんなに向き直る。
私たちが移動したのは、ルイスの学園近くの別邸だ。貴族の家の中でも彼の家は位が高い。別邸を至る所に持っているという話だ。
街の中に紛れるように立っている彼の別邸。一見普通の家に見えるが、内装は良いものを使っているのが分かった。
ルイスに案内されて部屋の居間に全員が集まる。
私は自分が闇属性の魔法の持ち主だと彼らに伝えた。そして、私が体調が悪くなる理由を告げるにあたりフィオナが光属性の使い手だという事を。
本当は姉妹という事を伝えたかったが、何故か口が止まって言えなかった。これは今度二人きりになった時話そう。
「フィオナが光魔法、シェリアが闇の使い手か……。珍しい二つの属性がこうして集うなど偶然にしても奇妙な話だな。まるで、小説みたいだ。」
ルヴィが私の話を聞いて頷きながらも訝しむ。
乙女ゲームの世界だからご都合主義なのは納得だが。
「じゃあ、私が他人の魔法を増幅するのが得意なのも光属性の特性なんですね。」
フィオナが納得したと言うように首をふる。
「大体の事情はわかったが、ここに引きこもっているわけにもいかない。どうするつもりだ。シェリア?」
「俺は別にここにいてくれても良いけどね~? そしたら、シェリアちゃんに会いに天使ちゃんがここに来てくれるし?」
天使ちゃんとはフィオナのことだろうか?
そういえば、交流会の時にフィオナに一目惚れしたと言っていた気が……。
「あ、あの。前から言っていますけどその呼び方恥ずかしいのでやめてください……。」
フィオナが顔を赤くして俯き加減で言う。
か、かわいい!
するとルイスがフィオナを後ろから抱きしめた。
「きゃっ!?」
「驚いた声もかわいいな。天使ちゃん。うん、やっぱり君は俺の天使ちゃんだよ。」
何言ってんだこいつ。フィオナは私の天使である。文句を言おうと私が口を開くより先に口を出した奴がいた。そう、スウォンだ。
「ふざけるな。ルイス。軽々しくフィオナに触れるんじゃない。」
虫でも払うかのようにルイスに手をやり、フィオナから引き剥がす。
「えー、もしかして、もうスウォンの者になっちゃったの?」
「な、ち、ちがう! お、俺は先輩としてだな……!」
「なら、いいじゃん。俺が天使ちゃんにナニをしても。」
なんか卑猥なアクセントだった気がする。
「ふざけるな! フィオナは俺の……」
会長が何かいいかける。が、この争いを私が黙って見ているわけがない。フィオナはまだ私のである。
「いい加減にしてください。フィオナは私のお友達です。誰にも渡す気はありません。」
私は杖を構えた。
「あ、あのー……」
「ふん、力で奪うか。悪くない。いざ…」
「えー。俺、不利じゃん。でもまあたまにはいいかな? 天使ちゃん、俺を見ていてね。惚れ直しちゃうかもよ?」
ルヴィナスが呆れた目でこちらを見ている気配が伝わってくる。だが、仕方がない。こればかりは譲れない。魔法が飛び交うかと思われたその時、
「いい加減にしてください! 私は誰の者でもありません!」
フィオナの怒った声が室内に響き渡った。
「フィオナ……。」
「天使ちゃん。」
「フィオナ。」
私たち三人は怒られてがっくしと肩を落とす。
「お前たち阿呆だろう。」
ルヴィナスがじとっとした目でこちらを見ていた。いや、自分でもそう思うけど……。
「ともかく今はこれからのことを話し合うべきです。」
フィオナがきっちりと場をまとめる。いつの間にこんなに成長したのだろう。お姉ちゃん嬉しいよ。
「でも、具体的な案なんてあるのか、シェリア? というより、俺たちに会わなかった場合脱走してどうするつもりだったんだ。」
「フィオナに用件を伝えたら、行こうと思っていたところがあるの。……私は最終的にはそこに行かないといけない。自分の力を制御するためにも。」
