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1話 戦いのとき
しおりを挟むクリスマス・イヴにようやく迎えた、二人の初夜。
それから数えて、わずか三回目の愛の交歓を、章はまるで最後の情事のように思っていた。
しなやかな志乃の体を、夢中で求めた。
「う、あぁう! あ、章さん! 章、さぁあん!」
「志乃くん。好きだ。大好きだよ、志乃くん……!」
「う、あ。ヤだ、あ! ま、また……ッ!」
激しく穿たれ、達する志乃。
身を震わせて仰け反る間にも、章の抽挿が続く。
「も、ダメ。ダメぇ……ッ! あ、あぁ。はぁあぁ!」
イッている最中に、再び大きな快感の波に襲われるのだ。
絶え間なくもたらされるエクスタシーに、志乃は我を忘れて悦んだ。
章からの惜しみない愛に、どっぷりと浸った。
「はぁ、はぁ、あぁあ……」
「少し、激しすぎたかな。ごめん」
「ううん。こんな章さんも、好き」
でも、と体を拭いてもらいながら、志乃は少しだけ唇を尖らせた。
「何で、スキン着けたの? 今日はしないで、ってお願いしたのに」
「だって。こんなに早く赤ちゃんできたら、志乃くんが大変だろう?」
「安全日なのに。お薬もあるから、大丈夫だよぅ」
「万が一、ってこともあるから」
そのうちに、ね?
額に優しいキスをもらうと、志乃は甘えた笑顔になって、瞼を閉じた。
「おやすみ、志乃くん」
「おやすみなさい……」
章はしばらく、その寝顔を見つめていた。
穏やかな、幸せそうな、志乃の寝顔。
やがて彼の寝息が整い深くなったころ、章はそっとベッドから抜け出した。
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