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最終章 そして、伝説へ
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「うぅ、酷いのじゃ……妾はお腹が空いて死んでしまうとこだったのじゃぞ……はむ、はむ。今回の戦闘の代償としてグレイズの分の食料も要求するのじゃ」
クィーンを連れて次のフロアの探索を始めたら、先発していたゾンビたちの匂いに反応した新たなゾンビたちが殺到し、腐った肉の匂いが更なるゾンビを呼んで計五〇〇体近い数に膨らんでしまっていた。
まだなりたてのゾンビが多く、整然の能力を残した者の多く見られたので、思いのほか大激闘となってしまったのだ。
「すまん、あんなにゾンビが一気に殺到するとは思わなかったんだ。でも、クィーンの不死術のおかげでゾンビたちを罠避けに使わせてもらえるようになったのはありがたい」
予想を超える数のゾンビの群れと戦いながら、進むわけにもいかず、かといって罠を解除する時間もなかった。
仕方なく、クィーンのノーライフキングとしての力を借り、ゾンビとなった者を使役して罠のある場所へ突っ込ませてもらっていた。
「不死術は魔力をかなり使うのじゃぞ。半分、生を取り戻した妾にはきついのじゃ」
「すまんな。これはお礼の品だ。ブラックミルズで一番の保存食店の店主が一年かけて熟成させた干し肉のソーセージだぞ」
ごそごそと俺がポーチにしまっていたソーセージを出した瞬間、獲物を狙うハンターと化したクィーンが速攻で奪っていた。
「はむ、はむ。このような物で妾が許すとでも――うまー、これはうまいのじゃ! もう一本! もう一本欲しいのじゃ」
「いいなぁ、クィーンちゃん、あのソーセージ屋さん気難しい人だからグレイズさんしか売ってもらえないんだよねー」
「わふうう(あたしも一回食べましたけど……思い出すだけでよだれが……)」
ファーマとハクがクィーンの持つソーセージを物欲しそうに眺めて、よだれを垂らしていた。
二人とも恥ずかしいから、よだれを拭くように。
「それにしても、監獄に収監されてた者と駐留していた兵士の数がこれほどまでに多いとは……ローマンも正確な数は分からないと言ってたしな」
「けど、クィーンの頑張りのおかげでもうすぐ監獄の最下層まで降りられる。そこに絶望都市への入り口を兼ねる大扉があるはず」
監獄の罠の位置を示した地図を眺めていたカーラが現在位置を伝えてくれた。
五階層分上に昇って、五階層分降りてきたところか。
脱走除けの作りとはいえ、ダンジョン化して壁をぶち抜けなくなったり、床が異次元と繋がって階段でしか次の階層に降りられない仕様となって面倒だな。
「その大扉付近の敵を一掃して、補給ポイントとして整備を一気にするか。まだできて日の浅いダンジョンだし、ゾンビの再生成までは結構な時間がかかるはずだから」
「そろそろ、見えてくるはず。地図だとかなり大きな広場になっているから」
カーラのナビゲートに従い石の通路を歩いて行くと、しばらくして大きな広場に到着した。
広場は天井が抜けており、外からの陽ざしが降り注いでいたため、暗闇を歩いてきた目が慣れるまでに少しの時間を要していた。
「広いねー。ここが絶望都市へ入るための入り口かー。魔物の気配はなし、変な匂いもしないねー。ここなら日中、ゾンビさんたちは日に当たりたくないから寄ってこないかも」
「わふう(それにしても空から入れたら簡単なんですけどね。ダンジョン主の影響であの空の空間も歪んでますからね)」
先に広場に入っていたファーマとハクが敵影なしを伝えてきていた。
ハクの言う通り、空から入れればこんな面倒な監獄を抜けてくることもしないでよかったんだがな。
廃墟型ダンジョンは色んな所の空間が歪むらしいから、一見入れそうに見えて入ってみたら全然違う場所に飛ばされるって聞いたこともあるし。
無難に階段を伝って移動した方が効率的に先に進めることが多いとも聞いていた。
「さて、じゃあ後からついてきてる冒険者たちのために補給所の設営を始めるとするか。荷物をひろげるから各自、事前に割り振ってた仕事にとりかかってくれ」