監禁されていた時に思った。一人で闇魔法の訓練を積んでいても限界がある。私は根本的にこの力の使い方をわかっていない。だが、闇魔法は謎に包まれている。フィオナの光魔法は他社の力を増幅したり、回復させたりそういった用途がある。だが、私の力にはそんなものはない。ただ、破壊するだけ。壊すだけ。
ゲームでシェリアの力に詳しい説明はなされてなかった。ただ、巨大な力を持っている描写だけだ。まあ、恐らく闇属性思ってるんだろうねとプレイヤーに思わせる風なだけだ。
詳しい力の使い方は記されておらず、ボスとして立ちはだかりころっと死ぬだけだ。
それなら、闇魔法について詳しい奴に教えを請うしかない。
「君、もしかして。ゼノっていう人のところに行こうとしているの?」
勘のいいルイスは私が考えていたことを察したようだ。賢い男である。
「な、そんなのダメだ。折角こうして会えたのに。」
ルヴィナスが慌てて私の腕を掴みこちらを引き止める。まだ、行こうとしてもないのに気がはやい。
「ありがとう、ルヴィ。でも、あなたも見たでしょう。私の力。私は大勢の生徒を傷つけた。ルヴィだって怪我をさせてしまったもの。私のこと怖いでしょう?」
みんなを傷つけたのだ。普通、怖がられる。それは当然だ。
「確かにお前が人を傷つけたのは事実だ。正直、俺はお前の力が恐ろしいよ。なす術なく、この俺が倒されたんだからな。」
スウォンの言葉はいつも事実を実感させる。現実的で冷たいように感じるが、私にとってとてもありがたかった。
「でも、わざわざそんな怪しい人のところへ行かなくてもいいよ!」
「たしかに、ゼノは全身真っ黒、謎な言動、加えてロリコンで怪しいけど……」
「えっ、ロリ……?」
「でも、私が闇魔法を制御する上で彼の知識は必要になる。」
昔、教えてもらった姿を変える魔法。今までに聞いたことのない呪文だった。ゼノは呪文の知識も相当なのだろう。
私はこの闇属性の魔法を使いこなせないと、闇に飲まれフィオナと敵対し傷つけてしまうだろう。闇に飲まれた時、フィオナが止めなければ
私は生徒を殺していた。そして、スウォンの元へ行こうとしたフィオナも……憎いと思った。
「私は闇に飲まれないためにもこれを制御しなきゃいけない。癪だけど、ゼノが一番適任だわ。」
「だが、あいつは何を考えているかわからないぞ。もしかしたら、同じような目にあうかもしれないだろう!」
あいつは私を花嫁にとかなんとか言っていた。恐らく同じ闇属性だから執着しているのだろう。ゲームでフィオナがゼノルートに行った時はフィオナが誰とも仲良くならなかった時だった。交流会で一人でいるフィオナをゼノが気にとめるのだ。同じ孤独を持つ者として。
……そうか。彼は根本的に孤独を寂しがっている男なのかもしれない。だから、仲間を欲しがっている。決して裏切らない同胞を。
なんとなく彼の孤独がわかる。家が崩壊した後、私も孤独な時期があったから。
「大丈夫。私も考えなしで突っ込むわけじゃないから。」
私は皆にそういって頷いた。
「待って。シェリア」
彼女が真剣な目で私を見る。少しどきりと胸がなる。フィオナにしては珍しくとてもしっかりとした眼差しでこちらを見つめているからだ。
「どうしたの、フィオナ?」
私は少し間を空けてきき返す。
「私もシェリアについて行く。」
「え?」
「は?」
「ん?」
「えー?」
四人全員の声が同時に揃った。
皆、呆気にとられている。
「私の光魔法はシェリアに取って弱点なのよね?」
「ま、あ。そういう事になるわね……。」
「なら、シェリアとゼノが悪い事をしようとしたら私が全力で止める。だからシェリア。私はあなたと一緒に行きたい。」
何を言っているんだろう。彼女は。
そんな事になったらフィオナはまず生きていられないのに。
