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episodo:12
#6
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診察室から聞こえていた可哀想なくらい吠え続けていた大型犬の鳴き声がピタリとやんだと思ったら、
海翔が脱いだ白衣を持って私がいる部屋に入ってきた。
私の近くまで来ると、
怖がって私の胸にしがみついているミルクと私の顔を見比べるようにして覗き込みながら、
いつも動物たちに向ける眩しいくらいの優しい笑顔を浮かべて話し掛けてきた。
「芽依、ジョンの鳴き声凄かっただろ?
ミルクも怖かったよな?
デカイなりしてるクセにホント怖がりでさ。
触っただけで、すぐにあーやって吠えまくって、その上、漏らすんだよ。
お陰で、びしょ濡れになった」
少しだけ困ったような顔をして、
白衣を見せてきた海翔に思わず抱きついてしまった。
ずっと海翔が自分の想いを抑え込んできたのかと思うと切なくて…、
それだけじゃなくて、その大事な人がもうすぐ居なくなるなんて、
海翔が今どんな気持ちで居るのかと思うと、
無性に包んであげたくなった。
「…海翔…」
忍さんが居なくなってしまっても、
私はずっと海翔の傍に居るからね……。
「ん?芽依、どうした?
あんまりくっついたら汚れるし、臭うぞ」
「ううん、平気。
海翔に甘えたくなっただけ」
「芽依はホントに甘えただよな?」
「くっつかれるの、イヤ?」
「なんでそうなるんだよ。嬉しいに決まってんだろ。
後で、俺がどれくらい芽依を好きか教えてやる。
イヤって言っても聞かないからな」
意地悪な笑みを浮かべてそう言うと、
ふわりと優しく包み込むようにミルクごと抱きしめてくれた。
私は、海翔のあったかい腕の中で、
例え、海翔の心の中に忍さんが居たとしても、
海翔が必要としてくれるんだったら、
それだけで構わないから傍に居させて欲しいと改めて思った……。
「海翔…ヤダ。
……恥ず…かしい…よ…」
「言っただろ?
イヤって言っても聞かないって。
ほら、こんなに濡れてんぞ」
海翔の部屋のベッドの上、
海翔に見下ろされ脚を押し広げられて、
それだけでも恥ずかしくて堪らないのに、
恥ずかしい場所に指を挿し入れしながら、
意地悪なことを言って、顔を埋めようとする海翔に泣きたくなってきた。
こんなことされるのなんて、いつものことなのに……。
やっぱり、忍さんのことがあるからかな?
なんか変。自分でもよく解んない。
「……ホントに、ヤダ」
「……芽依?
どうしたんだよ?
泣くなよ。ごめん。俺、調子にのりすぎた…」
どうも既に泣いてしまってた私は、
心配そうに声をかけてきた海翔に抱きしめられていた。
「海翔…ごめんね?
泣きたくないのに、勝手に出てきちゃうの、ごめんね」
でも、
自分でもどうしたら良いのか解んなくて、
そう言って海翔に抱きつくことしかできなくて。
「謝るなよ。
芽依に泣かれると、どうしていいか解んねぇんだよ。
もうなんもしねぇから、な?」
「ヤダ。海翔を近くで感じたいもん。やめるのはヤダ」
泣きついて駄々っ子みたいなことを言ってしまった。
海翔を困らせたくなんかないのに……。
海翔が脱いだ白衣を持って私がいる部屋に入ってきた。
私の近くまで来ると、
怖がって私の胸にしがみついているミルクと私の顔を見比べるようにして覗き込みながら、
いつも動物たちに向ける眩しいくらいの優しい笑顔を浮かべて話し掛けてきた。
「芽依、ジョンの鳴き声凄かっただろ?
ミルクも怖かったよな?
デカイなりしてるクセにホント怖がりでさ。
触っただけで、すぐにあーやって吠えまくって、その上、漏らすんだよ。
お陰で、びしょ濡れになった」
少しだけ困ったような顔をして、
白衣を見せてきた海翔に思わず抱きついてしまった。
ずっと海翔が自分の想いを抑え込んできたのかと思うと切なくて…、
それだけじゃなくて、その大事な人がもうすぐ居なくなるなんて、
海翔が今どんな気持ちで居るのかと思うと、
無性に包んであげたくなった。
「…海翔…」
忍さんが居なくなってしまっても、
私はずっと海翔の傍に居るからね……。
「ん?芽依、どうした?
あんまりくっついたら汚れるし、臭うぞ」
「ううん、平気。
海翔に甘えたくなっただけ」
「芽依はホントに甘えただよな?」
「くっつかれるの、イヤ?」
「なんでそうなるんだよ。嬉しいに決まってんだろ。
後で、俺がどれくらい芽依を好きか教えてやる。
イヤって言っても聞かないからな」
意地悪な笑みを浮かべてそう言うと、
ふわりと優しく包み込むようにミルクごと抱きしめてくれた。
私は、海翔のあったかい腕の中で、
例え、海翔の心の中に忍さんが居たとしても、
海翔が必要としてくれるんだったら、
それだけで構わないから傍に居させて欲しいと改めて思った……。
「海翔…ヤダ。
……恥ず…かしい…よ…」
「言っただろ?
イヤって言っても聞かないって。
ほら、こんなに濡れてんぞ」
海翔の部屋のベッドの上、
海翔に見下ろされ脚を押し広げられて、
それだけでも恥ずかしくて堪らないのに、
恥ずかしい場所に指を挿し入れしながら、
意地悪なことを言って、顔を埋めようとする海翔に泣きたくなってきた。
こんなことされるのなんて、いつものことなのに……。
やっぱり、忍さんのことがあるからかな?
なんか変。自分でもよく解んない。
「……ホントに、ヤダ」
「……芽依?
どうしたんだよ?
泣くなよ。ごめん。俺、調子にのりすぎた…」
どうも既に泣いてしまってた私は、
心配そうに声をかけてきた海翔に抱きしめられていた。
「海翔…ごめんね?
泣きたくないのに、勝手に出てきちゃうの、ごめんね」
でも、
自分でもどうしたら良いのか解んなくて、
そう言って海翔に抱きつくことしかできなくて。
「謝るなよ。
芽依に泣かれると、どうしていいか解んねぇんだよ。
もうなんもしねぇから、な?」
「ヤダ。海翔を近くで感じたいもん。やめるのはヤダ」
泣きついて駄々っ子みたいなことを言ってしまった。
海翔を困らせたくなんかないのに……。
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