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運命の鐘を鳴らしましょう

運命の会議が始まりました

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ジャジャーン!

やってきました!アンティーブ国の王宮の一室で、秘密の会議でございます!
今日は、私は勿論、みんな勢ぞろいで会議に参加してますよ?
あ、カミーユさんは王都ギルドで缶詰状態を維持しております。
たまーに、生きる屍のような状態で宿屋に戻ってきて、無言でリオネルを愛でた後、ムキムキな獣人さんたちに連れて行かれていたけど。

アンティーブ国側は国王陛下、王妃様、王妹様、王弟クリストフさんが参加し、宰相と他大臣らしい人たちが何人かと、騎士服を厳めしく着た騎士団の代表みたいなイケオジと何人かの獣人騎士。
でも、そのイケオジ、人族みたいなんだけど?騎士団長とかじゃなくて、参謀的立場な人なのかな?でも筋肉が素晴らしいんだけど?

トゥーロン王国側としては、ヴィクトル兄様と従者ユーグ君、何故かベルナール様とお付きの方々。
ベルナール様は、アンティーブ国側の王族の席に座らんでもいいのか?

後は、各ギルドの代表者なんだけど・・・、うん、アラスの冒険者ギルドのギルマスでアルベールの昔馴染み、鬼人族のヴァネッサさんがいい笑顔で参加しています。
彼女を見たときのアルベールは「うっ!」と、一瞬詰まっていて面白かった。
他には、目立たない位置にレルカン商会の会頭タヌキさん・・・マルセルさんがいますね。

宰相が額に汗を垂らしながら、ビクビクと列席者の名前を読み上げてます。
トゥーロン王国のヴィクトル兄様の名前で、お部屋の温度がグッと下がった気がしますよ。

「皆の者、よく集まってくれた。此度の会議は、我が国だけでなく周辺諸国にも影響を与えるだろう大事だ。最後の決断までよくよく考えてくれ」

陛下は立ち上がり開会の宣言をした後、ちょこちょこと小さなおっさん・・・小人族かな?が手に分厚い書類を持ちペコリと挨拶をする。

これから、レルカン商会が総力上げて調べ尽くした情報が開示される・・・んだけど、あのタヌキ、クリストフさんが依頼するまでもなく、ほとんどの情報を手にしていたんだよね。
実際は、その情報を纏めて確認作業するために、僅か3日だけ猶予をもらっただけで仕上げてきたのだ。

「まず・・・ミュールズ国が極秘でビーストを研究開発し、試作品を作り上げ、我が国に潜入させたとことの裏取りができました!」

あー・・・やっぱりね。
私たちは知っていることなので特にリアクションはしなかったが、周りはもの凄く驚いていた。

「それと、ミュールズ国内でのビースト研究所の場所が・・・ほぼ確定されました」

「誠かっ!」

思わず国王陛下も立ち上がって叫んじゃう。
これも、マルセルさんたちレルカン商会は、ミュールズ国で候補を3ヵ所に絞っていて、3日の間に確定しただけ。
3ヵ所ともアンティーブ国とミュールズ国との間を流れるオーヌ川沿いにあり、川を下ってアンティーブ国にビーストを潜り込ませることが可能な場所。
ゴダール男爵領地にはアラスの町から、サン・ブルージュの町に広がる森の向こうにはオーヌ川が流れているし、王都にはオーヌ川から水を引き込んでいる。
極めつけは、ミュールズ国王の母上である王太后の実家の領地がオーヌ川沿いにあり、国王は頻繁にその領地を訪れているらしい。

「このことから、この場所がビースト研究所であると推定します。なお、ビーストについてはミュールズ国王主導の元に行われていて、前国王との連携は見られないとのことです」

あれ?悪いことをしている親子だけど、ビーストに関しては息子の独断なのかな?

「・・・だからか・・・」

「ヴィクトル兄様?」

「ああ・・・聞こえてしまったか。昔、王太子のミシェルの戴冠を早めようとしたことがあったのだが、前国王の反対でできなかったそうだ。なんでも国王陛下が早くミシェルに王位を譲りたいと申し出ていたらしいが・・・」

ふう~ん。
それって、国王にあれこれ命令する親父が五月蠅いから、権力を削ごうと息子を王様にして、自分が実権をがっちり握ろうとしたんじゃないの?
日本にも昔、そういう制度の時代があったよね?
王様が息子なら強いことも発言できるけど、孫となったらやっぱり発言力は弱くなるものね。

「ミュールズ国の国王と前国王も一枚岩ではないということか・・・。そこを突くか・・・」

クリストフさんが、思案気に顎を撫でる。

「その場合はスピードが大事ですよ、兄様。共通の敵が現れれば邪魔な相手とも手を握るでしょう」

王妹様の意見に、みんなが深く頷く。

「えー、とにかく報告だけ先に進めますね。次にミュールズ国の内情ですが、ヴィクトル殿下の発言の通り国王と前国王ともそれぞれに思惑があり、互いに監視し合っている状態でもあります。そして国民に人気の王太子ミシェルは王都の王城にて政務をこなしており、第2王子のアデルは・・・」

小さなおっさん、口を開けたままでギョロリと手にした書類を凝視する。

「・・・ア・・・アデルは、婚約者リリアーヌの死因を確かめるため、トゥーロン王国に潜入中?です。え、えっーと・・・あれ?トゥーロン王国の亜人奴隷解放軍と合流?です」

なんじゃそりゃ。
ヴィクトル兄様とユーグ君は「あちゃー」て顔で、額に手を当てている。

「あと・・・国王と前国王は、トゥーロン王国の第4王女シルヴィー・トゥーロンをアンティーブ国内にて秘密裡に捜索中・・・です」

「あ、やっぱり」

アルベールが話してくれた通りだったわ。
探すなよ!迷惑だから!

会議に参加している人も、アデル王子の行動とシルヴィー王女捜索の動きに微妙な顔です。
ヴァネッサ姉さんだけが、大きな口を開けて大笑いしてます。

「次に・・・トゥーロン王国の内情についてです」

私が捨ててきた国は、どうなってるのかしらね?
イザックたちや、ギルマスのロドルフさんたち、リシュリュー辺境伯の皆さんは元気かな?

あと・・・クシー子爵はあの王宮で無事に生き残ってんのかしら?

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