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タイリア市場
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タイリア市場
青果物区域
見渡す限りの野菜と果物。
声を大にして客を誘う店員。
人の往来。
いつもは、ここは自分と縁のないようなところだと思っていた。
しかし、今は違うのだ。
今の僕はとても気分がいい。
金がたんまりあるから、ここで売られているものは簡単に手に入るのだ。
カリナ様やLa Vitaのクザンさん、大家のおばあさんの助けによるものではなく、僕とぷるんくんが手に入れたお金で物を買う。
そのことが自分に与える開放感は言葉では言い表すことのできないほど嬉しく、自分を助けてくださった方々が自分にとってどれほど大切な人であるか思い知ってしまう。
「ぷりゅん……」
僕の隣で這っているぷるんくんは、人々のやりとり、お店を不思議な表情で見ていては、僕の方へ寄ってきた。
「キングワイルドボアを利用するための料理……」
と、つぶやいては僕はほくそ笑む。
「それが、あるんだよな~」
僕は含みのある言い方で言った。
すると、ぷるんが僕の表情を見上げた。
「よし、いっぱい買うぞ!!」
意気込む僕に、ぷるんくんも眉毛っぽいものを『\ /』にして気合を入れる。
「ぷりゅん!!」
僕とぷるんくんは野菜の卸売の店へ向かった。
「いらっしゃ……え?学生?」
筋肉ムキムキのおっさんが僕を見て、小首を傾げる。
「あの、生姜とキャベツを買いにきたんですけど……」
僕が言ったら、卸売のおっさんは目を細めて見下すように言ってきた。
「はあ?ここは小売店じゃないんだぞ。向こうに行け」
「……」
卸売の筋肉ムキムキのおっさんに素気無くあしらわれた。
だが、
僕は負けない!
「生姜720シェケル(10キログラム)!そして、キャベツ39玉ください!」
「な、なに!?そんなにいっぱい買うんだと!?」
「はい!これからは、頻繁に野菜を購入すると思いますので、嫌なら他のところへ行きますよ」
「いやいや!まてい!!安くしてあげるからよ!悪かった。失礼な態度見せて」
「大丈夫ですよ。んで、どれくらい安くしてくれますか?」
と、僕が目を細めて試すような表情を見せると、おっさんは諦念めいた表情を浮かべ、口を開く。
「普通に小売店へ卸す時の値段にしてあげるよ。サービスで1玉はおまけだ」
「やった!!」
「んんんんん!!」
僕が喜んでいると、ぷるんくんも僕に釣られる形で興奮しながら僕の周りをぐるぐる回る。
「す、スライムか……」
呆れた表情のおっさん。
「そ、それで、こんなにいっぱい買ってどこに使う気だ?」
戦慄の表情のおっさんの問いに、僕は自分の周りをぐるぐる回っているぷるんくんを持ち上げて、おっさんい突き出した。
「この子の食事に使うんですよ!」
「ぷるるるるん!!!」
ぷるんくんはドヤ顔を浮かべる。
「あ……ああ……そうか」
おっさんはとても当惑しているようで、後ずさる。
「ま、まあちゃんと金さえ払ってくれたらいいさ。でも、生姜はいいとして、キャベツはどうやって運ぶんだ?業者を呼ぶと高くつくぞ」
「大丈夫ですよ!」
「ん?」
僕は卸売のおっさんから生姜720シェケルとキャベツ40玉を購入した。
「はあ……やっぱり収納はいいんだよな。これもぷるんくんが僕にスキルを移転してくれたおかげだよ。ありがとな」
「ぷりゅん!」
ぷるんくんは僕を見上げて頷いてくれた。
どうやら『どういたしましてあるじいいい』と言っているようだ。
「あとはごま油ね」
僕とぷるんくんは調味料エリアへと赴いた。
ごま油は大きいガラス瓶に入っているものを三つ買った。
あとは、
「砂糖なんだけど……」
そう。
砂糖だ。
でも、砂糖はイラス王国が経営する店じゃないと購入できない。
ちょっと後ろ髪を引かれる思いではあるけど、買うしかないだろう。
独占権。
ラオデキヤ王国はイラス帝国に自国の砂糖の独占権を売ったのだ。
正確な理由はわからない。
「……」
一介の平民である僕が考えても意味はない。
「ん?」
ぷるんくんは、後ろを振り向いて僕を見つめる。
「あ、ごめん。行こうな」
僕は足を動かし、この前行っていた砂糖を売るところへ向かった。
「ラオデキヤ王国のみなさん!砂糖を含め、イラス帝国から仕入れた良質の香辛料が安いんですわよ~さあ、」
桃色の髪を三つ編みを二つに結んだ彼女。
