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第1章
7
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「だから、誤解…」
「うむ、成り行きとはいえ奪ってしまったのは事実だ。」
だれか、この天然眼鏡を黙らせてくれ!
「えー!本当なんだ!やっるね~、ルヴィナス。」
「彼女はいいというが、やはり男としては責任を取らないと気がすまん。」
「そりゃ、女の子の大切なもの奪っといて、はいさよならーじゃ酷いよね。」
「やはり、責任を持って男女交際を…シェリア?」
…。
………。
……………。
ぷつーん。
「ウインドブラスト。」
どおおおおん
「こほん。いいですか、二人とも。人の話は聞いて下さい。」
「はい…」
「はーい…」
私の魔法を食らって少しぼろっとした二人は正座をしながら、私の話を聞いていた。
ルヴィナスは完全に落ち込み頭をシューンと下げているが、ルイスは口元が笑っている気がする。
…こいつ、ワザとやっていたのではないだろうか。
「ともかく、これで誤解は解けましたね?この話は終わりです。以上、口外しないでください。」
「うむ…」
「ちぇー、大スクープだと思ったのになあ。」
私がキッとルイスを睨むと彼はおー、怖い、怖いと口にし立ち上がった。そして、服についたホコリを叩きながら
「んじゃあ、君の本命はやっぱりキリト先生なの?」
ニヤニヤと聞いてきた。
「は?」
一瞬気が抜けて間の抜けた返事を返してしまった。
「交流会の時の様子見て、そうなのかなー?って思ったんだけど。違うの?」
「ち、が、い、ま、す!!」
私は力一杯、否定する。
「つまらないなー、まあいいや。じゃ、また会おうねー」
そう言って彼は手を振ると一瞬で姿が消えた。恐らくテレポートの魔法を使ったのだろう。
「…今日はなんだかとっても疲れたわ。」
私は、はーっと重いため息をついた。
ーーーー
フィオナは結局、眠りの魔法は使えなかったらしい。がっくしと肩を落としていた。
「お前たち、随分騒がしかったが練習はできたのか?」
「大丈夫です。問題ありません。」
あれから、一回スリーピングの魔法をかけさせてもらい、無事に眠らすことができたので良しとした。
「うう、私、皆さんの足を引っ張ってしまっていますね。ごめんなさいっ!」
フィオナが勢いよく頭を下げて謝った。
「フィオナ、そんな事ないよ。まだ時間はあるんだから。」
「ううう…。」
落ち込むフィオナも可愛らしいが、このままでは少し可哀想だろうか。
彼女の魔法の属性から誰かの魔法を増幅させる事は容易なはずだが…。
「フィオナ。自分で魔法を発動させる事が難しいなら、誰かの魔法を増幅して補助したらどうかしら?」
「え?そんな事…できるかな?」
「たぶん、フィオナに向いてると思う。」
「わかった、私やってみるよ!」
さっきまで落ち込んでいたが、ガッツポーズをして意気込んだ。
「まて、そんな事なぜわかる。他人の魔法を増幅するなんて魔法をかけるよりもさらに高度な技だぞ。」
会長さんが訝しげに顔をゆがめる。
フィオナの属性について知らない人からしたら、私が言っている事は謎だらけだろう。
怪しまれないように、どうフォローすべきか。少し考えていると、
「やってみればいいじゃないか。」
意外にも先ほどから黙りこくっていたルヴィナスが口を挟んだ。
「シェリアはよくフィオナと一緒にいるからこそ、わかる事もあるだろう。試してみたらいい。」
…!