「お願い。シェリア。私、今あなたを一人で行かせたらきっと後悔する気がするの。」
どこかいつもふわふわして、にこやかに笑っているフィオナ。乙女ゲームの主人公にありがちな流されやすい部分がある。真面目で努力家な部分はあるけど、ここまではっきりとした意思表示をするのは稀だ。いや、初めてかもしれない。
はーー……。
誰かがため息をついた。
「わかった。二人とも。行け。」
ため息の持ち主のスウォンはそう一言告げた。
「彼女たちを二人で行かせるのか!?」
「スウォンらしくない発想だね。」
他の二人が口を挟む。
「ここで閉じこもっていてもいずれシェリアの魔法は制御がきかなくなるだろう。なら、詳しい奴に教えを請うたほうがいい。」
「だが……。」
「学園にいたら学園長に臭いものは蓋をするように隠蔽されるだけだ。なら、賭けてみよう。」
「ありがとうございます。会長。」
「ふん。フィオナを傷つけないようにせいぜい頑張るんだな。」
「学校の方は俺たちがなんとかするしかないね~。学園長とあのキリト先生をごまかすんだから相当な労力だよ。働きたくないなぁ。」
「お前は生徒会副会長だろう。働け。ルヴィナス、お前も働いてもらうぞ。」
「ひどいなぁ。」
「ぼ、僕もか!? まあ、構わないが。」
三人も影ながら協力してくれるようだ。感謝しよう。
私はフィオナの方に顔を向けた。
フィオナはこちらを見て微笑んだ。ああ、彼女の顔を見ていたらなんとかなる気がする。
楽観的かもしれない。もっといい方法があったのかもしれない。だけど、今の時点で私が考えられる最善だ。
最後まであがいてみよう。
予想はしていたが、フィオナの魔力で私の体調は少し悪くなった。だが、学園長の時より随分マシだ。
「大丈夫、シェリア!?」
フィオナが血相を変えて私に駆け寄る。私を心配してくれるのか。本当に優しい子だな。
「体調が悪いなら、もっと早くに言うべきだろう。」
スウォンが私の様子を見て正論を言う。だが、口調は優しく一応、心配してくれたようだ。
「大丈夫。すぐに回復するから。……これも含めてお話をします。」
支えてくれるフィオナに礼を言って、みんなに向き直る。
私たちが移動したのは、ルイスの学園近くの別邸だ。貴族の家の中でも彼の家は位が高い。別邸を至る所に持っているという話だ。
街の中に紛れるように立っている彼の別邸。一見普通の家に見えるが、内装は良いものを使っているのが分かった。
ルイスに案内されて部屋の居間に全員が集まる。
私は自分が闇属性の魔法の持ち主だと彼らに伝えた。そして、私が体調が悪くなる理由を告げるにあたりフィオナが光属性の使い手だという事を。
本当は姉妹という事を伝えたかったが、何故か口が止まって言えなかった。これは今度二人きりになった時話そう。
「フィオナが光魔法、シェリアが闇の使い手か……。珍しい二つの属性がこうして集うなど偶然にしても奇妙な話だな。まるで、小説みたいだ。」
ルヴィが私の話を聞いて頷きながらも訝しむ。
乙女ゲームの世界だからご都合主義なのは納得だが。
「じゃあ、私が他人の魔法を増幅するのが得意なのも光属性の特性なんですね。」
フィオナが納得したと言うように首をふる。
「大体の事情はわかったが、ここに引きこもっているわけにもいかない。どうするつもりだ。シェリア?」
「俺は別にここにいてくれても良いけどね~? そしたら、シェリアちゃんに会いに天使ちゃんがここに来てくれるし?」
天使ちゃんとはフィオナのことだろうか?
そういえば、交流会の時にフィオナに一目惚れしたと言っていた気が……。
「あ、あの。前から言っていますけどその呼び方恥ずかしいのでやめてください……。」
フィオナが顔を赤くして俯き加減で言う。
か、かわいい!
