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第二章 夢なんかみなくても
海を眺めて 2
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「剛さんに祥太さんの話を聞いた時、そんな優しいイケメンだって所詮男はみんな一緒なんだって思ったから、証明したくて」
「一緒にすんなよ」
「その方が……救われるじゃん?」
真樹ちゃんは、まるで言葉を波に投げるように言う。
目の前にある波は、絶えずこっちに向かってくるようにしては砂浜にかき消されるように消えていく。
救われる……。
この場合、この世の男が全員そういうものだと思えば、自分のされたことが特別不幸じゃなかったと思えるということなんだろう。
その瞬間は救われても、一生真樹ちゃんはこの世の男を憎み続けて生きるしかない。まして傷に傷を重ねるだけだ。
「救われるっていうのはさあ、真樹ちゃんがそいつらを見返すくらい……誰よりも幸せになることなんじゃないの?」
月並みな言葉しか持たない俺は、ここにナツさんがいたらどんな風に真樹ちゃんを慰めるのだろうと自分の不甲斐なさが悲しい。
やっぱり、俺は利津の言った通り人を憐れむことしかできないんだろうか。
この小さな女の子が抱えている悲しみや怒りの感情を、憐れみ以外で包む方法が分からない。
「幸せって、なに?」
真樹ちゃんはこっちを見ずに、海を見つめて言った。
ザザーン……と幾度も音を立てる波に、まるで自分を入れようか迷っているような顔で。
「美味しいもの食べて、温かい風呂に入って、適度に疲れた身体を休めるために寝る」
「それが祥太さんの幸せなんだ」
「そこに可愛い女の子がいると、もっと幸せかも」
ぶはっ、と真樹ちゃんが吹き出す。「そこってどこよ。お風呂?」と聞くので、「全部」と答えると寂しそうに頷いた。
「真樹ちゃんは、可愛いよ」
「……顔が?」
「顔も」
真樹ちゃんは「そ」とだけ短く返事をして、その後はずっと黙っていた。
俺も特に話しかけたりはしないで、隣でくっついたままずっと海を見つめている。
徐々に陽が落ちてきて、あたりが紅くなってきた。
夕陽がどっちに沈んでいるかとか、そんなことを気にするのでもなく、ただただそこに座っている。なんだか空が泣いているみたいだな、と誰かが持ちそうな感想が浮かんだ。
「寒くない? もう、帰ろうか」
気温が下がったのが分かる。そろそろ、海の近くは冷える。
日中の暑さをしのいだ服は、風通しが良かった。
「うん……。もう、終わっちゃうね」
髪を掻き上げて寂しそうに笑った真樹ちゃんに、まだまだ俺は伝えていないことがある。
「物事には大体、始まりがあって終わりがあるんだって」
「始まってたんだね」
真樹ちゃんと俺はそんな話をしながら立ち上がる。俺は隣を見て、下にあるその顔をじっと見つめた。
「終わりから、始まることもあるよ」
ナツさんが昔作ったショートムービーは、そんな話だった。
終わったところからが、全ての始まり。そんなことだってある。
真樹ちゃんは何も言わずに俺の腕にしがみつく。
「今度、定食屋とコーヒーショップを紹介してよ」
ボソリと、肩越しに言われた。
「いいよ。その前に、『美容室 前田』だな。腕のいい美容師にカラーをやってもらった方が良い。カットもね」
「……だから美容師って嫌だ。もう2ヶ月以上行ってないのバレてる」
「大丈夫、可愛くするし、トリートメント無料で付けるし、30パーセントオフでやってあげるから」
帰り道に向かって歩きながらそんな話をしている。真樹ちゃんは「営業されちゃった」と苦笑いしながら、実は男の人に髪を触られるのもずっと駄目だったんだよと告白してくれた。
俺は男じゃないってことかと笑っていたら、「今度は、あの鐘を鳴らしてみたいな」と遠くに聞こえる鐘の音を気にしている。
あの鐘には、カップルで鳴らすと別れないというジンクスがあるらしい。
「一緒にすんなよ」
「その方が……救われるじゃん?」
真樹ちゃんは、まるで言葉を波に投げるように言う。
目の前にある波は、絶えずこっちに向かってくるようにしては砂浜にかき消されるように消えていく。
救われる……。
この場合、この世の男が全員そういうものだと思えば、自分のされたことが特別不幸じゃなかったと思えるということなんだろう。
その瞬間は救われても、一生真樹ちゃんはこの世の男を憎み続けて生きるしかない。まして傷に傷を重ねるだけだ。
「救われるっていうのはさあ、真樹ちゃんがそいつらを見返すくらい……誰よりも幸せになることなんじゃないの?」
月並みな言葉しか持たない俺は、ここにナツさんがいたらどんな風に真樹ちゃんを慰めるのだろうと自分の不甲斐なさが悲しい。
やっぱり、俺は利津の言った通り人を憐れむことしかできないんだろうか。
この小さな女の子が抱えている悲しみや怒りの感情を、憐れみ以外で包む方法が分からない。
「幸せって、なに?」
真樹ちゃんはこっちを見ずに、海を見つめて言った。
ザザーン……と幾度も音を立てる波に、まるで自分を入れようか迷っているような顔で。
「美味しいもの食べて、温かい風呂に入って、適度に疲れた身体を休めるために寝る」
「それが祥太さんの幸せなんだ」
「そこに可愛い女の子がいると、もっと幸せかも」
ぶはっ、と真樹ちゃんが吹き出す。「そこってどこよ。お風呂?」と聞くので、「全部」と答えると寂しそうに頷いた。
「真樹ちゃんは、可愛いよ」
「……顔が?」
「顔も」
真樹ちゃんは「そ」とだけ短く返事をして、その後はずっと黙っていた。
俺も特に話しかけたりはしないで、隣でくっついたままずっと海を見つめている。
徐々に陽が落ちてきて、あたりが紅くなってきた。
夕陽がどっちに沈んでいるかとか、そんなことを気にするのでもなく、ただただそこに座っている。なんだか空が泣いているみたいだな、と誰かが持ちそうな感想が浮かんだ。
「寒くない? もう、帰ろうか」
気温が下がったのが分かる。そろそろ、海の近くは冷える。
日中の暑さをしのいだ服は、風通しが良かった。
「うん……。もう、終わっちゃうね」
髪を掻き上げて寂しそうに笑った真樹ちゃんに、まだまだ俺は伝えていないことがある。
「物事には大体、始まりがあって終わりがあるんだって」
「始まってたんだね」
真樹ちゃんと俺はそんな話をしながら立ち上がる。俺は隣を見て、下にあるその顔をじっと見つめた。
「終わりから、始まることもあるよ」
ナツさんが昔作ったショートムービーは、そんな話だった。
終わったところからが、全ての始まり。そんなことだってある。
真樹ちゃんは何も言わずに俺の腕にしがみつく。
「今度、定食屋とコーヒーショップを紹介してよ」
ボソリと、肩越しに言われた。
「いいよ。その前に、『美容室 前田』だな。腕のいい美容師にカラーをやってもらった方が良い。カットもね」
「……だから美容師って嫌だ。もう2ヶ月以上行ってないのバレてる」
「大丈夫、可愛くするし、トリートメント無料で付けるし、30パーセントオフでやってあげるから」
帰り道に向かって歩きながらそんな話をしている。真樹ちゃんは「営業されちゃった」と苦笑いしながら、実は男の人に髪を触られるのもずっと駄目だったんだよと告白してくれた。
俺は男じゃないってことかと笑っていたら、「今度は、あの鐘を鳴らしてみたいな」と遠くに聞こえる鐘の音を気にしている。
あの鐘には、カップルで鳴らすと別れないというジンクスがあるらしい。
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その途中間違えて投稿してしまいました…すぐ取り下げたのですがお気に入り入れてくれた方、ありがとうございます。ずいぶんとお待たせいたしました。
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