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だったら私が貰います!婚約破棄からはじめた溺愛婚(その後)
5.足りない気持ちを補完して
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『ルビーの使い道は私も考えておきますので、まずはお励みください』
なんて言いながらテキパキと湯浴みさせられローズのオイルで仕上げのマッサージも受ける。
セラが選んでくれたのは髪色に合わせてくれたらしい赤い夜着だった。
“赤だけど、素材が柔らかいお陰かあまりゴテゴテしてなくていいわね”
いかにも勝負仕掛けてます感がなく、上品で好感の持てるチョイスは彼女のセンスがいいのだろう。
「マッサージも凄く気持ちよかったし⋯」
確かに気になる背景はあるが、それでも信頼しているカトリーヌやクラリス、アドルフ達が選んだのだから問題はない。
“そもそも出身不問、って言ったの私だし――”
何よりアレクシス元王太子の婚約者筆頭だった頃に散々遠回しの嫌みや陰口を叩かれていた私にとって、彼女の歯に着せぬ物言いは好感が持てた。
「彼女はもう私の『内側』だわ。家を守る女主人としてセラも守ってみせる⋯!」
それに、と考えながらちらっと鏡に視線を向けた私は思わずニマァと笑みを溢した。
何故なら鏡に映った私は明らかに輝いていたのである。
“本当にセンスも腕もいいわね⋯!”
心なしかいつもよりおっぱいもハリがあるし、頬の血色もいい。
髪だって艶がありとても滑らかで。
「⋯早くバルフ戻ってこないかしら⋯!」
こっそりアドルフに明日重要な予定が入っていないか確認済みなので、多少夜更かししても問題はない⋯とは言ってももちろん遅くなり過ぎるのはNGだ。
“多分今日も自主勉よね⋯?”
仕事を終わらせ一緒に夕食を取った後は、再び執務室へ戻り翌日の準備とこれからの勉強に余念がない。
そんな真面目なところも最高ではあるのだが、私は早くこのピカピカの自分を見て欲しくて仕方なく――
「⋯少しくらいなら、許されるかしら⋯」
ぽつりと呟いた私は、そっと薄手のローブを羽織り、こそこそと彼の執務室へ向かって。
“少し覗いて忙しそうだったらそのまま戻りましょう⋯!”
あくまでも彼の邪魔にならないよう気をつけつつ、それでも夫婦の時間を大事にするのも必要だからと自分に言い聞かせながら音を立てないようそっと扉を少し開けて中を覗くと。
「⋯シエラ、どうかした?」
「!!!」
目の前にバルフの顔があり、私は驚きで軽く飛び上がった。
「な、なんでわかったの!?」
「え?いや、笑い声が聞こえてたからだけど⋯」
「笑い声ですって!?」
「あ、一応言うけどシエラのだからね?ホラー的なのじゃないからね?」
苦笑混じりにそう言われた私は、思わず頬を膨らます。
「なによ、別に子供じゃないんだからそんなの怖くな⋯」
一応主張しておくべきかしら、なんて思った私が口を開き――
何かに気付いたらしいバルフがパッと顔を上げ、私の後方を見つめて。
「あ」
「えっ!?」
「「⋯⋯⋯⋯⋯」」
ひしっと目の前の彼にしがみついてしまった私は、恥ずかしさから顔があげられなくなってしまった。
“怖くないって断言したばかりなのに!!”
これからどう誤魔化そうか――なんて私が必死に思案していると、しがみついたままの私の背に腕を回したバルフが軽く後退るようにして部屋に入り、そのままバタンと扉を閉めて。
「はぁ⋯」
“?”