「別に疑っているわけではないが。まあ、試してみるか…」
どうにも釈然としないという顔でスウォンは言う。
「そうだな…。俺が防御結界を張る。俺はこういう調整が必要な魔法は苦手だから、恐らく結界の大きさは数メートル。持続時間は5分~10分くらいだろう。」
それを増幅してみろ、とスウォンは言う。
「わ、わかりました。でも具体的にどうすれば?」
少し緊張気味に慌てるフィオナ。
「魔法を使用している人の魔力波動をよく感じる事。それに合わせて自分の力を乗せていく感じかな?」
前世の記憶のゲーム中でフィオナが言っていた事を思い出し、伝える。
なんかそんなシーンがあったはずだ。
「わかった。やってみる。スウォン先輩、お願いします!」
「無理はするなよ。…ディフェンスウォール!」
彼が唱えると白い円状の魔法陣が地面に浮かび上がる。彼が言った通り3メートル程で維持されている。
「魔力の波動を感じて…。合わせる感じで…。」
無意識なのだろうか、フィオナが胸の前で手を組み目をつむり祈るようなポーズでぶつぶつと呟く。
「む?」
ルヴィナスが声を上げる。
徐々に魔法陣が広くなっていく。
フィオナが魔力の上乗せに成功している証拠だろう。
魔法陣はじわじわと大きくなり、練技場全体に広がるまでになった。
「これは、すごいな。こんな大きな結界僕は初めて見るぞ。」
ルヴィナスがぽかんとした様子で辺りを見回している。
私はというと、
なんだか、気分が悪い…。
フィオナが増幅した結界が私たちの足元にまで伸びてきてから、どんどん気分が悪くなっていく。
何故だろう…。最初は体がだるくなり、今では頭痛までしてくる始末だ。自分の精神がガツガツ削られていくような感覚。
はやく、おわって…
そんな事まで思うようになってしまった。とても、だるい。
どのくらいの時間が経ったのか、しばらくすると結界が徐々に狭まり元の数メートル程に戻ると魔法陣は白い光の玉をふわっと浮かせ消えていった。
「や、やりました…。」
魔法陣が消えると同時にフィオナがぐらっとよろめき倒れる。
それを抱きとめるスウォン。
私も気分が悪いが、かろうじて倒れるほどまでではない。 むしろ、フィオナを抱きとめる会長を見るほうが気分が悪い。
おのれ、会長。
「魔力を使い果たしたんだな。だが、すごい力だった。お前の目は確かだな。シェリア。」
会長が私を見てそういう。
そんな事はどうでもいいが、フィオナをいつまで抱きしめるつもりなのだ。お前は。
…うっ。
そんな事を考えていたら軽くめまいがした。今は考える事をよそう。
「私はフィオナの事をよく見ていますから。…フィオナは周りに合わせる事が得意だと思ったんです。」
少しトゲがあっただろうか?
フィオナの事を思うと少し冷静さが失われる。
会長は何も思わなかったらしく、そうだなと頷くと
「とりあえず、今日は終わりだ。フィオナは俺が医務室へと連れて行く。恐らく魔力切れだろうから大した事ないとは思うが、念のためにな。」
「…そうですか。お願いします。」
本当は私が連れて行きたいが、仕方がない。私も万全ではないし彼に任せるほかないようだ。
「うむ。では、僕は帰るぞ。」
ルヴィナスがそう言ったのを皮切りに解散した。
ーーーー
「うっ…。気持ち悪い…。」
あれから私は一人寮に戻ろうとしたが、どんどん気分が悪くなる一方だった。
ついに立っていられなくなり、校舎の裏で座り込むと校舎の壁を背もたれにしててもたれかかった。
少し座って休んだら、よくなるだろう。
そう思って軽く目を閉じる。
すると、
「あーあ。かわいそうに。光魔法をもろにくらうからだよ?」
「!」
聞き覚えのある声に目を開くと、いつぞやのゼノという少年がいた。
「ゼノ!?」
「久しぶり。元気かな?いや、元気ではないか。ふふっ。」
彼は後手に手を組み、屈んでいる私に目線を合わせにっこりと微笑みながら言った。
「…光魔法が私に何の関係があるのよ?」
彼はこの体調不良を何か知っていそうだ。
「なんだ。まだ思い出してくれないの?ゼノ、寂しいなあ。僕とお揃いの色も隠しちゃって…」
彼はそう言って、私が黒い髪を隠していた髪飾りを外した。
はらりと黒い髪が私の頬にかかる。
「君は僕とお揃いだろう?」
黒い部分の髪を愛おしそうに指に絡め弄ぶ。
「触らないで!」
そう言って手を振り払おうとしたが、体に力が入らず逆にその手を掴まれてしまった。
「ああ。こんなに弱っちゃって。可哀想だから、僕の魔力を分けてあげる。…特別だよ?」
そう言って悪戯っぽく笑い彼は私を壁に押し付けると、顔を近づけてきた。
「な、そんなのいらない!離し…んっ!」
彼に口付けられる。確かに魔力は触れ合うと相手に譲渡できる。だが相性があり、合わない相手だと逆効果になる事もある。
私は彼から離れようとするが後ろは壁。手は彼に固定されて動かせない。足で蹴りあげようかと思ったがスカートの裾を彼の膝で抑えられていた。
「んんっ!んーーー!」
皮肉な事に彼と魔力の相性がいいようで、自分が回復しているのがわかる。
私の体調不良は魔力が切れていたという事か?
「…っはあ。…ゲホッゲホッ。」
やっと口を解放され、空気を一気に吸い込んだ。
「どう?僕の魔力の味は?覚えてくれた?」
口元に手を当てクスクスと笑いながら彼は問いかけた。
「うむ、成り行きとはいえ奪ってしまったのは事実だ。」
だれか、この天然眼鏡を黙らせてくれ!
「えー!本当なんだ!やっるね~、ルヴィナス。」
「彼女はいいというが、やはり男としては責任を取らないと気がすまん。」
「そりゃ、女の子の大切なもの奪っといて、はいさよならーじゃ酷いよね。」
「やはり、責任を持って男女交際を…シェリア?」
…。
………。
……………。
ぷつーん。
「ウインドブラスト。」
どおおおおん
「こほん。いいですか、二人とも。人の話は聞いて下さい。」
「はい…」
「はーい…」
私の魔法を食らって少しぼろっとした二人は正座をしながら、私の話を聞いていた。
ルヴィナスは完全に落ち込み頭をシューンと下げているが、ルイスは口元が笑っている気がする。
…こいつ、ワザとやっていたのではないだろうか。
「ともかく、これで誤解は解けましたね?この話は終わりです。以上、口外しないでください。」
「うむ…」
「ちぇー、大スクープだと思ったのになあ。」
私がキッとルイスを睨むと彼はおー、怖い、怖いと口にし立ち上がった。そして、服についたホコリを叩きながら
「んじゃあ、君の本命はやっぱりキリト先生なの?」
ニヤニヤと聞いてきた。
「は?」
一瞬気が抜けて間の抜けた返事を返してしまった。
「交流会の時の様子見て、そうなのかなー?って思ったんだけど。違うの?」
「ち、が、い、ま、す!!」
私は力一杯、否定する。
「つまらないなー、まあいいや。じゃ、また会おうねー」
そう言って彼は手を振ると一瞬で姿が消えた。恐らくテレポートの魔法を使ったのだろう。
「…今日はなんだかとっても疲れたわ。」
私は、はーっと重いため息をついた。
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フィオナは結局、眠りの魔法は使えなかったらしい。がっくしと肩を落としていた。
「お前たち、随分騒がしかったが練習はできたのか?」
「大丈夫です。問題ありません。」
あれから、一回スリーピングの魔法をかけさせてもらい、無事に眠らすことができたので良しとした。
「うう、私、皆さんの足を引っ張ってしまっていますね。ごめんなさいっ!」
フィオナが勢いよく頭を下げて謝った。
「フィオナ、そんな事ないよ。まだ時間はあるんだから。」
「ううう…。」
落ち込むフィオナも可愛らしいが、このままでは少し可哀想だろうか。
彼女の魔法の属性から誰かの魔法を増幅させる事は容易なはずだが…。
「フィオナ。自分で魔法を発動させる事が難しいなら、誰かの魔法を増幅して補助したらどうかしら?」
「え?そんな事…できるかな?」
「たぶん、フィオナに向いてると思う。」
「わかった、私やってみるよ!」
さっきまで落ち込んでいたが、ガッツポーズをして意気込んだ。
「まて、そんな事なぜわかる。他人の魔法を増幅するなんて魔法をかけるよりもさらに高度な技だぞ。」
会長さんが訝しげに顔をゆがめる。
フィオナの属性について知らない人からしたら、私が言っている事は謎だらけだろう。
怪しまれないように、どうフォローすべきか。少し考えていると、
「やってみればいいじゃないか。」
意外にも先ほどから黙りこくっていたルヴィナスが口を挟んだ。
「シェリアはよくフィオナと一緒にいるからこそ、わかる事もあるだろう。試してみたらいい。」
…!
「別に疑っているわけではないが。まあ、試してみるか…」
どうにも釈然としないという顔でスウォンは言う。
「そうだな…。俺が防御結界を張る。俺はこういう調整が必要な魔法は苦手だから、恐らく結界の大きさは数メートル。持続時間は5分~10分くらいだろう。」
それを増幅してみろ、とスウォンは言う。
「わ、わかりました。でも具体的にどうすれば?」
少し緊張気味に慌てるフィオナ。
「魔法を使用している人の魔力波動をよく感じる事。それに合わせて自分の力を乗せていく感じかな?」
前世の記憶のゲーム中でフィオナが言っていた事を思い出し、伝える。
なんかそんなシーンがあったはずだ。
「わかった。やってみる。スウォン先輩、お願いします!」
「無理はするなよ。…ディフェンスウォール!」
彼が唱えると白い円状の魔法陣が地面に浮かび上がる。彼が言った通り3メートル程で維持されている。
「魔力の波動を感じて…。合わせる感じで…。」
無意識なのだろうか、フィオナが胸の前で手を組み目をつむり祈るようなポーズでぶつぶつと呟く。
「む?」
ルヴィナスが声を上げる。
徐々に魔法陣が広くなっていく。
フィオナが魔力の上乗せに成功している証拠だろう。
魔法陣はじわじわと大きくなり、練技場全体に広がるまでになった。
「これは、すごいな。こんな大きな結界僕は初めて見るぞ。」
ルヴィナスがぽかんとした様子で辺りを見回している。
私はというと、
なんだか、気分が悪い…。
フィオナが増幅した結界が私たちの足元にまで伸びてきてから、どんどん気分が悪くなっていく。
何故だろう…。最初は体がだるくなり、今では頭痛までしてくる始末だ。自分の精神がガツガツ削られていくような感覚。
はやく、おわって…
そんな事まで思うようになってしまった。とても、だるい。
どのくらいの時間が経ったのか、しばらくすると結界が徐々に狭まり元の数メートル程に戻ると魔法陣は白い光の玉をふわっと浮かせ消えていった。
「や、やりました…。」
魔法陣が消えると同時にフィオナがぐらっとよろめき倒れる。
それを抱きとめるスウォン。
私も気分が悪いが、かろうじて倒れるほどまでではない。 むしろ、フィオナを抱きとめる会長を見るほうが気分が悪い。
おのれ、会長。
「魔力を使い果たしたんだな。だが、すごい力だった。お前の目は確かだな。シェリア。」
会長が私を見てそういう。
そんな事はどうでもいいが、フィオナをいつまで抱きしめるつもりなのだ。お前は。
…うっ。
そんな事を考えていたら軽くめまいがした。今は考える事をよそう。
「私はフィオナの事をよく見ていますから。…フィオナは周りに合わせる事が得意だと思ったんです。」
少しトゲがあっただろうか?
フィオナの事を思うと少し冷静さが失われる。
会長は何も思わなかったらしく、そうだなと頷くと
「とりあえず、今日は終わりだ。フィオナは俺が医務室へと連れて行く。恐らく魔力切れだろうから大した事ないとは思うが、念のためにな。」
「…そうですか。お願いします。」
本当は私が連れて行きたいが、仕方がない。私も万全ではないし彼に任せるほかないようだ。
「うむ。では、僕は帰るぞ。」
ルヴィナスがそう言ったのを皮切りに解散した。
ーーーー
「うっ…。気持ち悪い…。」
あれから私は一人寮に戻ろうとしたが、どんどん気分が悪くなる一方だった。
ついに立っていられなくなり、校舎の裏で座り込むと校舎の壁を背もたれにしててもたれかかった。
少し座って休んだら、よくなるだろう。
そう思って軽く目を閉じる。
すると、
「あーあ。かわいそうに。光魔法をもろにくらうからだよ?」
「!」
聞き覚えのある声に目を開くと、いつぞやのゼノという少年がいた。
「ゼノ!?」
「久しぶり。元気かな?いや、元気ではないか。ふふっ。」
彼は後手に手を組み、屈んでいる私に目線を合わせにっこりと微笑みながら言った。
「…光魔法が私に何の関係があるのよ?」
彼はこの体調不良を何か知っていそうだ。
「なんだ。まだ思い出してくれないの?ゼノ、寂しいなあ。僕とお揃いの色も隠しちゃって…」
彼はそう言って、私が黒い髪を隠していた髪飾りを外した。
はらりと黒い髪が私の頬にかかる。
「君は僕とお揃いだろう?」
黒い部分の髪を愛おしそうに指に絡め弄ぶ。
「触らないで!」
そう言って手を振り払おうとしたが、体に力が入らず逆にその手を掴まれてしまった。
「ああ。こんなに弱っちゃって。可哀想だから、僕の魔力を分けてあげる。…特別だよ?」
そう言って悪戯っぽく笑い彼は私を壁に押し付けると、顔を近づけてきた。
「な、そんなのいらない!離し…んっ!」
彼に口付けられる。確かに魔力は触れ合うと相手に譲渡できる。だが相性があり、合わない相手だと逆効果になる事もある。
私は彼から離れようとするが後ろは壁。手は彼に固定されて動かせない。足で蹴りあげようかと思ったがスカートの裾を彼の膝で抑えられていた。
「んんっ!んーーー!」
皮肉な事に彼と魔力の相性がいいようで、自分が回復しているのがわかる。
私の体調不良は魔力が切れていたという事か?
「…っはあ。…ゲホッゲホッ。」
やっと口を解放され、空気を一気に吸い込んだ。
「どう?僕の魔力の味は?覚えてくれた?」
口元に手を当てクスクスと笑いながら彼は問いかけた。
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