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しおりを挟む一番に口を開いたのは、小茂田だった。
「メールでお伝えしたものは、ご準備できましたか?」
逆に章は、小茂田に返した。
「領収書と誓約書を見せていただければ、お渡しします」
露骨に不快そうな顔の、小茂田だ。
「あのですねぇ。そういうものは、最後に……」
そんな小茂田を制したのは、加瀬と名乗る男だった。
「まあ、待て。私は少し、喉が渇いた」
テーブルの端末で、コーヒーを二つ注文し、飲み物が席に届くまで話を始めた。
「君が、志乃くん。そうだね?」
「は、はい!」
「勤務態度は、優秀。顧客の満足度は、Aランク。人気が高くて、リピーターも多い」
そんな君が、どうして契約を破ろうとするのかな?
柔らかな物腰で、穏やかな口調だが、絶対的な圧力があった。
この人には、嘘やごまかしは通用しない。
そう考えた志乃は、素直なところを口にした。
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