俺は背負ってきた巨大な荷物を広場の中央に置くと、荷解きを始めた。
「後続の冒険者たちも持ち込んで来てる私とアウリースとメラニアは炊き出し場所の設営。ジェネシス君とカーラは救護所の設営。グレイズさんとファーマは簡易保管場所の設営。クィーンとハクは警戒だからね。各自手早くお仕事よろしく」
仕切り屋のメリーが早速荷物を前に段取りの確認を始めていた。
「へーい。ふう、休憩なしはつらいっすねー。戦闘はさほどなくて良かったすけど」
自分の荷物を地面に置いたジェネシスが腰をゴキゴキと鳴らしていた。
「ここの設営が終われば待望の休憩時間だ。もうひと踏ん張りだぞ」
「へーい、了解っす。カーラさん、簡易テントとパイプベッドたちはどこに置きますか」
「炊き出し場所からは離した方がいい。水源は見たところない。汚物や血で汚すこともないからこの辺りで設営する」
カーラの指示に従ってジェネシスが簡易テントの設営を始めていた。
確かにここは水源がないなぁ……運ぶとなるとそれも結構な重量負担になるぞ。
ちらりと周囲を見渡したが、水源になりそうなものはなく、地図上にもそういったものは記載されてなかった。
「この監獄は外の山からの湧き水くらい水路で引っ張ってため込んでそうなんだがな……」
「グレイズさん、手が止まってるわよ。これからドンドンと後続の冒険者がくるんだから、受け入れ準備を進めないと」
仕切りモードを発動させたメリーが、俺が手を止めているの見て注意してきた。
「すまん、すぐにやるが……水源がなぁ……いちおう、外の倉庫近くには湧き水を引っ張った井戸があったんでその水を大目に持ち込んでるが。内部にはそういった設備がないもんだろうかと思ってな」
「そういえば来る途中にも、給水できそうな場所はなかったわね。あれだけ多くの人が生活してたんだから内部にも水源くらいはあってもいいかも」
メリーもやはり水源がなかったことを不思議に思っていたようだ。
兵士も含めればかなりの数の人が生活していた空間なので、水の消費があの井戸一つで足りたとは到底思えないんだが。
「グレイズさん、水源も気になるけど、今はまず受け入れ態勢を構築する方が先よ。足りなくなったら、外の倉庫に取りに行くしかないんだし」
「おぅ、そうだな。まずは受け入れ態勢だな。ファーマ、保管棚を一気に作るから手伝ってくれ」
「はーい、お手伝いしますー」
水源のことは一時棚上げして、ファーマを呼ぶと荷解きした棚の部材と雨露をしのぐテントを二人で一気に作り上げ簡易的な保管倉庫が瞬く間に完成した。
満タンにストックすれば二〇〇人程度の冒険者が必要とする水や食料、消耗品も補給できるくらいの量は入るはずだ。
俺たちが保管倉庫を作っている間に、カーラの救護所も、メリーたちの炊き出し場所も完成し、そろそろ休憩と思ったところでハクの焦ったような声が届いてきた。
「わふ、わふ(す、すみません! やらかしました! アイアンゴーレムですっ! 匂いがしなかったので見落としました。現在、大扉横の細い奥まった通路でクィーンと一緒に交戦中です。ガチガチに堅いのと魔法効かないのはイヤー)」
「すぐに行く! 無理せずに回避に専念しろ」
俺は斧を担ぐと、すぐさま大扉に向けて駆けだし始める。
「ファーマ、行きます」
天啓子であるみんなもハクからの救援依頼は聞こえてようで、ファーマが風のようにサッと大扉の方へ駆け抜けていった。
「相手は堅いなら、私のメイスが効きそうね。歯ごたえのある相手だといいけども」
メリーが駆け出しながら手にしたメイスの素振りを始めていた。
「アイアンゴーレム、ブラックミルズだとかなりしたの階層のボスだったはず。堅い上に魔法も効かない。ミスリルゴーレムに次ぐ耐久力を持つ」
確かブラックミルズだと二十三階層のボスだったはず。
ノーライフキングの宮殿と同じように無視して通過できるボス部屋だが、鈍重な動きなため攻撃力に自信のあるパーティーは挑んでいたはずだ。
「相手は堅いし、魔法も効かないが、攻撃をしっかりとみればかわせない相手ではない。焦らずにしっかりと攻撃を当ててけば倒せるはずだ」
