5 / 63
4話『触れられなかった恋』
しおりを挟むあの頃、俺ははまだ十九だった。
戦火の匂いが残る帝都の片隅で、リディアは春の光のように笑っていた。
幼い頃からリディアの儚さは変わらなかった。
誰もが彼女に救われた。
その微笑みは、祈りにも似て――ただ見ているだけで胸が痛むほどに、清らかだった。
「……リディア」
名を呼ぶだけで、罪を犯したような気がした。
彼女はあまりにも儚く、触れれば壊れてしまいそうだった。
剣を握り血に染まった手で、その白い頬に触れることなど、どうしてできよう。
愛していた。だが同時に――恐れていた。
彼女の美しさが、あまりに“生”から遠すぎたからだ。
夜ごと、灯火の下でリディアが読んでいた詩集を思い出す。
“触れられぬ月を恋うるなら、その光に焼かれて死ぬ覚悟をせよ”
それはまるで、自分のために書かれた言葉のようだった。
そして結婚し数年たったある夜、リディアが泣きながら「抱いて」と言ったとき――俺は何も言えず、ただその手を取って額に口づけた。
どうしてもそれ以上は、できなかった。
「おまえを穢けがしたくない」
その言葉は愛の証のつもりだった。
そして数日後、俺は知る。
彼女が、別の男に抱かれれていたことを。
「……レオニス」
呼ばれた名に、かすかに眉が動いた。
彼女――リディアは、震える手で腹部を押さえていた。
「私……子どもができたの」
時間が止まった。
暖炉の火が、音を立てて弾ける。
それがやけに遠くに感じた。
「……そうか」
声は驚くほど静かだった。
否定も、祝福も、なかった。
彼女の瞳が揺れる。
涙を堪えたような、痛みの混じった微笑。
「ごめんなさい……」
胸の奥で、何かが崩れる音がした。
リディアは気づかない。
俺の指先が、わずかに震えていることを。
「……そうか」
もう一度、同じ言葉を繰り返す。
それ以外の言葉が、どこにも見つからなかった。
愛していた。
誰よりも、誰よりも。
だが――抱かなかった。
穢したくなかった。
それが“愛”だと信じていた。
けれど今、彼女の中には“誰か”の命がある。
その現実が、信じてきたものすべてを壊していく。
「……おめでとう」
ようやく絞り出した声は、自分でも驚くほど他人のようだった。
リディアの唇が震える。
「……あなた、怒らないの?」
「怒る理由があるのか?」
自嘲にも似た微笑がこぼれる。
そのとき初めて、俺は悟った。
自分が守ったのは“彼女”ではなく――“自分の理想”だったのだと。
*
その日の夜、
屋敷には一晩中、雨の音が響いていた。
机上の書類が指先に貼りつく。
リディアの生家フェルン家の帳簿――粉飾、そして借財。
目を覆いたくなるほどの数字の羅列。
「……くだらん」
吐き捨てるように言って、俺は椅子にもたれた。
愛した女の家が、太公家を沈める。
これは何の罰なのだろうか。
神からのものか、それとも己の選んだ愛からのものか。
そこへ、執事が封書を携えて入ってくる。
「ローレンス侯爵家より書状が届いております」
受け取った封筒には、金の紋章。
その光沢が、妙に眩しく感じた。
ローレンス侯爵家――帝都でも屈指の財閥貴族。
領地には銀鉱と絹の交易路を抱え、毎月の納税だけで一国の歳費に匹敵すると噂される。
政に関しては何一つ興味を示さぬ代わりに、金と人脈で王都の半分を動かしてきた。
宴を開けば一夜で街が明るくなり、
新しい建築を始めれば職人たちが列を成す。
金貨の響きこそがこの家の“権威”だった。
――“太公家の名誉と存続のため、我が家は援助を惜しまぬ”
――“ただし、その証として、娘セレーネを閣下の正妃として迎え入れられたし”
乾いた笑いが漏れる。
なんと都合のいい提案だろう。
貴族たちは血と金でしか絆を結べぬことを、誰よりも知っているくせに。
「……皮肉だな」
かつて愛を選び、今、現実を選ぶ。
◆
翌朝、評議会にて。
侍従長が報告を終えると、重苦しい沈黙が広がった。
