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洗い流されたもの
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目の前の温もりにしがみ付いて泣いた。
お姉様ばかり特別扱いされた悔しさも。
家族の中で――ダヴェンフィールド家の中で一人だけ家族として扱われていなかった辛さも。
全部抱きしめられながら泣いているうちに薄れていった。
あんなにも必死に家族の中に入ろうとしていたことさえ、どうでも良くなった。
元々、お母様はわたしのことなど、どうでもよかったのだ。跡継ぎとして生まれることもできず、良縁を捕まえてくることすらできず、期待を裏切り続けていた出来損ない。
お姉様だって、そう。本当に妹だって思っていたのなら、フェルナンドをずっと傍になんて置かない。妹の婚約者なんだからと、わたしの傍にいるように言うはずだ。
お父様はそんな二人を止めない。二人が伯爵夫人と跡取り娘だから? それにしたって、酷くない?
そして、フェルナンドのこと。
フェルナンドはわたしと違って、ダヴェンフィールド家に受け入れられていた。
お父様やお姉様と一緒にいても怒られない。許されている。
殿方だから?
それは違う。
フェルナンドはダヴェンフィールド家にとって、第二子だったのかもしれない。わたしがなれなかったダヴェンフィールド家の息子。
そうでなければ、あんなに受け入れられるはずがない。ミラー夫人がわたしを受け入れてくれたようにダヴェンフィールド家がフェルナンドを受け入れるとは思えないから。
殿方の話についていけないから、と言って邪魔者(わたし)を追い払うお父様とお姉様に、傍に置くことすら嫌がったお母様。
そんな三人が傍にいることを咎めない相手。
わたしと結婚しても他家の人間なのだから、傍に置く必要のないフェルナンドを傍に置いている三人。
入りたかった家族の輪に入れてもらっているフェルナンド。
それを輪の外から見ていることしか許されなかったわたし。
羨ましくて。
妬ましくて。
辛くて。
哀しくて。
涙がそんな感情を洗い流していく。
わたしを抱きしめてくれている温かさが慰めてくれて。
背中を撫でる手がすべてを受け入れてくれているようで。
もう、受け入れてくれないあの三人のことは気にする必要なんてないんだ、と思った。
お姉様ばかり特別扱いされた悔しさも。
家族の中で――ダヴェンフィールド家の中で一人だけ家族として扱われていなかった辛さも。
全部抱きしめられながら泣いているうちに薄れていった。
あんなにも必死に家族の中に入ろうとしていたことさえ、どうでも良くなった。
元々、お母様はわたしのことなど、どうでもよかったのだ。跡継ぎとして生まれることもできず、良縁を捕まえてくることすらできず、期待を裏切り続けていた出来損ない。
お姉様だって、そう。本当に妹だって思っていたのなら、フェルナンドをずっと傍になんて置かない。妹の婚約者なんだからと、わたしの傍にいるように言うはずだ。
お父様はそんな二人を止めない。二人が伯爵夫人と跡取り娘だから? それにしたって、酷くない?
そして、フェルナンドのこと。
フェルナンドはわたしと違って、ダヴェンフィールド家に受け入れられていた。
お父様やお姉様と一緒にいても怒られない。許されている。
殿方だから?
それは違う。
フェルナンドはダヴェンフィールド家にとって、第二子だったのかもしれない。わたしがなれなかったダヴェンフィールド家の息子。
そうでなければ、あんなに受け入れられるはずがない。ミラー夫人がわたしを受け入れてくれたようにダヴェンフィールド家がフェルナンドを受け入れるとは思えないから。
殿方の話についていけないから、と言って邪魔者(わたし)を追い払うお父様とお姉様に、傍に置くことすら嫌がったお母様。
そんな三人が傍にいることを咎めない相手。
わたしと結婚しても他家の人間なのだから、傍に置く必要のないフェルナンドを傍に置いている三人。
入りたかった家族の輪に入れてもらっているフェルナンド。
それを輪の外から見ていることしか許されなかったわたし。
羨ましくて。
妬ましくて。
辛くて。
哀しくて。
涙がそんな感情を洗い流していく。
わたしを抱きしめてくれている温かさが慰めてくれて。
背中を撫でる手がすべてを受け入れてくれているようで。
もう、受け入れてくれないあの三人のことは気にする必要なんてないんだ、と思った。
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