貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。

譚音アルン

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貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。

カルチャーショックとバドミントン。

 鳥の成長は早い。

 ――カチリ。

 ヘドヴァンが止まり木台の上で糞をしたので即座に音を立てて餌をやる。
 狭めの部屋――私は窓や扉を締め切り、放鳥する。同時にトイレトレーニングにも勤しんでいた。

 鳥の躾は、基本決められた行動をした時即座にクリッカーを鳴らして餌を与える事の繰り返し。
 私の元に飛んで来るとか、決められた場所に糞をするとか。数を重ねる度にだんだんどうすればご褒美が貰えるのか学習するのである。

 一日一回は放鳥し、躾をする。じっくりと気長に取り組んでいこう。

 小一時間ヘドヴァンと戯れた後、私は自室に戻って別の運動着に着替えると身だしなみを整えた。
 実は今日、メテオーラ嬢が遊びに来るのである。


***


 最初に馬車から降りて来たのはカレル兄位の年齢の黒髪の男性で、紺色のジャケットをかっちりと着ていた。彼にエスコートされる形でメティオーラ嬢が降りて来る。
 彼女は私を見るなり、にっこりと微笑んで小走りに駆け寄って来た。

 「お久しぶりですわ、マリー様! 本日はお招き頂きありがとうございます!」

 「ええ、メティ様もお変わり無く。本日は童心に帰って楽しみましょう」

 言いながら、服装チェック。うん、割と動きやすそうな、庶民富裕層が着るような感じのワンピースにブーツ。今日はお庭でピクニック遊びなので、動きやすい服装がドレスコードなのである。
 メテオーラ嬢は、後続の馬車でやってきた彼女の使用人達に何やら言いつけている黒髪の男性に手招きをした。歩いてきた彼は――おお、青い瞳で爽やか系のイケメン。鍛えているのか筋肉もしっかりと付いており、腰に下げた刀剣は飾りじゃないと分かる。
 きっとカレル兄ばりにモテるんだろうなぁ。あだ名が何かは知らんけど。

 「こちらが手紙にも書いた私の従兄弟、シルヴィオ・プリモですわ」

 紹介と同時に男性は紳士の礼を取った。

 「初めまして、マリアージュ姫。輝ける太陽の如き美しい姫君にお目に掛かれて光栄です」

 シルヴィオは私の手を取ると、騎士の如く跪いて手の甲にキスをしてきた。そしてじっと私を熱の籠った眼差しで見詰めて来る。
 うわあ、気障だなぁ。この人女たらしなんだろうか? ――そう思うもポーカーフェイスを保ちながら笑みを顔に張り付ける。
 助けを求めるようにメテオーラ嬢を見ると、はっとしたように間に入ってくれた。

 「まあシル、それぐらいに。ごめんなさい、マリー様。ガリアではこれは普通の事なんだけれど、他国の方からすればガリアの男は表現がその……情熱的、というか、大げさだと言われているから」

 申し訳なさそうなメテオーラ嬢。成る程ピンと来た。
 多分だけど、ガリア人ってもしかして、前世のイタリアっぽい感じ?
 それなら理解出来る。了解です。

 私は「お気になさらず」と言って淑女の礼を取った。

 「初めまして、シルヴィオ様。こちらこそよしなに。お二人共来たばかりでお疲れでしょう、こちらへどうぞ」

 喫茶室で先ずはウェルカムティー。野外活動が控えているので控え目に。
 お手洗いの確認もして、大丈夫そうなので移動を再開。
 途中でイサークやメリーとも合流し、私達は庭へと向かった。

 屋敷から近く、また木陰も多い場所として選んだのは池と屋敷の中間エリア。芝生の上に敷物を広げさせると準備完了。

 そして馬の脚共が木箱を運んでくる。
 中には私がこれまで弟妹達の為に作って来た変わった玩具が色々と入っていた。
 私はメテオーラ嬢達に向き直る。そして息を大きく吸った。

 「さて、これからピクニック開始、そして無礼講ですわ。手始めにバドミントン大会をはじめます!」

 弟妹達がわー! と盛り上がって拍手をし、少し遅れて大人達も続く。初っ端から気を許し過ぎじゃないかと思われるかも知れないが、彼女達は外国人。
 煩わしい権力や関係云々を考えなくて良いので気が楽だ。社交界でもないので取り繕う必要も無いだろう。

 馬の脚共が即席コートを作り、点数表を組み立てる。言い出しっぺとして私が最初にラケットを持つと、相手としてメテオーラ嬢が立候補してくれた。

 ちなみにガットは元々動物の腸を加工したものである。ラケットは木製、重たいけど使えない事は無い。シャトルはコルクと水鳥の羽で出来ている。

 ラケットの使い方を教え、打ち方やルールを少しレクチャーする。二人共すぐコツを掴んだので試合を開始した。


***


 「マリー、凄く楽しかったわこれ! あーでも悔しい、最後の最後で負けるなんて!」

 「な……なかなかやるわねメティ」

 「これなら女子供でも楽しめる。素晴らしい競技、私も楽しかったよ」

 「シルさん、それは良かった……」

 「シルで構わないよ、マリー。無礼講なんだろう?」

 くそう、爽やかイケメンめ。ウインクが似合ってやがる。
 はっちゃけたバドミントン大会ですっかり打ち解けたのは良かったが、私は早々にスタミナ体力切れでへばってしまった。反面、二人はバドミントンは余程楽しかったらしく、ハッスルしまくり。今も疲れの色はあまり見せずいい汗かいたとばかりに元気いっぱいである。二人共体力あるなぁ。

 「お兄ちゃん達の最後のラリー凄かったね!」
 「うん!」

 弟妹達の会話の通り、最後はマッチポイントを争ってのバッシンバッシン二人の一騎打ち状態だった。バドミントン、少し自信があったのになぁ。直ぐに負けた。ウォーキングで体力が多少付いたと思っていたが、まだまだ修行不足だったようだ。
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