するとルイスがフィオナを後ろから抱きしめた。
「きゃっ!?」
「驚いた声もかわいいな。天使ちゃん。うん、やっぱり君は俺の天使ちゃんだよ。」
何言ってんだこいつ。フィオナは私の天使である。文句を言おうと私が口を開くより先に口を出した奴がいた。そう、スウォンだ。
「ふざけるな。ルイス。軽々しくフィオナに触れるんじゃない。」
虫でも払うかのようにルイスに手をやり、フィオナから引き剥がす。
「えー、もしかして、もうスウォンの者になっちゃったの?」
「な、ち、ちがう! お、俺は先輩としてだな……!」
「なら、いいじゃん。俺が天使ちゃんにナニをしても。」
なんか卑猥なアクセントだった気がする。
「ふざけるな! フィオナは俺の……」
会長が何かいいかける。が、この争いを私が黙って見ているわけがない。フィオナはまだ私のである。
「いい加減にしてください。フィオナは私のお友達です。誰にも渡す気はありません。」
私は杖を構えた。
「あ、あのー……」
「ふん、力で奪うか。悪くない。いざ…」
「えー。俺、不利じゃん。でもまあたまにはいいかな? 天使ちゃん、俺を見ていてね。惚れ直しちゃうかもよ?」
ルヴィナスが呆れた目でこちらを見ている気配が伝わってくる。だが、仕方がない。こればかりは譲れない。魔法が飛び交うかと思われたその時、
「いい加減にしてください! 私は誰の者でもありません!」
フィオナの怒った声が室内に響き渡った。
「フィオナ……。」
「天使ちゃん。」
「フィオナ。」
私たち三人は怒られてがっくしと肩を落とす。
「お前たち阿呆だろう。」
ルヴィナスがじとっとした目でこちらを見ていた。いや、自分でもそう思うけど……。
「ともかく今はこれからのことを話し合うべきです。」
フィオナがきっちりと場をまとめる。いつの間にこんなに成長したのだろう。お姉ちゃん嬉しいよ。
「でも、具体的な案なんてあるのか、シェリア? というより、俺たちに会わなかった場合脱走してどうするつもりだったんだ。」
「フィオナに用件を伝えたら、行こうと思っていたところがあるの。……私は最終的にはそこに行かないといけない。自分の力を制御するためにも。」
監禁されていた時に思った。一人で闇魔法の訓練を積んでいても限界がある。私は根本的にこの力の使い方をわかっていない。だが、闇魔法は謎に包まれている。フィオナの光魔法は他社の力を増幅したり、回復させたりそういった用途がある。だが、私の力にはそんなものはない。ただ、破壊するだけ。壊すだけ。
ゲームでシェリアの力に詳しい説明はなされてなかった。ただ、巨大な力を持っている描写だけだ。まあ、恐らく闇属性思ってるんだろうねとプレイヤーに思わせる風なだけだ。
詳しい力の使い方は記されておらず、ボスとして立ちはだかりころっと死ぬだけだ。
それなら、闇魔法について詳しい奴に教えを請うしかない。
「君、もしかして。ゼノっていう人のところに行こうとしているの?」
勘のいいルイスは私が考えていたことを察したようだ。賢い男である。
「な、そんなのダメだ。折角こうして会えたのに。」
ルヴィナスが慌てて私の腕を掴みこちらを引き止める。まだ、行こうとしてもないのに気がはやい。
「ありがとう、ルヴィ。でも、あなたも見たでしょう。私の力。私は大勢の生徒を傷つけた。ルヴィだって怪我をさせてしまったもの。私のこと怖いでしょう?」
みんなを傷つけたのだ。普通、怖がられる。それは当然だ。
「確かにお前が人を傷つけたのは事実だ。正直、俺はお前の力が恐ろしいよ。なす術なく、この俺が倒されたんだからな。」
スウォンの言葉はいつも事実を実感させる。現実的で冷たいように感じるが、私にとってとてもありがたかった。
「でも、わざわざそんな怪しい人のところへ行かなくてもいいよ!」
「たしかに、ゼノは全身真っ黒、謎な言動、加えてロリコンで怪しいけど……」
「えっ、ロリ……?」
「でも、私が闇魔法を制御する上で彼の知識は必要になる。」
昔、教えてもらった姿を変える魔法。今までに聞いたことのない呪文だった。ゼノは呪文の知識も相当なのだろう。
私はこの闇属性の魔法を使いこなせないと、闇に飲まれフィオナと敵対し傷つけてしまうだろう。闇に飲まれた時、フィオナが止めなければ
私は生徒を殺していた。そして、スウォンの元へ行こうとしたフィオナも……憎いと思った。
「私は闇に飲まれないためにもこれを制御しなきゃいけない。癪だけど、ゼノが一番適任だわ。」
「だが、あいつは何を考えているかわからないぞ。もしかしたら、同じような目にあうかもしれないだろう!」
あいつは私を花嫁にとかなんとか言っていた。恐らく同じ闇属性だから執着しているのだろう。ゲームでフィオナがゼノルートに行った時はフィオナが誰とも仲良くならなかった時だった。交流会で一人でいるフィオナをゼノが気にとめるのだ。同じ孤独を持つ者として。
……そうか。彼は根本的に孤独を寂しがっている男なのかもしれない。だから、仲間を欲しがっている。決して裏切らない同胞を。
なんとなく彼の孤独がわかる。家が崩壊した後、私も孤独な時期があったから。
「大丈夫。私も考えなしで突っ込むわけじゃないから。」
