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第2章
サブストーリー ~俺のものになってよね~
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「ふふ、やっぱり逃げられちゃったね。」
俺が朝に魔方陣を使って、この部屋に来るとシェリアの姿は見えずもぬけの殻だった。
魔方陣が書き換えられているのも気づいた。恐らくルイスだろう。彼くらいしかこんな真似をできそうな生徒はいない。
俺が彼女につけた足枷。無理に魔法で破った形跡があった。すごい力だなと感心してしまう。
いずれ、シェリアの魔法をこの中で閉じ込めておくのは不可能だろうと思っていた。彼女の魔法の上達はとても早かった。上達するにつれ、魔力の強さも上がっているように見えた。
いかにクレアメンスの結界とて支えきれないだろう。そう、感じていた矢先に逃げられた。
俺はシェリアが使っていたベッドに寝転ぶ。
ふわりと彼女の香りがまだ残っていた。本当は閉じ込めてしまいたかったけれど、仕方がない。
「夢の時間は終わりだね~。」
どこかでこの生活は終わるだろうと直感していた。
……俺はシェリアが好きだ。
子供の時に出会った彼女。最初、あの寂しげな笑顔が気になった。その時はフィオナだと思っていたけれど。
フィオナは周りを癒すような愛らしい笑顔だ。対してシェリアは悟ったような悲しい笑顔。子供なのにどこか大人びて全てを諦めていたような苦しい笑顔。どこか俺を惹きつけてやまなかった。
大きくになるにつれ、フィオナの姿と記憶の中の寂しい笑顔の女の子に違和感を持つようになった。それから事件が起きて彼女とは会えなくなってしまった。
学園でフィオナに会った時はそんな違和感のことなんて忘れて、とても嬉しかった。
だけど、同時にフィオナの様子を伺っていたシェリアが気になった。まさか、その時は彼女たちは双子で、シェリアが気になった少女本人だとは考えもしなかった。
「ああ、欲しいなあ。」
俺は手を空に伸ばし何かを捕まえるように握りしめる。
シェリアが欲しい。どうしても。
大人になった彼女は寂しげな笑顔をしなくなっていたけれど。きっと寂しさを埋める何かができたんだろう。本当はそれに俺がなりたかったな。
でも、彼女はここから出て行った。
俺がそれになることはできない。彼女の寂しさを埋めた者はなんだろう。孤独を埋めたのは誰なんだろう。……わかりきったことか。
「君の大切な者はフィオナちゃんなんだね。」
とても愛おしそうな目でいつもフィオナちゃんの様子を見ていたシェリア。
今、彼女の中はフィオナでいっぱいで満たされているんだろう。試験の日に魔力が暴発したのもフィオナがきっかけだった。
肝心のフィオナはシェリアを双子の姉とわかっていないみたいだけど。
「君はそれで満たされるのかな?」
いくら愛情を注いでも自分のことは思い出してもくれない。それどころかフィオナはスウォンに惚れているようだ。
俺だったら満たされない。好きな人に他の人なんて見て欲しくない。俺だけ見て欲しい。俺しか考えて欲しくない。俺だけ。俺だけを見て。
さて、彼女はここからどうするんだろう。
きっと責任感が強いから自分の魔法を制御して更に極めようとするんだろう。そうすると、必然的にゼノのところへ行く事になる。闇魔法に詳しい奴なんてそういない。シェリアが知る限りで頼れる人物は彼くらいだ。自分をさらおうとしていた奴の所に行くなんて正気の沙汰じゃないと思うけど、彼女ならいきそうだ。
シェリアが取られるかもしれない。
俺の最愛の人。何があっても取られたくない。どうしようか。追いかける?
「いや、もう少しだけ待ってみよう。」
彼女にも選択権はある。
俺の中にある残り少ない理性が捕まえて閉じ込めたいという思いを止める。
彼女が外に出て色んなものを見て、そしてそれでも選んでくれたなら。それは本当に俺のものになってくれた証拠。ならば、少し待とう。彼女が俺を選んでくれるまで。
「しかし、校長へどうやって報告しようかな。」
逃げられたことをどう報告しようか。下手に正直に答えたら、逃げる事を手伝った子達にも被害が及ぶ。また闇属性の力で無理矢理鎖を破ったとなるなら、シェリアが余計に動きづらくなる。
クレアメンスの闇嫌いは相当なものだ。
表向き生徒たちに顔に出さないけれど。きっと、俺が報告なんてしなくても気づくだろうしね。
観察対象のシェリアがいないなら俺がここに留まっても仕方ない。ゼノだって危険人物に変わりはない。ただ、遠くからでも彼女の様子を見たい。
「そうだね、暫くは陰ながら君を見守ろうか。」
彼女に危険が迫るなら、彼女を守ろう。彼女が闇魔法を制御するため頑張るなら、応援しよう。彼女が他の誰かを選ぶなら……。
「その時は殺してしまうかもしれないね。」
くくっと喉から声を出すように笑う。
いつの間にこんなに彼女に夢中になったんだろう。でも、今とても満たされている。
ルッサーレの家を嫌々、継いでから俺は自由でなくなった。学園の教師になったのは半ば無理矢理だ。当主の権限を使ってねじ伏せた。本来なら家で領地の事を管理していればいいのだ。
自由なんてなかった。教師になったのは一つの夢だったから。数年間の間だけだと無理矢理了承させた。
今は皮肉にも教師の立場が煩わしくなってしまっていたが、それもなくなった。
今、俺は自由で何にも縛られない。
その開放感がとても心地良い。
校長への言い訳が少々面倒ではあるが、シェリアの様子を離れた場所で見守ることにした。
「早く俺のものになってよね、シェリア。」
俺が朝に魔方陣を使って、この部屋に来るとシェリアの姿は見えずもぬけの殻だった。
魔方陣が書き換えられているのも気づいた。恐らくルイスだろう。彼くらいしかこんな真似をできそうな生徒はいない。
俺が彼女につけた足枷。無理に魔法で破った形跡があった。すごい力だなと感心してしまう。
いずれ、シェリアの魔法をこの中で閉じ込めておくのは不可能だろうと思っていた。彼女の魔法の上達はとても早かった。上達するにつれ、魔力の強さも上がっているように見えた。
いかにクレアメンスの結界とて支えきれないだろう。そう、感じていた矢先に逃げられた。
俺はシェリアが使っていたベッドに寝転ぶ。
ふわりと彼女の香りがまだ残っていた。本当は閉じ込めてしまいたかったけれど、仕方がない。
「夢の時間は終わりだね~。」
どこかでこの生活は終わるだろうと直感していた。
……俺はシェリアが好きだ。
子供の時に出会った彼女。最初、あの寂しげな笑顔が気になった。その時はフィオナだと思っていたけれど。
フィオナは周りを癒すような愛らしい笑顔だ。対してシェリアは悟ったような悲しい笑顔。子供なのにどこか大人びて全てを諦めていたような苦しい笑顔。どこか俺を惹きつけてやまなかった。
大きくになるにつれ、フィオナの姿と記憶の中の寂しい笑顔の女の子に違和感を持つようになった。それから事件が起きて彼女とは会えなくなってしまった。
学園でフィオナに会った時はそんな違和感のことなんて忘れて、とても嬉しかった。
だけど、同時にフィオナの様子を伺っていたシェリアが気になった。まさか、その時は彼女たちは双子で、シェリアが気になった少女本人だとは考えもしなかった。
「ああ、欲しいなあ。」
俺は手を空に伸ばし何かを捕まえるように握りしめる。
シェリアが欲しい。どうしても。
大人になった彼女は寂しげな笑顔をしなくなっていたけれど。きっと寂しさを埋める何かができたんだろう。本当はそれに俺がなりたかったな。
でも、彼女はここから出て行った。
俺がそれになることはできない。彼女の寂しさを埋めた者はなんだろう。孤独を埋めたのは誰なんだろう。……わかりきったことか。
「君の大切な者はフィオナちゃんなんだね。」
とても愛おしそうな目でいつもフィオナちゃんの様子を見ていたシェリア。
今、彼女の中はフィオナでいっぱいで満たされているんだろう。試験の日に魔力が暴発したのもフィオナがきっかけだった。
肝心のフィオナはシェリアを双子の姉とわかっていないみたいだけど。
「君はそれで満たされるのかな?」
いくら愛情を注いでも自分のことは思い出してもくれない。それどころかフィオナはスウォンに惚れているようだ。
俺だったら満たされない。好きな人に他の人なんて見て欲しくない。俺だけ見て欲しい。俺しか考えて欲しくない。俺だけ。俺だけを見て。
さて、彼女はここからどうするんだろう。
きっと責任感が強いから自分の魔法を制御して更に極めようとするんだろう。そうすると、必然的にゼノのところへ行く事になる。闇魔法に詳しい奴なんてそういない。シェリアが知る限りで頼れる人物は彼くらいだ。自分をさらおうとしていた奴の所に行くなんて正気の沙汰じゃないと思うけど、彼女ならいきそうだ。
シェリアが取られるかもしれない。
俺の最愛の人。何があっても取られたくない。どうしようか。追いかける?
「いや、もう少しだけ待ってみよう。」
彼女にも選択権はある。
俺の中にある残り少ない理性が捕まえて閉じ込めたいという思いを止める。
彼女が外に出て色んなものを見て、そしてそれでも選んでくれたなら。それは本当に俺のものになってくれた証拠。ならば、少し待とう。彼女が俺を選んでくれるまで。
「しかし、校長へどうやって報告しようかな。」
逃げられたことをどう報告しようか。下手に正直に答えたら、逃げる事を手伝った子達にも被害が及ぶ。また闇属性の力で無理矢理鎖を破ったとなるなら、シェリアが余計に動きづらくなる。
クレアメンスの闇嫌いは相当なものだ。
表向き生徒たちに顔に出さないけれど。きっと、俺が報告なんてしなくても気づくだろうしね。
観察対象のシェリアがいないなら俺がここに留まっても仕方ない。ゼノだって危険人物に変わりはない。ただ、遠くからでも彼女の様子を見たい。
「そうだね、暫くは陰ながら君を見守ろうか。」
彼女に危険が迫るなら、彼女を守ろう。彼女が闇魔法を制御するため頑張るなら、応援しよう。彼女が他の誰かを選ぶなら……。
「その時は殺してしまうかもしれないね。」
くくっと喉から声を出すように笑う。
いつの間にこんなに彼女に夢中になったんだろう。でも、今とても満たされている。
ルッサーレの家を嫌々、継いでから俺は自由でなくなった。学園の教師になったのは半ば無理矢理だ。当主の権限を使ってねじ伏せた。本来なら家で領地の事を管理していればいいのだ。
自由なんてなかった。教師になったのは一つの夢だったから。数年間の間だけだと無理矢理了承させた。
今は皮肉にも教師の立場が煩わしくなってしまっていたが、それもなくなった。
今、俺は自由で何にも縛られない。
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校長への言い訳が少々面倒ではあるが、シェリアの様子を離れた場所で見守ることにした。
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