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第一章 定食屋で育って
これからの「まなべ」
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病院の外に出ると、行きに乗って来た個人タクシーが外に停まったままだった。
私たちが驚いてそちらに向かうと、運転席を倒していたおじさんが慌てて起き上がって窓を開ける。
「りっちゃん! 富雄さん!」
「ああ、結城さん、ここまで来てもらっちゃって」
個人タクシーのおじさん……今、名前を思い出した……結城さんは、病院の待合室は何だか苦手で、とタクシーの中でずっとお父さんを待っていたらしい。「どうせ帰る方向は一緒なんですから、乗ってってください」と当たり前に言ってくれる姿に、私もお父さんも恐縮してしまう。
お父さんが助手席に、私と祥太は後ろの席に座ってタクシーは出発した。
結城さんは行きよりもご機嫌で、お父さんが大丈夫そうだったので安心したのか、ずっと話をしている。
後部座席にいる私と祥太は手持無沙汰だ。
「あのさ」
前の席で会話が盛り上がっていたので、祥太にこっそりと話しかける。
「お父さんに言われたからって、私のことを気に掛けなくってもいいんだよ」
「おじさんに言われたからじゃない。利津が頼りなさすぎるからだよ」
「はあ?」
実際に私は今日1日だけでも祥太にかなり助けられた。力になってもらったし、心の支えにもなっていた。
私ひとりでこの状況に向き合っていたら、今頃精神的に参っていたと思う。
だけど、祥太と私は普段連絡すら取り合わない間柄だ。
この間の商店会で久しぶりに会ったくらいに普段も疎遠で、お互い干渉しないで生きている。
祥太の顔は横から見ると特に綺麗だ。鼻はまっすぐに綺麗な三角を描いているし、目と眉毛の間に少し段があって立体感がある。
金髪に顔が負けていないのは、やっぱり美形なのだと思わざるを得ない。
だからこそ、お父さんとの約束とやらを忠実に守って私を支えようなんてしなくていい。
もっと自分の可能性を真剣に考えるべきだ。
私に構っている間に、人生を無駄にしてしまう。
「利津は、別に俺のこと嫌いじゃないと思うんだ」
「そりゃ、嫌いじゃないよ」
「他に甘える先もないくせに、一人でなんとかしようとする必要ないだろ」
「そりゃ、そうかもしれないけど……」
話していて、ふと、一番心配になっていたことが頭をよぎった。
「うちの店、このままの営業スタイルでやっていくのは無理かも」
さっき医師に言われたことを思い出す。
魚を焼いたり揚げ物をしたりするのが私の役目になり、料理人のお父さんの出番を減らさなければならないだろう。
私は配膳に徹することが出来なくなるだろうし、立ちっぱなしを避けろと言われた手前、お父さんにホールを任せることもできない。
「そうだなあ。ランチの営業、やり方を考えなきゃなあ」
前の席からお父さんが言う。きっと無念に違いないと、「そうだね」なんて言えなかった。
『定食まなべ』はお父さんがひとりで働くために作られたお店だ。
私は手伝う形で店に入っているけれど、お父さんがまともに働けなくなった時に補えるほどのスキルや要領がない。
昼の営業はただでさえいかに効率よくするかを考えてやってきた。
今までと同じようには出来ない。
それが、弁当を用意することで解決するのだろうか。
やっぱり、お昼はお昼でランチ需要がある。
「人は、雇えないんだよな?」
祥太が確認するように言った。私は力なく笑う。『定食まなべ』は私にすらちゃんとした給与が払えないような売上だ。
ランチが中心だから、売り上げなんて知れている。
「ランチ営業の間だけでも、商店街で誰かにヘルプを頼もうぜ。バイト代は払わなきゃいけないけど、一緒に『まなべ』のことを考えてくれるような人にさ」
祥太はそう言って「誰が良いかなあ」と商店会のメンバーを口にしながら昼間なら暇な人って誰だー? なんて呟いている。
そこで結城さんが「うちの家内、貸しましょうか?」と言った。
