悪役令嬢は男装して、魔法騎士として生きる。

金田のん

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第3章 入団までの1年間(2)、帝国の陰謀とグラナダ迷宮

60:理奈の回想・元彼との日々(2)

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「理奈?」


私の不審な様子に気づいたのか、光輝が不思議そうに私を見つめる。
世間的に見たら光輝は、美形の御曹司。対する私は、7歳年上の・・・・引きこもりの喪女・・・・・。

いま気づいた恋愛感情は、速攻で蓋をした。
アクションゲームさえあれば、他のことは二の次にできる自分の性格が功を奏した。

それからも変わらず、私たちは私の家で、時には一人暮らしの光輝の家で一緒にゲームをプレイして遊んだ。

私が恋愛感情を抱いているとは全く思いもしないのだろう、光輝はそのころから「理奈は家族のようなものだから」と、事あるごとに私にハグをしたり、頬にキスをしたりしはじめた。

私と光輝が恋人になった日は、そんな日々の中でおこった。
ある日、いつものように私の頬にキスした光輝が言ったのだ。


「理奈もオレにキスして」


・・・と。

・・・・・・・喪女をなめるな!と言いたい。

大体、うちの家族は全員日本人だ。家族の頬にキスをする習慣なんてあるはずがない。だけど・・・・好きな人の頬にキスする絶好のチャンスに・・・・・

私は・・・・屈した。

少しかがんで、頬を突き出す光輝に、少し戸惑いながらもチュッとキスをする。
なぜか心底嬉しそうな顔をして、頬を紅潮させる光輝。

彼が「ふふっ、はじめてだね」と言いながら、私に顔を向ける。

・・・・瞬間、光輝はこれでもかというほど目を見開いた。

それはそうだろう・・・・私の顔は・・・・きっと真っ赤だ。
もう・・・なんだかいたたまれない。
今まで隠し続けてきた恋愛感情が駄々洩れなのが・・・・・自分でもわかった。

こんな大分年上の喪女に恋愛感情を向けられるなんて、きっと気持ち悪いに違いない・・・・そう思い、思わず目を閉じると・・・・・・・。

唇にやわらかい感触がした。


「え・・・?」


びっくりして目を開けると・・・・・・目の前に私以上に顔を真っ赤にさせてるんじゃないかというほど赤い顔をした光輝の顔があった。


「・・・あ、ごめん。理奈が可愛くて・・・・つい・・・・・イヤだった?」


その言葉に首をブンブン振る私。今の光景が・・・・信じられない。
いま・・・もしかして、私・・・・光輝に・・・・キスされた?

唇に・・・・・?

呆然と光輝を見上げていると、私の頬に光輝が手をそえる。


「・・・良かった」


真っ赤な顔で微笑んだ光輝は、そうしてまた、私に・・・・触れるだけの優しいキスをした。

まだ現実感のない私を光輝はそっと抱きしめ、耳元でささやくようにつぶやいた。


「理奈・・・・。俺たち、今日からは恋人だよね?」


(はっ?!夢か・・・?)と思いながら、喪女ははじめてのキスに色々と許容量いっぱいで、とりあえず頷く。


「はぁ~、ヤバい。・・・・ごめん、理奈。
せっかく、恋人になれたんだけど・・・・いまちょっと色々と我慢できなくなりそうでまずい・・・・・・。
とりあえず、家まで送っていい?帰ったら、すぐ電話するから・・・・!!」


光輝はそういうと、私を彼の1人暮らしの家から私の家まで送ってくれ、言葉通り、すぐに電話をしてくれた。

それで、電話でとりとめのない話をしていると、急に光輝が焦りだした。
そうして、私に言ったのだ・・・・。


「気持ち悪っ・・・・」


・・・・と。

・・・・・いやいや、確かに7歳年上の喪女に惚れられたら、気持ち悪いかもしれないけど、それはないんじゃない?
・・・・・・・私たちは何年間も共にしたゲーム仲間じゃないか・・・・。

・・・・大体、さっき恋人になるとか言ってたのに嘘だったのか?

なんか色々愕然とした。

もしかして気のせいか・・・・とも思いたかったが、そのセリフを最後に光輝からの電話は切れ・・・・音信不通になった。

会ってから毎日のように連絡していたというのに・・・・。

ゲームもログインしなくなったし、光輝が一人暮らししているマンションに行っても・・・・明らかに電気はついているのに、出てこない。

その後、少女趣味全開の姉が私に話しかけていた内容を聞くに、光輝は恋愛感情をむけられるのが好きじゃなかったらしい。

私の家に来た時、姉の友達が光輝に構おうとすると、笑っていない目で「僕にそういった感情を向けないでくれますか?」と凄んだことがあるらしい。

だから・・・元彼・・・元彼と言っているが、光輝からしたら、私は彼女であったとさえ、思っていないだろう。

彼と音信不通になって、どのくらいたった日か分からないが、いつものようにVRMMOのアクションゲームをしながら・・・・今日も光輝のキャラクター<賢者>こと<サムド>がログインしていないのを確かめ・・・・

寂しく笑ったのが、私の前世・理奈の最後の記憶。


・・・・・・もう、今世では恋愛は・・・・こりごりだ・・・・・・・。

----------------------------

補足メモ:
光輝視点の「気持ち悪っ」の状況は
過去話・・・「40:勇者の過去(1)光輝という男」にあります。

電気がついているのは、電気つけっぱなしのまま召喚されたから。
口座から勝手に引き落とされているので、公共料金は払い続けられ、
電気が止まることもないので、ずっとつけっぱなし・・・(勿体ない)。
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