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7章 偶像崇拝
仏ですら三回目で切れる
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話題を逸らすため、ぷんぷんする妹に尋ねる。
「そのおかげであまり叩かれなかったならいいじゃないか」
「話題にならなかったけどアンチだけは無遅刻無欠席だったから叩かれたんですけどー」
「どんまい」
「どんまいで済んだらここに来てないし!」
「それで俺に何をして欲しいんだ?」
どうせ俺に何か我儘でも言って、この状況をどうにかしてほしいのだろう。他力本願丸出しの思想であるが、下手に自分勝手に動かれて事態をややこしくするよりはマシであろう。
妹は部屋を見回す、
「本当はにーちゃんに言ってどうにかしてもらう予定だったけど、なんでか知らんけどみんな集まってるからちょーどいーや」
工藤さんが部屋に入り、机の上に携帯を置く。その中で妹はわざとらしい思案顔をしていた。
「いやーマイカちゃんも考えたわけですよ。信仰を集めるってのでファンを集めなちゃいけないのに悪目立ちばかりしてアンチばかりが増えていく状況をどうにかしなきゃーって。暴れ回ってるエネミーとか暗躍してるかもな桜庭さんに対する批判の声はあっても、私たちのアンチはもはや陰謀論を楽しんでるフシさえあるわけ。電脳科学庁の大臣さんとかが私たちを擁護する声明を出してるけどインパクト薄いじゃん? だからいっそ内閣総理大臣とコラボとかできたら雰囲気変わる気がしてるんだよね。どう? よくない?」
俺は堂島さんと西野さんの顔を見る。二人とも苦い顔をしていた。
「宮内庁はどう思う?」
堂島さんが西野さんに話を振った。
「スケジュール調整で揉めると思います。公安はどうにかできたりしますか?」
「難しいだろうな。それこそ神様がご神託を下ろさなきゃな」
堂島さんと西野さんが示し合わせたように樹神さんに目を遣る。
「困ったときの神様頼みは否定せんけど、もうちょい悩んで欲しかったわ」
「目の前に神様がいるのに揉める方が無礼かと思いまして」としたり顔で言う堂島さん。
「物は言いようやな。まーウチからなんとかならんか訊くのはええけど、スケジュール周りとかまで知ったこっちゃないからそこらへんは任せることになるで」
「むしろ一番大変なアポ取りの根回しをしなくていいのは助かります」
「時代は変わったっちゅーのにいつまで根回しとかあるんやろな」
「人間社会が続く限り、続く文化でしょうな」
そっちの話が済んだことを確認し、妹に告げる。
「もう話は済んだなら工藤さんと一緒に部屋に戻ってくれないか? 大事な話をしてたんだ」
「そういえば雁首揃えてなんの話してたの?」
「難しい話だ。そういうの嫌いだろ」
バレないように周囲に目配せする。元より妹に知られたくない意向は伝わっているとはいえ改めて釘をさす意味を込めたものであった。気が利く人らばかりであったため、素知らぬふりをしつつ内容についてツッコミを入れることはなかった。
「んーなんか変な感じするけどなぁ」
「話は終わりだろ。ほら早く出て行け」
「あ、待って待って! まだもう一つ報告があるの!」
そう言われたものだから俺らは大人しく聞く体勢に戻る。
そして、妹は自慢げに言った。
「レイちゃん口説き落としたよ! アイドルになるって!」
工藤さんは恥ずかしそうに俯いていた。
俺は工藤さんに尋ねる。
「本当にいいのですか? こいつのことだから苦労しますよ」
「もとはと言えば直斗さんがしでかしたことですから……」
「あの野郎は関係ないですよ。勝手に馬鹿やったわけですから」
「でも幼馴染だから……ね。わたしがなんとかしなきゃ」
言葉は大人しいが、譲らない意志が見えた。
「わかりました。もし舞香とはやっていけないと思ったらすぐに言ってください。少し目を離すと一生終われない耐久配信とか始めるんで」
妹がぶー垂れたものの丁寧に無視をする。
無視に飽きた妹は不満を言うのを止める。そして安心したように言った。
「これで私の相方問題はクリアだね。いやー精霊の子が前に提案したみたいにシオミンと組む羽目にならなくて良かったよぉ」
二度目の災いが飛び出した。
ポンポコリンはポンポコリンであり、決して仏ではない。
「ねぇ、娘の何が不満なのぉ?」
腹を立てたポンポコリンは携帯の前に踊りだし、そう尋ねた。
口調は丁寧であったが、その背中からは怒気が伝わってくる程であった。
