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「結婚、してくれるかな。俺と」
「いや、あの、それは。僕たち、まだ学生だし!」
「じゃあ、結婚を前提としたお付き合いは?」
お願いします、と深々と頭を下げて見せる豊だ。
その姿に響は、バケツに活けた、赤いバラの花束を思い出した。
(塚本くんは、自分の罪を曖昧にしない潔さを持っているんだ)
僕は、この人を好きになれるかな。
いや、もう好きなのかもしれない。
ためらう響に、豊は歯切れのよい声をかけた。
「ジャンピング・勇気!」
「OK! ジャンピング・勇気!」
まずは恋人から始めよう、と響は豊に手を差し伸べた。
豊がその手を取り、温かな握手を交わした。
微笑む響は、少し照れ臭そうな豊に、さっそく提案した。
「恋人同士で、塚本くん、元宮くん、じゃ何だか固いよね。僕のこと、響って呼んでよ」
「え!?」
孤高の人、と評されている芸術家・豊は、人をそんな風に呼んだことがない。
口をもごもごさせている彼に、響は笑った。
「突撃プロポーズはして来るくせに、言えないんだ? 豊は」
「ゆ、豊!?」
今度は、彼が顔を赤くする番だった。
そんな豊を、響は応援した。
「ほら! ジャンピング・勇気!」
「OK! ジャンピング・勇気! ……響」
「豊」
「響」
二人の間に、雨上がりの虹の架け橋がかかった。
心の中は、晴れ渡っていた。
「いや、あの、それは。僕たち、まだ学生だし!」
「じゃあ、結婚を前提としたお付き合いは?」
お願いします、と深々と頭を下げて見せる豊だ。
その姿に響は、バケツに活けた、赤いバラの花束を思い出した。
(塚本くんは、自分の罪を曖昧にしない潔さを持っているんだ)
僕は、この人を好きになれるかな。
いや、もう好きなのかもしれない。
ためらう響に、豊は歯切れのよい声をかけた。
「ジャンピング・勇気!」
「OK! ジャンピング・勇気!」
まずは恋人から始めよう、と響は豊に手を差し伸べた。
豊がその手を取り、温かな握手を交わした。
微笑む響は、少し照れ臭そうな豊に、さっそく提案した。
「恋人同士で、塚本くん、元宮くん、じゃ何だか固いよね。僕のこと、響って呼んでよ」
「え!?」
孤高の人、と評されている芸術家・豊は、人をそんな風に呼んだことがない。
口をもごもごさせている彼に、響は笑った。
「突撃プロポーズはして来るくせに、言えないんだ? 豊は」
「ゆ、豊!?」
今度は、彼が顔を赤くする番だった。
そんな豊を、響は応援した。
「ほら! ジャンピング・勇気!」
「OK! ジャンピング・勇気! ……響」
「豊」
「響」
二人の間に、雨上がりの虹の架け橋がかかった。
心の中は、晴れ渡っていた。
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