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どうして二人でいるのよ?

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 どうして、私のとなりにゼハンプリュがいるのかしら?
 隣にいるというより、私達はベットの上で四つん這いになって並んで、全裸で、体が触れ合うので相手の動きを感じ、喘ぎ声をしっかり耳にして、競いあったいた。何を競いあっているのかって?もちろん、パパイ大公様の愛をよ。
 ゼハンプリュは快感で濡れた目で、それでも私を睨みつけていた。当然私も睨みつけていた、いたと思うは、彼女を。
 どうしてこうなってしまったのだろうか?

 あれは学園の卒業式、私も彼女もその主役である卒業生だった、の後の恒例のパーティーでのダンス。彼女の婚約者である王太子ミカエル殿下とコリアンダー公爵サムロの婚約者である子ブード伯爵家ガマリア嬢が手に手を取って現れ、そのままダンスのパートナーになって踊り、一曲目が終わったところで、婚約破棄を宣言してしまうという一大スキャンダルとなったわ。私は、ゼハンプリュ嬢に同情したし、その毅然とした態度に感銘を受けて、彼女を応援していたわ、心の中で、その時は。田舎者の、我がピール家に次ぐ、国内第三位の貴族であるコリアンダー公爵サムロには、お可哀想ね、と他人の不幸の蜜味を楽しんでいた。

 涙を堪え、王太子殿下に背を向けて去ろうとしたゼハンプリュ嬢の前にアイオン様は、その道を遮るように立ち、
「私の領地にきていただけませんか?」
「ええ。分かりました。」
 二人の会話を聞き、ゼハンプリュから握っていた手を振り払われたコリアンダー公爵サムロは、すごすごと立ち去った。その顔には、少しほっとしたようなものを感じたのは、どうしてかしら。私と目があった。彼は頷き、私も頷いてしまった。何がどうしたのかしら。その私はというと、黙って組んでいた腕を外したつもりになっていたパパイ大公様の手にすかさず飛びつき、そのまましっかりとついていった言った。
 ゼハンプリュは、当然睨みつけたわ、あの鋭い視線とどす黒いオーラを感じたわ。私も彼女を身ら見つけたけど、アイオン様にはすがるような目を向けたわ。それを交互に繰り返したから、間違わないように苦労しちゃったわ。このくらいの図々しさと演技と戦術を駆使していかなければならないのよ、どこからか叱咤激励する声が聞こえてきたような気がして・・・。ゼハンプリュ嬢の肩を優しく抱いて連れて行こうとする大公様の腕にしっかりとしがみついたわ、離れなかったわ。
「デュナ。腕を離してくれないかね。」
「嫌です。私は大公様の、アイオン様の婚約者です、絶対にお側を離れません!」
 一瞬大公様は怖い顔になったけど、すぐに困ったなと苦笑いする顔になって、私を縋りつかせたまま、ゼハンプリュ嬢の肩に腕を回して、二人をつれていったわけ。

 その後、カーキ公爵家と我がピール公爵家との間ですったもんだあった挙句、一か月後王都の再洗礼派教会で私との結婚式を、運命論教会でゼハンプリュとの結婚式を同日に挙げることになったわ。パパイ大公様は出席せず、代理が、どちらにも、新郎役で私の手を取り、誓の言葉を言ったわ、口付けは足に。
 初夜は、北方のパパイ大公領公都の対抗宮で、同日、これも。ただし、私は後、悔しかったけど、
「口直しだよ。」
とか大公様は笑って、しっかり愛してくれたし、朝までいてくれたわ。お互いに優越感を感じたでしょうね。
 それから、ゼハンプリュと私は競うように、否、競い合って、パパイ大公様に尽くしあったわ。もちろん、夜は性技を尽くして大公様を喜ばして、一日でも、一時間でも多く自分を愛するように、競い合った、闘い続けたわ。そして今も、腰の動きも、喘ぎ声でも闘っている、どうしてこうなったんだろう?
 ぐったりしても、私達はにらみ合っていたけど、私の頭の中には、あの日一人寂しく会場を去ったコリアンダー公爵サムロが、あの伝説の自治会長、イチジーク先輩、敏腕で名をはせている現イチジーク書記官と結婚したという話が、そもそも、あの田舎者があのイチジーク会長の自治会で副会長、それだけでも驚きなのに、右腕だったということでも、あまりにも意外過ぎて認識できないほどなのだけど、が何故か浮かんできたわ。そして、さらに意外なのが、
「ゼハンプリュ、あなたはこの話どう思っているのかしら?」
と心の中で問いかけていたことだった。彼女も、イチジーク自治会長の神話化されている活躍ぶりには、憧憬のまなざしで聞いて、語っていたのを覚えている。そのイチジーク様が、・・・と不思議に思うのは、私も、彼女も同じだとおもうのだけど、何かもやもやというかわからない気持ちがこみ上げてきて、ゼハンプリュも同じような気持ちがこみ上げてきているのでは、と思ってしまうのはどうしてなのかしら?私だって、彼女だって、あの二人が夜ベッドの上で、どうくんずほぐれつしているかと好奇心くらいは持っても、こんなもやもやしたものを持ついわれはないはずなのよね。彼女がコリアンダー公爵家の脳筋女達を武術で負かし、自分をコリアンダー公爵家の嫁と認めさせたとか、彼女の演説でコリアンダー公爵家領の議会がひれ伏してしまったとか、次々聞こえてくる武勇談を何故か少し悔しくなる気持ち、ゼハンプリュもそれを共有しているという気持ちを持つのは、どうしてもわからない。そんなイチジークの活躍が、あの田舎者のコリアンダー公爵ことサムロと二人三脚で協力してやっていると思ってしまったり、二人のそれを感じてしまったりするのが苛立たしかった。
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