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王都に行きましょう
失敗してました?
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誰が叫んだのか分からないが、カミーユさんの体は地面に倒れる前にセヴランの鞭によって後方へと移動することができた。
私は、氷魔法を足や翼だけでなく奴の体全身にかけていく。
「セヴラン!ポーションがあるからカミーユさんに」
「わかりました!」
リオネルに飲ませようと出しておいたポーションや薬草があるから、それでなんとかカミーユさんの命を繋げておいて。
ビーストを倒すチャンスは今しかないのよっ!
前足を動かしたせいで全体の氷に罅が入っていたが、私がさらに氷魔法をかけたので足や翼から体全体へと凍っていくビースト。
カヌレとブリュレは、再び前足を高く掲げて力を込めてビーストの背中へと振り下ろす。
ドシーンと地響きを起こしてビーストの体が地へ押さえつけられた。
「ん?ヴィー。さらに氷魔法をかけてください。貴方の魔法は耐性を無視して効いてます」
もしかしたら魔法攻撃耐性や物理攻撃耐性が無効になるかもしれません、とか言われたら魔法使うよね?
よっしゃ!氷漬けにしてやんよ!
「お嬢、首は残せ。俺が叩き斬る!」
大剣の柄を強く握りこむリュシアン。
あのぅ・・・剣からバリバリって雷が・・・放電してますが?
でもビーストに止めを刺せるのはリュシアンしかいない。
アルベールは拘束魔法をさらに強くかけているし、私は氷魔法を行使中。
セヴランとルネは怪我人の治療と保護で、リオネルとカミーユさんは戦線離脱中。
「よしっ!リュシアン、いけーっ!」
大剣どころか体中にバリバリと雷を纏ってリュシアンは走り、ビーストの頭部へと飛び上がった。
そのまま剥き出しになっている首へと大剣を振り下ろす。
バリバリバリバリ、ガッシャーン!
・・・雷が空から落ちるのではなく、剣から迸った雷がビーストの体を走りまくって天へと昇っていった。
ほけぇと天へと消えゆく雷を見送っていると、ボタンとビーストの鷹の頭が落ちてボタボタと粘液のような血が溢れ出す。
「た・・・倒したの?」
「ええ・・・もう、大丈夫でしょう」
「よ・・・よかったぁ」
へたり込む私にアルベールは疲労の滲んだ顔で笑いかけ、リュシアンはビーストの背中から転げ落ちるところをカヌレに拾われていた。
ああー・・・疲れたぁ・・・。
誰だよっ、ピクニック日和とか言った奴。
私だよ・・・。
くうくうと眠っていたリオネルは、その後パチリと元気に目覚めた。
セヴランにポーションを傷口にかけられ、飲まされたカミーユさんも無事だ。
目覚めたら裸でビックリしていたけど、虎になったら破けちゃうからしょうがない。
リュシアンの予備の服とマントで我慢しておくれ。
私たちもとりあえず疲れたから疲労回復薬を飲んで、ちょっとエネルギー補給でおにぎり食べて。
そして・・・これどうしよう。
「もちろん冒険者ギルドへ報告ですね。その後は王都へ運んで研究調査でしょうね」
そういえば、ゴダール男爵領で倒したビーストもギルドへ運んだ後、王都へ行ったはず。
「もう一体ビーストがいた?そうなのですか?ではこのビースト・・・ビーストもどきでしょうが、王都に運ぶことになるでしょうね」
うん、そんな先の話でなくてね・・・このビーストを今どうするの?
冒険者ギルドに報告に行って、ギルド職員が来るまで私たちはここにいなきゃダメなの?
