ペットになった

アンさん

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クロ爆食

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旅館へ戻ると、クロはまた窓に張り付いた。


気に入ったのなら、何度でも入ると良い。


窓を開けてやりクロへお風呂用の荷物を渡し、俺はさっき買った食い物を冷蔵庫へと入れていく。


「りゅるー」


グイグイとクロに服を引っ張られ、そちらを見るとクロは風呂へ指先を向けた。


「どうした?入らないのか?」


服を脱いで真っ裸のクロを抱き上げ風呂場へ向かう。


湯の温度を確認してからクロを入れてやるが服を離さない。


「クロ?どうしたんだ?」


「んー、んー」


グイグイと何度も服を引っ張り、湯と俺を交互に見る。


「一緒に入りたいのか?」


頭を撫でてやってから手を離させ、着ていた服を脱いで部屋内へ放り投げ湯に浸かる。


すぐに俺に背を預けたクロはチャプチャプと湯の表面を叩きだした。


そういえば、家でも一緒に入るから風呂は一緒に入るものだと思ってしまっているのだろうか?


こんなに広いのに俺の傍から離れないし、ヒトが泳ぐことも加味された作りなのだからもっと遊んでも良いのにな…遊び方が分からないのか?


遊び方なんて決まりは無いし、好きに体を動かせば良いだけなんだがな…景色を見て息を深く吐き出している姿は、ヒトより人らしい。


体が温まり顔の赤くなってきたクロを抱き上げて風呂場を後にする。


そろそろ夕飯時…クロは食べてくれるだろうか?






杞憂に終わりそうだ。


並べられた和洋折衷の食事を器用に食器を使って食べている。


熱いものはちゃんと冷まし、好き嫌いなくどれも食べている。


量が量なので頼んだ配膳の者も、クロの食べ方にほぉと感嘆した。


「器用に食べられるのですね。ヒト、ですよね?」


「そうだな、小さい子供のようだろう?」


「ええ、まさに。躾、大変だったのではないでしょうか?」


「いや、俺は躾ていない。自分でやりだしたからな」


「ご自分で?それはそれは、聡明で」


手を休めることなく食べ続けるクロの動画を撮り続けながら、俺も箸を進める。美味いな。


ふんふんと鼻息荒く茶碗を配膳の者渡して自分からオカワリし、目に入るものをどんどん食べていくクロは、キラキラと目を輝かせている。


クロ用としてテープで机の上に枠を作ってもらった。


おかげで、近付けずともテープ内にあるものはどれも美味しそうに食べている。


生食は医者に止められているから肉も魚も火が通ったものを注文し、野菜も温野菜がメインになるように調整してもらった。


良いな、実に良い。


これで今晩しっかり寝てくれるなら、もう何も言うことは無い。


食後のデザートまでキッチリ腹に収めたクロを布団へ寝かせてやる。


最近はベッドで寝かせていたから床で寝るのは久々だな。


持ってきていたホットドールに抱きついてクロの目が半開きになってきた。


寝てくれそうだ。


頭を撫でて「おやすみ」というと、クロは直ぐに意識を手放した。


おやすみ、クロ。


確り寝ろよ。


それで、明日も沢山食事をとって遊ぼうな。





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