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最終章
サブストーリー ~楽しいコト~
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「うっわあー。何これ。試験どころの騒ぎじゃないじゃん。」
「どうしましょう、ルイス。」
「と、とりあえず、緊急用合図を送るべきだよね。わたし笛吹きます。」
俺たちの班は周りの様子を見て途方にくれていた。大木の根元に空間があったからそこで野営していたんだけど、周りが騒がしいと思って様子を伺い見たらモンスター達が狂ったように暴れていた。
「あはは。こりゃ、この木から出たら一気に狙われるね。」
「何笑ってんだ、馬鹿!」
「ごめん、ごめん。メナード。」
そりゃ、この大変な事態は笑うべきことじゃないんだろうけど。どうしてもウキウキしてしまう。こんな楽しい事滅多に起こらないだろうしね。そんな事を言うと、この先程からカリカリしている仲間のメナードが怒るから心に秘めて口には出さないけど。
「まぁ、とりあえず暫くはここに隠れていた方が良さげだねぇ。」
本当は楽しい事を求めて外に飛び出して行きたい気持ちを押し込める。流石に仲間を見捨てて行くような薄情者じゃないしねぇ。はぁ、楽しい事を探しに行きたかったんだけどなぁ。少し残念に思っていると何処かで聞き覚えのある声が外から聞こえた。だんだんと近づいてきているようだ。
「ひいーーー、助けてくれぇ!」
「キーィー! キーィー!」
「あれはマリーじゃねぇか?」
メナードも声に気付いたのか木のうろから顔を出し声の主の名前を口にした。
「本当だねぇ。ゴブリンに追われてるっぽいなぁ。一人なのかな?」
マリー。スウォンにライバル心を抱くちょっとお馬鹿な同級生。黙っていれば美少女と見紛う美形なのに残念ながら男だ。
それにしても、仲間は何処に行ったんだろう。この騒ぎだからはぐれてもおかしくはないけれど。
「ちっ、馬鹿なやつだがほっとくのもな。」
メナードは口は悪いけど、何だかんだと面倒を見てしまう良い男だ。俺が女だったらキュンとくるかもね。残念ながら、俺も男だけど。
だんだんと喚きながらこちらに近づいているマリー。メナードは辺りの様子を伺いモンスターがこちらを見ていない事を確認するとマリーを木の中に引きずり込んだ。
「うわぁっ!? ま、待てボクは食べても美味しくなどないぞ!」
モンスターにでも引きずり込まれたとでも思ってるんだろうか?
相変わらず彼は面白いね。
「誰がお前なんぞ食うか。馬鹿。ウォーレン達はどうしたんだ。」
「ふえっ!? なんだ、メナードか。……他の奴らは逸れた。」
マリーは周りを見て状況を把握すると落ち着きを取り戻したらしく(元々、落ち着きがないけど。)メナードの質問に答える。
「まぁ、この騒ぎだからな……。」
「ふん。あいつらがボクの後をついてこないから悪いのさ。」
何となくだけど。モンスターが急に暴れ出して驚いたマリーが、勝手にパニクって一人で逃げ回ったんじゃないかと思う。マリーのチームメイトは大変そうだな。
「ルイス、笛の合図の返事がないわ。先生達も同じような状況なのかも。」
笛を吹いてくれた女子生徒が困ったように話す。
うーん。困ったなぁ。
察するにこの状況は森全体に広がってると思われる。てことは、教師陣もこの状況にてんてこ舞いってとこか。スウォン達は大丈夫かなぁ。確かミニドラが討伐対象だったらしいし、大変な事になってないと良いけど。まぁ。スウォンなら大丈夫かな?
