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三章
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「カタリーナ……!」
マルムフォーシュ伯爵が血相を変えて駆け寄ってきそうな雰囲気を察し、私の方から駆け戻った。
「どうしたんだ!?」
「いいから、静かにしてください」
「噴水に落ちたのか?」
「すれ違い様、相手の飲み物がかかっただけです」
「なん、だと……?」
わかりやすく驚愕し、わかりやすく怒りを押し殺している。
「申し訳ありません。ユーリア様にいただいたペンダントが……」
「そんなの、どうでもいい」
そんなの。
私には口が裂けても言えない。
「可哀相に。許し難いな……誰だ……?」
相手が誰であるかも、口が裂けても言えなくなった。
「大袈裟です。私も上の空だったので」
「関係ない。こんなうら若いレディに飲み物片手に体当たりなんて、貴族の名折れだ。俺のカタリーナに何してくれる」
「はい?」
誰が誰の何?
「戻って、着替えよう」
「……はい」
正直、マルムフォーシュ伯爵の提案は嬉しかった。
このまま馬車に乗り込んで自然乾燥を待つのは気持ち悪い。乾き始めた部分がべたついてきたし、心地よくはない甘い刺激臭が漂っている。
「あの、ユーリア様にどうお詫びすれば……」
「何を詫びるんだ。俺たちに詫びるのは君にぶつかった奴のほうだろう」
「それが……一瞬のことでしたので、どなたかは……」
嘘をついた。
全く交友関係もないけれど、この状況からは庇ってあげた方がすべて丸く収まる気がして。
「目を離すんじゃなかった」
「大袈裟です。それより、いただいたばかりのペンダントが……、?」
この段階になって私はようやく気付いた。
壮麗な美を讃えるペンダントの、首を巡るチェーンの部分が、まったく汚れていないということに。
「……」
まるで、ペンダント自身が余計な汚れを寄せ付けなかったかのような……
「ドグラス、どうしたの?」
城内に戻る前に、ユーリアも来てしまった。
「ユーリア様、申し訳──」
「可哀相に。こちらへいらっしゃい」
「はい」
逆らえるはずもない。
私はマルムフォーシュ伯爵と共に、ユーリアに導かれいちばん近い客室を宛がわれたのだった。
すぐに入浴の準備が整えられた。
そうなると、もう一泊、せざるを得なくなった。
そして迎えた、新婚のヴァンパイア夫妻と向かい合う晩餐。
食事は、マルムフォーシュ伯爵と私の分だけが用意されていた。
「さあ、召し上がれ」
「んふ」
にこやかなヴァンパイアに見つめられ、変な笑いも鼻から洩れるというもの。
「いただきます……」
胸元のペンダントが、贈り主を前にして更に重く感じる。
「ねえ、ラルフ。彼女ったら、私があげたペンダントを守ろうとして、ずっと握っていてくれたんですって。可愛いわ。美味しい?」
「……はい、とても美味しいです」
「次からは私を呼んでね。その為に、あげたんだから」
「はい……」
ラルフ卿は静かに微笑みながら婚約者の話に耳を傾け、時折、私にも視線を投げた。もっと口数の多い人物という印象を持っていた私は、少し意外だった。でも、新婚だし、満ち足りていて、幸せを噛み締めているのかと思った。
けれど、違った。
「ラルフ卿、牙はもう慣れたかい?」
上品に仔羊のソテーを切りながら、マルムフォーシュ伯爵が事も無げに尋ねる。
私は思わず食事の手を止めた。
「まだ話すのには不便なんですって。上達するまで、誰とも話したくないそうよ」
ユーリアがにこやかに代弁している。
私は恐る恐る目をあげてラルフ卿を見た。しっかりと目が合う。ラルフ卿は待っていたかのようにニカッと笑った。
「!」
牙だ。
ぞくりと悪寒が駆け抜ける。
私に対する悪意が欠片もないとわかっていても、恐いものは恐い。
「今はまだ、人と会う時は私の幻術で彼の牙は見えないようにしているの。でも、今はお友達とのディナーだから」
ユーリアは上機嫌だ。
永遠の愛を誓いあって幸せいっぱいなのだから、まあ、当然よね。
「いろいろ仕込まれるらしいから、頑張れよ」
マルムフォーシュ伯爵も上機嫌で励ましたりしている。
全て夢ならいいのにと、思ってしまう私を、誰も責めはしないだろう。
「どうしたの、カタリーナ?手が止まっているわ。お口に合わなかったかしら?」
上機嫌だったユーリアが少し心配したように私を気遣う。
私は咄嗟に笑みを浮かべ、発言する為に一度喉を鳴らしてから答えた。
「いえ。とても美味しいです。ただ、私の不注意でもう一晩お手を煩わせてしまって……申し訳なくて」
「気にしないで。あなたとお食事できて嬉しいわ」
「お食事……」
ユーリアがヴァンパイアの幻術というものを行使していないのであれば、ユーリアとラルフ卿は私たちと共に食卓を囲んでいるものの何も口にしてはいない。
とても楽しそうではあるけれど。
「……」
まさか……
幻術、かけて……い……る?
