いじわるドクター

羽村美海

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episodo:11

#1

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昨日は結局、


颯介さんのお店に行くつもりが、


あんなことになっちゃって。



でも、挨拶して、お土産渡すだけだし…


行くんだと思ってた私は…



海翔に、


『芽依のそんな顔、颯介さんに見せれないに決まってんだろう!』


って、何故かスッゴい勢いで怒られてしまい、


そんな顔ってどんな?とは思いつつ…


海翔の言う通り、行くのは日を改めて…ということになったのだった。



そして現在、


朝と言ってもまだまだ時間も早いし、


海翔の部屋で、昨夜も遅くまで甘い時間を過ごしてしまったため、


あったかい布団の中で、海翔の腕に包まれて幸せな時間を過ごしている。



「ん、どうした?」



急に私が海翔の胸にしがみついたから、


私の顔を覗き込むようにして不思議そうに聞いてくる海翔。



そんな些細なことが嬉しくて。



海翔と過ごす初めてのお正月なんだし、


一杯…甘えたいし、一杯…構って欲しくなる。



「ギューッてして欲しい。ダメ?」



でも、やっぱり恥ずかしくて、


海翔のあったかい胸に顔を埋めてないと言えなくて。



なのに…



「じゃ…顔上げろよ?」



なんて意地悪なことを言ってくる。



恥ずかしいから隠してるのに……。



そう思いながら、


ムゥッ…ってしながらも言われた通りに顔を上げてしまう私。



だって、ギューッてして欲しいんだもん。



「真っ赤になって、口尖らして、タコかよ?」


「/////」



それなのに…


私の顔を見た海翔は可笑しそうに軽く笑いながら、


そんな酷いことを言ってきた。



完全に機嫌を損ねた私が、


もっとムウッ…としてしまうのは当然で。



だって、タコって、酷くない?



「タコでいーもんっ!

タコはキスとかHとかしないんだからっ。だから私もしないっ!」



怒って言えば、



「タコだって交尾しないと子孫残せないから、そりゃするだろ?

へぇ…このタコは知らないんだな?

だったら手取り足取り教えてやろうか?」



なんて…


意地悪く僅かに片方だけ口角を上げて、


ジリジリと距離を縮めながら、


そんなことを言ってくる海翔。



ムムッ…!!


昨日は、あんなに不安そうだったクセに……。



「海翔のいじわるっ」



あっ、また言っちゃったし……。



また、


意地悪なことを言われると思って身構えていると…



「タコでも恥ずかしんだな?

あ、また、さっきより赤くなったし、カワイイタコだな?」



案の定


私の頬に人差し指を軽く当てて、


楽しそうにぷにぷにと突っつきながら…


しつこく…そんなことを言ってくる海翔に、


とうとう、カチンときてしまった私は



「海翔が私のことをタコって言ってきたんじゃない!

そんなに、タコタコってしつこく言わなくてもいいじゃない!

もう、本当に海翔なんて知らないっ!」



言い出したら…


引っ込みがつかなくなってしまい、


海翔にくるんと背中を向けて布団に潜り込んだのだった。



「今度は猫かよ?

そんなに、布団があったかいのか?」



布団に潜り込んだ私に、


尚も意地悪なことを言ってくる海翔。



こんな筈じゃなかったのに……。



ただ海翔に甘えたかっただけなのに……。



海翔と一緒に過ごす初めてのお正月なのに……。



海翔のバカ……。
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