フェルン家の没落は帝都中に知れ渡り、太公家の威信も揺らいでいる。
「閣下。――このままでは我が太公家も持ちません」
助けを乞う視線が集まる。
彼らの誰も、俺の心を案じてなどいない。
“太公”という器だけを見ている。
俺は、目を閉じた。
脳裏に浮かぶのは、あの夜。
リディアの震える声と、己の沈黙。
――彼女の罪を公にすれば、フェルン家は完全に潰える。
だが、それでは彼女の子まで地に落とすことになる。
“俺が守ったのは理想だった”
ならば、最後までその理想を演じよう。
「……フェルン家とは離縁する」
低い声が会議室に落ちた。
「代わりに、ローレンス侯爵家との縁談を進めよ」
どよめきが走る。
何度か夜会で目にした事のあったその娘は、派手な装いでリディアとは似ても似つかなかった。
リディアよりも若いが、身体は成熟していて、痩せ細った儚いリディアとは正反対の女がセレーネだった。
だが私はリディアを守るため、己を矢面に立たせた。
「私はセリーヌを愛している、リディアのことはもう眼中になくなった」
口にした瞬間、胸の奥で何かが軋んだ。
それが嘘であることは、誰よりも自分が知っていたから。
それでも、言わなければならなかった。
彼女を、リディアを、守りたかった。
俺の言葉をそのまま真に受けたセレーネが執拗にまとわりついて来た。
人の目を盗んでは、裾を引き止めてくる。
「……少しだけでいいの。あなたの声を聞かせて」
香り立つ香水の匂いが近づくたび、俺の胸に冷たい汗が滲んだ。
「あなたは、あの人のことなんてもう忘れたのでしょう?」
無邪気な声音でそう問われるたび、心のどこかに沈んでいた罪悪感が、鈍く疼いた。
セレーネは、あの言葉を信じている。
――“私はセレーネを愛している。リディアのことはもう眼中にない”
その一言が、彼女を狂わせた。
贈り物が毎朝、机の上に並んでいる。
花束、手紙、果ては俺の好む銘酒まで。
時に侍女の手を借りて、屋敷中で俺の名を呼びながら探し回ることもあった。
「私を愛しているのなら、どうして避けるの?」
泣きそうな顔でそう言われたとき、俺はようやく悟った。
この女を愛せない、と。
それからの日々、俺は意図的にセレーネを避けた。
執務室に籠もり、夜会の誘いも断り、
彼女の姿を見かければ、別の廊下へと足を向けた。
それでも、逃げ切れはしなかった。
ある夜。
執務室の扉が、勢いよく開かれる。
「……殿下」
金糸の夜衣をまとったセレーネが立っていた。
頬は紅潮し、瞳は冷たく光っている。
「もう、我慢の限界です」
「何の話だ」
「ご存じでしょう?」
彼女は一歩ずつ近づき、机の上に一枚の書類を置いた。
それは――契約書だった。
『太公家との婚姻に関する取り決め』
そこに記された条項を、俺は一読して息を呑んだ。
“婚姻より一年以内に後継を設けること。さもなくば、ローレンス侯爵家は一切の資金援助を撤回する”
……つまり、子を作れということだ。
「あなたが私に触れない限り、太公家は滅びますわ」
セレーネは静かに言った。
その声音には、脅しではなく――哀願が混じっていた。
「こんなにもあなたを愛しているのに、どうして私では駄目なの」
その一言に、胸の奥が焼けるように痛んだ。
それはリディアに対しかつて己も抱いた感情だったからだ。
だが、愛ではなく義務のために触れることなど、俺には出来なかった。
幼少から知るリディアを、俺の手で穢すことなど出来なかったんだ。
「……くだらない」
契約書を破り捨てようとした俺の手を、セレーネが細い指で掴む。
「破っても無駄ですわ。すでに父が評議会に提出しております」
息が止まった。
政治が、愛をも呪縛に変える。
「ねえ、レオニス」
彼女は顔を寄せ、微笑んだ。
涙を浮かべながら――美しく、残酷に。
「せめて“あなたの妻”として、私を見てください」
契約書を握り潰した手が、震えていた。
怒りか、情けなさか、自分でもわからなかった。
「……そこまでして何が得れる」
低く絞り出すように言うと、セレーネは怯むどころか、微笑んだ。
その唇は、勝ち誇ったように震えている。
「あなたの傍に永遠にいれます」
その瞳。
まるで正義を語る子供のような、歪んだ純粋さ。
俺の胸の奥に、冷たい怒りが噴き上がる。
「そんな事をしなくても心配はいらない、離れることなどしない」
そう吐き捨てても、セレーネは顔をしかめることもせず、
指先で俺の胸元をなぞった。その指先が、ベルトへとのびる。
「あなたとの世継ぎが欲しいのです」
……その言葉が、決定的だった。
リディアを失ったときでさえ、
ここまで醜い感情を抱いたことはなかった。
嫌悪。
怒り。
そして、恐怖。
この女は、理性を持たぬ“愛”を信じている。
そのためなら家も誇りさえも平然と差し出す。
「やめろ」
冷たく言い放つ声が、震えていた。
彼女にではなく――自分自身に向けた怒りで。
セレーネは一瞬、何かを理解したように瞳を見開き、それでも笑った。
「私の中に、あなたの血を残せるのなら」
ベルトを外し、下衣をずらす。
そして晒された下腹部に顔を埋め、セレーネが卑猥な音をたてる。
心は嫌悪感でいっぱいなのに、セレーネの口元から目がそらせない。
己の汚い部分に下を這わすその姿に、体の芯は意志とは反して熱くなる。
これがリディアだったと思うと、余計に悪寒が走った。
執拗に絡まる舌先が動くたびに体がのけぞる。
この女になど情のひとつもない。だからだろうか、波打つ快楽に身を委ねてしまう。
おぞましい、自分が。
汚らしい、この行為が。
だが、リディアではなく、セレーネだからこそ、背徳を感じなかった。
そして俺は初めてのその快感に、すぐに果ててしまった。
「……美味ですわ」
ごくりとそれを呑み込み、セレーネはまた卑しく俺を頬張りはじめた。
「もっ……やめろ」
「いいえ?これでは子を孕めませんもの」
その晩から、寝室を共にしセレーネは毎日俺に跨り続けた。
侯爵家の援助が続く限り、俺には拒む権利などない。
それを理解した上で、彼女は決して“誘う”ことをやめなかった。
――彼女は、毎晩同じ手を伸ばしてくる。
まるで、俺の沈黙を“承諾”と信じているかのように。
最初は快楽に負け、セレーネの言いなりでもいいかと思えた。
だが、日を追うごとに、彼女に触れられるたびに心が冷えていった。
香水の匂いも、笑い声も、すべてが虚ろに響く。
最初に感じた快楽も、もうさほど感じない。
ただ、内から外へと出すための行為。
その自分の香りと彼女の香りを嗅ぐだけで吐き気がした。
――気づけば、嫌っていたのはセレーネだけではなく、それでもなおこの行為に反応する自分自身だった。
なのに、だ。
気を引こうと泥だらけで目の前に現れたかと思えば、突然人が変わったように「愛しません」などと口走り、挙句の果てにベッドの端で大人しく――いや、不気味なほどブツブツと独り言を呟いている。
セレーネの様子がおかしい。
いつもなら、俺が一言でも高圧的に出れば、必ず理不尽なことを返してきたはずだ。
なのに今日は、睫毛を伏せたまま、肩をすくめて「すみません」と――謝った。
……セレーネが謝るなど、今の今まで一度もなかった。
不信と戸惑いが、奇妙な熱とともに胸の奥で混ざり合う。
毎夜の“習慣”のせいか、身体は条件反射のように熱を帯びていく。
試すように、俺はその華奢な身体を胸の中に閉じ込めた。
――これは、彼女が何を企んでいるのか確かめるためだ。
そうだ、これは確認だ。
そして違和感はセレーネの行動だけではなかった。
いつもなら息をするのも苦しいほど濃い香水の匂いが、今夜はほとんどしない。
代わりに――彼女自身の肌から、微かに甘い香りがした。
気のせいかもしれない。だが、その“違い”が妙に胸に引っかかる。
やはり、何かがおかしい。
腕の中に閉じ込めた身体は、かすかに震えていた。
怯えているような、あるいは拒まれているような――それなのに、その震えがやけに柔らかくて、俺は一瞬、錯覚した。
まるで、知らない女を抱いているようだと。
指先を肌の上に滑らせるたび、びくんと小さく跳ねる。
そして悪戯心で、柔らかな膨らみに触れた。
「っ——!」
俺の手に確かに反応し、ビクンと体を跳ねさせる。
その反応が、これまでのセレーネとはまるで違っていた。
だからだろうか、くすりとつい笑をこぼしてしまった。
「……まあ、たまにはこういうのも悪くない」
これまでと何も変わらない。
この女と寝ることなど、今に始まった事ではないのだから。
いつもなら、セレーネが勝手に馬乗りになり、挑発的に腰を揺らす。
乾きが濡れることはなく、セレーネはいつも決まって諦め奉仕につとめる。
それを見下ろしながら、俺はため息まじりに諦め、短い夜を終わらせてきた。
もはやそれは、愛でも情でもない。
退屈な義務――形式だけの儀式に成り果てていて、時折その滑稽さに失笑してしまうほどだった。
擦り切れた関係の中で、それでもどこか安心している自分がいた。
惰性に甘んじることは、考えることをやめるには都合がよかったのだ。
「……本当に、もうこういうことは」
吐息に紛れ、セレーネの言葉が掠れる。
「俺が要らぬと言っても、いつも執拗に求めてくるのはいつも――お前の方だろう」
だが、今夜の彼女は違う。
俺の腕から必死に逃れようとしているのに、触れた指先が蜜に濡れている。
矛盾するその反応が、理性を削るように俺の神経を刺した。
「レオニス、やめて」
「俺もそう何度も言っただろう?」
だが、お前はやめなかった。
だからこれはし返しであって、決して俺の意図するところではない。
セレーネの身体は俺の指先に確かに応えているのに、声は出ていない。
吐息だけが荒く漏れ、掌の下で小刻みに震える。
彼女の反論を封じ、その目が戸惑いに揺れるのを見た瞬間、胸の奥に小さな火がともった。
言葉でも、態度でもなく、ただ彼女の呼吸を奪うだけで、俺の方が上にいると、はっきり分かる。
そして、掌の熱が頂点に達した瞬間――
「……やめて」
その本気で嫌がる言葉を聞いた瞬間、全身の血が一気に熱くなった。
おかしい。
こう何度もセレーネが“やめて”などと言うはずがない。
あの女は、いつも求める側だった。
欲に飢え、支配することで自分の存在を確かめていた。
なのに、今、腕の中にいるこの女は――誰だ?
少なくとも、私の知るセレーネではない。
「いっ、今までのことはナシで!!」
掠れた声と共にか細い腕が俺を押し返した。
「心配しなくても、リディアはあなたの元に戻って来ますから!」
「とんだ嫌がらせだな、その名前を出すとは」
俺の中に残る最大の後悔。その象徴であるその名を今ここで出すなど。
「……嫌がらせなんて、そんなつもりじゃ」
頭に血が昇って、理性が効かなくなるのがわかった。
おまえに何がわかる。そんな怒りの感情に支配された。
「お前で憂さ晴らしするのは悪くはないからな」
逃げようとしたセレーネの身体を、反射的に引き寄せた。
その瞬間、腕の中で彼女が小さく息を呑む。
かすかな震えが伝わってきて、俺は思わず息を止めた。
捕まえた身体に舌を這わす。
その度に唇を噛み締め身体をよじらせるセレーネは、息を止め頑なに唇を開かない。
どうしても鳴く声が聞きたくなって、その柔らかな唇をこじ開けようと指を捩じ込んだ。
どうせ、この女がどうなろうと構わない。
情もなければ、慈悲もない。
拒まれても、何度も引き寄せた。
逃げようとするその腕を掴むたび、理性が遠のいていくのがわかる。
次第に閉じていた唇も抗うことを諦めたのか、突き上げるたびに泣きながら嘆願する。
これまで押さえつけられていた何かが、ゆっくりと体の奥で解けていく。
この優越感は、とても甘い。
やめるものか、と。
その嫌がる姿が鳴かなくなるまで執拗に身体を弄んだ。
彼女は涙に濡れていた。
――なぜ、泣く。
なぜ、そんな顔を見せる?
