さようなら、私の愛したあなた。

オースルンド伯爵家の令嬢カタリーナは、幼馴染であるロヴネル伯爵家の令息ステファンを心から愛していた。いつか結婚するものと信じて生きてきた。

ところが、ステファンは爵位継承と同時にカールシュテイン侯爵家の令嬢ロヴィーサとの婚約を発表。

「君の恋心には気づいていた。だが、私は違うんだ。さようなら、カタリーナ」

ステファンとの未来を失い茫然自失のカタリーナに接近してきたのは、社交界で知り合ったドグラス。
ドグラスは王族に連なるノルディーン公爵の末子でありマルムフォーシュ伯爵でもある超上流貴族だったが、不埒な噂の絶えない人物だった。

「あなたと遊ぶほど落ちぶれてはいません」

凛とした態度を崩さないカタリーナに、ドグラスがある秘密を打ち明ける。
なんとドグラスは王家の密偵であり、偽装として遊び人のように振舞っているのだという。

「俺に協力してくれたら、ロヴィーサ嬢の真実を教えてあげよう」

こうして密偵助手となったカタリーナは、幾つかの真実に触れながら本当の愛に辿り着く。
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