突然吐かれたため息を怪訝に思った私がそっとバルフを見上げると、そこには少し赤い顔をした彼がどこか不満そうにしていた。
「えっ⋯と、何もいない⋯わよね?」
「いない」
「そうよね⋯?」
いないと断言したバルフの不服そうな表情に、段々とここまで来たことを後悔しはじめる。
“⋯やっぱり私、邪魔になってるのかしら⋯”
彼の表情を見て不安になった私が俯きつつ彼から離れようとし⋯
何故か離れるどころか逆に強く抱き締められて戸惑っていると。
「⋯なんでそんなに薄着なの」
「へ?」
“確かに中は夜着だけど、ちゃんとローブは羽織ってきたし⋯”
バルフの言葉の意味がわからず怪訝に思っていると、もう1つため息を吐いた彼は私のローブの首もとを軽く引っ張って。
「ちょ、バル⋯っ、んっ!」
露になった鎖骨辺りにちゅ、と吸い付かれた。
その瞬間、チリッとした甘い刺激が私に走る。
「こんなに簡単に触れられる格好でここまで?」
「だ、だって小さな頃からここにはよく来てたし⋯」
それにこの姿を早く見て貰いたくて。
“⋯けど、流石に少しはしたなかったかしら”
「シエラのこの姿って俺だけのだと思ってたんだけど」
指摘され少ししゅんとした私に重ねられたその言葉が、彼からの小さな嫉妬だと気付く。
さっきまで少し落ち込んでいたのに、たったそれだけで私の胸は高鳴ってしまって。
「もちろんバルフだけのよ?それにこんな時間に会うとしたら、せいぜいアドルフくらいじゃない」
「アドルフさんだけとは限らないだろ?いつもいなくても、たまたま通るかもしれないし。ていうかアドルフさんでもダメだけど」
「⋯もしたまたま通ったら、どうなるのかしら?」
「たまたま、通ったら⋯」
セラが磨いてくれた体を彼に擦り寄せるようにしながらチラッと視線を向ける。
私の気持ちが伝わったのか、それとも――
“バルフも、寂しいって思ってくれていたら嬉しい⋯”
こくりと動いた彼の喉にゾクッとする。
触れられたくて、触れたくて。
“今朝もお預けされたからー⋯”
両腕を伸ばし彼の首に回した私が、軽く力を入れると引き寄せられるようにバルフも近付いてくれた。
「ん⋯」
ちゅ、と軽く掠めるように唇が重なり、そのまま角度を変えて唇を啄まれる。
そんな彼の唇をそっとなぞるように舌を這わせると、すかさず彼の舌で絡め取られて。
久しぶりの彼との口付けは、それだけで私を甘く痺れさせ――
「あっ、ん⋯っ、ん、⋯ひゃっ」
少しだけ迷うように、私の胸を彼の手のひらが軽く撫でる。
好きな人に触れられる、というその幸福感と久しぶりの刺激で私の下腹部がじわりと熱を孕んだ。
“⋯もっとちゃんと触って欲しい”
揉んでいる、というより触れているに近い彼の手に胸を押し付けるようにして少しバルフに近付くと、そんな私の気持ちを察したのか優しく持ち上げるように彼の手が動いて。
「⋯ふっ、ぁ⋯!」
柔らかい素材の夜着に薄いローブを纏っただけだったからか手の形も熱も伝わってくる。
もにもにと揉まれ彼の手の中で形を変える私の胸の先端を、そっとバルフの親指が擦るように掠めた。
そのままカリカリと指先が刺激するように動かされると、乳首がじんと痺れる。
「シエラのここ、尖ってきたよ」
「ば、ばか⋯っ」
くすりと囁かれると、羞恥で頬が一気に熱くなるが⋯それでも止めて欲しくはなくて。
“もっと”という気持ちを込めて彼の唇に自身の唇を重ねると、すぐに彼の舌が応えてくれた。
「ん、すき、バルフ⋯っ」
「俺もだよ、シエラ」
溢れる想いを口に出すと、ちゃんと言葉で返ってくることも嬉しい。
心も体も蕩けさせられた私が、彼の体にしなだれかかるように引っ付くと、くすりと笑った彼が優しく頭を一撫でし、頬にも軽くちゅっと口付けしてくれて⋯
「この服だと寒いだろ?帰りは俺のジャケットも羽織ってね」
にこにことしたバルフに上着を渡され唖然とした。
「⋯え?ちょっと、バルフ?」
「うん?」
「うん?じゃなくてね、⋯え?」
「⋯うん??」
「ちょ、本当に不思議そうにしないでくれるかしらっ!?」
“今絶対スル流れだったわよね!!?”
愛されていると感じているし、ラブラブなのも新婚なのも間違いない。
今日はセラに磨いて貰ってピカピカを自負しているし、さっきまでは可愛い嫉妬からのいちゃらぶな触れ合いをしていたはずだ。
「なのに続きはどこにいったの!」
「うえっ!?」
しれっと執務に戻ろうとしていたらしいバルフの前に小走りで先回りした私から、少し気まずそうに視線を外される。
“な、なんでー⋯”
「まさか、勃たないの⋯!?」
「いや勃つよ!?勃つけどさ!」
「けど?」
軽くショックを受ける私の視線が自然と彼の下半身へ移動した事に気付いたバルフが、私の頬を両手で包むようにして優しく顔をあげさせる。
“隠すって事はやっぱり勃たなー⋯!”
「⋯だってここ、ベッドないし⋯」
「⋯⋯⋯⋯⋯ベッド」
「ベッド」
気まずそう、改め気恥ずかしそうに視線を逸らすバルフが告げたその理由に、私は再びぽかんとした。
なんて言いながらテキパキと湯浴みさせられローズのオイルで仕上げのマッサージも受ける。
セラが選んでくれたのは髪色に合わせてくれたらしい赤い夜着だった。
“赤だけど、素材が柔らかいお陰かあまりゴテゴテしてなくていいわね”
いかにも勝負仕掛けてます感がなく、上品で好感の持てるチョイスは彼女のセンスがいいのだろう。
「マッサージも凄く気持ちよかったし⋯」
確かに気になる背景はあるが、それでも信頼しているカトリーヌやクラリス、アドルフ達が選んだのだから問題はない。
“そもそも出身不問、って言ったの私だし――”
何よりアレクシス元王太子の婚約者筆頭だった頃に散々遠回しの嫌みや陰口を叩かれていた私にとって、彼女の歯に着せぬ物言いは好感が持てた。
「彼女はもう私の『内側』だわ。家を守る女主人としてセラも守ってみせる⋯!」
それに、と考えながらちらっと鏡に視線を向けた私は思わずニマァと笑みを溢した。
何故なら鏡に映った私は明らかに輝いていたのである。
“本当にセンスも腕もいいわね⋯!”
心なしかいつもよりおっぱいもハリがあるし、頬の血色もいい。
髪だって艶がありとても滑らかで。
「⋯早くバルフ戻ってこないかしら⋯!」
こっそりアドルフに明日重要な予定が入っていないか確認済みなので、多少夜更かししても問題はない⋯とは言ってももちろん遅くなり過ぎるのはNGだ。
“多分今日も自主勉よね⋯?”
仕事を終わらせ一緒に夕食を取った後は、再び執務室へ戻り翌日の準備とこれからの勉強に余念がない。
そんな真面目なところも最高ではあるのだが、私は早くこのピカピカの自分を見て欲しくて仕方なく――
「⋯少しくらいなら、許されるかしら⋯」
ぽつりと呟いた私は、そっと薄手のローブを羽織り、こそこそと彼の執務室へ向かって。
“少し覗いて忙しそうだったらそのまま戻りましょう⋯!”
あくまでも彼の邪魔にならないよう気をつけつつ、それでも夫婦の時間を大事にするのも必要だからと自分に言い聞かせながら音を立てないようそっと扉を少し開けて中を覗くと。
「⋯シエラ、どうかした?」
「!!!」
目の前にバルフの顔があり、私は驚きで軽く飛び上がった。
「な、なんでわかったの!?」
「え?いや、笑い声が聞こえてたからだけど⋯」
「笑い声ですって!?」
「あ、一応言うけどシエラのだからね?ホラー的なのじゃないからね?」
苦笑混じりにそう言われた私は、思わず頬を膨らます。
「なによ、別に子供じゃないんだからそんなの怖くな⋯」
一応主張しておくべきかしら、なんて思った私が口を開き――
何かに気付いたらしいバルフがパッと顔を上げ、私の後方を見つめて。
「あ」
「えっ!?」
「「⋯⋯⋯⋯⋯」」
ひしっと目の前の彼にしがみついてしまった私は、恥ずかしさから顔があげられなくなってしまった。
“怖くないって断言したばかりなのに!!”
これからどう誤魔化そうか――なんて私が必死に思案していると、しがみついたままの私の背に腕を回したバルフが軽く後退るようにして部屋に入り、そのままバタンと扉を閉めて。
「はぁ⋯」
“?”
突然吐かれたため息を怪訝に思った私がそっとバルフを見上げると、そこには少し赤い顔をした彼がどこか不満そうにしていた。
「えっ⋯と、何もいない⋯わよね?」
「いない」
「そうよね⋯?」
いないと断言したバルフの不服そうな表情に、段々とここまで来たことを後悔しはじめる。
“⋯やっぱり私、邪魔になってるのかしら⋯”
彼の表情を見て不安になった私が俯きつつ彼から離れようとし⋯
何故か離れるどころか逆に強く抱き締められて戸惑っていると。
「⋯なんでそんなに薄着なの」
「へ?」
“確かに中は夜着だけど、ちゃんとローブは羽織ってきたし⋯”
バルフの言葉の意味がわからず怪訝に思っていると、もう1つため息を吐いた彼は私のローブの首もとを軽く引っ張って。
「ちょ、バル⋯っ、んっ!」
露になった鎖骨辺りにちゅ、と吸い付かれた。
その瞬間、チリッとした甘い刺激が私に走る。
「こんなに簡単に触れられる格好でここまで?」
「だ、だって小さな頃からここにはよく来てたし⋯」
それにこの姿を早く見て貰いたくて。
“⋯けど、流石に少しはしたなかったかしら”
「シエラのこの姿って俺だけのだと思ってたんだけど」
指摘され少ししゅんとした私に重ねられたその言葉が、彼からの小さな嫉妬だと気付く。
さっきまで少し落ち込んでいたのに、たったそれだけで私の胸は高鳴ってしまって。
「もちろんバルフだけのよ?それにこんな時間に会うとしたら、せいぜいアドルフくらいじゃない」
「アドルフさんだけとは限らないだろ?いつもいなくても、たまたま通るかもしれないし。ていうかアドルフさんでもダメだけど」
「⋯もしたまたま通ったら、どうなるのかしら?」
「たまたま、通ったら⋯」
セラが磨いてくれた体を彼に擦り寄せるようにしながらチラッと視線を向ける。
私の気持ちが伝わったのか、それとも――
“バルフも、寂しいって思ってくれていたら嬉しい⋯”
こくりと動いた彼の喉にゾクッとする。
触れられたくて、触れたくて。
“今朝もお預けされたからー⋯”
両腕を伸ばし彼の首に回した私が、軽く力を入れると引き寄せられるようにバルフも近付いてくれた。
「ん⋯」
ちゅ、と軽く掠めるように唇が重なり、そのまま角度を変えて唇を啄まれる。
そんな彼の唇をそっとなぞるように舌を這わせると、すかさず彼の舌で絡め取られて。
久しぶりの彼との口付けは、それだけで私を甘く痺れさせ――
「あっ、ん⋯っ、ん、⋯ひゃっ」
少しだけ迷うように、私の胸を彼の手のひらが軽く撫でる。
好きな人に触れられる、というその幸福感と久しぶりの刺激で私の下腹部がじわりと熱を孕んだ。
“⋯もっとちゃんと触って欲しい”
揉んでいる、というより触れているに近い彼の手に胸を押し付けるようにして少しバルフに近付くと、そんな私の気持ちを察したのか優しく持ち上げるように彼の手が動いて。
「⋯ふっ、ぁ⋯!」
柔らかい素材の夜着に薄いローブを纏っただけだったからか手の形も熱も伝わってくる。
もにもにと揉まれ彼の手の中で形を変える私の胸の先端を、そっとバルフの親指が擦るように掠めた。
そのままカリカリと指先が刺激するように動かされると、乳首がじんと痺れる。
「シエラのここ、尖ってきたよ」
「ば、ばか⋯っ」
くすりと囁かれると、羞恥で頬が一気に熱くなるが⋯それでも止めて欲しくはなくて。
“もっと”という気持ちを込めて彼の唇に自身の唇を重ねると、すぐに彼の舌が応えてくれた。
「ん、すき、バルフ⋯っ」
「俺もだよ、シエラ」
溢れる想いを口に出すと、ちゃんと言葉で返ってくることも嬉しい。
心も体も蕩けさせられた私が、彼の体にしなだれかかるように引っ付くと、くすりと笑った彼が優しく頭を一撫でし、頬にも軽くちゅっと口付けしてくれて⋯
「この服だと寒いだろ?帰りは俺のジャケットも羽織ってね」
にこにことしたバルフに上着を渡され唖然とした。
「⋯え?ちょっと、バルフ?」
「うん?」
「うん?じゃなくてね、⋯え?」
「⋯うん??」
「ちょ、本当に不思議そうにしないでくれるかしらっ!?」
“今絶対スル流れだったわよね!!?”
愛されていると感じているし、ラブラブなのも新婚なのも間違いない。
今日はセラに磨いて貰ってピカピカを自負しているし、さっきまでは可愛い嫉妬からのいちゃらぶな触れ合いをしていたはずだ。
「なのに続きはどこにいったの!」
「うえっ!?」
しれっと執務に戻ろうとしていたらしいバルフの前に小走りで先回りした私から、少し気まずそうに視線を外される。
“な、なんでー⋯”
「まさか、勃たないの⋯!?」
「いや勃つよ!?勃つけどさ!」
「けど?」
軽くショックを受ける私の視線が自然と彼の下半身へ移動した事に気付いたバルフが、私の頬を両手で包むようにして優しく顔をあげさせる。
“隠すって事はやっぱり勃たなー⋯!”
「⋯だってここ、ベッドないし⋯」
「⋯⋯⋯⋯⋯ベッド」
「ベッド」
気まずそう、改め気恥ずかしそうに視線を逸らすバルフが告げたその理由に、私は再びぽかんとした。
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