13 / 19
三章
諦めたかった 3 ★
しおりを挟む
「おわ、る……?」
ライアンの放った意味が理解できないでいると、一瞬の隙を突いて夜着として使っている半ズボンごと、するりと下着を脱がされた。
「や、あっ……!」
下着という抑えを失ってまろび出たそれが冷気に触れ、ふるりと左右に揺れた。
目にするのは嫌で直接見ていなかったが、腹に着きそうなほど反り返っているそれは赤く腫れていた。
「なに、これ……」
通常では下を向いていて、排泄をする時か身体を洗う時しか目にしない。
なのに、今目に入った己の分身は普段よりもわずかに大きく、小さな穴から透明な液体を断続的に吐き出している。
ぬらぬらと濡れ光り、薄ぼんやりとしたランプに照らされているのも相俟って、酷く淫靡だった。
「──ここを弄ったことはないんだな」
それまでとは一転して低く、どこか冷たい声が背後から響く。
ライアンにすっぽりと抱え込まれる形になっているため、身動きは取れない。
今更ライアンから逃げる気など毛頭無いが、言葉の意味が何なのかいよいよ分からなかった。
(何を、言ってるんだ……?)
黙って聞いていると、なぜ突然こうなってしまったのか原因を知っているようだった。
「大丈夫、痛いことはしない。お前はただ、俺に任せていればいいから」
困惑しているのを悟ったのか、耳朶に口付けるようにして吐息を吹き掛けられる。
「っ、う……」
先程とほとんど同じ言葉だが、どうしてかぞわりと背筋が震える。
低く、しかし穏やかな声を間近で聞くのは出会った時以来で、何よりもライアンが知らない人に見えた。
次第に淫猥な空気が部屋に満ちていき、その空気感に充てられたのか頭の中がぼんやりとする。
けれどそれも一瞬で、ライアンの大きな手が何も纏っていないそこに伸びるのが目に入った。
「やっ、い……ゃ、だ……! ライ、さまぁ……っ!」
同性の中でも長く美しい指先が、己のものに触れそうになってミハルドはやっと理解した。
否、本能とでもいうのかミハルドは無意識にライアンの夜着の袖を摑む。
実際にその光景を目にした事は無いが、男は性欲が高まると自身を握り、そのまま上下に扱いて精を吐き出すのだという。
もちろんミハルドとて知識の一つとして知っているが、この身から湧き出る痛みと性欲とは違うと思っていたのだ。
(痛いのは嫌だ。でも、ライアン様にこんなことをされる方がもっと嫌だ……!)
仮にも同じ男であっても、排泄をする場所を触られるなど羞恥でおかしくなってしまう。
それ以前に、助けてくれた恩人にこんなことをさせたくて部屋に来た訳ではない。
ただ、先程までは涙が出るほど痛かったのに、今は少しばかり楽になっていた。
それがなぜなのか分からずにいると、不意に先程とは違ってぞわりと背筋が粟立つ。
「ひ、ぅ……っ」
「大丈夫。……大丈夫だからな」
ライアンの低い声が耳朶を擽り、同時に主張するそこに指先が絡んだ。
軽く握られたかと思えばすぐに上下へ擦り上げられ、ぐちぐちと濡れた音が狭くはない部屋に響く。
緩慢とした動きなのに、まるで別な生き物のようにライアンの手の中で弄ばれる。
「ふっ、ん……ぅ……あ」
鼻に掛かった声は甘く、なぜそんな声が自分の口から出るのか分からない。
しかし声を聞かれているという恥ずかしさよりも、ライアンにこうされているという事実が、一層羞恥心を駆り立てた。
互いの息遣いや衣擦れの音がやけに大きく聞こえ、耳を塞ぎたくても手はライアンの夜着を摑んで動かない。
「……ん、っふ……ぅ」
せめてもの抵抗をしたくて、懸命に唇を噛んで声を抑えるが、意思に反してかすかに漏れ出てしまうのは仕方がなかった。
「──い」
「っ」
するとライアンが短く何かを囁いたのが耳に届き、何を言ったのか尋ねたくてもくぐもったあえかな声が出るばかりで、少しも言葉を成していない。