私には見えないだけで、血が注がれたグラスとか、ここに、あったりするの……?
「それに、あなたが気に病むことは全然ないのよ。人間用の料理もまだ数日は作らせる用意があったの。ここは遠いから、どうしても早朝に発ちたい方もいらっしゃるし、気候と幻術で体調を崩す方もいて」
「そうなのですか?」
「ええ。他にも、何名か泊っていらっしゃるわ」
フォーシュバリ城にいると体調を崩すこともあるのだと言われると、適応できている自分には少しばかり驚く。
「存じ上げませんでした。長い馬車旅になるでしょうから、体が元気でないとお辛いでしょうね」
「優しいのね、カタリーナ」
そんなつもりはないのに、不意にユーリアを喜ばせてしまう。
こういうことが少なくはない。
贅沢な悩みと言われればそうかもしれないけれど、息が詰まる。
隣で舌鼓をうつマルムフォーシュ伯爵に変な安心感を覚えそうになる。
正気を保たなければ。気さくを通り越して気安く接してくるものの、元を辿れば王家の血筋という最上級貴族。片や私は、本来なら、この場の誰にも相手にされないはずのしがない伯爵令嬢である。
助手の仕事がしたい。
その為にマルムフォーシュ伯爵の隣に陣取っているのだから。
そんな願いは晩餐後、すぐ、叶うこととなる。
マルムフォーシュ伯爵が血相を変えて駆け寄ってきそうな雰囲気を察し、私の方から駆け戻った。
「どうしたんだ!?」
「いいから、静かにしてください」
「噴水に落ちたのか?」
「すれ違い様、相手の飲み物がかかっただけです」
「なん、だと……?」
わかりやすく驚愕し、わかりやすく怒りを押し殺している。
「申し訳ありません。ユーリア様にいただいたペンダントが……」
「そんなの、どうでもいい」
そんなの。
私には口が裂けても言えない。
「可哀相に。許し難いな……誰だ……?」
相手が誰であるかも、口が裂けても言えなくなった。
「大袈裟です。私も上の空だったので」
「関係ない。こんなうら若いレディに飲み物片手に体当たりなんて、貴族の名折れだ。俺のカタリーナに何してくれる」
「はい?」
誰が誰の何?
