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使用人達の遊戯場
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伝承とは違い、僕はその声を出す事は愚か歌えない。海に居た時は、歌えてたと思う。でも、いつからか歌は声に、声は悲鳴に、悲鳴は喘ぎ声に変わった気がする。
「僕には、癒す声は出せないん、です。どうしてか解らないけど、その代わりに、喉(命)を犠牲にする事で、呪うんだと思います」
表裏一体に近いその声質は、人魚自身を守る大事な機関だったと思う。両方ないと成立せず、片方だけでは、別の何かを犠牲にしないと何の意味も為さない代物で、ただただ命を削るそんなものだった。
「ふむ、カノンさんでももしかしたら……いや、そうだったんですか。つまり、私を助けるのもカノンの犠牲の元に成り立ったわけですね」
「それは、違っ」
思案顔のテオは迷っているように言葉を止めるとまだ確信の域にはないのか、一旦は納得したように頷いて、スープを啜ってはパンをちぎって口に頬張っていくテオ。
いつの間にか山のように積まれていたパンは半分に減っていた。
「まあ、何処の爵位持ちだか知りませんが死のうが生きようが、どちらにしても奴隷飼いは処罰の対象ですから死をもって罰せられて良かったと私は思いますし、故意にやって無いでしょう?」
確かに故意と言われたら違う。おまけに正直な話をしたら覚えていない。ただ喉の激痛と後ろの違和感だけは意識がはっきりした時に感じてそれが意味するのを考えるのが、正直恐かった。ただテオは、咎める事も無く、それどころか気にした素振りを見せることも無く、ただただ世間話を語っているような、たわいの無い話をしているように淡々としていて、ましてや同情したりも慰める訳でもなかった。
「それに私は法で罰する側に属してる訳でも有りませんし、何なら貴方よりもよっぽど愉快な事をやってますよ、元にカノンの事、強姦しましたし」
「ぶッ!? そ、それは仕方なか……ち、治療っで言ってだじゃないですか!」
にやりと意地の悪い顔をするテオは楽しそうに笑っていて、こっちは羞恥心で顔が熱い。流されたのは自分の過失で言うまでもないが、心配していたこっちの身にもなってほしい。
「あはは! 否定はしませんけど、それカノンが言っちゃうんですか?」
「ッ~~! 」
思い出さないようにしていた事が、色々駆け巡り、顔を手で覆った。こんな風にからかわれたりするのは慣れてない。テオは特に気にしてない様子で、一頻りからかって場の空気は重たかったのが一変させるだけさせた。
「何なら今からピロートークでもします? まあ最後までしてませんけど」
「じませんよ!!」
明らかにからかってくるテオにやっとの思いで言い返せば、噎せてしまい咳を何度と繰り返した。
「いや、すみません。カノンは流されやすそうでしたけど、まあシオン様の手前、流石に殺されたくも無いですし」
微妙にバツの悪そうな何とも言えない表情になったテオ。何で、そこでシオン様なんだろう。そして、そんな物騒な話になるんだろうと首を傾げる。
「あの、僕とシオン様はただの使用人と主人の間柄なだけですから流石にそこまでにはならないかと……」
「……はっ?」
何でそんなに驚いてるのだろうか?
「一応聞いときますが、何かシオン様に大事な事を伝えられたり、又は匂わせたりは……?」
「……いえ?」
「付き合って無いんですか!?」
「付き合……そんなまさか! 主様ですよ?」
寧ろこっちが驚いてポカーンとしてしまった。手紙のやり取りはしているが、話が飛躍しすぎでは?
