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第三章
順序が違うけれど 8
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納得がいっていない様子の花森をそっと抱きしめて、「俺の印があって良い眺めだ」と正直に伝えた。
「私は、ちゃんと着物で隠れる場所だけにしているんですからね」
「本当は沙穂にも堂々と跡を付けさせたい気持ちはあるんだ。ただ……色々と厄介だからな」
「……なんとなくわかるので気にしないで下さい。熱狂的な八雲さんファンに恨まれたくありません」
花森は東御の胸に直接触れて耳を当てる。
鼓動を感じながら、ここに二人で在ることだけに感謝をしたいと思うのに、それはうまく伝えられない。
「喧嘩の仲直りは、これでわだかまりなくできそうですか?」
「俺はもともと、そんなに怒っていない」
「いいえ、こんなこと、怒ってなかったらできません」
「じゃあ、仲直りをしよう。俺は沙穂を生涯好きでいたい」
「はい。私は八雲さんを信じて行こうと思います」
東御は花森の言葉を聞いて胸元にいる身体をぎゅっと強く抱きしめる。
「苦しいですよ」と声が上がり、東御は力を緩めると花森にそっと口づけた。
その後は花森の方から何度もキスが降ってくる。東御の視線の先には先ほど付けた跡がくっきりと見えた。
「怒ったんじゃない。多分俺は……三木に対して見せつけたくなったんだ」
ぼそりと呟き、花森に接触してきた三木に対する怒りを思い出す。
「八雲さん……もしかして……」
「俺は、沙穂に怒ったんじゃない。三木が許せなくて怒っていた。沙穂は……沙穂に触れていいのは俺だけだ」
「私は三木さんに触れさせることはないです……」
「沙穂がどんなに防いでも、男の力には敵わない。だからそうやって沙穂に恐怖を与えて近づく卑劣さに怒りが湧いた」
そうだ、と東御は思い出す。間違いなく東御は父親にも三木にも怒りを感じていた。
花森と付き合ってからというもの、今まで感じたこともなかった怒りを抱えたのだ。
「沙穂が大切だから、沙穂を傷つけようとするものに怒った。沙穂に対しては怒っていない。ただちょっと……やり返したくなっただけだ」
「やり返し方が、やりすぎです」
花森は苦笑をして東御の首筋に口付けた。跡には残さなかったが、東御から熱のこもった息が漏れる。
「仲直り、しましょ?」
「もうしたんじゃないのか?」
東御が意地悪く返すが花森は恥ずかしがることもなく「まだです」と答えた。
仲直りの定義がよく分からなくなってきたが、東御は花森に跡を付けた時からそのまま眠れるほど落ち着いてはいない。
「仲直りの仕方を教えてくれ」
「さあ、私も分かりませんが」
二人は額を合わせたまま笑う。
抱き合ったまま、ベッドの中でゴロゴロと転がりじゃれ合った。
声を上げ、笑いながら触れ合い、気持ちを確かめ合いながら夜が更けていく。
二人の身体はお互いの付けた跡で無残な跡が残っている。
怒りという感情も、愛と繋がっているのだと知った。
「私は、ちゃんと着物で隠れる場所だけにしているんですからね」
「本当は沙穂にも堂々と跡を付けさせたい気持ちはあるんだ。ただ……色々と厄介だからな」
「……なんとなくわかるので気にしないで下さい。熱狂的な八雲さんファンに恨まれたくありません」
花森は東御の胸に直接触れて耳を当てる。
鼓動を感じながら、ここに二人で在ることだけに感謝をしたいと思うのに、それはうまく伝えられない。
「喧嘩の仲直りは、これでわだかまりなくできそうですか?」
「俺はもともと、そんなに怒っていない」
「いいえ、こんなこと、怒ってなかったらできません」
「じゃあ、仲直りをしよう。俺は沙穂を生涯好きでいたい」
「はい。私は八雲さんを信じて行こうと思います」
東御は花森の言葉を聞いて胸元にいる身体をぎゅっと強く抱きしめる。
「苦しいですよ」と声が上がり、東御は力を緩めると花森にそっと口づけた。
その後は花森の方から何度もキスが降ってくる。東御の視線の先には先ほど付けた跡がくっきりと見えた。
「怒ったんじゃない。多分俺は……三木に対して見せつけたくなったんだ」
ぼそりと呟き、花森に接触してきた三木に対する怒りを思い出す。
「八雲さん……もしかして……」
「俺は、沙穂に怒ったんじゃない。三木が許せなくて怒っていた。沙穂は……沙穂に触れていいのは俺だけだ」
「私は三木さんに触れさせることはないです……」
「沙穂がどんなに防いでも、男の力には敵わない。だからそうやって沙穂に恐怖を与えて近づく卑劣さに怒りが湧いた」
そうだ、と東御は思い出す。間違いなく東御は父親にも三木にも怒りを感じていた。
花森と付き合ってからというもの、今まで感じたこともなかった怒りを抱えたのだ。
「沙穂が大切だから、沙穂を傷つけようとするものに怒った。沙穂に対しては怒っていない。ただちょっと……やり返したくなっただけだ」
「やり返し方が、やりすぎです」
花森は苦笑をして東御の首筋に口付けた。跡には残さなかったが、東御から熱のこもった息が漏れる。
「仲直り、しましょ?」
「もうしたんじゃないのか?」
東御が意地悪く返すが花森は恥ずかしがることもなく「まだです」と答えた。
仲直りの定義がよく分からなくなってきたが、東御は花森に跡を付けた時からそのまま眠れるほど落ち着いてはいない。
「仲直りの仕方を教えてくれ」
「さあ、私も分かりませんが」
二人は額を合わせたまま笑う。
抱き合ったまま、ベッドの中でゴロゴロと転がりじゃれ合った。
声を上げ、笑いながら触れ合い、気持ちを確かめ合いながら夜が更けていく。
二人の身体はお互いの付けた跡で無残な跡が残っている。
怒りという感情も、愛と繋がっているのだと知った。
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