結城さんの奥さんってどんな人だったっけ? と私たちは首を傾げる。
「料理教室の先生やってんですよ。今は若い子に教えてて平日の夜がメインになってるから、確か昼間はずっと家にいるはず……」
「いやいや、料理の先生にバイトなんて」
「多分、りっちゃんと富雄さんの話聞いたら飛んで行きますよ。この町でも特にお節介な人なんでね」
結城さんの奥さんの顔がぼんやりと浮かぶ。確か、とても気さくで明るい人だったような記憶が……。
「ああ、思い出した! いいじゃん、結城さん。接客なんか得意中の得意だろうし、何よりあの人の雰囲気って人を呼びそうな気がするし」
祥太が結城さんの奥さんを思い出しながら、大きく頷いている。祥太、さすが町の美容室。
結城さんは奥さんを褒められてちょっと嬉しそうだ。
「すいません、結城さんのお宅にこのままご挨拶にうかがっても……」
お父さんの心は既に決まったらしい。私は結城さんに甘えっぱなしで良いのだろうかと葛藤があったけれど、店を守るという優先順位に遠慮など敵わないのだろう。
「いいですよ。このままうちに来てもらって、何が良いか家内にも相談しながらやれることに協力させてもらいます」
まさかこんな簡単に協力を申し出てくれる人が現れるなんて思わなくて、じんわりと涙が目に溜まる。
祥太はそんな私に気付くと「日頃の行いがよかったんだよ」と私の頭をわしわしと撫でた。
祥太は何もしてないじゃないかと言ってやろうかと思ったけど、祥太が結城さんに電話をしていなければこの流れは起きなかった。
何かあったらこの町の頼れる人に、と自然に動く祥太は、恐らく私よりもずっとこの商店街に愛着があって、この商店街と共に生きていく覚悟がちゃんと出来ている証拠だ。
私のように、どこにも行けないからここにいるんじゃない。
*
結城さんの家は、商店街を抜けた場所にあるマンションの一室だった。
恐らく2~30年前に建てられたであろうマンションは、外壁がタイル張りになっている。
こんな建物あったな、と日頃いかに意識していないかが分かった。
私たちが連れ立って結城さんと共に家にお邪魔すると、奥さんは突然の客になぜかとても喜んで楽しそうだった。
料理教室をやっているだけあって、リビングが広くて人がたくさん入れるようになっている。もともと、人を呼ぶのが好きな人なのだろう。
「へえー……大変だ。富雄さん、いつかまた倒れるかもしれないってこと?」
奥さんはあけすけに言う。お父さんも「そうみたいだよお」と腑抜けた感じで笑っていた。完全に奥さんのペースに飲まれている。
「で、ランチ営業中にやってることは? 私も料理ずっとやってきてるけど、なにせお店まわしたことはないからなあ。力になれるかどうか」
「焼き魚を焼くのと盛り付けがメインです」
「あらそう。じゃ、意外にやれそう」
奥さんはそう言ってにこりと笑った。「実は料理教室で盛り付け教えてんのよー」と得意気に言う奥さんに、祥太が「売り上げ伸びたりしてね」と調子よく言う。
私とお父さんは「暫くの間、助けてもらえないでしょうか」と改めて頭を下げた。奥さんは「あらあら、やめてー」と焦りながら、「こういうことはね、動ける人間が動くものなのよ」と何でもないことのように言った。
結城さんの奥さんは丸顔で、笑うと頬の高いところがぷくっと丸く浮き出る笑顔の人だった。包容力がありそうで、愛情がたっぷり溢れている人だ。
今日、結城さんのおじさんがあんなに親切だったのも、この奥さんにしてこの旦那さんありということなのかもしれない。
私には、母親の記憶はほとんどない。だから祥太のお母さんや商店街のおばさんたちを見て「お母さん」を想像しながら生きて来た。
今日、結城さんの奥さんを見て、お母さんというのはこういう人なのかも、なんてことが浮かぶ。
お母さんがいたら、私が困った時には当たり前のように動いてくれたのだろう。
いや、お母さんというのは、愛情が原動力になる人なのだろうか。
「ところで、なんで祥太がいるの?」
やっぱり結城さんの奥さんは質問が容赦ない。結城さんのおじさんはそういえば何でだ? という顔をしていた。