「はーい。ファーマは致命傷与えられないと思うから牽制と陽動しまーす。攻撃はグレイズさんとメリーさんにお任せ」
自分の攻撃スタイルを理解しているファーマは無理のない選択肢を選んでくれていた。
「ファーマ、いつものセットを忘れない」
「はーい。カーラさんの支援魔法セット入りまーす」
先行して飛び出そうとしていたファーマに、カーラから姿を見えにくくする魔法と、回避と命中を上げる支援魔法が飛んだ。
アレで大半の魔物はファーマの姿を捉えることが困難になる。
薄ぼんやりとした膜に包まれたファーマの身体が微かにブレると、一気に加速して大扉の方へ駆け出していった。
「もう、俺でも腕輪付きじゃファーマの姿はまともに捉えられんなぁ……」
ファーマが参戦すれば、勝つことは困難でも負けない戦いはできるはずなので、俺たちが駆け付けるだけの時間的余裕は発生すると思われた。
「ノーライフキングであるクィーンちゃんの魔法が効かないとなると、メラニアさんと私は回避専念ですね。さすが、魔術士キラーと言われる魔物です」
「そうですね。クィーンちゃんの魔法が効かないとなると……わたくし程度の魔力では通じないですし」
「二人はオレが護衛するんで大丈夫っす。効かない魔法でも牽制くらいにはなると思うんで、極力魔力を節約しながら牽制してくれたらいいと思うっす」
ハクたちの救援に走りながらも、それぞれの役割分担が決まっていた。
相手の魔物の持つ特性によって、息をするようにそれぞれの役割が最適化されていく。
お互いに何ができて何ができないかを理解しているからこそのスピード感であった。
ーーーーーーー
おっさん商人もいよいよラストダンジョン入り口前に到着しました。
仲間とともにこのラストダンジョンを打ち破り、グレイズはダンジョン主を討伐してついに年貢を納める時がくるのかどうかを期待しておまちください。
Re:サイクル! ~底辺ゴミ拾い冒険者だった俺が、最強生産チートスキルを得て成り上がり生活始めました~を外部投稿から本日から内部投稿に切り替えます。なろう側でたくさん読んで頂きとても感謝しております。
まだ、もし未読な方がいらっしゃいましたら、ご一読いただけると幸いです。
クィーンを連れて次のフロアの探索を始めたら、先発していたゾンビたちの匂いに反応した新たなゾンビたちが殺到し、腐った肉の匂いが更なるゾンビを呼んで計五〇〇体近い数に膨らんでしまっていた。
まだなりたてのゾンビが多く、整然の能力を残した者の多く見られたので、思いのほか大激闘となってしまったのだ。
「すまん、あんなにゾンビが一気に殺到するとは思わなかったんだ。でも、クィーンの不死術のおかげでゾンビたちを罠避けに使わせてもらえるようになったのはありがたい」
予想を超える数のゾンビの群れと戦いながら、進むわけにもいかず、かといって罠を解除する時間もなかった。
仕方なく、クィーンのノーライフキングとしての力を借り、ゾンビとなった者を使役して罠のある場所へ突っ込ませてもらっていた。
「不死術は魔力をかなり使うのじゃぞ。半分、生を取り戻した妾にはきついのじゃ」
「すまんな。これはお礼の品だ。ブラックミルズで一番の保存食店の店主が一年かけて熟成させた干し肉のソーセージだぞ」
ごそごそと俺がポーチにしまっていたソーセージを出した瞬間、獲物を狙うハンターと化したクィーンが速攻で奪っていた。
「はむ、はむ。このような物で妾が許すとでも――うまー、これはうまいのじゃ! もう一本! もう一本欲しいのじゃ」
「いいなぁ、クィーンちゃん、あのソーセージ屋さん気難しい人だからグレイズさんしか売ってもらえないんだよねー」
「わふうう(あたしも一回食べましたけど……思い出すだけでよだれが……)」
ファーマとハクがクィーンの持つソーセージを物欲しそうに眺めて、よだれを垂らしていた。
二人とも恥ずかしいから、よだれを拭くように。
「それにしても、監獄に収監されてた者と駐留していた兵士の数がこれほどまでに多いとは……ローマンも正確な数は分からないと言ってたしな」
「けど、クィーンの頑張りのおかげでもうすぐ監獄の最下層まで降りられる。そこに絶望都市への入り口を兼ねる大扉があるはず」
監獄の罠の位置を示した地図を眺めていたカーラが現在位置を伝えてくれた。
五階層分上に昇って、五階層分降りてきたところか。
脱走除けの作りとはいえ、ダンジョン化して壁をぶち抜けなくなったり、床が異次元と繋がって階段でしか次の階層に降りられない仕様となって面倒だな。
「その大扉付近の敵を一掃して、補給ポイントとして整備を一気にするか。まだできて日の浅いダンジョンだし、ゾンビの再生成までは結構な時間がかかるはずだから」
「そろそろ、見えてくるはず。地図だとかなり大きな広場になっているから」
カーラのナビゲートに従い石の通路を歩いて行くと、しばらくして大きな広場に到着した。
広場は天井が抜けており、外からの陽ざしが降り注いでいたため、暗闇を歩いてきた目が慣れるまでに少しの時間を要していた。
「広いねー。ここが絶望都市へ入るための入り口かー。魔物の気配はなし、変な匂いもしないねー。ここなら日中、ゾンビさんたちは日に当たりたくないから寄ってこないかも」
「わふう(それにしても空から入れたら簡単なんですけどね。ダンジョン主の影響であの空の空間も歪んでますからね)」
先に広場に入っていたファーマとハクが敵影なしを伝えてきていた。
ハクの言う通り、空から入れればこんな面倒な監獄を抜けてくることもしないでよかったんだがな。
廃墟型ダンジョンは色んな所の空間が歪むらしいから、一見入れそうに見えて入ってみたら全然違う場所に飛ばされるって聞いたこともあるし。
無難に階段を伝って移動した方が効率的に先に進めることが多いとも聞いていた。
「さて、じゃあ後からついてきてる冒険者たちのために補給所の設営を始めるとするか。荷物をひろげるから各自、事前に割り振ってた仕事にとりかかってくれ」
俺は背負ってきた巨大な荷物を広場の中央に置くと、荷解きを始めた。
「後続の冒険者たちも持ち込んで来てる私とアウリースとメラニアは炊き出し場所の設営。ジェネシス君とカーラは救護所の設営。グレイズさんとファーマは簡易保管場所の設営。クィーンとハクは警戒だからね。各自手早くお仕事よろしく」
仕切り屋のメリーが早速荷物を前に段取りの確認を始めていた。
「へーい。ふう、休憩なしはつらいっすねー。戦闘はさほどなくて良かったすけど」
自分の荷物を地面に置いたジェネシスが腰をゴキゴキと鳴らしていた。
「ここの設営が終われば待望の休憩時間だ。もうひと踏ん張りだぞ」
「へーい、了解っす。カーラさん、簡易テントとパイプベッドたちはどこに置きますか」
「炊き出し場所からは離した方がいい。水源は見たところない。汚物や血で汚すこともないからこの辺りで設営する」
カーラの指示に従ってジェネシスが簡易テントの設営を始めていた。
確かにここは水源がないなぁ……運ぶとなるとそれも結構な重量負担になるぞ。
ちらりと周囲を見渡したが、水源になりそうなものはなく、地図上にもそういったものは記載されてなかった。
「この監獄は外の山からの湧き水くらい水路で引っ張ってため込んでそうなんだがな……」
「グレイズさん、手が止まってるわよ。これからドンドンと後続の冒険者がくるんだから、受け入れ準備を進めないと」
仕切りモードを発動させたメリーが、俺が手を止めているの見て注意してきた。
「すまん、すぐにやるが……水源がなぁ……いちおう、外の倉庫近くには湧き水を引っ張った井戸があったんでその水を大目に持ち込んでるが。内部にはそういった設備がないもんだろうかと思ってな」
「そういえば来る途中にも、給水できそうな場所はなかったわね。あれだけ多くの人が生活してたんだから内部にも水源くらいはあってもいいかも」
メリーもやはり水源がなかったことを不思議に思っていたようだ。
兵士も含めればかなりの数の人が生活していた空間なので、水の消費があの井戸一つで足りたとは到底思えないんだが。
「グレイズさん、水源も気になるけど、今はまず受け入れ態勢を構築する方が先よ。足りなくなったら、外の倉庫に取りに行くしかないんだし」
「おぅ、そうだな。まずは受け入れ態勢だな。ファーマ、保管棚を一気に作るから手伝ってくれ」