「ええ。ギルド職員が引き取りに来るまではここにいて見張っていないと。それに詳しい討伐報告もしないと・・・」
カミーユさんが段々と声が小さくなるのは、これからの面倒なことを考えて、私とリュシアンとセヴランがうんざりとした顔をしているからだ。
アルベールはニコニコしているけど、ちょっと笑顔が黒いし。
「もう、これをカミーユさんの屋敷まで運んで、そこへギルド職員に来てもらえばいいじゃん。疲れたよ。お風呂入って寝たい!」
「そうですね。そうしましょう」
珍しくアルベールからの賛同もあり、私とアルベールはビーストをひょいと無限収納に仕舞った。
「え?ええええっ!」
驚くカミーユさん。
収納能力者だったとしてもそんなに大量に収納できるとは思ってなかったんだろう。
なんせ今まで狩った魔獣も結構な量を収納しているからね。
「ヴィー。それ、食べれる?」
リオネル・・・お前はブレないな・・・食肉かどうかだけしか興味が無いのか?
「さあ?」
「うーん。尻尾はサーペントだったみたいだし、食うなら鳥系の魔獣みたいな淡泊な味だと思うぞ」
ああ・・・蛇肉って淡泊だって聞いたことあるわ・・・前世だけど。
「たんぱく・・・。とり・・・。唐揚げ?」
こてんと可愛く小首を傾げるけど、食べるの?これを?
「ダメダメダメです!貴重な標本ですよ!氷漬けになっているし、首を落としているので傷が少ない、貴重な標本ですよ!食べちゃダメです!」
「や!食べる。唐揚げ!」
「だ・め・です!リオネル、お兄ちゃんの言うこと聞きなさい!」
「やーっ!」
おいおい、ここでそんなことで兄弟喧嘩すんなよっ。
とにかく帰ろうぜ。
おばちゃんは疲れたよぅ。
ポン!と肩に置かれる手。
「はい?どうしたの、アルベール」
「ヴィー。なんとなくですが・・・カミーユに何かしましたか?」
はにゃ?何もしてないよ?
獣化したのは私のせいじゃないよ?
「してないよー」
「・・・鑑定してみてください」
ほいほい。
微笑ましく口喧嘩しているカミーユさんを「鑑定」と。
「・・・・」
なんで?
・・・。
あっ!セヴランの奴、あれを飲ましたな!
私が恐る恐るアルベールの顔を伺うと、とっても黒い笑顔を向けてくれました。
カミーユさんのカリスマ(種)スキルが・・・カリスマスキルになってたよ。
私は、氷魔法を足や翼だけでなく奴の体全身にかけていく。
「セヴラン!ポーションがあるからカミーユさんに」
「わかりました!」
リオネルに飲ませようと出しておいたポーションや薬草があるから、それでなんとかカミーユさんの命を繋げておいて。
ビーストを倒すチャンスは今しかないのよっ!
前足を動かしたせいで全体の氷に罅が入っていたが、私がさらに氷魔法をかけたので足や翼から体全体へと凍っていくビースト。
カヌレとブリュレは、再び前足を高く掲げて力を込めてビーストの背中へと振り下ろす。
ドシーンと地響きを起こしてビーストの体が地へ押さえつけられた。
「ん?ヴィー。さらに氷魔法をかけてください。貴方の魔法は耐性を無視して効いてます」
もしかしたら魔法攻撃耐性や物理攻撃耐性が無効になるかもしれません、とか言われたら魔法使うよね?
よっしゃ!氷漬けにしてやんよ!
「お嬢、首は残せ。俺が叩き斬る!」
大剣の柄を強く握りこむリュシアン。
あのぅ・・・剣からバリバリって雷が・・・放電してますが?
でもビーストに止めを刺せるのはリュシアンしかいない。
アルベールは拘束魔法をさらに強くかけているし、私は氷魔法を行使中。
セヴランとルネは怪我人の治療と保護で、リオネルとカミーユさんは戦線離脱中。
「よしっ!リュシアン、いけーっ!」
大剣どころか体中にバリバリと雷を纏ってリュシアンは走り、ビーストの頭部へと飛び上がった。
そのまま剥き出しになっている首へと大剣を振り下ろす。
バリバリバリバリ、ガッシャーン!