それよりも性器に意識が集中し、ライアンの顔を見る余裕などなかった。
「や、っ……は、ぁ……あっ」
ぐちゅぐちゅと聞くに耐えない淫猥な音はいつしか気にならなくなり、次第にライアンの夜着を摑む力が強くなる。
背後に感じる温もりや息遣いも合わさって、じわじわと未知なものが迫り上がってくる感覚があった。
「……ら、ラィ……さま、おれ……へんっ……!」
排泄欲とも違ったそれが何か分からなくて、今度こそ漏らすのではないかと怖くて、ミハルドは堪らずライアンの方に顔を向ける。
しかしライアンの顔はもちろん美しい瞳すら見られず、変わりに淡く笑う気配がした。
「大丈夫だから。──そのまま、出してしまえ」
殊更ゆっくりとした低い声が聞こえたのとほとんど同時に、ライアンの手の平にすっぽりと収まっていた幼い雄がびくりと跳ねる。
「や、ゃだ……いや、いやだ……っ!」
ふるふると幼子のように何度も首を振って抵抗しても、ライアンは止めてくれない。
むしろ陰茎を擦り上げる動きが早まり、握る力をわずかに強められてしまえば限界は近かった。
ぷくりと小さな穴から滲み出たそれを親指で塗り広げられ、更に早く扱かれる。
「あ、あぁ……っ!」
やがて懸命に繋ぎ合わせていた理性の糸がぷつっりと切れ、目の前が白く染まった。
ほどなくして主張するそこが熱く、ともすれば溜まっていたものが爆ぜるような感覚が背筋を駆け抜けた。
見開かれた瞳からは涙がひと筋、ふた筋と頬を伝って顎へと流れていく。
「あ……っ、は……ぁっ」
息も絶え絶えになりながら、ミハルドはそろりと身体から力を抜いた。
ライアンの胸にもたれ掛かる形になったが、今は何も気にしていられなかった。
喉がからからに渇き、今すぐにでも水分を摂らなければ死んでしまうような錯覚さえする。
夜着越しに感じる体温も合わさって頭の中がふわふわとして、まるで雲の上のに居るような心地にされた。
「ぁ、っ……」
ミハルドは何度も肩で息をしながら、ぼんやりと自身の身体を見つめる。
いつの間にかシャツを捲り上げられていたらしく、日焼けを知らない白い腹が何かで濡れているのが見えた。
(これ、って……)
腹に掛かったのは少量ではあるが、白く粘度のありそうなものの正体をぼんやりと理解する。
先程まで痛くて熱くて堪らなかった陰茎が、今は力を無くしたように萎れているのだ。
緩やかな倦怠感と、どう形容したものか分からない高揚感は、張り詰めたそこから白い液体が出たからだと思う。
「──ミハルド」
普段と変わらないライアンの穏やかな声が、耳元で聞こえる。
このまま振り向けば、深い海を思わせる美しい瞳が自分を見つめていることだろう。
しかしどうしてか、ミハルドの身体は意思に反して硬直した。
いや、本当は動きたくても動けなかったのだ。
経験した事のない倦怠感と、何よりもライアンが知らない人間に見えて怖かった。
加えて睡魔が今になってやってきて、あれほどしっかりと握り締めていたライアンの夜着から手を離していた。
「……いい子だな」
いつもよりずっと優しい、幼子をあやすような口調だった。
ゆっくりと頭や肩を撫で擦ってくる手の平が温かく、次第に瞼が重くなっていく。
「ゃ、おれ……」
まだ眠りたくない、もう少し話していたい。
だからライアンが言うような『いい子』ではない。
そう言いたかったが、唇は少しも動かない。
「そんな顔をするな。お前が眠るまで、こうしていてやるから」
ライアンは小さく苦笑し、ぽんぽんと安心させるように頭を撫でられる。
自分が今どういう顔をしているのか分からないが、優しい手つきは睡魔を増幅させるには十分過ぎた。
やがて大きな手が己のそれに触れ、すっぽりと包み込まれる。
同性にしては長く靭やかな指先は女性的で、けれどかすかに手の平が硬かった。