が、俺の当ては外れたらしい。
「グギャオオ!」
「な、何だ!」
「ありゃりゃー、ミニドラちゃんだ。」
空から大音量の声が聞こえ、そっと覗くとドラゴンが空を舞っていた。足から血を流している。凍結の跡があるからスウォンが氷魔法でも放ったのかも知れない。すごい狂ったように空を飛び回って火を吐きまくってるけど、……生きてるかな、スウォン。
「おい、あんなのに見つかったらただじゃすまねぇぞ。」
流石にメナードも呆気にとられたのか少し弱気な発言。
「何だかあのミニドラちゃん。様子おかしいねぇ。」
「俺には普通のドラゴンに見えるがな。」
「普通、ミニドラちゃんは大人しくて可愛らしい生き物なんだよ。」
「……そうなのか?」
「ボクにはそうは見えないんだけど。可愛さの欠片も見当たらないんだけど?」
メナードとマリーが半目で睨むようにドラゴンを見ながら言う。まあ、この様子を見てからだと可愛い生き物だなんて思えないか。
ドラゴンは俺たちが潜んでる近くを旋回していて、下手に外に出ると危険そうだ。
ふと木の奥を見る。俺たちの班の残りの二人は女の子だ。二人は怖がっていて抱き合いながら奥で小さくなっている。
「困ったね。下手に出ても危ないし、ここに潜んでてもミニドラちゃんが吐いた火がこっちに飛び火したら大変だしね。」
「そんな! ボク達はここで丸焼けになる運命なのか!?」
マリーの言葉を聞いて、女の子達がより一層顔が真っ青になる。
「阿呆。怖がらせること言うな。」
「いたっ!」
メナードがマリーの頭を拳骨で小突く。
「ちっ。お前が連れてきたゴブリンもあるしな。」
マリーを追ってきた数匹のゴブリンはキョロキョロと首を振りながら、辺りをウロウロしている。マリーを探してるっぽい。ほんと、この子は面倒ごとばかり連れてきて、最高に面白いね!
「おい、何で嬉しそうなんだ、テメェは。」
ポカッ
「あたっ、ちょ、俺まで殴ることないでしょ。」
楽しんでいるのが顔に出ていたのかメナードが目ざとく見つけて俺まで殴られた。まったく、メナードは口は悪いのに根が真面目だな。
「ふふ」
「あはは」
奥で怖がって震えるばかりだった女の子達が笑った。ま、恐怖で怖がる女の子より笑ってる女の子の方が可愛いし。メナードに殴られたことは許しちゃおう。俺は女の子を泣かせる趣味はないしね。
「ん、あれは?」
ドラゴンを観察しているとよく見知ったマジックアイテムを見た。
契約リングだ。商売でよく使うからすぐにわかった。ドラゴンの首にチョーカーが付いてる。見たところ、オリジナルの契約リングっぽい。あんなの作れるの相当な実力者じゃないと無理だろう。てことは作られる人物は限られる。なるほど、話が読めてきた。
「なるほどねぇ。だから、シェリアちゃんアレを欲しがったのか。」
「ルイス。何かわかったのか?……どうせ言わないんだろうがな。面倒な奴だぜ。」
メナードが俺の顔を見てまたかという顔をする。彼は俺の性格をよく知ってる。俺が楽しいことが大好きでそれを秘密にすることも。
「ねぇ、メナード。俺があのドラゴンを引きつけるからその間に学園に戻って。」
「はぁ? お前、一人置いてけってのか?」
「大丈夫。ま。何とかするよ。脅かすつもりはないけど、このままだとマリーの言った通りになっちゃうからね。」
周りの温度が熱くなっているのを感じる。ドラゴンが吐いた火が木々に燃え移っているんだろう。
「スウォンを探すよ。彼ならテレポート使えるし、何とかなるさ。」
俺はテレポートを使えない。ここにいる人間も誰も使えない。スウォンはサクサク使ってしまうけど、あれは結構高度な魔法なんだよね。空間の把握に失敗すると壁に埋まったりするし。
一般の人間なら座標軸を計算して魔法陣を敷いて手間暇かけてやっと使える。時間はアホみたいにかかるけど、確実で安全な方法を使ってテレポートを行っている。呪文と己の感覚だけで使える奴らがおかしいんだと思うね。