「はーい、お手伝いしますー」
水源のことは一時棚上げして、ファーマを呼ぶと荷解きした棚の部材と雨露をしのぐテントを二人で一気に作り上げ簡易的な保管倉庫が瞬く間に完成した。
満タンにストックすれば二〇〇人程度の冒険者が必要とする水や食料、消耗品も補給できるくらいの量は入るはずだ。
俺たちが保管倉庫を作っている間に、カーラの救護所も、メリーたちの炊き出し場所も完成し、そろそろ休憩と思ったところでハクの焦ったような声が届いてきた。
「わふ、わふ(す、すみません! やらかしました! アイアンゴーレムですっ! 匂いがしなかったので見落としました。現在、大扉横の細い奥まった通路でクィーンと一緒に交戦中です。ガチガチに堅いのと魔法効かないのはイヤー)」
「すぐに行く! 無理せずに回避に専念しろ」
俺は斧を担ぐと、すぐさま大扉に向けて駆けだし始める。
「ファーマ、行きます」
天啓子であるみんなもハクからの救援依頼は聞こえてようで、ファーマが風のようにサッと大扉の方へ駆け抜けていった。
「相手は堅いなら、私のメイスが効きそうね。歯ごたえのある相手だといいけども」
メリーが駆け出しながら手にしたメイスの素振りを始めていた。
「アイアンゴーレム、ブラックミルズだとかなりしたの階層のボスだったはず。堅い上に魔法も効かない。ミスリルゴーレムに次ぐ耐久力を持つ」
確かブラックミルズだと二十三階層のボスだったはず。
ノーライフキングの宮殿と同じように無視して通過できるボス部屋だが、鈍重な動きなため攻撃力に自信のあるパーティーは挑んでいたはずだ。
「相手は堅いし、魔法も効かないが、攻撃をしっかりとみればかわせない相手ではない。焦らずにしっかりと攻撃を当ててけば倒せるはずだ」
「はーい。ファーマは致命傷与えられないと思うから牽制と陽動しまーす。攻撃はグレイズさんとメリーさんにお任せ」
自分の攻撃スタイルを理解しているファーマは無理のない選択肢を選んでくれていた。
「ファーマ、いつものセットを忘れない」
「はーい。カーラさんの支援魔法セット入りまーす」
先行して飛び出そうとしていたファーマに、カーラから姿を見えにくくする魔法と、回避と命中を上げる支援魔法が飛んだ。
アレで大半の魔物はファーマの姿を捉えることが困難になる。
薄ぼんやりとした膜に包まれたファーマの身体が微かにブレると、一気に加速して大扉の方へ駆け出していった。
「もう、俺でも腕輪付きじゃファーマの姿はまともに捉えられんなぁ……」
ファーマが参戦すれば、勝つことは困難でも負けない戦いはできるはずなので、俺たちが駆け付けるだけの時間的余裕は発生すると思われた。
「ノーライフキングであるクィーンちゃんの魔法が効かないとなると、メラニアさんと私は回避専念ですね。さすが、魔術士キラーと言われる魔物です」
「そうですね。クィーンちゃんの魔法が効かないとなると……わたくし程度の魔力では通じないですし」
「二人はオレが護衛するんで大丈夫っす。効かない魔法でも牽制くらいにはなると思うんで、極力魔力を節約しながら牽制してくれたらいいと思うっす」
ハクたちの救援に走りながらも、それぞれの役割分担が決まっていた。
相手の魔物の持つ特性によって、息をするようにそれぞれの役割が最適化されていく。
お互いに何ができて何ができないかを理解しているからこそのスピード感であった。
ーーーーーーー
おっさん商人もいよいよラストダンジョン入り口前に到着しました。
仲間とともにこのラストダンジョンを打ち破り、グレイズはダンジョン主を討伐してついに年貢を納める時がくるのかどうかを期待しておまちください。
Re:サイクル! ~底辺ゴミ拾い冒険者だった俺が、最強生産チートスキルを得て成り上がり生活始めました~を外部投稿から本日から内部投稿に切り替えます。なろう側でたくさん読んで頂きとても感謝しております。
まだ、もし未読な方がいらっしゃいましたら、ご一読いただけると幸いです。
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