連日の剣の稽古で自分にも出来ている『まめ』なのだと考えていると、不意に視界が暗くなった。
(ライアン、さま)
もはや目を開ける気力もないが、これだけは分かる。
それまでのミハルドの態勢を変え、自身の胸元に抱え込んだのだ。
そっと息を吸い込むと、ほんの少しの汗と樹々を思わせる爽やかな匂いが鼻腔を擽る。
出会ってすぐの頃は気にする暇もなかったが、見た目以上にライアンは鍛えているようだった。
夜着をまとっているためあまり分からないものの、ミハルドを包み込む腕は壊れ物を扱うように優しい。
「……だから寝なさい」
黒く染まった視界の向こう側で、どこまでも穏やかな男の声が続く。
ぽんぽんと一定の感覚で背中を叩かれ、ゆらゆらと揺らされると、まだ健康だった時の母との思い出が蘇る。
あの時は単に眠れなくて、隣りで眠る母を起こしてしまったのだ。
泣きそうな顔をしていると、母は優しく笑って抱き締めてくれ、ライアンと同じようにあやしてくれた。
顔を見ることなく離れ離れになって五年が過ぎているが、母のことを考えなかった日はない。
ライアンの仕草は瓜二つで、同時にこれほど強く『母に会いたい』と思った日はなく、目尻に涙が滲む。
それでも睡魔は容赦なく襲い掛かり、ミハルドの意識がゆっくりと微睡んでいく。
「──ミハルド、お前は」
意識を手放す間際、ふとライアンが耳元へ何かを短く囁いた。
しかしもう目を開く力も、声を出す気力も残っていなくて、ミハルドは返事の変わりにライアンの胸元に顔を擦り寄せた。
ライアンの放った意味が理解できないでいると、一瞬の隙を突いて夜着として使っている半ズボンごと、するりと下着を脱がされた。
「や、あっ……!」
下着という抑えを失ってまろび出たそれが冷気に触れ、ふるりと左右に揺れた。
目にするのは嫌で直接見ていなかったが、腹に着きそうなほど反り返っているそれは赤く腫れていた。
「なに、これ……」
通常では下を向いていて、排泄をする時か身体を洗う時しか目にしない。
なのに、今目に入った己の分身は普段よりもわずかに大きく、小さな穴から透明な液体を断続的に吐き出している。
ぬらぬらと濡れ光り、薄ぼんやりとしたランプに照らされているのも相俟って、酷く淫靡だった。
「──ここを弄ったことはないんだな」
それまでとは一転して低く、どこか冷たい声が背後から響く。
ライアンにすっぽりと抱え込まれる形になっているため、身動きは取れない。
今更ライアンから逃げる気など毛頭無いが、言葉の意味が何なのかいよいよ分からなかった。
(何を、言ってるんだ……?)
黙って聞いていると、なぜ突然こうなってしまったのか原因を知っているようだった。
「大丈夫、痛いことはしない。お前はただ、俺に任せていればいいから」
困惑しているのを悟ったのか、耳朶に口付けるようにして吐息を吹き掛けられる。
「っ、う……」
先程とほとんど同じ言葉だが、どうしてかぞわりと背筋が震える。
低く、しかし穏やかな声を間近で聞くのは出会った時以来で、何よりもライアンが知らない人に見えた。
次第に淫猥な空気が部屋に満ちていき、その空気感に充てられたのか頭の中がぼんやりとする。
けれどそれも一瞬で、ライアンの大きな手が何も纏っていないそこに伸びるのが目に入った。
「やっ、い……ゃ、だ……! ライ、さまぁ……っ!」
同性の中でも長く美しい指先が、己のものに触れそうになってミハルドはやっと理解した。
否、本能とでもいうのかミハルドは無意識にライアンの夜着の袖を摑む。
実際にその光景を目にした事は無いが、男は性欲が高まると自身を握り、そのまま上下に扱いて精を吐き出すのだという。
もちろんミハルドとて知識の一つとして知っているが、この身から湧き出る痛みと性欲とは違うと思っていたのだ。
(痛いのは嫌だ。でも、ライアン様にこんなことをされる方がもっと嫌だ……!)