さて、最初メナードは渋る様子だったが、それが最善の策と判断したらしく仕方ないかとつぶやいた。
「ルイス、無理して怪我すんじゃねーぞ。ゴブリンの方は俺が引き受ける。」
「はいはーい! 分かってるってぇ。メナードてば優しいね。俺が女だったら惚れちゃいそ。」
「気色悪い、さっさと行け。」
げしっと背中に蹴りを入れられ俺は木の中から追い出された。
「グギャオオオオ!!」
「もう、メナードてば酷いなぁ。て、早速見つかっちゃった。」
俺は慌てて走り出す。ふふ、逃げるのや隠れ潜むのは得意だ。精々ドラゴンを撹乱してここから遠ざけてあげよう。
「どうしましょう、ルイス。」
「と、とりあえず、緊急用合図を送るべきだよね。わたし笛吹きます。」
俺たちの班は周りの様子を見て途方にくれていた。大木の根元に空間があったからそこで野営していたんだけど、周りが騒がしいと思って様子を伺い見たらモンスター達が狂ったように暴れていた。
「あはは。こりゃ、この木から出たら一気に狙われるね。」
「何笑ってんだ、馬鹿!」
「ごめん、ごめん。メナード。」
そりゃ、この大変な事態は笑うべきことじゃないんだろうけど。どうしてもウキウキしてしまう。こんな楽しい事滅多に起こらないだろうしね。そんな事を言うと、この先程からカリカリしている仲間のメナードが怒るから心に秘めて口には出さないけど。
「まぁ、とりあえず暫くはここに隠れていた方が良さげだねぇ。」
本当は楽しい事を求めて外に飛び出して行きたい気持ちを押し込める。流石に仲間を見捨てて行くような薄情者じゃないしねぇ。はぁ、楽しい事を探しに行きたかったんだけどなぁ。少し残念に思っていると何処かで聞き覚えのある声が外から聞こえた。だんだんと近づいてきているようだ。
「ひいーーー、助けてくれぇ!」
「キーィー! キーィー!」
「あれはマリーじゃねぇか?」
メナードも声に気付いたのか木のうろから顔を出し声の主の名前を口にした。
「本当だねぇ。ゴブリンに追われてるっぽいなぁ。一人なのかな?」
マリー。スウォンにライバル心を抱くちょっとお馬鹿な同級生。黙っていれば美少女と見紛う美形なのに残念ながら男だ。
それにしても、仲間は何処に行ったんだろう。この騒ぎだからはぐれてもおかしくはないけれど。
「ちっ、馬鹿なやつだがほっとくのもな。」
メナードは口は悪いけど、何だかんだと面倒を見てしまう良い男だ。俺が女だったらキュンとくるかもね。残念ながら、俺も男だけど。
だんだんと喚きながらこちらに近づいているマリー。メナードは辺りの様子を伺いモンスターがこちらを見ていない事を確認するとマリーを木の中に引きずり込んだ。
「うわぁっ!? ま、待てボクは食べても美味しくなどないぞ!」
モンスターにでも引きずり込まれたとでも思ってるんだろうか?
相変わらず彼は面白いね。
「誰がお前なんぞ食うか。馬鹿。ウォーレン達はどうしたんだ。」
「ふえっ!? なんだ、メナードか。……他の奴らは逸れた。」
マリーは周りを見て状況を把握すると落ち着きを取り戻したらしく(元々、落ち着きがないけど。)メナードの質問に答える。
「まぁ、この騒ぎだからな……。」
「ふん。あいつらがボクの後をついてこないから悪いのさ。」
何となくだけど。モンスターが急に暴れ出して驚いたマリーが、勝手にパニクって一人で逃げ回ったんじゃないかと思う。マリーのチームメイトは大変そうだな。
「ルイス、笛の合図の返事がないわ。先生達も同じような状況なのかも。」
笛を吹いてくれた女子生徒が困ったように話す。
うーん。困ったなぁ。
察するにこの状況は森全体に広がってると思われる。てことは、教師陣もこの状況にてんてこ舞いってとこか。スウォン達は大丈夫かなぁ。確かミニドラが討伐対象だったらしいし、大変な事になってないと良いけど。まぁ。スウォンなら大丈夫かな?
が、俺の当ては外れたらしい。
「グギャオオ!」
「な、何だ!」
「ありゃりゃー、ミニドラちゃんだ。」
空から大音量の声が聞こえ、そっと覗くとドラゴンが空を舞っていた。足から血を流している。凍結の跡があるからスウォンが氷魔法でも放ったのかも知れない。すごい狂ったように空を飛び回って火を吐きまくってるけど、……生きてるかな、スウォン。
「おい、あんなのに見つかったらただじゃすまねぇぞ。」
流石にメナードも呆気にとられたのか少し弱気な発言。
「何だかあのミニドラちゃん。様子おかしいねぇ。」
「俺には普通のドラゴンに見えるがな。」
「普通、ミニドラちゃんは大人しくて可愛らしい生き物なんだよ。」
「……そうなのか?」
「ボクにはそうは見えないんだけど。可愛さの欠片も見当たらないんだけど?」
メナードとマリーが半目で睨むようにドラゴンを見ながら言う。まあ、この様子を見てからだと可愛い生き物だなんて思えないか。
ドラゴンは俺たちが潜んでる近くを旋回していて、下手に外に出ると危険そうだ。
ふと木の奥を見る。俺たちの班の残りの二人は女の子だ。二人は怖がっていて抱き合いながら奥で小さくなっている。
「困ったね。下手に出ても危ないし、ここに潜んでてもミニドラちゃんが吐いた火がこっちに飛び火したら大変だしね。」
「そんな! ボク達はここで丸焼けになる運命なのか!?」
マリーの言葉を聞いて、女の子達がより一層顔が真っ青になる。
「阿呆。怖がらせること言うな。」
「いたっ!」
メナードがマリーの頭を拳骨で小突く。
「ちっ。お前が連れてきたゴブリンもあるしな。」
マリーを追ってきた数匹のゴブリンはキョロキョロと首を振りながら、辺りをウロウロしている。マリーを探してるっぽい。ほんと、この子は面倒ごとばかり連れてきて、最高に面白いね!
「おい、何で嬉しそうなんだ、テメェは。」
ポカッ
「あたっ、ちょ、俺まで殴ることないでしょ。」
楽しんでいるのが顔に出ていたのかメナードが目ざとく見つけて俺まで殴られた。まったく、メナードは口は悪いのに根が真面目だな。
「ふふ」
「あはは」
奥で怖がって震えるばかりだった女の子達が笑った。ま、恐怖で怖がる女の子より笑ってる女の子の方が可愛いし。メナードに殴られたことは許しちゃおう。俺は女の子を泣かせる趣味はないしね。
「ん、あれは?」
ドラゴンを観察しているとよく見知ったマジックアイテムを見た。
契約リングだ。商売でよく使うからすぐにわかった。ドラゴンの首にチョーカーが付いてる。見たところ、オリジナルの契約リングっぽい。あんなの作れるの相当な実力者じゃないと無理だろう。てことは作られる人物は限られる。なるほど、話が読めてきた。
「なるほどねぇ。だから、シェリアちゃんアレを欲しがったのか。」
「ルイス。何かわかったのか?……どうせ言わないんだろうがな。面倒な奴だぜ。」
メナードが俺の顔を見てまたかという顔をする。彼は俺の性格をよく知ってる。俺が楽しいことが大好きでそれを秘密にすることも。
「ねぇ、メナード。俺があのドラゴンを引きつけるからその間に学園に戻って。」
「はぁ? お前、一人置いてけってのか?」
「大丈夫。ま。何とかするよ。脅かすつもりはないけど、このままだとマリーの言った通りになっちゃうからね。」
周りの温度が熱くなっているのを感じる。ドラゴンが吐いた火が木々に燃え移っているんだろう。
「スウォンを探すよ。彼ならテレポート使えるし、何とかなるさ。」
俺はテレポートを使えない。ここにいる人間も誰も使えない。スウォンはサクサク使ってしまうけど、あれは結構高度な魔法なんだよね。空間の把握に失敗すると壁に埋まったりするし。
一般の人間なら座標軸を計算して魔法陣を敷いて手間暇かけてやっと使える。時間はアホみたいにかかるけど、確実で安全な方法を使ってテレポートを行っている。呪文と己の感覚だけで使える奴らがおかしいんだと思うね。
さて、最初メナードは渋る様子だったが、それが最善の策と判断したらしく仕方ないかとつぶやいた。
「ルイス、無理して怪我すんじゃねーぞ。ゴブリンの方は俺が引き受ける。」
「はいはーい! 分かってるってぇ。メナードてば優しいね。俺が女だったら惚れちゃいそ。」
「気色悪い、さっさと行け。」
げしっと背中に蹴りを入れられ俺は木の中から追い出された。
「グギャオオオオ!!」
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