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断れない(7)
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修哉の胸に顔を埋めながら、みっともなくスンスンと鼻を鳴らす。
未だにいろんな感情がぐるぐると回っていて頭は混乱したままだけれど、修哉の匂いを嗅いでいると不思議と心が凪いでいく。
あんなにセフレとしての距離を保ち、決して近づきすぎないように気をつけていたのに。好きにならないように自分を厳しく律していたつもりだったのに。
全然うまくいかない。
「愛ちゃんを抱きたい。セフレとしてじゃなくて、好きな子として。……いや?」
「……」
「たくさん好きって言いながら可愛がりたいんだけど。ほら、俺の趣味だからさ」
「ほんと、その悪趣味いみわかんない……」
顔を上げると、陶然と微笑む修哉と視線が合わさる。
「愛ちゃんが本当に嫌ならここで帰すけど。嫌? 顔にはイエスって書いてあるけど」
「なっ、そんなの書いてないっ」
再び硬くて分厚い胸板に顔を埋める。
いつものように表情筋が仕事をしてくれない自覚はあった。物理的に隠すしか手段がない。
「愛ちゃん可愛いっ、大好き」
「ま、また馬鹿にして……っ」
ひょいっと愛の身体を持ち上げた修哉は、そのまま寝室へ直行して愛のコートを脱がせる。
「本当愛ちゃんは可愛いよね。顔に全部感情が出てるよ。会社にいるときと違いすぎ」
「ちがう、今は動揺してるだけ……っ」
「写真については何も心配しなくていいよ。愛ちゃんのプライバシーは、俺が徹底的に守るから」
「私のことよりも自分のこと心配しなよ……」
修哉は慣れた手つきでどんどん愛の衣服を取り払っていく。顔面が火照っている自覚のある愛は、両手で表情を隠すので精一杯だ。
「愛ちゃん、こっち見て」
「やだ」
「お願い、少しでいいから」
渋々、少しでいいならと愛は指の隙間から覗き見る。
いつの間にか修哉も衣服を脱いで、上半身裸になっていた。
「これから先もずっと愛ちゃんといれるなら、形はなんだっていい。恋人でも夫婦でもパートナーでも。愛ちゃんが望む在り方の通りにするよ。だから、ずっとそばにいて。愛ちゃん大好きだよ」
「…………っ、もう、わかった、から……」
また顔が熱くなる。これ以上好意を伝えられたら、発火して爆発してしまいそうだ。
「くくっ、すごい耳まで赤くなってる。愛ちゃんの感じるところ虐めながら好きって囁いたら、どうなっちゃうんだろうね」
「──……っ」
思わず想像してしまって、下腹部の奥がズクンと反応してしまった。
これ、非常にまずいかもしれない……?!
「修哉、やっぱり私帰る……っ」
「だめ。逃す訳ないでしょ?」
立派な体躯に追い込まれて逃げられない。
さすがに世界で活躍するアスリートに、体で勝負して勝てるはずがなくて。
まるで洞穴に逃げるウサギのように、愛は修哉の枕に顔を埋めてうつ伏せになった。
「ははっ」と楽しそうに声をあげる修哉に、くそぅ……と悔しく思いながらも枕を抱きしめる。
未だにいろんな感情がぐるぐると回っていて頭は混乱したままだけれど、修哉の匂いを嗅いでいると不思議と心が凪いでいく。
あんなにセフレとしての距離を保ち、決して近づきすぎないように気をつけていたのに。好きにならないように自分を厳しく律していたつもりだったのに。
全然うまくいかない。
「愛ちゃんを抱きたい。セフレとしてじゃなくて、好きな子として。……いや?」
「……」
「たくさん好きって言いながら可愛がりたいんだけど。ほら、俺の趣味だからさ」
「ほんと、その悪趣味いみわかんない……」
顔を上げると、陶然と微笑む修哉と視線が合わさる。
「愛ちゃんが本当に嫌ならここで帰すけど。嫌? 顔にはイエスって書いてあるけど」
「なっ、そんなの書いてないっ」
再び硬くて分厚い胸板に顔を埋める。
いつものように表情筋が仕事をしてくれない自覚はあった。物理的に隠すしか手段がない。
「愛ちゃん可愛いっ、大好き」
「ま、また馬鹿にして……っ」
ひょいっと愛の身体を持ち上げた修哉は、そのまま寝室へ直行して愛のコートを脱がせる。
「本当愛ちゃんは可愛いよね。顔に全部感情が出てるよ。会社にいるときと違いすぎ」
「ちがう、今は動揺してるだけ……っ」
「写真については何も心配しなくていいよ。愛ちゃんのプライバシーは、俺が徹底的に守るから」
「私のことよりも自分のこと心配しなよ……」
修哉は慣れた手つきでどんどん愛の衣服を取り払っていく。顔面が火照っている自覚のある愛は、両手で表情を隠すので精一杯だ。
「愛ちゃん、こっち見て」
「やだ」
「お願い、少しでいいから」
渋々、少しでいいならと愛は指の隙間から覗き見る。
いつの間にか修哉も衣服を脱いで、上半身裸になっていた。
「これから先もずっと愛ちゃんといれるなら、形はなんだっていい。恋人でも夫婦でもパートナーでも。愛ちゃんが望む在り方の通りにするよ。だから、ずっとそばにいて。愛ちゃん大好きだよ」
「…………っ、もう、わかった、から……」
また顔が熱くなる。これ以上好意を伝えられたら、発火して爆発してしまいそうだ。
「くくっ、すごい耳まで赤くなってる。愛ちゃんの感じるところ虐めながら好きって囁いたら、どうなっちゃうんだろうね」
「──……っ」
思わず想像してしまって、下腹部の奥がズクンと反応してしまった。
これ、非常にまずいかもしれない……?!
「修哉、やっぱり私帰る……っ」
「だめ。逃す訳ないでしょ?」
立派な体躯に追い込まれて逃げられない。
さすがに世界で活躍するアスリートに、体で勝負して勝てるはずがなくて。
まるで洞穴に逃げるウサギのように、愛は修哉の枕に顔を埋めてうつ伏せになった。
「ははっ」と楽しそうに声をあげる修哉に、くそぅ……と悔しく思いながらも枕を抱きしめる。
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