仮にも同じ男であっても、排泄をする場所を触られるなど羞恥でおかしくなってしまう。
それ以前に、助けてくれた恩人にこんなことをさせたくて部屋に来た訳ではない。
ただ、先程までは涙が出るほど痛かったのに、今は少しばかり楽になっていた。
それがなぜなのか分からずにいると、不意に先程とは違ってぞわりと背筋が粟立つ。
「ひ、ぅ……っ」
「大丈夫。……大丈夫だからな」
ライアンの低い声が耳朶を擽り、同時に主張するそこに指先が絡んだ。
軽く握られたかと思えばすぐに上下へ擦り上げられ、ぐちぐちと濡れた音が狭くはない部屋に響く。
緩慢とした動きなのに、まるで別な生き物のようにライアンの手の中で弄ばれる。
「ふっ、ん……ぅ……あ」
鼻に掛かった声は甘く、なぜそんな声が自分の口から出るのか分からない。
しかし声を聞かれているという恥ずかしさよりも、ライアンにこうされているという事実が、一層羞恥心を駆り立てた。
互いの息遣いや衣擦れの音がやけに大きく聞こえ、耳を塞ぎたくても手はライアンの夜着を摑んで動かない。
「……ん、っふ……ぅ」
せめてもの抵抗をしたくて、懸命に唇を噛んで声を抑えるが、意思に反してかすかに漏れ出てしまうのは仕方がなかった。
「──い」
「っ」
するとライアンが短く何かを囁いたのが耳に届き、何を言ったのか尋ねたくてもくぐもったあえかな声が出るばかりで、少しも言葉を成していない。
それよりも性器に意識が集中し、ライアンの顔を見る余裕などなかった。
「や、っ……は、ぁ……あっ」
ぐちゅぐちゅと聞くに耐えない淫猥な音はいつしか気にならなくなり、次第にライアンの夜着を摑む力が強くなる。
背後に感じる温もりや息遣いも合わさって、じわじわと未知なものが迫り上がってくる感覚があった。
「……ら、ラィ……さま、おれ……へんっ……!」
排泄欲とも違ったそれが何か分からなくて、今度こそ漏らすのではないかと怖くて、ミハルドは堪らずライアンの方に顔を向ける。
しかしライアンの顔はもちろん美しい瞳すら見られず、変わりに淡く笑う気配がした。
「大丈夫だから。──そのまま、出してしまえ」
殊更ゆっくりとした低い声が聞こえたのとほとんど同時に、ライアンの手の平にすっぽりと収まっていた幼い雄がびくりと跳ねる。
「や、ゃだ……いや、いやだ……っ!」
ふるふると幼子のように何度も首を振って抵抗しても、ライアンは止めてくれない。
むしろ陰茎を擦り上げる動きが早まり、握る力をわずかに強められてしまえば限界は近かった。
ぷくりと小さな穴から滲み出たそれを親指で塗り広げられ、更に早く扱かれる。
「あ、あぁ……っ!」
やがて懸命に繋ぎ合わせていた理性の糸がぷつっりと切れ、目の前が白く染まった。
ほどなくして主張するそこが熱く、ともすれば溜まっていたものが爆ぜるような感覚が背筋を駆け抜けた。
見開かれた瞳からは涙がひと筋、ふた筋と頬を伝って顎へと流れていく。
「あ……っ、は……ぁっ」
息も絶え絶えになりながら、ミハルドはそろりと身体から力を抜いた。
ライアンの胸にもたれ掛かる形になったが、今は何も気にしていられなかった。
喉がからからに渇き、今すぐにでも水分を摂らなければ死んでしまうような錯覚さえする。
夜着越しに感じる体温も合わさって頭の中がふわふわとして、まるで雲の上のに居るような心地にされた。
「ぁ、っ……」
ミハルドは何度も肩で息をしながら、ぼんやりと自身の身体を見つめる。
いつの間にかシャツを捲り上げられていたらしく、日焼けを知らない白い腹が何かで濡れているのが見えた。
(これ、って……)
腹に掛かったのは少量ではあるが、白く粘度のありそうなものの正体をぼんやりと理解する。
先程まで痛くて熱くて堪らなかった陰茎が、今は力を無くしたように萎れているのだ。
緩やかな倦怠感と、どう形容したものか分からない高揚感は、張り詰めたそこから白い液体が出たからだと思う。
「──ミハルド」
普段と変わらないライアンの穏やかな声が、耳元で聞こえる。