・・・雷が空から落ちるのではなく、剣から迸った雷がビーストの体を走りまくって天へと昇っていった。
ほけぇと天へと消えゆく雷を見送っていると、ボタンとビーストの鷹の頭が落ちてボタボタと粘液のような血が溢れ出す。
「た・・・倒したの?」
「ええ・・・もう、大丈夫でしょう」
「よ・・・よかったぁ」
へたり込む私にアルベールは疲労の滲んだ顔で笑いかけ、リュシアンはビーストの背中から転げ落ちるところをカヌレに拾われていた。
ああー・・・疲れたぁ・・・。
誰だよっ、ピクニック日和とか言った奴。
私だよ・・・。
くうくうと眠っていたリオネルは、その後パチリと元気に目覚めた。
セヴランにポーションを傷口にかけられ、飲まされたカミーユさんも無事だ。
目覚めたら裸でビックリしていたけど、虎になったら破けちゃうからしょうがない。
リュシアンの予備の服とマントで我慢しておくれ。
私たちもとりあえず疲れたから疲労回復薬を飲んで、ちょっとエネルギー補給でおにぎり食べて。
そして・・・これどうしよう。
「もちろん冒険者ギルドへ報告ですね。その後は王都へ運んで研究調査でしょうね」
そういえば、ゴダール男爵領で倒したビーストもギルドへ運んだ後、王都へ行ったはず。
「もう一体ビーストがいた?そうなのですか?ではこのビースト・・・ビーストもどきでしょうが、王都に運ぶことになるでしょうね」
うん、そんな先の話でなくてね・・・このビーストを今どうするの?
冒険者ギルドに報告に行って、ギルド職員が来るまで私たちはここにいなきゃダメなの?
「ええ。ギルド職員が引き取りに来るまではここにいて見張っていないと。それに詳しい討伐報告もしないと・・・」
カミーユさんが段々と声が小さくなるのは、これからの面倒なことを考えて、私とリュシアンとセヴランがうんざりとした顔をしているからだ。
アルベールはニコニコしているけど、ちょっと笑顔が黒いし。
「もう、これをカミーユさんの屋敷まで運んで、そこへギルド職員に来てもらえばいいじゃん。疲れたよ。お風呂入って寝たい!」
「そうですね。そうしましょう」
珍しくアルベールからの賛同もあり、私とアルベールはビーストをひょいと無限収納に仕舞った。
「え?ええええっ!」
驚くカミーユさん。
収納能力者だったとしてもそんなに大量に収納できるとは思ってなかったんだろう。
なんせ今まで狩った魔獣も結構な量を収納しているからね。
「ヴィー。それ、食べれる?」
リオネル・・・お前はブレないな・・・食肉かどうかだけしか興味が無いのか?
「さあ?」
「うーん。尻尾はサーペントだったみたいだし、食うなら鳥系の魔獣みたいな淡泊な味だと思うぞ」
ああ・・・蛇肉って淡泊だって聞いたことあるわ・・・前世だけど。
「たんぱく・・・。とり・・・。唐揚げ?」
こてんと可愛く小首を傾げるけど、食べるの?これを?
「ダメダメダメです!貴重な標本ですよ!氷漬けになっているし、首を落としているので傷が少ない、貴重な標本ですよ!食べちゃダメです!」
「や!食べる。唐揚げ!」
「だ・め・です!リオネル、お兄ちゃんの言うこと聞きなさい!」
「やーっ!」
おいおい、ここでそんなことで兄弟喧嘩すんなよっ。
とにかく帰ろうぜ。
おばちゃんは疲れたよぅ。
ポン!と肩に置かれる手。
「はい?どうしたの、アルベール」
「ヴィー。なんとなくですが・・・カミーユに何かしましたか?」
はにゃ?何もしてないよ?
獣化したのは私のせいじゃないよ?
「してないよー」
「・・・鑑定してみてください」
ほいほい。
微笑ましく口喧嘩しているカミーユさんを「鑑定」と。
「・・・・」
なんで?
・・・。
あっ!セヴランの奴、あれを飲ましたな!
私が恐る恐るアルベールの顔を伺うと、とっても黒い笑顔を向けてくれました。
カミーユさんのカリスマ(種)スキルが・・・カリスマスキルになってたよ。
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