経緯を知らない妹はただひたすらに「え、え?」と戸惑っていた。
「そのおかげであまり叩かれなかったならいいじゃないか」
「話題にならなかったけどアンチだけは無遅刻無欠席だったから叩かれたんですけどー」
「どんまい」
「どんまいで済んだらここに来てないし!」
「それで俺に何をして欲しいんだ?」
どうせ俺に何か我儘でも言って、この状況をどうにかしてほしいのだろう。他力本願丸出しの思想であるが、下手に自分勝手に動かれて事態をややこしくするよりはマシであろう。
妹は部屋を見回す、
「本当はにーちゃんに言ってどうにかしてもらう予定だったけど、なんでか知らんけどみんな集まってるからちょーどいーや」
工藤さんが部屋に入り、机の上に携帯を置く。その中で妹はわざとらしい思案顔をしていた。
「いやーマイカちゃんも考えたわけですよ。信仰を集めるってのでファンを集めなちゃいけないのに悪目立ちばかりしてアンチばかりが増えていく状況をどうにかしなきゃーって。暴れ回ってるエネミーとか暗躍してるかもな桜庭さんに対する批判の声はあっても、私たちのアンチはもはや陰謀論を楽しんでるフシさえあるわけ。電脳科学庁の大臣さんとかが私たちを擁護する声明を出してるけどインパクト薄いじゃん? だからいっそ内閣総理大臣とコラボとかできたら雰囲気変わる気がしてるんだよね。どう? よくない?」
俺は堂島さんと西野さんの顔を見る。二人とも苦い顔をしていた。
「宮内庁はどう思う?」
堂島さんが西野さんに話を振った。
「スケジュール調整で揉めると思います。公安はどうにかできたりしますか?」
「難しいだろうな。それこそ神様がご神託を下ろさなきゃな」
堂島さんと西野さんが示し合わせたように樹神さんに目を遣る。
「困ったときの神様頼みは否定せんけど、もうちょい悩んで欲しかったわ」
「目の前に神様がいるのに揉める方が無礼かと思いまして」としたり顔で言う堂島さん。
「物は言いようやな。まーウチからなんとかならんか訊くのはええけど、スケジュール周りとかまで知ったこっちゃないからそこらへんは任せることになるで」
「むしろ一番大変なアポ取りの根回しをしなくていいのは助かります」
「時代は変わったっちゅーのにいつまで根回しとかあるんやろな」
「人間社会が続く限り、続く文化でしょうな」
そっちの話が済んだことを確認し、妹に告げる。
「もう話は済んだなら工藤さんと一緒に部屋に戻ってくれないか? 大事な話をしてたんだ」
「そういえば雁首揃えてなんの話してたの?」
「難しい話だ。そういうの嫌いだろ」
バレないように周囲に目配せする。元より妹に知られたくない意向は伝わっているとはいえ改めて釘をさす意味を込めたものであった。気が利く人らばかりであったため、素知らぬふりをしつつ内容についてツッコミを入れることはなかった。
「んーなんか変な感じするけどなぁ」
「話は終わりだろ。ほら早く出て行け」
「あ、待って待って! まだもう一つ報告があるの!」
そう言われたものだから俺らは大人しく聞く体勢に戻る。
そして、妹は自慢げに言った。
「レイちゃん口説き落としたよ! アイドルになるって!」
工藤さんは恥ずかしそうに俯いていた。
俺は工藤さんに尋ねる。
「本当にいいのですか? こいつのことだから苦労しますよ」
「もとはと言えば直斗さんがしでかしたことですから……」
「あの野郎は関係ないですよ。勝手に馬鹿やったわけですから」
「でも幼馴染だから……ね。わたしがなんとかしなきゃ」
言葉は大人しいが、譲らない意志が見えた。
「わかりました。もし舞香とはやっていけないと思ったらすぐに言ってください。少し目を離すと一生終われない耐久配信とか始めるんで」
妹がぶー垂れたものの丁寧に無視をする。
無視に飽きた妹は不満を言うのを止める。そして安心したように言った。
「これで私の相方問題はクリアだね。いやー精霊の子が前に提案したみたいにシオミンと組む羽目にならなくて良かったよぉ」
二度目の災いが飛び出した。
ポンポコリンはポンポコリンであり、決して仏ではない。
「ねぇ、娘の何が不満なのぉ?」
腹を立てたポンポコリンは携帯の前に踊りだし、そう尋ねた。
口調は丁寧であったが、その背中からは怒気が伝わってくる程であった。
経緯を知らない妹はただひたすらに「え、え?」と戸惑っていた。
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