このまま振り向けば、深い海を思わせる美しい瞳が自分を見つめていることだろう。
しかしどうしてか、ミハルドの身体は意思に反して硬直した。
いや、本当は動きたくても動けなかったのだ。
経験した事のない倦怠感と、何よりもライアンが知らない人間に見えて怖かった。
加えて睡魔が今になってやってきて、あれほどしっかりと握り締めていたライアンの夜着から手を離していた。
「……いい子だな」
いつもよりずっと優しい、幼子をあやすような口調だった。
ゆっくりと頭や肩を撫で擦ってくる手の平が温かく、次第に瞼が重くなっていく。
「ゃ、おれ……」
まだ眠りたくない、もう少し話していたい。
だからライアンが言うような『いい子』ではない。
そう言いたかったが、唇は少しも動かない。
「そんな顔をするな。お前が眠るまで、こうしていてやるから」
ライアンは小さく苦笑し、ぽんぽんと安心させるように頭を撫でられる。
自分が今どういう顔をしているのか分からないが、優しい手つきは睡魔を増幅させるには十分過ぎた。
やがて大きな手が己のそれに触れ、すっぽりと包み込まれる。
同性にしては長く靭やかな指先は女性的で、けれどかすかに手の平が硬かった。
連日の剣の稽古で自分にも出来ている『まめ』なのだと考えていると、不意に視界が暗くなった。
(ライアン、さま)
もはや目を開ける気力もないが、これだけは分かる。
それまでのミハルドの態勢を変え、自身の胸元に抱え込んだのだ。
そっと息を吸い込むと、ほんの少しの汗と樹々を思わせる爽やかな匂いが鼻腔を擽る。
出会ってすぐの頃は気にする暇もなかったが、見た目以上にライアンは鍛えているようだった。
夜着をまとっているためあまり分からないものの、ミハルドを包み込む腕は壊れ物を扱うように優しい。
「……だから寝なさい」
黒く染まった視界の向こう側で、どこまでも穏やかな男の声が続く。
ぽんぽんと一定の感覚で背中を叩かれ、ゆらゆらと揺らされると、まだ健康だった時の母との思い出が蘇る。
あの時は単に眠れなくて、隣りで眠る母を起こしてしまったのだ。
泣きそうな顔をしていると、母は優しく笑って抱き締めてくれ、ライアンと同じようにあやしてくれた。
顔を見ることなく離れ離れになって五年が過ぎているが、母のことを考えなかった日はない。
ライアンの仕草は瓜二つで、同時にこれほど強く『母に会いたい』と思った日はなく、目尻に涙が滲む。
それでも睡魔は容赦なく襲い掛かり、ミハルドの意識がゆっくりと微睡んでいく。
「──ミハルド、お前は」
意識を手放す間際、ふとライアンが耳元へ何かを短く囁いた。
しかしもう目を開く力も、声を出す気力も残っていなくて、ミハルドは返事の変わりにライアンの胸元に顔を擦り寄せた。
0
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
帝に囲われていることなど知らない俺は今日も一人草を刈る。
志子
BL
ノリと勢いで書いたBL転生中華ファンタジー。
美形×平凡。
乱文失礼します。誤字脱字あったらすみません。
崖から落ちて顔に大傷を負い高熱で三日三晩魘された俺は前世を思い出した。どうやら農村の子どもに転生したようだ。
転生小説のようにチート能力で無双したり、前世の知識を使ってバンバン改革を起こしたり……なんてことはない。
そんな平々凡々の俺は今、帝の花園と呼ばれる後宮で下っ端として働いてる。
え? 男の俺が後宮に? って思ったろ? 実はこの後宮、ちょーーと変わっていて…‥。
αが離してくれない
雪兎
BL
運命の番じゃないのに、αの彼は僕を離さない――。
Ωとして生まれた僕は、発情期を抑える薬を使いながら、普通の生活を目指していた。
でもある日、隣の席の無口なαが、僕の香りに気づいてしまって……。
これは、番じゃないふたりの、近すぎる距離で始まる、運命から少しはずれた恋の話。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる