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44.改善要求はそこじゃない
しおりを挟む食事を終えれば寝るだけなので、エディエットはさっさと身支度を整えて寝台の中に潜り込む。エディエットが横になれる寝台は一つしかないため、仕方なくここに横になるのだが、困ったことにアラムハルトまで毎晩やってくるのだ。
正殿宮に住んでいるのは皇帝陛下たるアラムハルトと第二妃夫人であるエディエットだけなので、後宮にすまう正妃より御渡りの頻度が高いのは仕方のないことだ。だが、自分専用の寝室を持っているのにもかかわらず、なぜか毎晩やってくるのだ。ごく稀に仕事が忙しくて本当に寝るだけの日もあるけれど、それは本当にごく稀なのだ。
「きょ、うはぁ 疲れて、るっ」
かけ布団を取り除かれて、エディエットは慌てて枕にしがみついた。いつもアラムハルトはかけ布団をどこかに飛ばしてしまうので、エディエットは枕にしがみついて最後の抵抗をこころみるのだ。
「ではマッサージをしてやろう」
アラムハルトの手が伸びてきて、エディエットの下半身をするりと撫でた。それだけでエディエットは体を跳ねさせてしまい、寝たふりは終了してしまう。
「着慣れないものを着ていたから肩も凝っているのではないか?」
食事の前に入った風呂で侍女たちから香油を使ったマッサージを受けているから、凝っているはずなどないのだが、必至に枕にしがみついているものだから、力の入った体の筋肉は当然硬い。
「硬くなっているな」
「違うっ」
首筋から肩にかけてアラムハルトの大きな手が撫でてきて、エディエットの最後の砦の薄布の夜衣を大きくずらした。そうすれば、枕にしがみつくエディエットの形の良い肩胛骨が姿を見せる。
「相変わらず美しいな私の妻は」
枕にしがみついているから見えてはいないけれど、相変わらずアラムハルトはうっそりとした声でエディエットを褒めてくる。それがそれがどうにも耳になれなくて、エディエットは聞こえないふりをする。
いつも通りにエディエットが枕に顔を押し付けて、アラムハルトを見ようとしないから、アラムハルトは勝手にエディエットの体を撫で回す。こちらの男たちとは違い、鍛えてこなかったエディエットの肩幅は狭く、大した筋肉は付いてはいない。背中を丸めているから背骨は見えるし、細い腰も骨が出ている。小さめの尻はどちらかといえば弾力がある。
「まったく、正妃より細いな」
喉の奥の方で笑っているのが耳元で聞こえたとしても、エディエットは枕から顔を上げることはしない。うっかり抵抗しようとして魔法を発動させないためだ。このうっかりのせいで初日からエディエットは酷い目にあってしまったのだ。
だがしかし、瓶の蓋が開けられる音がして、エディエットは飛び起きた。そうしてアラムハルトが手にしているものを見て、露骨に嫌な顔をする。
「どうした?今日はあまり排泄をしていないだろう?」
魔道具の浄化剤を手にアラムハルトが言う。普段はたくさん飲み物を飲まされているエディエットであるが、今日はあちこち出かけていたからろくに飲んではいなかった。だから、だからこそエディエットは疲れていることも合わせて無しにしようと思っていたのに、自分勝手な皇帝は魔道具を使おうとしているのだ。
「そ、それは いや、だぁ」
未だに枕を抱えたままのエディエットは顔を背けた。けれど、アラムハルトからすればそんな対応さえも可愛らしいとしか映らない。
「なぜ?これを使わない方が気持ちが悪いだろう?」
言いながらアラムハルトはエディエットの足首をつかんで自身の方へ引き寄せた。
「や、だぁ それ、やだってば」
持っていた枕でアラムハルトを叩くような仕草をすれば、掴まれていた足首は解放された。
「では自分でするか?」
「なんでだよっ 俺は淫乱じゃない」
今度こそ持っていた枕をアラムハルトの顔めがけて投げつけた。大した衝撃もなく、アラムハルトは落ちた枕を眺めつつエディエットににじり寄る。
「ではコレをつかうしかあるまい」
手にした浄化剤をエディエットに見せつける。エディエットは一度口をへの字に曲げてから口を開いた。
「それ、腹ん中で冷たいから嫌なんだよ。腹ん中キュウってしていたくなる」
エディエットがそう言うと、アラムハルトはしばし動かなかった。手にした浄化剤を見つめ、そうして口の中で何かをモゴモゴとつぶやいた。
「それは……っまない、ことをした」
エディエットの膝裏に素早く手を回し、そうして片足を高く上げる。
「や、ヤダヤダヤダ やぁっ」
肩がシーツについた状態で片足を持ち上げられて、エディエットはろくな抵抗もできないままアラムハルトにいいようにあしらわれていた。
「っぁあ」