イラス帝国の上位貴族の服。
またあの美少女が売り子として客を呼んでいる。
青果物区域
見渡す限りの野菜と果物。
声を大にして客を誘う店員。
人の往来。
いつもは、ここは自分と縁のないようなところだと思っていた。
しかし、今は違うのだ。
今の僕はとても気分がいい。
金がたんまりあるから、ここで売られているものは簡単に手に入るのだ。
カリナ様やLa Vitaのクザンさん、大家のおばあさんの助けによるものではなく、僕とぷるんくんが手に入れたお金で物を買う。
そのことが自分に与える開放感は言葉では言い表すことのできないほど嬉しく、自分を助けてくださった方々が自分にとってどれほど大切な人であるか思い知ってしまう。
「ぷりゅん……」
僕の隣で這っているぷるんくんは、人々のやりとり、お店を不思議な表情で見ていては、僕の方へ寄ってきた。
「キングワイルドボアを利用するための料理……」
と、つぶやいては僕はほくそ笑む。
「それが、あるんだよな~」
僕は含みのある言い方で言った。
すると、ぷるんが僕の表情を見上げた。
「よし、いっぱい買うぞ!!」
意気込む僕に、ぷるんくんも眉毛っぽいものを『\ /』にして気合を入れる。
「ぷりゅん!!」
僕とぷるんくんは野菜の卸売の店へ向かった。
「いらっしゃ……え?学生?」
筋肉ムキムキのおっさんが僕を見て、小首を傾げる。
「あの、生姜とキャベツを買いにきたんですけど……」
僕が言ったら、卸売のおっさんは目を細めて見下すように言ってきた。
「はあ?ここは小売店じゃないんだぞ。向こうに行け」
「……」
卸売の筋肉ムキムキのおっさんに素気無くあしらわれた。
だが、
僕は負けない!
「生姜720シェケル(10キログラム)!そして、キャベツ39玉ください!」
「な、なに!?そんなにいっぱい買うんだと!?」
「はい!これからは、頻繁に野菜を購入すると思いますので、嫌なら他のところへ行きますよ」
「いやいや!まてい!!安くしてあげるからよ!悪かった。失礼な態度見せて」
「大丈夫ですよ。んで、どれくらい安くしてくれますか?」
と、僕が目を細めて試すような表情を見せると、おっさんは諦念めいた表情を浮かべ、口を開く。
「普通に小売店へ卸す時の値段にしてあげるよ。サービスで1玉はおまけだ」
「やった!!」
「んんんんん!!」
僕が喜んでいると、ぷるんくんも僕に釣られる形で興奮しながら僕の周りをぐるぐる回る。
「す、スライムか……」
呆れた表情のおっさん。
「そ、それで、こんなにいっぱい買ってどこに使う気だ?」
戦慄の表情のおっさんの問いに、僕は自分の周りをぐるぐる回っているぷるんくんを持ち上げて、おっさんい突き出した。
「この子の食事に使うんですよ!」
「ぷるるるるん!!!」
ぷるんくんはドヤ顔を浮かべる。
「あ……ああ……そうか」
おっさんはとても当惑しているようで、後ずさる。
「ま、まあちゃんと金さえ払ってくれたらいいさ。でも、生姜はいいとして、キャベツはどうやって運ぶんだ?業者を呼ぶと高くつくぞ」
「大丈夫ですよ!」
「ん?」
僕は卸売のおっさんから生姜720シェケルとキャベツ40玉を購入した。
「はあ……やっぱり収納はいいんだよな。これもぷるんくんが僕にスキルを移転してくれたおかげだよ。ありがとな」
「ぷりゅん!」
ぷるんくんは僕を見上げて頷いてくれた。
どうやら『どういたしましてあるじいいい』と言っているようだ。
「あとはごま油ね」
僕とぷるんくんは調味料エリアへと赴いた。
ごま油は大きいガラス瓶に入っているものを三つ買った。
あとは、
「砂糖なんだけど……」
そう。
砂糖だ。
でも、砂糖はイラス王国が経営する店じゃないと購入できない。
ちょっと後ろ髪を引かれる思いではあるけど、買うしかないだろう。
独占権。
ラオデキヤ王国はイラス帝国に自国の砂糖の独占権を売ったのだ。
正確な理由はわからない。
「……」
一介の平民である僕が考えても意味はない。
「ん?」
ぷるんくんは、後ろを振り向いて僕を見つめる。
「あ、ごめん。行こうな」
僕は足を動かし、この前行っていた砂糖を売るところへ向かった。
「ラオデキヤ王国のみなさん!砂糖を含め、イラス帝国から仕入れた良質の香辛料が安いんですわよ~さあ、」
桃色の髪を三つ編みを二つに結んだ彼女。
イラス帝国の上位貴族の服。
またあの美少女が売り子として客を呼んでいる。
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