「俺と利津は……家族?」
「いや、単に昨日からの流れで一緒にいただけでしょうが」
そんなやり取りをしていると、お父さんはこっちをみて微笑ましそうにしている。
これは普段の私たちであってそこに特別なものはないんだけど。
私たちが驚いてそちらに向かうと、運転席を倒していたおじさんが慌てて起き上がって窓を開ける。
「りっちゃん! 富雄さん!」
「ああ、結城さん、ここまで来てもらっちゃって」
個人タクシーのおじさん……今、名前を思い出した……結城さんは、病院の待合室は何だか苦手で、とタクシーの中でずっとお父さんを待っていたらしい。「どうせ帰る方向は一緒なんですから、乗ってってください」と当たり前に言ってくれる姿に、私もお父さんも恐縮してしまう。
お父さんが助手席に、私と祥太は後ろの席に座ってタクシーは出発した。
結城さんは行きよりもご機嫌で、お父さんが大丈夫そうだったので安心したのか、ずっと話をしている。
後部座席にいる私と祥太は手持無沙汰だ。
「あのさ」
前の席で会話が盛り上がっていたので、祥太にこっそりと話しかける。
「お父さんに言われたからって、私のことを気に掛けなくってもいいんだよ」
「おじさんに言われたからじゃない。利津が頼りなさすぎるからだよ」
「はあ?」
実際に私は今日1日だけでも祥太にかなり助けられた。力になってもらったし、心の支えにもなっていた。
私ひとりでこの状況に向き合っていたら、今頃精神的に参っていたと思う。
だけど、祥太と私は普段連絡すら取り合わない間柄だ。
この間の商店会で久しぶりに会ったくらいに普段も疎遠で、お互い干渉しないで生きている。
祥太の顔は横から見ると特に綺麗だ。鼻はまっすぐに綺麗な三角を描いているし、目と眉毛の間に少し段があって立体感がある。
金髪に顔が負けていないのは、やっぱり美形なのだと思わざるを得ない。
だからこそ、お父さんとの約束とやらを忠実に守って私を支えようなんてしなくていい。
もっと自分の可能性を真剣に考えるべきだ。
私に構っている間に、人生を無駄にしてしまう。
「利津は、別に俺のこと嫌いじゃないと思うんだ」
「そりゃ、嫌いじゃないよ」
「他に甘える先もないくせに、一人でなんとかしようとする必要ないだろ」
「そりゃ、そうかもしれないけど……」
話していて、ふと、一番心配になっていたことが頭をよぎった。
「うちの店、このままの営業スタイルでやっていくのは無理かも」
さっき医師に言われたことを思い出す。
魚を焼いたり揚げ物をしたりするのが私の役目になり、料理人のお父さんの出番を減らさなければならないだろう。
私は配膳に徹することが出来なくなるだろうし、立ちっぱなしを避けろと言われた手前、お父さんにホールを任せることもできない。
「そうだなあ。ランチの営業、やり方を考えなきゃなあ」
前の席からお父さんが言う。きっと無念に違いないと、「そうだね」なんて言えなかった。
『定食まなべ』はお父さんがひとりで働くために作られたお店だ。
私は手伝う形で店に入っているけれど、お父さんがまともに働けなくなった時に補えるほどのスキルや要領がない。
昼の営業はただでさえいかに効率よくするかを考えてやってきた。
今までと同じようには出来ない。
それが、弁当を用意することで解決するのだろうか。
やっぱり、お昼はお昼でランチ需要がある。
「人は、雇えないんだよな?」
祥太が確認するように言った。私は力なく笑う。『定食まなべ』は私にすらちゃんとした給与が払えないような売上だ。
ランチが中心だから、売り上げなんて知れている。
「ランチ営業の間だけでも、商店街で誰かにヘルプを頼もうぜ。バイト代は払わなきゃいけないけど、一緒に『まなべ』のことを考えてくれるような人にさ」
祥太はそう言って「誰が良いかなあ」と商店会のメンバーを口にしながら昼間なら暇な人って誰だー? なんて呟いている。
そこで結城さんが「うちの家内、貸しましょうか?」と言った。
結城さんの奥さんってどんな人だったっけ? と私たちは首を傾げる。
「料理教室の先生やってんですよ。今は若い子に教えてて平日の夜がメインになってるから、確か昼間はずっと家にいるはず……」
「いやいや、料理の先生にバイトなんて」
「多分、りっちゃんと富雄さんの話聞いたら飛んで行きますよ。この町でも特にお節介な人なんでね」
結城さんの奥さんの顔がぼんやりと浮かぶ。確か、とても気さくで明るい人だったような記憶が……。
「ああ、思い出した! いいじゃん、結城さん。接客なんか得意中の得意だろうし、何よりあの人の雰囲気って人を呼びそうな気がするし」
祥太が結城さんの奥さんを思い出しながら、大きく頷いている。祥太、さすが町の美容室。
結城さんは奥さんを褒められてちょっと嬉しそうだ。
「すいません、結城さんのお宅にこのままご挨拶にうかがっても……」
お父さんの心は既に決まったらしい。私は結城さんに甘えっぱなしで良いのだろうかと葛藤があったけれど、店を守るという優先順位に遠慮など敵わないのだろう。
「いいですよ。このままうちに来てもらって、何が良いか家内にも相談しながらやれることに協力させてもらいます」
まさかこんな簡単に協力を申し出てくれる人が現れるなんて思わなくて、じんわりと涙が目に溜まる。
祥太はそんな私に気付くと「日頃の行いがよかったんだよ」と私の頭をわしわしと撫でた。
祥太は何もしてないじゃないかと言ってやろうかと思ったけど、祥太が結城さんに電話をしていなければこの流れは起きなかった。
何かあったらこの町の頼れる人に、と自然に動く祥太は、恐らく私よりもずっとこの商店街に愛着があって、この商店街と共に生きていく覚悟がちゃんと出来ている証拠だ。
私のように、どこにも行けないからここにいるんじゃない。
*
結城さんの家は、商店街を抜けた場所にあるマンションの一室だった。
恐らく2~30年前に建てられたであろうマンションは、外壁がタイル張りになっている。
こんな建物あったな、と日頃いかに意識していないかが分かった。
私たちが連れ立って結城さんと共に家にお邪魔すると、奥さんは突然の客になぜかとても喜んで楽しそうだった。
料理教室をやっているだけあって、リビングが広くて人がたくさん入れるようになっている。もともと、人を呼ぶのが好きな人なのだろう。
「へえー……大変だ。富雄さん、いつかまた倒れるかもしれないってこと?」
奥さんはあけすけに言う。お父さんも「そうみたいだよお」と腑抜けた感じで笑っていた。完全に奥さんのペースに飲まれている。
「で、ランチ営業中にやってることは? 私も料理ずっとやってきてるけど、なにせお店まわしたことはないからなあ。力になれるかどうか」
「焼き魚を焼くのと盛り付けがメインです」
「あらそう。じゃ、意外にやれそう」
奥さんはそう言ってにこりと笑った。「実は料理教室で盛り付け教えてんのよー」と得意気に言う奥さんに、祥太が「売り上げ伸びたりしてね」と調子よく言う。
私とお父さんは「暫くの間、助けてもらえないでしょうか」と改めて頭を下げた。奥さんは「あらあら、やめてー」と焦りながら、「こういうことはね、動ける人間が動くものなのよ」と何でもないことのように言った。
結城さんの奥さんは丸顔で、笑うと頬の高いところがぷくっと丸く浮き出る笑顔の人だった。包容力がありそうで、愛情がたっぷり溢れている人だ。
今日、結城さんのおじさんがあんなに親切だったのも、この奥さんにしてこの旦那さんありということなのかもしれない。
私には、母親の記憶はほとんどない。だから祥太のお母さんや商店街のおばさんたちを見て「お母さん」を想像しながら生きて来た。
今日、結城さんの奥さんを見て、お母さんというのはこういう人なのかも、なんてことが浮かぶ。
お母さんがいたら、私が困った時には当たり前のように動いてくれたのだろう。
いや、お母さんというのは、愛情が原動力になる人なのだろうか。
「ところで、なんで祥太がいるの?」
やっぱり結城さんの奥さんは質問が容赦ない。結城さんのおじさんはそういえば何でだ? という顔をしていた。
「俺と利津は……家族?」
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