求めていたのではないのか?
問いかけることすらできず、ただ闇に溶けていく時間。
互いの体液が絡み合う卑猥な音に、セレーネの声が高らかに響く。
やがて空が白みはじめ、腕の中の彼女がぐったりと力を失ったとき、
俺はようやく我に返った。
「……セレーネ?」
呼びかけても、返事はなかった。
慌てて、何度も名を呼んだ。
かすかな息遣いに気づいたとき、胸の奥から安堵がこぼれた。
気がつけば彼女の白い肌に、無数の痕を残してしまった自分を見下ろし、思わず失笑した。
――何をしている。
理性を失っていた。
まるで、取り返しのつかない夢の中にいたような感覚だった。
セレーネの目元に、うっすらと涙の跡がある。
その一筋を指でなぞると、ひどく冷たかった。
何故か胸が締めつけられるように痛んだ。
そっと、その身体を引き寄せる。
微かな呼吸が首筋をかすめ、かすかに肩が震えた。
セレーネの香りに混じって自分の香りがする。
かつてはそれが不快で仕方なかったのに、今はそれがなぜか心を落ち着かせる。
理由の分からない安堵に包まれながら、気づけばまぶたが重くなっていた。
最後に見たのは、彼女の長いまつげが震えた瞬間。
闇がすべてを覆った。
* * *
目を覚ますと、窓辺から太陽が差し込んでいた。
そして、隣にセレーネの姿はなかった。
59
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
図書館でうたた寝してたらいつの間にか王子と結婚することになりました
鳥花風星
恋愛
限られた人間しか入ることのできない王立図書館中枢部で司書として働く公爵令嬢ベル・シュパルツがお気に入りの場所で昼寝をしていると、目の前に見知らぬ男性がいた。
素性のわからないその男性は、たびたびベルの元を訪れてベルとたわいもない話をしていく。本を貸したりお茶を飲んだり、ありきたりな日々を何度か共に過ごしていたとある日、その男性から期間限定の婚約者になってほしいと懇願される。
とりあえず婚約を受けてはみたものの、その相手は実はこの国の第二王子、アーロンだった。
「俺は欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ」
うっかり結婚を承諾したら……。
翠月るるな
恋愛
「結婚しようよ」
なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。
相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。
白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。
実際は思った感じではなくて──?
「一晩一緒に過ごしただけで彼女面とかやめてくれないか」とあなたが言うから
キムラましゅろう
恋愛
長い間片想いをしていた相手、同期のディランが同じ部署の女性に「一晩共にすごしただけで彼女面とかやめてくれないか」と言っているのを聞いてしまったステラ。
「はいぃ勘違いしてごめんなさいぃ!」と思わず心の中で謝るステラ。
何故なら彼女も一週間前にディランと熱い夜をすごした後だったから……。
一話完結の読み切りです。
ご都合主義というか中身はありません。
軽い気持ちでサクッとお読み下さいませ。
誤字脱字、ごめんなさい!←最初に謝っておく。
小説家になろうさんにも時差投稿します。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
お兄様の指輪が壊れたら、溺愛が始まりまして
みこと。
恋愛
お兄様は女王陛下からいただいた指輪を、ずっと大切にしている。
きっと苦しい片恋をなさっているお兄様。
私はただ、お兄様の家に引き取られただけの存在。血の繋がってない妹。
だから、早々に屋敷を出なくては。私がお兄様の恋路を邪魔するわけにはいかないの。私の想いは、ずっと秘めて生きていく──。
なのに、ある日、お兄様の指輪が壊れて?
全7話、ご都合主義のハピエンです! 楽しんでいただけると嬉しいです!
※「小説家になろう」様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる