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ハッピー・ニュー・イヤー@ユニバーサルスタジオ・ハリウッド 2
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食事の後でオレたちは、ハリー・ポッター関連のスーベニア・ショップ、フィルチズ・エンポリウムに来ていた。「ホグワーツの管理人、フィルチが生徒から没収した品を売ってる店」ってことなんだけど、ダイアゴン横丁にある店とかいうわけじゃないんだよね。実を言うとこの店は、物語の中には登場しないんだ。
で、店内は、本棚みたいな商品の棚が、店の中を区切るように並んでいる。地下牢のイメージってことで、ちょっと暗い店内だった。
お、これちょっといいじゃん。金属製の栞(ブックマーク)。ハリーが通ってるホグワーツの寮のシンボルをかたどったエンブレムが、五センチぐらいの四角いフレームにつながって、ページに挟めるようになってるんだ。グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリンの四種類が全部揃ってる。お、他にもさっき行ったスリー・ブルームスティックのもあるし。……うあ、このハリーのトレードマークのメガネのやつ可愛いじゃん! シャーリーンの好み……? 将来いロー・スクールに行くんだったら、教科書もたくさん読まなきゃいけないし。オレは、今日の記念にシャーリーンにあげようと思って、彼女が店員にティーシャツのサイズを相談してる間に、、こっそり自分の買い物かごに入れた。そうだ、ダニエルにも一個買ってってやろうかな。ま、あいつのメガネとはデザインが違うんだが……。
あ、ハリーやロンが食べてたお菓子の詰め合わせの箱……だってさ。
シャーリーンはオレにジェスチャーで店の奥を指差して、店員と一緒にそっちのコーナーに向かった。
この店は結構あちこちに壁で仕切られた空間があり、店の反対側へ向かったシャーリーンは、ここから見えなくなった。
彼女が視界から消えた、その瞬間だった――
えっ!? ドンって!?
オレの行く手と壁の間を、誰かの脚で塞がれた。スニーカーの足で壁を蹴るなんて、行儀悪いなぁ、なんだよぉこいつ?
ん? あれ、ウィリアム・ハワードじゃん、ここでなにしてんの? ……ったくこいつって、ぜんぜん威圧感ないしさ、それにオレ、男に壁ドンされてもぜんぜん嬉しくないし。
「ナイキのスニーカー買ったの? へえ、かっこいいね」
嫌味っぽく言ってやったら、ずっこけて、バランスを取りきれなくなっちゃってた。ウィリアムは、壁につけてた右足を、床に下ろして体を支えた。
「貴様、こんなところで何してるんだ?」
何って……見りゃわかるだろ。
「えっと、ショッピング?」
「シャーリーンと何してんだって聞いたんだよ?」
ああ、二人でいたとこも見てたのか。
「そんなのデートに決まってんだろ。そっちこそ、なんか用?」
そうとう蒼ざめた顔で、たじろいじゃってるけど。奴は、むんずとオレのセーターの胸ぐらを掴んだ。
「覚えておくんだな。他人の彼女を盗るとどうなるか。僕の父親は、LAPDに顔が効くんだ。貴様を罪に問うことだってできるんだぞ!」
はぁ? なに言ってんだよ? 頭おかしくなったのかよ、お前? シャーリーンに振られたショックか?
「できないでしょ? そんなこと」
「ふふん、今年度の新基準に基づく法律だ。LAPD関係者じゃない貴様らは、まだ知らないだろうがな」
いや、聞いてないけどさ。
「お前、民間人が勝手に変な法律をかたるなよ! それこそ違法だぞ!! とにかく……もうシャーリーンのじゃまするなよ、いいなっ」
オレはびしっと宣言してやったぜ、びしっと。彼女を悲しませるようなことは、誰にもさせない! 決してな!
「……っていうか、ミスター・グレンヴィルにも、そう言われたんだろ?」
「う……」
あ、やっぱ図星だった?
ウィリアムは返す言葉を探していたようだったが、さすがにシャーリーンのパパの名前にひるんで、掴んでいたオレのセーターから手を離した。だってさ、あのパパが守ってるんだよ、こいつが彼女に手を出したりなんて、できるわけない、絶対に。
その時だ。
「お待たせ、キャシュアーが混んでたの。行きましょ、ウィル?」
フィルチズ・エンポリウムの大きな買い物袋を下げた女の子が、ウィリアムのほうへ歩いてきた。
「へえ、誰?」
「い、いとこなんだ」
金髪をおもむろにかきあげて、奴は、その女の子が何か言い出す前に急いで店から連れ去った。「僕の名前はウィリアム。ウィルって呼んだら。返事しないぜ」――とかなんとか言いながら。なんでだか、オレにまで言い訳するほど取り乱しちゃってるけど、その間抜けさを自覚してんのかよ? っったく、よくわからんやつ。
シャーリーンが気づかないうちに、退場してくれて何よりだ。ふぅ、やれやれ……だぜ。
オレはやつらが出て行った出口に注目し、向かいのレストランに入っていくまでしっかり見届けた。
オレとシャーリーンが、支払いをすませ店の外に出てくると、あたりは何事もなかったかのように平静に戻っていた。
「じゃあ、午後は何を見る?」
「ジュラシック・パーク! ヴェロキラプトルのロボットが、四対で互いに戦うショーがみたいな。キャメロンは?」
「お……もしろそうだね。君って、恐竜とか怖くないんだ?」
「うん、大好き。本物の爬虫類は苦手だけど、ファンタジーのはぜんぜん平気!」
キャーーーーッ!!
店を出た瞬間、後ろの遊園地にあるジェットコースターが、急旋回を始め、人びとはオレたちの頭上で絶叫を上げた。
「行こっか?」
「うん」
オレの差し出した手をとって、シャーリーンは遠慮がちに指を絡ませた。
で、店内は、本棚みたいな商品の棚が、店の中を区切るように並んでいる。地下牢のイメージってことで、ちょっと暗い店内だった。
お、これちょっといいじゃん。金属製の栞(ブックマーク)。ハリーが通ってるホグワーツの寮のシンボルをかたどったエンブレムが、五センチぐらいの四角いフレームにつながって、ページに挟めるようになってるんだ。グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリンの四種類が全部揃ってる。お、他にもさっき行ったスリー・ブルームスティックのもあるし。……うあ、このハリーのトレードマークのメガネのやつ可愛いじゃん! シャーリーンの好み……? 将来いロー・スクールに行くんだったら、教科書もたくさん読まなきゃいけないし。オレは、今日の記念にシャーリーンにあげようと思って、彼女が店員にティーシャツのサイズを相談してる間に、、こっそり自分の買い物かごに入れた。そうだ、ダニエルにも一個買ってってやろうかな。ま、あいつのメガネとはデザインが違うんだが……。
あ、ハリーやロンが食べてたお菓子の詰め合わせの箱……だってさ。
シャーリーンはオレにジェスチャーで店の奥を指差して、店員と一緒にそっちのコーナーに向かった。
この店は結構あちこちに壁で仕切られた空間があり、店の反対側へ向かったシャーリーンは、ここから見えなくなった。
彼女が視界から消えた、その瞬間だった――
えっ!? ドンって!?
オレの行く手と壁の間を、誰かの脚で塞がれた。スニーカーの足で壁を蹴るなんて、行儀悪いなぁ、なんだよぉこいつ?
ん? あれ、ウィリアム・ハワードじゃん、ここでなにしてんの? ……ったくこいつって、ぜんぜん威圧感ないしさ、それにオレ、男に壁ドンされてもぜんぜん嬉しくないし。
「ナイキのスニーカー買ったの? へえ、かっこいいね」
嫌味っぽく言ってやったら、ずっこけて、バランスを取りきれなくなっちゃってた。ウィリアムは、壁につけてた右足を、床に下ろして体を支えた。
「貴様、こんなところで何してるんだ?」
何って……見りゃわかるだろ。
「えっと、ショッピング?」
「シャーリーンと何してんだって聞いたんだよ?」
ああ、二人でいたとこも見てたのか。
「そんなのデートに決まってんだろ。そっちこそ、なんか用?」
そうとう蒼ざめた顔で、たじろいじゃってるけど。奴は、むんずとオレのセーターの胸ぐらを掴んだ。
「覚えておくんだな。他人の彼女を盗るとどうなるか。僕の父親は、LAPDに顔が効くんだ。貴様を罪に問うことだってできるんだぞ!」
はぁ? なに言ってんだよ? 頭おかしくなったのかよ、お前? シャーリーンに振られたショックか?
「できないでしょ? そんなこと」
「ふふん、今年度の新基準に基づく法律だ。LAPD関係者じゃない貴様らは、まだ知らないだろうがな」
いや、聞いてないけどさ。
「お前、民間人が勝手に変な法律をかたるなよ! それこそ違法だぞ!! とにかく……もうシャーリーンのじゃまするなよ、いいなっ」
オレはびしっと宣言してやったぜ、びしっと。彼女を悲しませるようなことは、誰にもさせない! 決してな!
「……っていうか、ミスター・グレンヴィルにも、そう言われたんだろ?」
「う……」
あ、やっぱ図星だった?
ウィリアムは返す言葉を探していたようだったが、さすがにシャーリーンのパパの名前にひるんで、掴んでいたオレのセーターから手を離した。だってさ、あのパパが守ってるんだよ、こいつが彼女に手を出したりなんて、できるわけない、絶対に。
その時だ。
「お待たせ、キャシュアーが混んでたの。行きましょ、ウィル?」
フィルチズ・エンポリウムの大きな買い物袋を下げた女の子が、ウィリアムのほうへ歩いてきた。
「へえ、誰?」
「い、いとこなんだ」
金髪をおもむろにかきあげて、奴は、その女の子が何か言い出す前に急いで店から連れ去った。「僕の名前はウィリアム。ウィルって呼んだら。返事しないぜ」――とかなんとか言いながら。なんでだか、オレにまで言い訳するほど取り乱しちゃってるけど、その間抜けさを自覚してんのかよ? っったく、よくわからんやつ。
シャーリーンが気づかないうちに、退場してくれて何よりだ。ふぅ、やれやれ……だぜ。
オレはやつらが出て行った出口に注目し、向かいのレストランに入っていくまでしっかり見届けた。
オレとシャーリーンが、支払いをすませ店の外に出てくると、あたりは何事もなかったかのように平静に戻っていた。
「じゃあ、午後は何を見る?」
「ジュラシック・パーク! ヴェロキラプトルのロボットが、四対で互いに戦うショーがみたいな。キャメロンは?」
「お……もしろそうだね。君って、恐竜とか怖くないんだ?」
「うん、大好き。本物の爬虫類は苦手だけど、ファンタジーのはぜんぜん平気!」
キャーーーーッ!!
店を出た瞬間、後ろの遊園地にあるジェットコースターが、急旋回を始め、人びとはオレたちの頭上で絶叫を上げた。
「行こっか?」
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オレの差し出した手をとって、シャーリーンは遠慮がちに指を絡ませた。
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