「戻って、着替えよう」
「……はい」
正直、マルムフォーシュ伯爵の提案は嬉しかった。
このまま馬車に乗り込んで自然乾燥を待つのは気持ち悪い。乾き始めた部分がべたついてきたし、心地よくはない甘い刺激臭が漂っている。
「あの、ユーリア様にどうお詫びすれば……」
「何を詫びるんだ。俺たちに詫びるのは君にぶつかった奴のほうだろう」
「それが……一瞬のことでしたので、どなたかは……」
嘘をついた。
全く交友関係もないけれど、この状況からは庇ってあげた方がすべて丸く収まる気がして。
「目を離すんじゃなかった」
「大袈裟です。それより、いただいたばかりのペンダントが……、?」
この段階になって私はようやく気付いた。
壮麗な美を讃えるペンダントの、首を巡るチェーンの部分が、まったく汚れていないということに。
「……」
まるで、ペンダント自身が余計な汚れを寄せ付けなかったかのような……
「ドグラス、どうしたの?」
城内に戻る前に、ユーリアも来てしまった。
「ユーリア様、申し訳──」
「可哀相に。こちらへいらっしゃい」
「はい」
逆らえるはずもない。
私はマルムフォーシュ伯爵と共に、ユーリアに導かれいちばん近い客室を宛がわれたのだった。
すぐに入浴の準備が整えられた。
そうなると、もう一泊、せざるを得なくなった。
そして迎えた、新婚のヴァンパイア夫妻と向かい合う晩餐。
食事は、マルムフォーシュ伯爵と私の分だけが用意されていた。
「さあ、召し上がれ」
「んふ」
にこやかなヴァンパイアに見つめられ、変な笑いも鼻から洩れるというもの。
「いただきます……」
胸元のペンダントが、贈り主を前にして更に重く感じる。
「ねえ、ラルフ。彼女ったら、私があげたペンダントを守ろうとして、ずっと握っていてくれたんですって。可愛いわ。美味しい?」
「……はい、とても美味しいです」
「次からは私を呼んでね。その為に、あげたんだから」
「はい……」
ラルフ卿は静かに微笑みながら婚約者の話に耳を傾け、時折、私にも視線を投げた。もっと口数の多い人物という印象を持っていた私は、少し意外だった。でも、新婚だし、満ち足りていて、幸せを噛み締めているのかと思った。
けれど、違った。
「ラルフ卿、牙はもう慣れたかい?」
上品に仔羊のソテーを切りながら、マルムフォーシュ伯爵が事も無げに尋ねる。
私は思わず食事の手を止めた。
「まだ話すのには不便なんですって。上達するまで、誰とも話したくないそうよ」
ユーリアがにこやかに代弁している。
私は恐る恐る目をあげてラルフ卿を見た。しっかりと目が合う。ラルフ卿は待っていたかのようにニカッと笑った。
「!」
牙だ。
ぞくりと悪寒が駆け抜ける。
私に対する悪意が欠片もないとわかっていても、恐いものは恐い。
「今はまだ、人と会う時は私の幻術で彼の牙は見えないようにしているの。でも、今はお友達とのディナーだから」
ユーリアは上機嫌だ。
永遠の愛を誓いあって幸せいっぱいなのだから、まあ、当然よね。
「いろいろ仕込まれるらしいから、頑張れよ」
マルムフォーシュ伯爵も上機嫌で励ましたりしている。
全て夢ならいいのにと、思ってしまう私を、誰も責めはしないだろう。
「どうしたの、カタリーナ?手が止まっているわ。お口に合わなかったかしら?」
上機嫌だったユーリアが少し心配したように私を気遣う。
私は咄嗟に笑みを浮かべ、発言する為に一度喉を鳴らしてから答えた。
「いえ。とても美味しいです。ただ、私の不注意でもう一晩お手を煩わせてしまって……申し訳なくて」
「気にしないで。あなたとお食事できて嬉しいわ」
「お食事……」
ユーリアがヴァンパイアの幻術というものを行使していないのであれば、ユーリアとラルフ卿は私たちと共に食卓を囲んでいるものの何も口にしてはいない。
とても楽しそうではあるけれど。
「……」
まさか……
幻術、かけて……い……る?
私には見えないだけで、血が注がれたグラスとか、ここに、あったりするの……?
「それに、あなたが気に病むことは全然ないのよ。人間用の料理もまだ数日は作らせる用意があったの。ここは遠いから、どうしても早朝に発ちたい方もいらっしゃるし、気候と幻術で体調を崩す方もいて」
「そうなのですか?」
「ええ。他にも、何名か泊っていらっしゃるわ」
フォーシュバリ城にいると体調を崩すこともあるのだと言われると、適応できている自分には少しばかり驚く。
「存じ上げませんでした。長い馬車旅になるでしょうから、体が元気でないとお辛いでしょうね」
「優しいのね、カタリーナ」
そんなつもりはないのに、不意にユーリアを喜ばせてしまう。
こういうことが少なくはない。
贅沢な悩みと言われればそうかもしれないけれど、息が詰まる。
隣で舌鼓をうつマルムフォーシュ伯爵に変な安心感を覚えそうになる。
正気を保たなければ。気さくを通り越して気安く接してくるものの、元を辿れば王家の血筋という最上級貴族。片や私は、本来なら、この場の誰にも相手にされないはずのしがない伯爵令嬢である。
助手の仕事がしたい。
その為にマルムフォーシュ伯爵の隣に陣取っているのだから。
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