私は皆にそういって頷いた。
「待って。シェリア」
彼女が真剣な目で私を見る。少しどきりと胸がなる。フィオナにしては珍しくとてもしっかりとした眼差しでこちらを見つめているからだ。
「どうしたの、フィオナ?」
私は少し間を空けてきき返す。
「私もシェリアについて行く。」
「え?」
「は?」
「ん?」
「えー?」
四人全員の声が同時に揃った。
皆、呆気にとられている。
「私の光魔法はシェリアに取って弱点なのよね?」
「ま、あ。そういう事になるわね……。」
「なら、シェリアとゼノが悪い事をしようとしたら私が全力で止める。だからシェリア。私はあなたと一緒に行きたい。」
何を言っているんだろう。彼女は。
そんな事になったらフィオナはまず生きていられないのに。
「お願い。シェリア。私、今あなたを一人で行かせたらきっと後悔する気がするの。」
どこかいつもふわふわして、にこやかに笑っているフィオナ。乙女ゲームの主人公にありがちな流されやすい部分がある。真面目で努力家な部分はあるけど、ここまではっきりとした意思表示をするのは稀だ。いや、初めてかもしれない。
はーー……。
誰かがため息をついた。
「わかった。二人とも。行け。」
ため息の持ち主のスウォンはそう一言告げた。
「彼女たちを二人で行かせるのか!?」
「スウォンらしくない発想だね。」
他の二人が口を挟む。
「ここで閉じこもっていてもいずれシェリアの魔法は制御がきかなくなるだろう。なら、詳しい奴に教えを請うたほうがいい。」
「だが……。」
「学園にいたら学園長に臭いものは蓋をするように隠蔽されるだけだ。なら、賭けてみよう。」
「ありがとうございます。会長。」
「ふん。フィオナを傷つけないようにせいぜい頑張るんだな。」
「学校の方は俺たちがなんとかするしかないね~。学園長とあのキリト先生をごまかすんだから相当な労力だよ。働きたくないなぁ。」
「お前は生徒会副会長だろう。働け。ルヴィナス、お前も働いてもらうぞ。」
「ひどいなぁ。」
「ぼ、僕もか!? まあ、構わないが。」
三人も影ながら協力してくれるようだ。感謝しよう。
私はフィオナの方に顔を向けた。
フィオナはこちらを見て微笑んだ。ああ、彼女の顔を見ていたらなんとかなる気がする。
楽観的かもしれない。もっといい方法があったのかもしれない。だけど、今の時点で私が考えられる最善だ。
最後まであがいてみよう。
0
あなたにおすすめの小説
社畜OLが学園系乙女ゲームの世界に転生したらモブでした。
星名柚花
恋愛
野々原悠理は高校進学に伴って一人暮らしを始めた。
引越し先のアパートで出会ったのは、見覚えのある男子高校生。
見覚えがあるといっても、それは液晶画面越しの話。
つまり彼は二次元の世界の住人であるはずだった。
ここが前世で遊んでいた学園系乙女ゲームの世界だと知り、愕然とする悠理。
しかし、ヒロインが転入してくるまであと一年ある。
その間、悠理はヒロインの代理を務めようと奮闘するけれど、乙女ゲームの世界はなかなかモブに厳しいようで…?
果たして悠理は無事攻略キャラたちと仲良くなれるのか!?
※たまにシリアスですが、基本は明るいラブコメです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
痩せすぎ貧乳令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます
ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。
そして前世の私は…
ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。
とあるお屋敷へ呼ばれて行くと、そこには細い細い風に飛ばされそうなお嬢様がいた。
お嬢様の悩みは…。。。
さぁ、お嬢様。
私のゴッドハンドで世界を変えますよ?
**********************
転生侍女シリーズ第三弾。
『おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』
『醜いと蔑まれている令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』
の続編です。
続編ですが、これだけでも楽しんでいただけます。
前作も読んでいただけるともっと嬉しいです!
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした
果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。
そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、
あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。
じゃあ、気楽にいきますか。
*『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる