甘すぎるのも悪くない

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先輩視点の番外編

もっともっと大好き

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 ひんやりとした手が額に触れる。
 あぁ、後輩くんの手の平だなあとまどろみながら思う。
 冷たく感じられるのは俺の体温が高くなってるせい。それと、暑いのが苦手な後輩くんが常に身体を冷やしてるから。
 クーラーそんなに強くしてたら温暖化とかさあ。長生きもできなくなっちまうぞ。
 
「……んぁ……?」
 
 自分の口唇から妙な声がもれるのが判って、途端視界が開けた。
 目の前には心配そうな後輩くんの顔。
 
「気が付きました?」
「あれ、俺……」
 
 何だこれ。喉が掠れ……。身体もなんか痛い、ような。
 
「すいません、おれ、無茶しちゃって。でも可愛かった。あんなに喘いで……」
 
 さっきとは打って変わってうっとりとした表情で告げる後輩くん。
 え、何? あえ……?
 
「あっ、喘いでな……っ、げほ」
「でも声掠れてるじゃないですか」
 
 俺は喉を押さえた。
 マジだ。喉痛い。やばい……段々思い出してきたが脳が考えることを拒否している。
 後輩くんは幸せそうに、俺の頬にキスを繰り返す。
 
「瑞貴さん、好き」
 
 そんな様子は可愛い。でも俺はそれどこじゃない。
 俺、あんな……あっ、ありえねぇぇー!
 
「自分から腰振るし」
「え!?」
「もっとして、景、えぐって、とかエロイ台詞言ってくれるし」
「ええ!? っう、嘘だろ!」
「可愛かったぁ、瑞貴さん」
「嘘だと言ってくれ!」
 
 俺は後輩くんの肩を両手で揺さ振った。
 
「嘘です」
「口だけじゃなくてだなっ」
「いえ、ごめんなさい、さすがに今のは本当に嘘です」
 
 良かった……。そうだよな。さすがに全然覚えがないし。
 
「でも、もしかしたら本当かもって思うほど意識飛んでたんですね」
「っ……!」
 
 後輩くんがやらしい笑みを浮かべる。
 あー、くそ。なんかすっげぇしてやられた気分だ。
 
「もうさあ、充分身体許してんじゃん。これ以上何が望みなの、お前」
「瑞貴さんがもっとおれに溺れてくれること」
「溺れてるって、すでに」
「あえていうなら……瑞貴さんがおれを抱きたいと思うまでになった時、前だけじゃイケないようになってるくらいが目標ですかね?」
 
 ……そんな可愛らしい顔で黒すぎるぜ後輩くん。
 それは男としてどうなんだ。やばすぎるだろ。
 でもそれでも、こんなこと言われても別れる気にはならないんだから不思議だよな。
 後輩くんもそれ判って言ってるんだ。俺がすっかり、メロメロだって判ってるじゃん。
 
「お前な、もしそんなことになったら……」
 
 きっと俺が怒ると思ってるだろうな。でもな、俺ばっかり赤くさせられてるのは性にあわないから、せいぜい慌てさせてやるよ。
 
「責任取れよ、馬鹿」
 
 そう言って、後輩くんの頭を小突いてやった。
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