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116.潜入1
しおりを挟む「ほ、本当に入り口が二つあるな……」
カフェの入っている建物の裏に回ると、確かに二つの入り口があった。
何でも裏口が二つあるのはドロイドさんの言っていた通り、構造上の問題もあるんだが、緊急時に避難できるための経路を増やすためという意味合いもあるらしい。
特にこの王都は今よりずっと昔にあった大戦で大損害を被ったことから、住民の安全を確保するために至るところに避難口がある。
例えば、各家庭に必ず一つ地下シェルターがあったりとか。
だから住民は街にいながらも災害から身を守ることができる。
何だかんだ王都と屋敷を行き来するようになって結構経つが、初めて知った真実である。
とまぁそのことは一旦置いといて……
「俺とソフィアはどっちの入り口から入ればいいんですか?」
「手前の扉から入ってください。私は奥の扉から潜入しますので」
「了解です」
後は予め決めた作戦内容に行動するのみか。
ちなみに俺のチームはソフィアと護衛で騎士が一人ついてくれることになった。
もう一つのチームはドロイドさんと騎士一人。
残り一人の騎士が見張り役として外に待機ということになった。
一応国の方にはさっき騎士団本部経由で通話していた騎士が調査確認の申請をしたところ、速攻でOKが出た。
要するに俺たちがこの裏口の扉を開けて勝手に家屋に浸入しても不法にはならないということ。
合法的に無断侵入ができるってことだ。
「いいですか? 絶対に無理はしないようにしてください。何かあれば逃げに徹するように」
「もし退路が断たれたら、どうするんですか?」
「その時はギルドマスター権限で交戦を許可します。ですが、出来る限り攻撃系の魔法は控えてください。あくまで逃げるための手段として魔法の使用してください」
「分かりました」
「あっ、それと。もし先に屋根裏まで到達できたらこれを使ってください」
「これは……?」
渡されたのは白くて丸い球体。
見たところ、特に仕掛けといった仕掛けはないみたいだが……
「これはジョイントワーピングボールという使い捨ての魔道具です。これを使えば一瞬でそっちの方へとワープすることができます。ちなみに私も同じものを持っているので、ボールが光りだしたらこう唱えてください。……≪ムーヴ≫と」
「了解です」
へぇ、魔道具にもこんなものもあるのか。
最近になって色々な魔道具を知る機会が多くなったが、本当に魔法技術の発展はすごいものだ。
「じゃあ、行きましょうか。くれぐれも気をつけてくださいね。何が起こるか分かりませんから」
「「はい!」」
というわけで。
俺たちはドロイドさんの指示のもと、所定の位置につく。
先にドロイドさんが潜入を試みるようで、
「お、OKサインだ」
扉が開いているか否かの報告がジェスチャーできた。
それからゆっくりと入っていっているところを見ると、トラップ等の仕掛けもないみたいだ。
ドロイドさんたちのチームが建物の中に入っていく。
「……よし、俺たちも行くぞ」
「は、はい!」
俺たちも同様に扉のチェックから入る。
扉は……何とこっちも鍵なしだった。
(不用心だな……)
こっちとしては在り難いけど、危機管理がなさすぎではないか?
そう思いながらも、次の手順へ。
「≪トラップ・ディテクション≫」
爆発物や危険物がないか、探知魔法を展開する。
探知魔法には何一つそういった類の物は引っかからなかった。
「大丈夫だ。トラップはない。行こう」
俺の言葉にコクリと頷くソフィア。
後から同行することになった護衛騎士も続く。
そして。
俺たちも音を立てずにゆっくりと扉を開扉させると、家屋へと浸入するのだった。
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