アラムハルトの太い指が浄化剤をエディエットの胎内に押し込んだのを感じ取ると、エディエットの口から泣きそうな声がでた。柔らかな感触とそれに続くゴツゴツとした感触にエディエットの体が小刻みに震える。
「この辺りが好きだったな」
上からそんなことを言われて、エディエットは両腕で顔を隠した。もうじき自分の腹の中で弾ける感触に耐えるためだ。が、
「ひゃ ぁ ぁんぅぅ」
腹の中で弾けたモノの感触で、思わず出た声が恥ずかしすぎてエディエットは思わず顔を隠していた己の腕に歯を立てた。けれどそれでも体は小刻みに震えるし、声は止まらない。
ビクビクと体を震わせるエディエットをみて、アラムハルトは思わず口角を上げた。
「腹の中、やだ 熱い」
涙目のエディエットに睨まれたところでアラムハルトはなんとも思わなかった。それどころか、予想外のエディエットの反応がたまらなかった。
ビクビクと震えるエディエットの腹を撫で上げれば、背を仰け反らせるのだからアラムハルトは確信する。
「これは困ったな。私の妻は浄化剤が弾けただけで達してしまったというわけか」
「っ ちぁ ぅ」
弱々しい声をエディエットは出したけれど、何を言っているのかわからない上に、涙を滲ませた目がどうにもアラムハルトを刺激した。
「まだ何もしていないのに、ここも 可愛らしいな」
エディエットが両腕をまだ顔の辺りに置いているせいで、薄衣の夜着はいまだにエディエットの体にまとわりついていた。けれど、はだけてしまっているから下半身は隠せていないし、それ以外の肌も概ね明かりの下に晒されている。
アラムハルトの手が遠慮なしにエディエットの肌を撫で、夜着の隙間に入り込んだ。
「あっ」
二の腕の柔らかい所を親指の腹で撫でられて、思わず声をあげれば目の前にはアラムハルトの顔があった。
「ちゃんと見なさい」
いつもの言葉を告げられる。
「んっ」
二の腕の柔らかいところを何度もなでると、ゆっくりと下に降りてそのまま両方の慎ましやかな飾りを撫でる。そうするとエディエットの体が小さく跳ねて、無意識に片膝を立てるのだ。その様子をアラムハルトは眺めてまた目を細める。
「まったく、ガラス細工のようだな私の妻は」
大きな手のひらがエディエットの腹を撫で、立てられた片膝を掴む。そのままゆっくりと持ち上げるとその付け根の先を確認する。胎内で弾けた浄化剤がこぼれ始めているのを認めると、今度こそいつもの香油を開けて手のひらにたっぷりととると、愛らしく開きかけた慎ましやかな入口に指をはわせる。
「あっ っはあ ぁあ」
温かなものが弾けたあとのせいで、エディエットの体は弛緩していた。香油をたっぷりと含んだアラムハルトの指は難なく滑り込み、穏やかに収縮する胎内を確認する。何度か手首をひねり確認をすれば、片膝の浮いたエディエットの体が反応を示した。
「相変わらず、ココがいいようだ」
エディエットの反応を確かめて、アラムハルトの手の動きが徐々に大きくなる。掴んだ片膝は何度も力が入り空を蹴る。けれどそんなことはお構い無しに手の動きを早めれば、喉の奥で引きつったような悲鳴を上げるのだ。
既に二度目の終わりを迎えたらしいエディエットの体からは完全に力が抜けていた。それを眺めながらゆっくりとよく解した入口から侵入を試みれば、今日はいつもよりも緩やかに迎え入れられた。手にしている膝を徐々に高くしていけば、なんなく深くにまで侵入を許された。
「あぁぁぁぁ、お、く ぅ」
一気に奥まで侵入されて、エディエットは背中だけでなく喉までのけぞらせて喘いだ。先程まで力の抜けた体であったのに、一瞬にして力が加わればそれはそれでアラムハルトの額に汗が滲む。
「ここに、入っているぞ。分かるか?」
エディエットの手を取り形の変わった腹を確認させると、一瞬体に力が入る。その反応が嬉しくて、アラムハルトはゆっくりと腰を動かすのだ。
「あ、あ、あ、こ、わい」
己の腹の中で蠢くモノを感じ取り、怯えてしまったのか足が何度も空を蹴る。そんな些細な抵抗を確認しながら、アラムハルトは己の姿勢を低くして、耳元で囁く。
「ちゃんと目を開けて、誰に愛されているのか確認しなさい」
「 っ ぅ」
うっすらと目を開けて、目の前にある顔を確認すれば、歯列の間から漏れる声は掠れていた。それでも必死に言われた通りにアラムハルトを見つめるから、その表情が愛おしくて深く口付けてしまう。そうして怯えた目と絡み合えば腰の動きだけで翻弄出来てしまう。
「私の妻は素直だな。そのまま、自分に愛を注ぐ私を見ているんだ」
「ひっ っう」
体を小刻みに震わせながら、エディエットはアラムハルトを見つめ続ける。手は相変わらず自分の腹に載せられたままで、脈打つものが熱いほとばしりを撒いたことを確認出来た。
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