甘すぎるのも悪くない

used

文字の大きさ
91 / 106
微エロ好きさんに20のお題

理性

しおりを挟む
 先輩がうちに来た途端、今日はしないからな、と釘をさした。
 したいことはしたいけど、先輩が傍に居てくれるだけで幸せだし、たまにはそんな日もあるだろうと、構いませんよと頷いた。

 それじゃおれがいつもしたがってるみたいじゃないか。って反論をしたいところだけど、事実過ぎて言えやしない。

 先輩はおれの答えに満足そうだった。ソファに座って、おいでおいでとおれを誘う。
 隣に座ろうとすると、腕を掴まれて膝の上に背中から座らされた。
 
「すっぽりちょうどいいサイズだな」
 
 こういうスキンシップは嬉しい。

 ……でもね、こんなことをされるとしたくなってきちゃうんですけど。
 今日はしないって釘さしたあとにこれって、ちょっと酷くないですか?

 先輩はおれの手をもてあそんだり、頬にすりすりしたり、刺激するようなことばっかりしてくる。
 
「あの、先ぱっ……」
「何だ?」
 
 フトモモを撫でられた。これはさすがに、わざとやってるだろっ!
 逃げだそうとするときつく抱き締められて、髪の匂いを思い切り嗅がれた。
 
「やめてくださいよ。嗅がれるのすっごく恥ずかしいんですから」
「ケチ。後輩くんはいつも俺に、もっと恥ずかしいことさせるくせに」
 
 拗ねたような口調もやめてください。可愛いです。
 
「やらせてくれるなら、少しくらい恥ずかしいことしてくれてもいいですけど」
「それはダメ」
「どうして……今日は、ダメなんですか?」
 
 少し不安になって尋ねると、先輩はどこか楽しそうにふふっと笑った。
 
「どうしてもだ」
 
 含みのある言い方だな。
 今度は首筋にチュッとキスをされて、おれはようやく気付いた。
 これ……。試されてるんじゃないか? おれがどこまで我慢できるかどうか。
 確かにおれは負けず嫌いなところがあるけれど、こういうことに関しては負けてあっさり襲ってしまってもいいんですよ?
 ……まあ、我慢、します、け……ど。
 
「ちょっ……。あの、少し、離してください」
「何だ、もう限界か? ん?」
 
 先輩はじたばたするおれを押さえつけて、相変わらず笑ってる。振動がやばい。心臓の音もやばい。
 背中に感じる体温が、一番やばい。
 
「……先輩っ、おれの理性、あっさり飛んじゃいますから!」
「飛べば?」
「したくないって言ったくせに」
「余裕のなさそーな後輩くんの顔が見たかっただけ」
「そっ……んなの、いつだって見てるじゃないですか」
 
 くるりと振り返って、先輩の首筋にキスを返す。やんわりと噛むと、先輩の身体がびくりと跳ねた。
 
「後輩くん、息熱い……」
「こんなふうに誘惑されたら、熱くもなりますっ」
「ははっ。余裕ねーの。大好き、そういう顔」
「先輩相手に余裕ある時なんて、ありませんよ……」
「そうだな。うん。だからまあ、つまり……後輩くんのこと、いつも好っ……」
 
 今度こそ理性が飛んで、唇に噛みつくようなキスをした。それ以上喋る余裕も喋らせる余裕もなくて、ひたすらその甘い身体を貪った。
 いつもなら拒んでくる先輩が大人しくおれの指を受ける。
 もしかすると逆にしたい日だったのかもしれないと気付いた時には、お互い別の意味で喋る気力がなくなっていた。
 
 おれの理性なんて、貴方相手じゃミルフィーユみたいに崩れやすいんですから、そう刺激しないでください。
 もっとも今日みたいな展開なら、大歓迎ですけどね。 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

処理中です...