「チッ……あーやっぱり躊躇わなきゃ良かった」
「ため、え?」
「何でもありません。少なくとも他の出会ってきたどんな方よりも貴方を気にかけてますよ。自覚しろと言うのは違うと思いますが」
テオは考えるように唸りつつ、こちらを見てはまた唸るを何度か繰り返して、段々といたたまれなくなって僕は昨日の事について話題を替えようと口を開こうとテオを見た。
「普通に考えて下さい。使用人と手紙のやり取りなんてすると思います? 曲がりなりにも貴族であり、元騎士がですよ。普通だったら身体からの一夜限りか、押し倒されて愛人か」
「えっと」
話す前に先にテオが切り出してしまった。
言われてみたらこの貴族社会で、いくら奴隷制度を廃止されていたとしても主従関係や身分差、異種族の立ち位置等で格差は根強くある。それにしたってシオン様は例外に優しいと言うか、気遣いも手慣れていると言うか。手紙の内容も話すのが不得手な僕に対して、ただ当たり障りの無い日常的な内容が殆どだけど、交流してくれている配慮だ。所謂、恋文等ではない、どちらかと言えば交換日記に近い。
「他人の色恋にあまり興味は無いですが、偶然にも同部屋になりましたし、いずれはそういう感じ何だろうとは勘繰ってますけど、カノンはシオン様を……そういう風に見ては無さそうですね」
段々一人で勝手知ったるように話を進めていくテオはシオン様の専属に近い使用人だ。過去に何かあったかは詳しくは無いが、シオン様の事は詳しいんだろうな。
「僕には、癒す声は出せないん、です。どうしてか解らないけど、その代わりに、喉(命)を犠牲にする事で、呪うんだと思います」
表裏一体に近いその声質は、人魚自身を守る大事な機関だったと思う。両方ないと成立せず、片方だけでは、別の何かを犠牲にしないと何の意味も為さない代物で、ただただ命を削るそんなものだった。
「ふむ、カノンさんでももしかしたら……いや、そうだったんですか。つまり、私を助けるのもカノンの犠牲の元に成り立ったわけですね」
「それは、違っ」
思案顔のテオは迷っているように言葉を止めるとまだ確信の域にはないのか、一旦は納得したように頷いて、スープを啜ってはパンをちぎって口に頬張っていくテオ。
いつの間にか山のように積まれていたパンは半分に減っていた。
「まあ、何処の爵位持ちだか知りませんが死のうが生きようが、どちらにしても奴隷飼いは処罰の対象ですから死をもって罰せられて良かったと私は思いますし、故意にやって無いでしょう?」
確かに故意と言われたら違う。おまけに正直な話をしたら覚えていない。ただ喉の激痛と後ろの違和感だけは意識がはっきりした時に感じてそれが意味するのを考えるのが、正直恐かった。ただテオは、咎める事も無く、それどころか気にした素振りを見せることも無く、ただただ世間話を語っているような、たわいの無い話をしているように淡々としていて、ましてや同情したりも慰める訳でもなかった。
「それに私は法で罰する側に属してる訳でも有りませんし、何なら貴方よりもよっぽど愉快な事をやってますよ、元にカノンの事、強姦しましたし」
「ぶッ!? そ、それは仕方なか……ち、治療っで言ってだじゃないですか!」
にやりと意地の悪い顔をするテオは楽しそうに笑っていて、こっちは羞恥心で顔が熱い。流されたのは自分の過失で言うまでもないが、心配していたこっちの身にもなってほしい。
「あはは! 否定はしませんけど、それカノンが言っちゃうんですか?」
「ッ~~! 」
思い出さないようにしていた事が、色々駆け巡り、顔を手で覆った。こんな風にからかわれたりするのは慣れてない。テオは特に気にしてない様子で、一頻りからかって場の空気は重たかったのが一変させるだけさせた。
「何なら今からピロートークでもします? まあ最後までしてませんけど」
「じませんよ!!」
明らかにからかってくるテオにやっとの思いで言い返せば、噎せてしまい咳を何度と繰り返した。
「いや、すみません。カノンは流されやすそうでしたけど、まあシオン様の手前、流石に殺されたくも無いですし」
微妙にバツの悪そうな何とも言えない表情になったテオ。何で、そこでシオン様なんだろう。そして、そんな物騒な話になるんだろうと首を傾げる。
「あの、僕とシオン様はただの使用人と主人の間柄なだけですから流石にそこまでにはならないかと……」
「……はっ?」
何でそんなに驚いてるのだろうか?
「一応聞いときますが、何かシオン様に大事な事を伝えられたり、又は匂わせたりは……?」
「……いえ?」
「付き合って無いんですか!?」
「付き合……そんなまさか! 主様ですよ?」
寧ろこっちが驚いてポカーンとしてしまった。手紙のやり取りはしているが、話が飛躍しすぎでは?
「チッ……あーやっぱり躊躇わなきゃ良かった」
「ため、え?」
「何でもありません。少なくとも他の出会ってきたどんな方よりも貴方を気にかけてますよ。自覚しろと言うのは違うと思いますが」
テオは考えるように唸りつつ、こちらを見てはまた唸るを何度か繰り返して、段々といたたまれなくなって僕は昨日の事について話題を替えようと口を開こうとテオを見た。
「普通に考えて下さい。使用人と手紙のやり取りなんてすると思います? 曲がりなりにも貴族であり、元騎士がですよ。普通だったら身体からの一夜限りか、押し倒されて愛人か」
「えっと」
話す前に先にテオが切り出してしまった。
言われてみたらこの貴族社会で、いくら奴隷制度を廃止されていたとしても主従関係や身分差、異種族の立ち位置等で格差は根強くある。それにしたってシオン様は例外に優しいと言うか、気遣いも手慣れていると言うか。手紙の内容も話すのが不得手な僕に対して、ただ当たり障りの無い日常的な内容が殆どだけど、交流してくれている配慮だ。所謂、恋文等ではない、どちらかと言えば交換日記に近い。
「他人の色恋にあまり興味は無いですが、偶然にも同部屋になりましたし、いずれはそういう感じ何だろうとは勘繰ってますけど、カノンはシオン様を……そういう風に見ては無さそうですね」
段々一人で勝手知ったるように話を進めていくテオはシオン様の専属に近い使用人だ。過去に何かあったかは詳しくは無いが、シオン様の事は詳しいんだろうな。
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